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アーティスト・プロファイル

集団から個人へ。それぞれの道を行く東京パフォーマンスドール6人のこれから【後編】

2021.09.29

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気鋭のアーティストの実像に迫る連載企画「Artist Profile」。

2021年9月26日に、東京・Zepp Tokyoでのライブ“東京パフォーマンスドール DANCE SUMMIT The Final”を行ない、9月30日をもって惜しまれながらも活動を休止する6人組ガールズグループ、東京パフォーマンスドール(以下、TPD)。唯一無二の存在感とハイレベルな歌とダンスで人々を魅了してきた6人。約8年間のTPDの活動のなかで、パフォーマーとしても人間としても成長を遂げ、さらなる飛躍を目指す彼女たちの率直な心境とこれからを、高嶋菜七、上西星来、櫻井紗季、浜崎香帆、脇あかり、橘二葉が語る。

後編では、それぞれが今後やりたいことを発表するとともに、これまで支えられてきたファンへメッセージを贈る。

東京パフォーマンスドール Tokyo Performance Doll

(写真左から)浜崎香帆、橘二葉、上西星来、脇あかり、櫻井紗季、高嶋菜七。篠原涼子らが在籍した先代東京パフォーマンスドールの活動終了から17年後の2013年に結成。2014年6月11日、シングル「BRAND NEW STORY」でCDデビュー。2021年9月30日をもって活動を休止する。

一番の糧になったのは人々との出会い

2021年9月26日“東京パフォーマンスドール DANCE SUMMIT The Final”より。

2013年にスタートした新生TPD。活動期間約8年の間には、CDデビュー時には9人だったオリジナルメンバーから3名が卒業し、「全曲のフォーメーションチェンジをして、歌の割り振りも変えなければならなかったので、ものすごく大変だった」という節目もあった。だが、6人の絆と不断の努力で、くじけそうになる困難を乗り越えてきた。それが、結果的に一人ひとりを人間として大きく成長させてくれた。

「TPDがあったことで、私は絶対的にメンタルが鍛えられました。結成してすぐのころは、『PLAY×LIVE 「1×0」』の舞台をやっている最中も、『もう家に帰りたい! 和歌山に帰りたい』と思ってて、毎晩こっそり泣いたり、実家に電話したりしてたんです。慣れないこと、できないことばかりで、すごく苦しかった。でも、あのときそれを乗り越えたからこそ、今の自分の強いメンタルがある。当時は苦しかったけど、ものすごく自分の糧になったなと思います」

櫻井「私は忍耐力ですね、鍛えられたのは。特に6人体制になる前は、みんな学生だったし、ライブも多かったし、本当に怒涛だったんです。経験がないものを一から積み上げていく大変さもあって、良い舞台、良いライブを作るためには、自分だけが良ければいいわけじゃない。みんなのことを考えて、前向きに努力をしたからこそ目標もクリアできた。歯を食いしばって頑張れたことで、自分に自信がつきました。TPDとして過ごした8年間、特に最初の何年かは、今の自分を作り上げてくれた大事な期間だったと思います」

2021年9月26日“東京パフォーマンスドール DANCE SUMMIT The Final”より。

上西「私は人見知りをしなくなりました。ファンの方々との握手会をたくさん経験させていただいたのですが、初めて会う方としゃべるなんて、最初は信じられなかったくらいなんですね。回数を重ねるうちにそういうことが平気になってきて、お仕事でどんな現場に行っても、自分から周りの方に話しかけられるようになりました。昔だったら、自分と関わらない人とはしゃべらなくてもいいやと思っていたくらいですけど、東京に来て、TPDに入って、コミュニケーション力がすごくついたなと思います」

「東京に出て来る前は、結構、自分中心の考え方をしていたんです。一匹狼っていうのかな(笑)。自分のためだったら頑張れた。だけどTPD に入ってからは、『みんなのために』という想いがすごく強くなりました。周りを見られるようになったし、メンバーのみんなが私を受け入れてくれたからこそ、自然な自分でいられるようにもなりました。グループ活動をして、メンバーのみんなに会えて良かったです」

浜崎「私も、自分の殻をやぶって、自然体でいられるようになりました。昔はすべてにおいて『台本通りにしなきゃ!』と思って生きてきたんです。真面目すぎて、ちょっと外れても良い道でも、外れることができませんでした。生配信番組のMCを任せていただいたときも、最初は一字一句台本通りにしかできなかったんですが、『そんなに真面目すぎなくていいよ』と言われて、自然とそれができるようになりました。それと同時に、ダンスや歌でも、お手本通りじゃなく、自分なりの表現ができるようになっていったかなって思います」

