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連載Cocotame Series

エンタメビジネスのタネ

英語学習アプリ『スヌーピーえいご』で開拓するエデュテインメントビジネス【後編】

2021.04.28

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最初は小さなタネが、やがて大樹に育つ──。新たなエンタテインメントビジネスに挑戦する人たちにスポットを当てる連載企画「エンタメビジネスのタネ」。

今回は、『ピーナッツ』の原作コミックを読んで、聞いて、英語を楽しく学べるスマートフォンアプリ『スヌーピーえいご』をフィーチャーする。

いまだ成熟を迎えていないと言われる教育アプリの分野において、『スヌーピーえいご』が挑んだこととは。そして、このアプリによって引き出された『ピーナッツ』の魅力とは何か。

『ピーナッツ』の国内エージェントとして、IPの多面展開を進めるソニー・クリエイティブプロダクツ(以下、SCP)の横関悦子と高橋美里、ソニー・ミュージックエンタテインメント(以下、SME)で新規事業を開拓する宮木曉、立花裕子の4名に話を聞いた。

後編では、『スヌーピーえいご』の学習コンテンツとしてのこだわりと、担当者たちが『ピーナッツ』という作品を通して伝えたい思いを語ってもらった。

  • 横関悦子

    Yokozeki Etsuko

    ソニー・クリエイティブプロダクツ
    クリエイティブマネージャー

  • 高橋美里

    Takahashi Misato

    ソニー・クリエイティブプロダクツ

  • 宮木 曉

    Miyaki Satoru

    ソニー・ミュージックエンタテインメント
    プロデューサー

  • 立花裕子

    Tachibana Yuko

    room NB

1日5分で楽しく英語が学べるアプリ『スヌーピーえいご』

 
1日5分で中学英語レベルから日常会話まで学べる、スヌーピーのスマートフォン向け英語学習アプリ。『ピーナッツ』のコミック誕生70周年を記念した取り組みのひとつとして、ソニーミュージックグループのSCPとSMEの2社共同で開発され、2021年4月28日にリリースされた。英語総監修・解説は、バイリンガル英語講師のNOBU先生こと山田暢彦氏。翻訳・解説は田中淳代氏が担当。コミックナレーションには、デジタル声優プロジェクト22/7(ナナブンノニジュウニ)で活躍中の天城サリーと、アメリカ出身の役者・声優のライアン・ドリースが出演している。
 
<有料のプレミアムチケットのコンテンツ>
■コミック学習:365日間、毎日ひとつずつ『ピーナッツ』のコミックから英語を学習
(バイリンガル英語講師のNOBU先生監修によるオリジナル翻訳・解説・例文付き)
■単語ゲーム:ログインボーナスやミニテストでもらえるクッキーを1枚使って、ゲーム

形式の英単語学習ツールを楽しめる
■アラーム機能:設定した時間にリマインドをしてくれる
■月間テスト:月に1回、10問のテストをクリアして、心に響く『ピーナッツ』の名言を

コレクション
■プレゼントボックス:ログインやクイズでもらえるクッキーを集めると、スヌーピーか

らプレゼントが!?
■単語帳:和⇔英など気分に合わせてセレクトして英単語を学習できる自習モード付き
 
<無料版のコンテンツ>
■コミック学習:1週間分のコミックを学習可能
■単語ゲーム:ログインボーナスでもらえるクッキーを使って、ゲーム形式の単語学習ツ

ールを楽しめる
■アラーム機能:設定した時間にリマインドしてくれる。
■プレゼントボックス:ログインやクイズでもらえるクッキーを集めると、スヌーピーか

らプレゼントが!?
■単語帳:和⇔英など気分に合わせてセレクトして単語学習できる自習モード付き

原文に即した新たな訳で、生きた英語を学ぶ

──(前編からつづく)チャールズ M.シュルツさんが生み出した17,897本という膨大なコミックのなかから、どのようにしてアプリに収録する作品を選定したのでしょうか。

高橋:まずコミックを年代で区切って、“クラシック”と呼ばれる1980年以降の作品から、今回は選ぶことにしました。そこからサンデー版の長い作品を省くと約6,000作品になり、さらに英語学習のためのピックアップフレーズが抜き出せない作品なども省いています。

そして、4月のコミックは4月に入れるというように季節感を感じていただくラインナップと、クリスマスなど世の中のイベントにゆかりのある作品は、その日に読めるように選んでいきました。

