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連載Cocotame Series

ミュージアム~アートとエンタメが交差する場所

「『約束のネバーランド』GFハウス脱獄編」が体現するミュージアムビジネスのこれから【後編】

2021.08.19

コンテンツをミュージアムにパッケージ化して魅せる「六本木ミュージアム」。期間限定で催される、さまざまな展示会の見どころを関係者に聞いていく。

今回は、2021年7月17日から12月30日までの約半年間、「六本木ミュージアム」にて開催される「体験ミュージアム『約束のネバーランド』GFハウス脱獄編」をピックアップ。本展の実現に向けて尽力した3人のキーパーソンを招き、体験型ミュージアムを企画した意図からミュージアムビジネスの課題、そして今後の展望について聞いた。

後編では展示だけではないミュージアムの見どころ、そしてこれからのミュージアムビジネスについても語ってもらった。

  • 中山三善氏

    Nakayama Miyoshi

    六本木ミュージアム館長

  • 吉岡達哉

    Yoshioka Tatsuya

    ソニー・クリエイティブプロダクツ
    ディレクター

  • 近藤辰哉

    Kondo Tatsuya

    アニプレックス

徹底的にこだわり抜いたグッズ&カフェ

──(前編からつづく)具体的な展示内容について伺いましたが、そのほかに「体験ミュージアム『約束のネバーランド』GFハウス脱獄編」で特筆すべき見どころはありますか?

中山:ミュージアムショップとカフェも展示と同じくらい楽しんでいただけるのではないでしょうか。これらについても、担当者たちのこだわりが注ぎ込まれています。特にショップに関しては、既に数多くの展覧会やイベントが開催されており、グッズも一通り作られていますから、最後発と言える状況で似たようなものを作ってもお客様に認めていただくことはできません。熱心なファンの皆様に喜んでいただけるように、オリジナリティの高いグッズを揃えることができたと考えています。

近藤:中山館長がおっしゃるように、アニプレックス(以下、ANX)としても『約束のネバーランド』は幅広くライセンス展開をさせていただいているため、今から多数の新規商品を展開して、既存の商品との差別化ができるのかという懸念がありました。

ところが蓋を開けてみると、今までになかった商材や既存素材を使用したものでも、作品のファンなら気づくデザインの素晴らしいアイテムが提案されてきて驚かされました。このような商品が全136点もの新規グッズとしてバリエーション豊富に用意されていますので、きっとファンの方々にも喜んでいただけると思います。

──近藤さんが特に気に入っているグッズはどちらですか?

近藤:個人的に特に気に入っているのがクロッキー帳です。デザインも素晴らしいですが、商材としても絵を描いたり、メモをとったりと自由に使っていただけるアイテムです。ちなみに、このクロッキー帳は原作で作画を担当されている出水ぽすか先生にもTwitterで喜んでいただけました。

あとはハンガーですね。『約束のネバーランド』のグッズとしては初めて展開されたアイテムで、しかもハンガーと言えば、GFハウス脱出時のキーアイテムでもあります。考えてみると、今までなかったのが意外でしたが、作品との親和性もある良い商品だと思いました。

中山:こうしたグッズを生み出すために、毎週のように熱いディスカッションを繰り返し、136点というアイテムを揃えることができました。

近藤:グッズ制作では、どうしても作品の世界観と合わないものが出てきて、我々のほうから修正をお願いしたり、ときにはお断りすることもあるのですが、今回に関しては、皆さんが作品を深くまで理解されていて、スムーズに進んでいきました。

今、美術館に求められるものが変わりつつある

──中山館長は、「六本木ミュージアム」に限らず、これまで数々のIPの展覧会を手がけていらっしゃいますが、ミュージアムビジネスを成功に導くために必要なことはなんだとお考えですか。

中山:コロナ禍のなかで、美術館や展覧会のあり方が変わろうとしていると思います。従来の美術館、特に豊富な所蔵品を持たない美術館では、国内外から名画や高価な美術品を借りてきて、それを鑑賞してもらうというのが基本的なセオリーでした。つまり、貴重なものを物理的に移動させることでミュージアムビジネスを成立させてきたんですね。これまでは、それをどのように実現するかが最大の課題でした。

これに対して、今回の「体験ミュージアム『約束のネバーランド』GFハウス脱獄編」は、何かを借りたり、移動させたりということをしていません。もちろん、CloverWorks(以下、CLW)の素晴らしいアニメ映像を使わせていただいてはいますが、それをいかに立体的に組み立てていくか、それによってどんな世界観を生み出していくかが、もっとも重要な課題になっているんです。

──美術館に課せられている課題、ミッション自体が変わってきているということですか?

