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連載Cocotame Series

アーティスト・プロファイル

恋愛ソングから、新たなフィールドへ――進化しつづけるCHiCOの現在・過去・未来【後編】

2021.02.04

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気鋭のアーティストの実像に迫る連載企画「Artist Profile」。

今回登場するのは、そのパワフルな歌声で多くのリスナーを魅了するCHiCO with HoneyWorksのボーカリスト、CHiCO。2014年のデビュー曲『世界は恋に落ちている』をはじめ、これまで“恋と青春”を鮮やかに歌ってきた彼女は、ライブ以外では顔を見せず、人気でありながらもミステリアスな存在だった。だが昨年、YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』で初めて自身の歌唱する姿をメディアに乗せ、大きな話題となった。デビュー7周年を迎える2021年、CHiCOはここからどこへ向かおうとしているのか。

後編では、ぐっと過去にさかのぼってCHiCOがCHiCOとなった所以をひも解きつつ、この先の未来へ思いをはせる。

  • CHiCO (チコ)

    クリエイターチームHoneyWorksとのコラボユニット、CHiCO with HoneyWorksとして2014年に『世界は恋に落ちている』でデビュー。これまで12枚のシングルと3枚のアルバムを発表している。ミュージックレイン所属。

歌手にあこがれた少女がCHiCOになるまで

少女は幼いころから歌手になりたいとずっとあこがれていた。その少女がボーカリスト・CHiCOになったきっかけは、2013年にソニー・ミュージックエンタテインメントが実施した第1回『ウタカツ!オーディション』だった。ボカロ、アニソン、声優アーティストを目指す歌い手を見出すためのこのオーディションで、彼女はグランプリを受賞する。

「学生のころ、軽音楽部にいてオタクな仲間たちとアニメソングのカバーを演奏していたんです。あるとき、練習のためにスタジオに入ったら、そこでたまたま『ウタカツ!オーディション』のチラシを見つけたんですね。私はアニメも好きだし、ボカロも好きだから、これは私のためのオーディションだ、くらいの気持ちがありました」

幼いころに音楽番組で浜崎あゆみのパフォーマンスを見て、歌手になることを夢見ていた彼女。アニメも好きで、いつかテレビアニメの主題歌を歌えるようなアーティストになりたいと思っていた。やがて深夜アニメを見るようになり、オープニングテーマを歌うアーティストの名前を意識し始める。

「『灼眼のシャナ』(2005年)でオープニング曲を歌われていた川田まみさんの歌い方に惹かれて、カラオケで練習したりもしていましたし、高校では軽音楽部でいろいろなアニメ関係の曲を歌っていましたね。例えば『Angel Beats!』(2010年)の劇中バンド、Girls Dead Monster(ボーカルはLiSA)の曲とか。そのころはニコニコ動画の“歌ってみた”もすごく人気で。私も投稿してみようかなと思ったこともありました」

「この子で大丈夫ですか?」と心配されたデビューシングル

アニメ好きとボカロ好きが高じて、『ウタカツ!オーディション』でグランプリを受賞した彼女はCHiCOとなり、コンポーザーのGomとshito、イラストレーターのヤマコからなるクリエイターチームのHoneyWorksとのユニットを組むことになる。歌手を目指していた少女がオーディションで夢を叶える――。一見、順調そうに見える歩みだったが、そこで彼女の物語は終わらない。デビューシングル『世界は恋に落ちている』のレコーディングで、さっそく彼女に試練が訪れた。

『世界は恋に落ちている』

「デビューシングルはすごく苦労しました。それまで、プロフェッショナルの機材やスタジオで歌ったこともなかったですし、世の中に出ていない曲を自分なりに歌うということも初めてでした。緊張しすぎて声も出ない状態で。最初に仮歌のレコーディングがあったんですが、そのときに楽曲を手掛けたHoneyWorksのふたりが『この子で大丈夫なんですか?』とマジで心配するっていう(笑)。本当に前途多難な出だしだったと思います」

高校時代からボイストレーニングに通い、歌唱の練習はしていた。だが、これまでは聴き手を意識せず、自分が楽しめるように歌ってきただけだった。これからアーティストとして歌うためには、聴き手が楽しめるような歌を歌わないといけない。自分のためだけではなく、リスナーのために歌う――その切り替えの難しさに、何度も心をくじかれそうになった。そんなときに彼女を支えたのは……なんと空手の経験だった。

「小学校高学年から空手をやっていたんです。空手は気持ちがピシッとなるので好きだったんですよね。歌の練習は、まるで空手の稽古のようでした。空手で柔軟して、トレーニングして、試合をするみたいに、ひたすら歌の練習をしていたんです。ボイトレの先生と歌詞をポエム調で読んで、次はテンポを抑えて歌って、最後に原曲で歌うという、3段階をワンセットで何度も繰り返して、歌のニュアンスの出し方や、感情の乗せ方を練習していきました。この1曲のために2カ月くらいかけてレコーディングしたんです。ひたすら空手の稽古をするみたいに」

それが、彼女のシンガーとしての最初の転機になった。苦労して作り上げたデビュー曲の『世界は恋に落ちている』は、テレビアニメ『アオハライド』のオープニングテーマとなり、YouTubeでの再生回数は6,200万回を突破した。ごく普通の歌うことが大好きな少女が、アーティストになったのである。

