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連載Cocotame Series

エンタメに効くアプリ

『スヌーピーえいご』の監修・NOBU先生に聞いた! “英語学習がエンタメになる”ってどういうこと?【後編】

2021.06.10

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エンタテインメントを活性化させるアプリをフィーチャーする連載企画「エンタメに効くアプリ」。

今回は、ソニー・クリエイティブプロダクツ(以下、SCP)とソニー・ミュージックエンタテインメント(以下、SME)が、共同開発した英語学習スマートフォンアプリ『スヌーピーえいご』を取り上げる。

本アプリのコンセプトは、『ピーナッツ』の原作コミックを読んで、聞いて、英語を楽しく学ぶというもの。しかし、英語学習を“楽しむ”ことの難しさは、多くの人が体験済みではないだろうか。そこで今回は、『スヌーピーえいご』の監修を務めたバイリンガル英語講師のNOBU先生こと山田暢彦氏に、『スヌーピーえいご』を通じて英語学習をどうやって楽しめば良いのかを聞いていく。

後編では、『スヌーピーえいご』を活用した英語学習術の実践編とNOBU先生が提唱する“英語学習=エンタメ”、その意図について語ってもらった。

  • NOBU先生/山田暢彦氏

    Yamada Nobuhiko

    NOBU English主宰。慶応義塾大学(SFC)卒。TOEIC®L&Rテスト連続満点、国連英検特A級、英検®1級。1980年生まれ。アメリカのニュージャージー州出身で、日本語と英語のバイリンガルとして、小学生からビジネスパーソン、英語講師、アクティブシニアまで、幅広い受講者に「世界に通用する英語」を指導。ネイティブの感覚を日本語でわかりやすく説明する指導に定評があり、教育界、出版界からも高い評価を得ている。監修した『中学英語をひとつひとつわかりやすく。』(学研)シリーズは、累計250万部を突破する大ベストセラーを記録。ほかにも英語学習関連の書籍30冊以上に携わっている。

英語学習スマートフォンアプリ『スヌーピーえいご』

 
1日5分で中学英語レベルから日常会話まで学べる、スヌーピーのスマートフォン向け英語学習アプリ。『ピーナッツ』のコミック誕生70周年を記念した取り組みのひとつとして、ソニーミュージックグループのSCPとSMEの2社が共同で開発し、4月28日にリリースされた。英語総監修・解説は、バイリンガル英語講師のNOBU先生こと山田暢彦氏。翻訳・解説は翻訳家の田中淳代氏が担当。コミックナレーションには、デジタル声優プロジェクト22/7(ナナブンノニジュウニ)のメンバーとしても活躍中の天城サリーと、アメリカ出身の役者・声優のライアン・ドリースが出演している。

何でもない日常こそが人生。『ピーナッツ』から受け取るメッセージ

──(前編からつづく)学習の題材となる『ピーナッツ』のコミックは、『スヌーピーえいご』のSCPの制作チームが17,897本ある原作から絞り込んだものをNOBU先生に渡し、そのなかからセレクトされていったそうですね。先生がピックアップした基準はなんだったのでしょう。

やはりバランスですね。そもそも『ピーナッツ』の魅力は、いろいろなキャラクターがいて、いろいろな感情が描かれていることだと思います。ちょっと頼りないけど、みんなに優しいチャーリー・ブラウンがいるかと思えば、ビシッとものを言うガミガミ屋のルーシーもいて。

こうしたキャラクターが集まることで、「人の内面ってひとつではないよね」と思わせてくれる。コミックのなかに、人間本来の姿があるんですよね。そして、普遍的な人間らしさが描かれているからこそ、『ピーナッツ』という作品は長年愛されつづけているのだと思います。そういう意味でも、偏らないようにバランス良くコミックをセレクトすることを心掛けました。

──『スヌーピーえいご』では、『ピーナッツ』のコミックを原文で読みながら英語を学びます。原作を原文で読むのは、谷川俊太郎先生が訳された日本語版コミックとは、また違った面白さや発見があると思います。