そうやって各月ごとに40~50本ずつ選定したものを、英語総監修のNOBU先生(英語講師・山田暢彦氏)にお渡しして、英語学習に最適なコミックをピックアップしていただくという流れ。結構大変な作業でしたが、改めてコミックを読み返して、気がつくとクスッと笑っていることもあって楽しかったですね。

──アストロノーツなど、スヌーピーの定番の姿も見られるのでしょうか。

高橋:そうですね。ほかにもジョー・クールやフライング・エースなどもしっかり入っていますし、オラフなど、スヌーピーのきょうだいも登場します。それと、個人的にはスヌーピーとウッドストックのエピソードが好きなので、ちょっと多めに入ってしまっているかもしれません(笑)。

宮木:コミックをあまり読んだことがない方でも楽しめるよう、キャラクターの相関図も入れています。プレミアムチケットを購入した方のみではありますが、「コミック学習」を進めていくと少しずつキャラクターが埋まっていくんです。『ピーナッツ』を知るためのツールにもなっていると思います。

高橋:こちらもプレミアムチケット購入者が対象ですが、「月間テスト」をクリアするともらえる「名言カード」も、とてもかわいくておすすめです。

──『ピーナッツ』の翻訳は谷川俊太郎さんが手がけていらっしゃいますが、今回のアプリでは英語学習用の訳になっているのでしょうか。

高橋:そうですね。谷川先生の訳は漫画作品として自然に楽しく読めることに主眼を置いて意訳されている部分もあるので、今回は、英語学習の観点から英語の構文やイディオムに即した形で訳していただきました。

──英語学習アプリに『ピーナッツ』をIPとして活用し、コミックでの学習を主軸にしているのが『スヌーピーえいご』らしさだと感じます。『ピーナッツ』の原点であるコミックにフォーカスし、英語学習に転換する。そのアプローチは『ピーナッツ』を熟知しているSCPならではですね。

横関:原作者のチャールズ M.シュルツさんの言葉のセンスが本当に素晴らしいんです。今回のアプリでも、それはさまざまなストーリーで実感していただけると思います。

──日ごろから『ピーナッツ』というIPを扱っているSCPのおふたりと違って、SMEの宮木さん、立花さんは今回のプロジェクトで改めて『ピーナッツ』を深く知ったのではないかと思います。作品に対する印象は変わりましたか?

宮木:同じ部署に『ピーナッツ』の熱狂的ファンの男性がいて、プレッシャーを感じましたね(笑)。僕自身、前職のゲーム制作の現場でさまざまなIPを扱っていたのですが、そのなかでも『ピーナッツ』はファンの方々に長く愛されている歴史と実績のあるコンテンツだと感じました。いつも以上にプレッシャーは大きかったです。

立花:私はもともとスヌーピーが大好きで、小さいころからぬいぐるみやグッズで親しんできました。でも、コミックを読む機会はほとんどなくて。高橋さんがお話していた通り、クスッと笑えたり、「そうそう」と共感できたり、人生の教訓を学ばせてもらったり、自分のなかで生きるためのヒントが増えていくような感覚がありました。

コミックから伝わる“LOVE”のメッセージ

──エンタテインメントとエデュケーション(教育)を融合させた、エデュテインメントは市場として、まだ成熟していません。今回は『ピーナッツ』というIPの力で学習継続を促していますが、英語学習アプリとしての手応えはいかがでしょうか。

高橋:ほかの『ピーナッツ』関連タイトルであれば、ある程度の売れ行きを予測できますが、こと教育となると明確な数字が出せません。とは言え、せっかくチャンスをいただいたので、絶対に良いものにしようという思いで制作しました。

宮木:アプリ業界はシェアを食い合うレッドオーシャンで、教育系アプリについても毎日のようにリリースされています。そのなかで、『ピーナッツ』は教育のハードルを下げてくれる存在だと思っています。

今回のプロジェクトを進めるなかで感じましたが、教育というジャンルは王道であることが重要だと思います。唐突に変わったことをやっても、ユーザーがそこまでたどり着くのも、誘導するのも難しい。『スヌーピーえいご』がどこまで受け入れられるかはリリース後、しばらく様子を見てみないとわかりませんが、垂直立ち上げ型でないことは確か。じわじわと浸透していくアプリではないかと思いますし、そうしていきたいと考えています。

