ソロデビューから12年。走りつづける遊助の原動力と本能【後編】
2021.06.18
ソニー・ミュージックレーベルズ
気鋭のアーティストの実像に迫る連載企画「Artist Profile」。
『クイズ!ヘキサゴン』でブレイクし、その番組から派生したグループ、羞恥心の一員として音楽活動に足を踏み入れたのが2008年。その翌年、“遊助”名義でのソロデビュー作から自ら作詞を手掛け、それまでの印象とは一線を画すアーティスト性を存分に見せつけた。音楽、芝居、バラエティの各分野で才能を発揮し、現在も輝きつづける遊助/上地雄輔の原動力と本能とは。
前編では、ソロデビュー12年を迎えた今明かす音楽活動への思いや、彼を突き動かすものについて語る。
目次
遊助(上地雄輔)
Yusuke(Kamiji Yusuke)
1979年4月18日生まれ。神奈川県出身。俳優、タレントとして活動するなか、2009年3月11日、“遊助”としてシングル「ひまわり」でメジャーデビュー。同年、『NHK紅白歌合戦』に初出場を果たす。これまでにシングル30枚、アルバム10枚をリリースしている。7月1日より、全国ライブツアー『遊助 TOUR 2021』がスタートする。
俳優・上地雄輔が“遊助”名義でアーティスト活動をスタートさせたのは、2009年。これまでの12年間に“遊助”は、ほぼ毎年オリジナルアルバムを発表し、6月23日にリリースするシングル「マジ歌」(テレビ東京系テレビアニメ『マジカパーティ』オープニング主題歌)は、31枚目のシングルになる。また、今夏には約2年ぶりとなる全国ツアーも予定されている。なぜ“アーティスト・遊助”はずっと走りつづけていられるのだろう。彼の原動力はいったい何なのか、とても知りたくなった。
「自分でも、意外と“遊助”は長つづきしてるなって思います(笑)。遊助が生まれたときにこの世に誕生したとしたら、今は中学1年生でしょ? なんか信じられないよね。今の自分がタイムマシンか何かに乗って子ども時代の自分に会って、『将来おまえは歌うようになるんだぞ』って言っても“雄輔くん”は絶対信じないだろうな。プロ野球選手になりたいという夢を持っている彼が信じるわけがないもん(笑)」
俳優が音楽活動をすることも、ミュージシャンが俳優をやることも、今となってはまったく珍しくない。自己表現ができる場がいくつあったって良い時代だ。その人を知るきっかけが増えるし、意外な一面を見つけると親近感を持てたりもする。
上地雄輔自身も“遊助“を始めたことで、俳優やタレント活動ではできなかったことを体験し、見ることができなかった景色を見てきたはずだ。でも、彼はこう言った。「自分で選んで、進んで、納得してここまで来たけれど、正直自分が思っていた未来じゃないし、なりたかった自分でもない」と。
「俺は学生時代にバンドを組んだこともないし、曲や詞を書いたこともなかった。アーティストになりたいなんてことも、ましてやデビューしてCDを出したいなんて一度も思ったことがなかったし。スタートラインがほかのアーティストたちと違うんですよ。だって、誤解を恐れずに言えば、“やる気がない”ところから始まってるんだもん(笑)。だから、なんで自分はこの場所にいるんだろうってずっと思ってる」
上地雄輔が芸能界デビューしたのは1999年だが、それから何年も経ったあとに出演したバラエティ番組『クイズ!ヘキサゴン』で注目を浴び、彼はお茶の間の人気者になった。
「自分が10代、20代のころ、自分より上の世代の人たちが“上地雄輔”ってヤツを育ててくれたんです。例えば、先輩の役者や、バラエティ番組の共演者、スタッフが、『こんな面白いヤツがいるよ』とか、『あいつは使えると思うよ』とか、自分が知らないところでそんなふうに俺の話をしてくれてて。それがどんどん広がっていって、ドラマや映画、バラエティ番組でキャスティングする人たちが、上地雄輔の席を用意してくれた。誰かがいてくれたから自分がいるというか。いつも自分発信じゃない。
“遊助”だってそう。自分を応援してくれる人がいて、感謝の気持ちが生まれて、それでデビュー曲の「ひまわり」ができて。で、この曲をプレゼントにして、みんなにお返ししたかった。ずーっとその繰り返しなんだよね。誰かがいるから自分はもの作りをやっている。逆に言うと、誰かがいないとなんにもできないんです」
1stシングル「ひまわり」(2009年)
とは言え、もし、遊助の活動が誰かのために自分を削っているものだとしたら、きっといつか擦り切れてしまうのではないだろうか。だから「デビュー10周年の節目を迎えたときに、俺のなかで“遊助”はもういいかなって思った」と聞いて、驚いた半面、納得もできた。