僕自身、この仕事に携わるまでは『ピーナッツ』という作品を、スヌーピーをはじめとしたかわいいキャラクターたちという表面的な部分しか捉えていませんでした。でも、『スヌーピーえいご』を通じて、『ピーナッツ』の見方が大きく変わりましたね。

コミックを読み込んで気づいたのが、『ピーナッツ』では、日常のささいな出来事から、人の営みの本質につながる重要なことが描かれているということ。

僕らの日常だって、毎日、派手なことが起きるわけじゃありませんよね。でも、ちょっとした友情や優しさを感じたり、スヌーピーみたいにおいしいものを食べたりして幸せを感じています。原文で読んで、改めてその魅力に気づかされることがありました。

思わず声に出したくなる例文の数々

──先ほど、「英語を身につける上では、共感したり気持ちが動いたりすることが大事」というお話がありました。そう考えると、キャラクターたちを通して人間の心情を描いている『ピーナッツ』は、英語教材として適していると改めて感じました。

そうなんです。ただ、きちんと読み込むまで、僕自身もそれに気づいていなかったんですよね。でも、コミックをセレクトしたり、身近に感じてもらえるような解説を考えたりしているうちに、チャーリー・ブラウンの言葉に感心したり、スヌーピーのかわいさにほっこりするようになって。

彼らのセリフもインパクトのある名言ではなく、さりげない言葉が多いので、キャラクターそのものに親近感が湧く和訳、気持ちにフォーカスした解説をつけるように心がけました。

──コミックを読み上げるリスニングも、学習に役立ちそうです。耳で聞いて、話しながら学ぶとさらに効果が高いのではないかと思います。

コミックで描かれているシーンを理解して、フレーズに対する親近感が湧いて、音声も聞けて……となれば、自然とそれを口にしたくなると思います。音声を聞いたら、キャラクターの気持ちになりきって話してみてほしいですね。ひとコマずつ聞けるので置いていかれることもないですし、ひとコマ聞いて、また話して……と繰り返しながら進んでいくとリスニングも発音も上達していくのではないかと思います。

リスニングコンテンツの声優には、デジタル声優アイドルプロジェクト「22/7(ナナブンノニジュウニ)」のメンバーでアメリカ出身の天城サリー(写真左)と、俳優・ナレーター・声優として活躍する、同じくアメリカ出身のライアン・ドリース(写真右)が起用されている。

その上で、僕から伝えたいのは、気持ちを大事にすること。そして、全部をわかろうとしなくても良いということです。声に出す場合も、自分が気になったり、好きなフレーズだけで構いません。全部やろうとすると、長つづきしませんから。完璧主義じゃなくて良いんです。

──思わず発音したくなるような解説もありますよね。例えば「keep an eyes on~」というピックアップフレーズの解説文には、「発音は『キーペナーイアーン』とつなげて言ってみよう」とあります。発音のテキストだと、なかなかこうは書かれていないし、それなら、ちょっと口に出してみようかなという気になります。

発音は歌うことに少し似ていますよね。そもそも言語と歌は、共通するところが多くて。上手に歌えると気持ち良いのと同じように、発音もそれらしくできると楽しくなってくるものです。僕は“楽しい”というのが、何よりも大事なことで、人が何かをする原動力だと思っています。

だから、自分が講師をするときは、大胆にカタカナを使ってでも発音を促しています。「英語をカタカナで表記するなんてけしからん」と言う意見もありますが、僕は楽しく発音できることを優先したい。皆さんにも、楽しみながら英語を口に出してほしいと考えています。

英語は忘れて当たり前。上達のカギは“反復”

──毎日1話ずつ新しいコミックが読めるようになるなど、つづけたくなる仕掛けも盛り込まれています。楽しくつづけてもらうための工夫についてお聞かせください。

プレミアムチケットを購入すると、1日1話ずつ、英語学習用のコミックが追加されていく。

英語を学ぶということは、おそらくゲーム的な楽しさだけではなかなかつづけられなくて、成長した手応え、前進したことを確認できる仕組みが必要だと思います。

『スヌーピーえいご』では、“単語帳”がその役割を果たしていて。自分がわからなかった単語、不安を感じる単語を登録しておけば、後から確認することができます。僕のアイデアではありませんが、これは素晴らしいなと思いました。