中山:そうですね。そして、それに合わせて、お客様が求めるエンタテインメント像も変わりつつあるのではないかと考えています。原画だけ、映像だけではなく、その作品のいろいろな要素を組み合わせることで生まれる総合性や多様性、それをさまざまな切り口で楽しめる展覧会が望まれるようになっているのではないかと思います。

先ほど、吉岡さんが“展覧会とテーマパークの中間”という話をされていましたが(編集部注:「前編」参照)、これからは、まさにそういった企画力も求められていくのだろうと考えています。

──「六本木ミュージアム」にとっては、その第一歩が今回の「体験ミュージアム『約束のネバーランド』GFハウス脱獄編」ということなんですね。

中山:今回の取り組みは、それをどうやったら実現できるかという挑戦であり、同時に実験の場でもあります。“体験ミュージアム”自体をブランド化して行くことにもつなげられたら良いですね。

──確かにこれで終わらせてしまうには惜しい取り組みだと感じました。マンガ、アニメだけでなく、映画やアイドルコンテンツなど幅広く展開していけそうです。そして、それはソニーミュージックグループの得意とするところではないでしょうか。

吉岡:私はソニー・クリエイティブプロダクツ(以下、SCP)に入社してまだ1年程度なのですが、今回の取り組みを通じて、ソニーミュージックグループが手掛けるエンタメ領域の広さというか、何かをやりたいと思ったときに、それを実現できる土壌や、サポートしてくれる人の多さを実感しました。

今回で言えば、特にANXやCLWの存在が大きかったですね。まだアニメが放映中の時期だったにも関わらず、厳しいスケジュールのなか、多大なご協力をいただくことができました。プロモーション活動なども協力し合って一緒にやっていきましょうと言ってもらえたり、できることが足し算ではなくかけ算のように広がっていくのは、担当として取り組んでいてとても楽しかったです。

GFハウスの一員になりきって本気ではしゃいでほしい

──それでは最後に読者や来場を予定されているファンに向けてメッセージをお願いします。

吉岡:この取り組みにご協力いただいたたくさんの方々のおかげで、展示はもちろん、グッズからカフェまで、『約束のネバーランド』ファンであれば誰もが楽しめる体験空間を作りだせたと自負しています。ぜひ、作品世界に入り込むというこれまでにない新体験をお楽しみください。

ちなみに展示の入り口に掲げられているルールのひとつ、「撮影OKのエリアでは思いっきりはしゃぐこと」は、私がどうしても入れたいと主張したものです(笑)。このミュージアムを楽しみ尽くすためにも、恥ずかしがらず、GFハウスの子供たちになりきって、本気ではしゃいでください!

近藤:今回、私は作品のライセンス窓口として参加させていただきましたが、作っている皆さんの作品愛をいたるところで感じられる取り組みでした。私自身取り組んでいて楽しい仕事でしたし、作品のファンの方々に満足いただける内容になっていると思います。

このご時世、なかなかリアルイベントには参加しにくくあるのですが、入場者数の制限など、ミュージアムとしてできるすべての感染予防対策はしっかり行なっていただいています。それぞれご都合の良いタイミングで、ぜひ足を運んでいただいて、実際にミュージアムを体験していただき、『約ネバ』の世界に浸ってもらえたらと思います。

中山:確かに既に原作は完結し、次いでアニメの第2期も完結し、それから少し時間が経っています。また、この企画自体、コロナ禍の影響で開催が少し後ろ倒しになっています。結果として、『約束のネバーランド』ファンの皆さんとしては、作品に対して少しご無沙汰していたかなという感覚があると思うんですね。であればこそ、「体験ミュージアム『約束のネバーランド』GFハウス脱獄編」にお越しいただいて、そうだよね、やっぱり『約束のネバーランド』ってすごいよねということを、再認識していただきたいという気持ちがあります。

ではそのためには何が必要か。吉岡さんも言っていましたが、やはりなんと言っても“なりきる”ことです。読者や視聴者としてではなく、GFハウスの一員になりきって、怖いことがたくさん起きる恐怖や、脱出できるのか、できないのかの焦燥感などを身をもって体験してほしい。このミュージアムはそれができる場所になっています。

本展は12月30日まで開催する予定なので、今すぐでなくても大丈夫です。お時間のあるときに、そして世の中の情勢が落ち着いてきたときに、ぜひ、お越しください。

「体験ミュージアム『約束のネバーランド』GFハウス脱獄編」体験レポート

最後にCocotame編集部が、「体験ミュージアム『約束のネバーランド』GFハウス脱獄編」を実際に体験したレポートもお届けする。本ミュージアムでいったいどのような体験を味わえるのかを写真とともに見ていこう。

『約束のネバーランド』の舞台を忠実に再現!