『世界は恋に落ちている』【アオハライド盤】

3枚のアルバム制作を経て変わったユニットの関係性

2021年、CHiCO with HoneyWorksはデビュー7周年を迎える。HoneyWorksとの関係性も、より深くなった。

「HoneyWorksは、皆さんストイックですね。Gomさんもshitoさんも『リスナーが引っかかりを感じられる歌い方をしてほしい』と、すごく歌のニュアンスにこだわるんです。『楽曲のここにアタックを入れて』とか、『語尾をキュッとあげて』とか、歌い方のアクセントに細かい指示があって。特にshitoさんは、人間にはできそうもないような難しいアクセントの入れ方をリクエストしてくるので、すごく大変です(笑)。イラストレーターのヤマコさんも、イラストを発表されるたびにどんどんパワーアップされていて。ミュージックビデオを作るときも、『カラーイラストの枚数を増やしちゃった』とさらっと言うんですよ。カラーイラストは1枚でも描くのが大変なのに、自分が求めるものを実現したいという作品への愛を感じます」

より良い作品を作るためにストイックに自身を追い込み、そしてお互いにも多くを求める。だからこそ彼らは信頼という強い絆で結ばれているのだろう。2020年にリリースされたサードアルバム『瞬く世界に i を揺らせ』には、CHiCOのアイデアもふんだんに盛り込まれた。

『瞬く世界にiを揺らせ』【通常盤】

「『瞬く世界に i を揺らせ』の制作では、私から提案する場面も増えました。Gomさんとshitoさんが『どうやって歌ったら印象に残るかな?』と私に聞いてくれることも多くなりましたし、歌詞を悩んでいるときに『どっちがいいかな?』と意見を求めてくださることもありました。仮歌のときに『CHiCOが歌いたいように歌ってみて』と言われて、歌ってみたら『その歌い方は良いね』と採用してくれて、やったぜ! と思ったり(笑)。お互いのコミュニケーションが深くなって、一緒に楽曲を作っているという実感がどんどん強くなっています」

ちなみにHoneyWorksは、音楽とイラスト(マンガ)で高校生たちの淡い恋愛模様をつづる“告白実行委員会~恋愛シリーズ~”というプロジェクトを手掛けている。CHiCO with HoneyWorksは、その“告白実行委員会”のカバーソングも歌っているが、CHiCOは「そのカバーソングこそが“チコハニらしさ”がわかる楽曲」だと言う。

「“告白実行委員会~恋愛シリーズ~”には、そもそも声優さんが登場キャラクターの声で歌われている本家の楽曲があるんです。私がそれをカバーするときは、その本家へのリスペクトを込めて同じような歌い方をするときもありますし、あえて“チコハニ節”を出そうとするときもある。本家をご存じの方は、CHiCO with HoneyWorksだとこの曲がどう変わるか、その違いを楽しんでもらえると良いなと思っています」

みんなのもとに“いつもの日常”を届けたい

2020年、CHiCO with HoneyWorksはツアーを予定していたものの新型コロナウイルス感染拡大のため、1公演を除き、すべてが中止となった。だが2021年には、新たなツアーが予定されている。

「3月7日からスタートするツアーのタイトルは『SPRiNG BEAT』。コロナ禍なので、客席では声を上げたり、大きく動いたりはできないと思うのですが、心のなかを爆発させて楽しんでほしいなと思ってこのツアータイトルを考えました。CHiCO with HoneyWorksがライブをやることで、コロナ禍ではあっても、みんなのもとに“いつもの日常”を届けたいと思っています」

変わりゆく世の中で、変わらないものを届けるために歌いつづける。CHiCO with HoneyWorksの歌は、いつだって、みんなへの応援歌だ。

「これからも私たちの楽曲を皆さんに届けていきたいので、『THE FIRST TAKE』での挑戦も、自分の新しいカードとして今後の武器になれば良いなと思っています。ニューシングルではこれまでになかったジャンルの楽曲にチャレンジしたので、それもぜひ多くの人に聴いてほしいです。CHiCO with HoneyWorksは今年で7周年ですが、ここから10周年に向けてどんなアーティストを目指していくのか。これからの活動で、それを見つけていきたいです」

文・取材:志田英邦

<最新情報>

ニューシングル『鬼ノ森/醜い生き物』2021年2月3日リリース

【CHiCO with HoneyWorks盤】

 
『鬼ノ森』
視聴・購入はこちら(新しいタブで開く)
 
『醜い生き物』
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<ライブ情報>

『LAWSON presents CHiCO with HoneyWorks ZEPP TOUR 2021「SPRiNG BEAT」』
3月7日 愛知県/Zepp Nagoya
3月14日 北海道/Zepp Sapporo
3月21日 東京都/Zepp Tokyo
3月27日 大阪府/Zepp Osaka Bayside
3月28日 福岡県/Zepp Fukuoka
 
チケットはこちら(新しいタブで開く)

関連サイト

CHiCO with HoneyWorks公式サイト
https://www.chicoxxx.com/(新しいタブで開く)
 
CHiCO オフィシャル Twitter
https://twitter.com/CHiCOxxx_tweet(新しいタブで開く)
 
CHiCO with HoneyWorks YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCw9-qglgZw8J8m2rxe7bAXw(新しいタブで開く)

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