『スヌーピーえいご』の単語帳。

自習モードで英単語の暗記に役立つ。

しかも、ただ単語が一覧になっているだけでなく、英語を見て日本語を答えたり、日本語を見て英語を答えることもできるので、復習しやすいんです。

──復習することで、きちんと身についていくんですね。

皆さんに改めてお伝えしたいのが、語学というのは忘れることが大前提。学んだことは必ず忘れるので、だからこそ、反復が大事なんです。回数を重ねることで、記憶に深く残っていくということを覚えておいてもらいたいです。

でも、多くの人は一度勉強したことを忘れてしまうと、「自分にはできない」という感情に陥ってしまう。そうすると、やっぱり学ぶのが嫌になってしまいますよね。でも、繰り返しになりますが、忘れるのは当たり前。一度触れたものに、また出会うチャンスを作ることが大事です。

『スヌーピーえいご』で言えば、それが単語帳やテニスゲーム、月間テスト。そうやって、何度もかたちを変えながら英語に触れていくと、自然と記憶に刻み込まれていきます。

3段階の難易度から選べるテニスゲーム。プレイしてみると、これがなかなか熱中してしまう面白さ。

──「忘れるのが当たり前」と言っていただくと、ちょっと安心とします(笑)。

忘れてしまったからといって、「自分にはできない」とは絶対に思わないでください。単純に、触れた回数が少なかっただけのことです。忘れたら、また触れて思い出せば良い。思い出していくうちに頭に残る。この当たり前だけど、忘れがちな原理を知っておくと、だいぶ気の持ちようが変わってくると思います。

的を絞って繰り返す。それがNOBU流の学習術

──日本人がなかなか英語を話せないのは、失敗を恐れたり、人前で恥をかきたくないと思ってしまうことも原因ではないかと思います。こうした問題を解消するには、どうすれば良いのでしょうか。

英語に限らず言語は、話すから話せるようになります。逆に話さなければ、いつまで経っても話せるようにはなりません。ただ、日本の場合は、実社会で英語を使う機会が極端に少ないんですよね。

英語を話す必要性がないから、結局のところ英語を学ぶ動機がほとんど受験になってしまう。受験はテストに正解しなければならないので、間違いを恐れるようになります。こうした環境で何年も英語を学べば、話す勇気が削がれていってしまうのも当然だと思います。

僕は言語を学ぶというのは、スポーツや楽器を習うのと同じことだと思うんです。どんなスポーツだって、最初からうまくできる人なんていませんよね。サッカーのリフティングだって、ほとんどの人が最初は2~3回しかできないはず。でも、何度も何度もボールを落として、繰り返し蹴っているうちに上達して、100回、1,000回とボールを操れるようになっていく。

英語も全く同じです。技能は、必ず“できない”から“できる”ようになる。その気持ちを常に持っておくこと。最初はうまく話せないので、単にフレーズを繰り返し発音するだけでも良いんです。英文を読みながら音読し、慣れてきたら和訳だけを見てパッと英語で言い換えてみる。これも最初はうまくいきませんが、繰り返すうちにできるようになっていきます。

そうやって技能を身につけていくと、振り返ったときに、いつの間にか道筋ができています。自分を俯瞰し、前進していることを確認することも大事です。これも『スヌーピーえいご』では、簡単にできるようになっているので、ぜひ無料版でも良いので一度試してみてください。

写真左が和訳が表示された状態、写真右が和訳を消した状態。右上のボタンひとつでオン/オフが切り替わる。

──先ほどNOBU先生がおっしゃったように、英会話の場合、日本では自分の上達を感じる場面が少ないのではないかと思います。英語力の向上は、どのような場面で実感していけば良いのでしょうか。

それは日本で学習している上で、大きなテーマですよね。僕がよく聞くのは、映画を字幕なしで見られるようになりたいというモチベーション。でも、1本の映画をまるごと字幕なしで理解するのはかなり難しいことです。表現も多様だし、分量も多いですから。