──365日間“コミック学習”を行なったら一周になりますが、その先々の展開、例えば第2弾、第3弾も考えているのでしょうか。

高橋:このアプリが成功すれば、当然、その後もつづけていきたいと考えています。本作は対象年齢を13歳以上としていますが、ほかにも、キッズ向け、“LOVE編”のようにコミックのテーマを絞ったバージョン、季節ごとに分けたバージョンなども考えられます。『ピーターラビット』『きかんしゃトーマス』など、SCPで取り扱っているほかのIPで英語学習アプリを作る方法もありますよね。

宮木:エデュケーション分野のデジタルコンテンツは、一度作ればそれが資産になります。販売方法やプロモーション展開などのマーケティングについても、いろいろなトライアル&エラーができるので、幅広い可能性にチャレンジしたいと思います。

──最後に、『スヌーピーえいご』を楽しみにしている方に向けてメッセージをお願いします。

高橋:NOBU先生と打ち合わせをした際、「日本の英語教育では、すぐに×をつけてしまう。でも、英語は言語であり、コミュニケーションツールなので、不格好でもこちらの思いが伝わればOK。より楽しく学ぶために、できるだけ構文や文法を省き、ピックアップフレーズとしてわかりやすい解説、使いやすい例文を作るのが、自分の英語教師としての腕の見せどころ」と話していたのが印象に残っています。

その言葉を聞いた時点で、良いものになると手応えを感じました。『ピーナッツ』というIPの魅力ももちろんありますが、今回はNOBU先生と田中淳代先生に制作に加わっていただけたので、圧倒的な英語の裏づけもできました。まずは無料版を試していただいて、もし気に入っていただけたらプレミアムチケットを購入して365日楽しみながら学習し、癒されたりクスッとしたりしていただきたいです。

横関:『ピーナッツ』の今年のブランディングテーマは、“LOVE”です。メッセージは“AND I LOVE ME”“LOVE EACH OTHER”で、“自分を大切にしよう”、“近くにいる人を大切にしよう”という意味です。コミックを読んでいると、そのテーマが本当に伝わってくるんですよね。

チャールズ M.シュルツさんは、70年前から変わらず“自分を軽んじたり否定したりするのではなく、例え欠点があったとしても自分自身や近くの人たちを大切にすることの素晴らしさ”をコミックを通して感じさせてくれていて、作品としての普遍性を改めて痛感しました。

『スヌーピーえいご』は、コミックを1日1話読むだけで、癒されたり、ホッとしたり、ちょっと嫌なことがあっても「まぁいいか」と思えたりする、日々の励みになるようなコンテンツです。なおかつ英語とも仲良くなれるんですね。英語に苦手意識を抱いている方も、ちょっと身近に感じて楽しくなりますし、きっと“LOVE”も感じていただけます。

単なる英語学習アプリを超えた、優れたコンテンツになったと思いますので、とにかく一度手に取って、毎日5分スヌーピーたちと一緒に過ごしていただけたらうれしいです。

立花:ソニーミュージックグループには、スヌーピーが大好きなアーティストもたくさんいます。そういった方々にも協力していただいたり、もしくはInstagram、YouTube、TikTokなどで影響力のあるインフルエンサーの方とコラボするなど、さまざまなプロモーションの可能性を探っていきたいと考えています。

宮木:英語学習として継続していただくためのプロモーション、日々触れていただくための施策を考え、どのようにして訴求するかが我々の今後の課題です。そこはしっかり取り組んでいきたいと思います。

それとエデュテインメントは、まだビジネスの不毛地帯と言えるジャンルですが、だからこそエンタテインメント業界の人間として挑戦のしがいがあると感じています。アプリを作って終わりではなく、これをどうやって大きなビジネスに成長させていくか。引きつづき、SCPの皆さんとも連携を図りながら展開していきたいと考えています。

 

文・取材:野本由起
撮影:干川 修

英語学習アプリ『スヌーピーえいご』

プラットフォーム:iOS/Android
基本プレイ無料(アプリ内課金あり)
プレミアムチケット:特別価格2,580円(5月31日までの期間限定)/通常価格2,940円
配信開始:4月28日

© 2021 Peanuts Worldwide LLC

関連サイト

『スヌーピーえいご』公式サイト
https://www.snoopy.co.jp/snoopyeigo/(新しいタブで開く)
 
『スヌーピーえいご』Twitterアカウント
https://twitter.com/SNOOPYEIGO_APP(新しいタブで開く)
 
PEANUTS 70周年記念サイト
https://www.snoopy.co.jp/70th/(新しいタブで開く)

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