展示会場入り口をくぐると、まず目に入るのがアニメそのままのGFハウスの姿。玄関の前には子供たちの等身大パネルを配置されており、ハウスの一員となった証として記念写真を撮影することができる。なお、本展では映像や一部の箇所を除いて、撮影は自由となっている。

細かく作り込まれたGFハウス外観。時計の針は子供たちの1日が始まる6時を指し示している。

玄関を抜けてしばらく歩くと食堂へ。壁面に配置されたスクリーンには、まだ何も知らないエマたちの無邪気で幸せな朝のひとときが映し出されていた。

朝食エリアに展示されているパンなどの食材は、本物が展示されているというこだわりよう。

各部屋で映し出される映像や、作り込まれた調度品などを楽しみながら先へと進んでいくと、物語は第一の転換点となるコニーとの“離別”のシーンへ。薄暗い照明と不安そうなエマの声に緊張感が徐々に高まっていく……。

リトルバーニーのぬいぐるみをコニーが忘れていってしまった!

コニーをハウスの外へと運ぶトラック。荷台をのぞき込むと……。

「体験ミュージアム『約束のネバーランド』GFハウス脱獄編」の展示は全7章構成。それぞれ、作中の重要シーンが割り振られており、目と耳、そして手触りで作品の世界観を体験できるようになっている。ハウスの“真相”を暴き、エマ、ノーマン、レイらと脱獄せよ!

物語を満喫したあとはグッズ&カフェでさらなる充実を

展示会場を抜けると物販エリアへ。作品愛にあふれた全136点のグッズを購入できる。その全てがここでしか手にはいらない限定のオリジナルアイテムだ。

ミュージアムショップ。オリジナルアートを使ったTシャツも多数展示されている。

さらにその奥にはコラボレーションカフェ「ミネルヴァ・カフェ」が。エマらを脱獄へと導く謎の人物ウィルアム・ミネルヴァからの暗号をコンセプトにした「真実への手がかりサンドイッチ」など、ここでしか味わえない多彩なメニューが用意されている。

ミネルヴァ・カフェのコラボメニュー「真実への手がかりサンドイッチ」。

調度品や置かれている玩具の汚れや傷まで、とにかく細部まで作り込まれたGFハウスの再現度が見事。作品を深く理解していればいるほど「おっ!」という発見があるので、訪れる際はぜひとも事前に予習していくようにしてほしい。

そして何より大切なのが“なりきる”こと。体験ミュージアムというこれまでにないエンタテインメントを全身全霊で満喫してほしい。

 

文・取材:山下達也(ジアスワークス)
撮影:干川 修

体験ミュージアム「約束のネバーランド」

会期:2021年7月17日(土)~12月30日(木)
会場:六本木ミュージアム/東京都港区六本木 5-6-20
開館時間:10:00~18:00(土曜日のみ20:00まで)会期中無休
入館料:一般・大学生1,800円、中学・高校生1,200円、小学生600円(すべて税込)
※混雑緩和と感染症対策のため、日時指定制となります。
※チケットはローソンチケットにて販売します。
※全国のローソン・ミニストップ設置のLoppi/インターネット予約でお求めください。
※コンビニ店頭販売は各入場開始時間まで、インターネット予約は各入場開始2時間前までとなります。
※当日券は館内の滞留人数に余裕のある場合のみ、現地にて販売します。
主催:体験ミュージアム「約束のネバーランド」製作委員会
ソニー・クリエイティブプロダクツ / 中山マネジメント

©白井カイウ・出水ぽすか/集英社・約束のネバーランド製作委員会

関連サイト

「体験ミュージアム『約束のネバーランド』GFハウス脱獄編」公式サイト
https://neverland.taiken-museum.com/
 
「体験ミュージアム『約束のネバーランド』GFハウス脱獄編」公式Twitter
https://twitter.com/yakuneba_taiken

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