そこで提案したいのは、的を絞ること。好きな映画があれば、それ1本に的を絞って、さらに短いシーンを何度も見て、自分でも発音してみる。そうやって繰り返し同じシーンを見ていると、初めて聞いたときに比べて、英語が耳に入ってくる感覚が変わる瞬間が必ず訪れます。そして「結構わかるようになったかな」と思ったら、次のシーンに移ります。好きな映画なら繰り返しても苦にならないだろうし、むしろ以前よりわかるようになっていくのが楽しいのではないかと思います。

もうひとつ僕が効果的だと思うのは、自分の音読を録音してみることです。最初は恥ずかしいかもしれませんが、自分の成長を確認するためなので、むしろ楽しんでほしいですね。最初の録音、ある程度練習してからの録音、けっこうできるようになったなと思ったときの録音を聞き比べると、全然違いますよ。

『スヌーピーえいご』の場合、お手本となる音声を聞くことができますし、スマホなら録音も簡単です。それをマネして練習し、録音してみる。そうすると自分の成長が実感できると思います。

小さなことから始め、成長を実感しながら進んでいくのが、英語の習得の近道とNOBU先生は語る。

英語学習は、人生を豊かにするエンタメ

──近年は、テクノロジーの進化により自動翻訳ソフトも高精度なものが増えています。こうした現状について、NOBU先生はどう考えていますか? また、AIが言語の壁をじょじょに取り払いつつあるなかで、英語を身につける意義はどこにあるのでしょうか。

僕自身も自動翻訳を活用することがありますし、とても便利なものだと思います。現在、僕の娘はアメリカの現地校に通っていますが、英語が不自由だと困ることも多いようです。でも、今は翻訳アプリを使えば、最低限のことは伝わります。おかげで、娘も学校に楽しく通えていますし、ありがたいなと感じています。単に、意思疎通を図るだけなら、どんどん翻訳アプリを使うべきでしょう。

ただ、人とつながる喜び、コミュニケーションで得られるリアルな体験は、翻訳アプリでは味わうことができません。言葉を交わし、心を通わせることで得られた体験は一生心に残るものです。

──自分の目的やどこに楽しみを感じるかによって、使い分けるということですね。

そうです。今後、英語学習者はふたつに分かれていくでしょうね。これまでは翻訳アプリがなかったので、英語を扱えるようになるには学ぶしかありませんでしたが、言葉を交わして相手とつながることに価値を感じないなら翻訳アプリで十分でしょう。でも、世界中の人と言葉を交わす喜びは絶対にあります。これはもちろん個人の意見ですが、その喜びを多くの人に気づいてもらいたいです。

特に『ピーナッツ』のファンなら、作品の世界観、シュルツさんのメッセージ、スヌーピーたちに触れているときの感情を大事にしたいはず。その気持ちにフォーカスすれば、英語学習へのモチベーションも湧いてくるのではないでしょうか。欲張りすぎず、自分なりのテーマを持って学習することが楽しむコツだと思います。

──NOBU先生のお話を伺っていると、英語学習そのものを“エンタテインメント”と捉えられると思えてきました。

英語=勉強ではなく、英語学習=エンタメ。まさにその通りですね。自分の意思を伝え、相手の言葉が自分に入ってくる。この楽しさ、うれしさは、間違いなくエンタテインメントだと思います。

英語を学ぶことで、自分の人生を豊かにする。そして楽しいほうが身につきやすいのは間違いないので、純粋な興味やワクワク感を大切に、英語をマスターしてほしいですね。

 
文・取材:野本由起

英語学習アプリ『スヌーピーえいご』

プラットフォーム:iOS/Android
基本プレイ無料(アプリ内課金あり)
プレミアムチケット価格:2,940円
好評配信中

©2021 Peanuts Worldwide LLC

関連サイト

『スヌーピーえいご』公式サイト
https://www.snoopy.co.jp/snoopyeigo/(新しいタブで開く)
 
『スヌーピーえいご』Twitterアカウント
https://twitter.com/SNOOPYEIGO_APP(新しいタブで開く)
 
PEANUTS 70周年記念サイト
https://www.snoopy.co.jp/70th/(新しいタブで開く)

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