「とてもありがたいことではあるんだけど、遊助を待ってくれている人がいて、この10年間で自分の船に乗っているスタッフも増えていったなかで、責任感って言うとカッコつけてる感じがしちゃうんだけど、責任を感じすぎることで、自分で自分を追い込んでるんじゃないかと思って。だったら10年でひと区切りつけようかなって。
でも、結局、やめちゃいけないんだと思えたんですよね。それは、歌いたいって1回も思ったことがないこんな俺でも待ってくれている人がいるから。自分は伝えたいことも、表現したいこともないけど、聴いてくれる人がいてくれて、初めて、遊助の音楽が生まれる。音楽をやってたおかげでいろんな人たちの笑顔が見られたり、ライブでみんなに会えたり、音楽が繋げてくれた仲間もたくさんできた。音楽があったおかげで自分のことを知ってくれた人もたくさんいる。それを考えると、俺の気持ちだけで簡単に“遊助”をやめらんねえなって(笑)。
みんなが遊助の腕を引っ張ってくれた。やると決めたならもう10年やろうかな、もう一周楽しもうかなって、今は思ってます」
やるとなったらとことんみんなを楽しませたい。自分もみんなと一緒に“遊助”を思いっ切り楽しもう。これはデビューした12年前からずっと変わらない“遊助”に対する彼のスタンスだ。新曲「マジ歌」にも、その思いは表われている。
「マジ歌」ミュージックビデオ
「遊助に主題歌を歌ってほしいって思ってくれた人がいたわけだから、その人たちはどういう曲や言葉を欲しているんだろう、どんな遊助を求めているんだろうって、俺はアジャストしていく側なんです。歌詞を書くときも、この曲を聴く人たちは今のこの時代にどんな言葉を求めているんだろう、どういう言葉を書いたら救われるんだろう、コロナ禍で自粛している期間が長くなって、自分自身を見つめ直すことが増えたなかで、どういうメロディが心地良いんだろうって考えながら作りました」
自分を求めてくれる人の期待に精いっぱい応えた作品のなかで、遊助として伝えたいメッセージや願い、個人的な思いを、「自分はこんな人間です」と“自己主張”することはないのだろうか。
「聴く人全員にメッセージが伝わるわけではないけれど、俺が思いついたこと、肌で感じたこと、自分が言われたらうれしいかなってことをそのまんま自分の言葉で書いているので、そこは意識しなくても“自己主張”になってると思うし、そうでないと自分が歌う意味がないと思ってる。自分は“レストラン遊助”の料理長みたいなもんかな。俺が今最高に良いと思っている曲を、皆さんに『どうぞ』って出すけど、『あとはお好きに食べてね』っていう。今回のシングル『マジ歌』では、ボーナストラックも含めると4曲の新曲を発表してるんだけど、俺が今おいしいと思っているメニュー4品のどれかしらは、あなたの味覚、舌に合うテイストで出してるつもりなんですけど? って。
31thシングル「マジ歌」【初回生産限定盤】(2021年6月23日発売)
料理長・遊助は料理を出すのが好きなわけじゃなくて、お客さんが来てくれるから、その人の好きな料理を出してあげたいっていうタイプ(笑)。『こういう料理が好きなんだろうな』って、調理場から見るのが好きなの。店に来てくれたのがうれしいから、お客さんが求めている料理を出しつづけたいと、料理長・遊助は思ってます(笑)」
聴いてくれる誰かがいるから歌詞や曲が生まれる。その“誰か”には遊助、上地雄輔自身も含まれている。
「自分がこういう気持ちのときに誰かがこんなこと言ってくれたらうれしいなとか、助かるなとか、そんなことを思いながら作ってるから、過去の遊助の曲に自分が救われることもあるし、『頑張れ!』って言われたりもしてる。俺もリスナーと一緒なんです。たぶんね、俺、誰よりも自分の曲を聴いてると思うもん(笑)」
シングル「マジ歌」に収録されている「好きなように」の歌詞に、遊助は、“まず楽しいか 楽しくないか 一度きりの人生なんだ 生きな”と書いた。これは遊助がみんなに言いたい言葉であると同時に、遊助自身にも言い聞かせている言葉なんだと、あらためて思った。
後編へつづく
文・取材:松浦靖恵
遊助公式サイト
https://www.yuusuke.jp/
遊助Twitter @KamijiUsuke
https://twitter.com/KamijiUsuke
遊助Instagram @usk_kmj
https://www.instagram.com/usk_kmj/?hl=ja
遊助オフィシャルLINE @kamijiyusuke
https://page.line.me/449wgpbh
遊助オフィシャル TikTok @usk0418
https://www.tiktok.com/@usk0418?
遊助オフィシャルYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/yuusukeSMEJ
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