2021年9月26日“東京パフォーマンスドール DANCE SUMMIT The Final”より。

2021年9月26日“東京パフォーマンスドール DANCE SUMMIT The Final”より。

メンバー全員が、TPDの活動を通じて自分自身を育むことができたと口を揃える。その成長も、TPDのメンバー、スタッフ、そして支えてくれるファンがいたからこそだと、リーダーの高嶋は言う。

高嶋「やっぱり、私たちの一番の糧になったのは、人々との出会いだと思うんです。まだ一度もお会いしたことはないかもしれないけど、応援してくださるファンの方が全国にいらっしゃって。そういう人々と出会えたのは、自分たちが芸能界に入ってデビューできたからこそだと思うんです。TPDというグループに関わってくださったスタッフの力も、この8年間ずっと感じてきました。ほかのアイドルの皆さんと一緒のお仕事のときも、ソニー・ミュージックレーベルズに所属しているTPDなら……と高く評価していただける場面も多かった。ライブや舞台、活躍できる場所もたくさん用意していただけて、とても充実したグループ活動ができたと実感しています」

浜崎「個人的なことではあるんですが、実は私自身エピックレコードジャパンに所属できてうれしい出来事がありました。私の父と仲が良くて、幼少期から家族ぐるみでお付き合いをさせていただいていたDEENさんと、すごい偶然なんですけど、レーベルメイトになれたんです。それがあって、私もDEENさんのアルバムにピアノで参加させてもらうご縁をいただけて、家族と一緒にとても喜びました」

大人になった彼女たちが選ぶ次なる道

2021年9月26日“東京パフォーマンスドール DANCE SUMMIT The Final”より。

8年間の思い出とTPDに対する熱い想いを語り出すと、みんな止まらない。だが、やはり気になるのは活動休止以降のそれぞれの去就だ。全員、芸能活動をつづけていくことは表明しているが、右も左もわからないままに芸能界に入り、怒涛のアーティスト活動の荒波をくぐり抜けて大人になっていった彼女たちが選ぶ次なる道は、どこにつづいているのだろうか。

櫻井「私はもともと、お芝居がしたくてTPDに入ったんですが、歌とダンス中心の活動のなかではお芝居ができない期間もあって、『あれ、本当は何がしたかったんだっけ?』と思う時期もあったんです、正直。でも6人体制になってからは、個人活動も多くなり、やっぱりお芝居が好き! という気持ちを、しっかり思い出すことができました。なので、これからは舞台、映像にこだわらず、お芝居をやっていきたい。今まで挑戦したことのないサイコパスの役ですとか、今習っている殺陣をいかせる、戦う役にも挑戦したいですね」

上西「私は長くファッション雑誌でモデルをさせていただいています。軸としてはモデル活動をつづけながら、違うジャンルの軸も作りたい。これからは、女優のお仕事にも、より本格的に挑戦したいです。今まで、演技のお仕事では強い女の子を演じることが多かったので、か弱い女の子や、自然体で演じられる普通の女の子役もやってみたいです」

高嶋「私は歌が好きでTPDに入ったんですが、活動するうちにお芝居の面白さに目覚めてしまって。いろんなお仕事をさせていただくなかでお芝居の奥深さを知り、これからもっと勉強して、刑事役とかができるようになりたいです。あとは周りの方々にコミュニケーション能力を褒められることが多いので、それをいかして、ラジオやバラエティ番組にもチャレンジできたらなと思っています」

2021年9月26日“東京パフォーマンスドール DANCE SUMMIT The Final”より。

浜崎「私もお芝居は好きなんですけど、私の場合はTPD外の活動でミュージカルをやらせていただく機会が多くて、つづけるうちにセリフをメロディに乗せて演じることにすごくやりがいを感じていったんです。なので、これからもミュージカルは極めていきたい。あと、『ZIP!』で2年間レポーターをやらせていただいた経験があるので、それはぜひ今後にいかしたいですね。そして、今、(脇)あかりが地元の大分県のテレビ局でレギュラー番組を持っているように、私も自分の地元の福岡で……例えば大好きな野球のレポーターだったりができるように、今から準備したいと思います」

女優やタレントとしての活動を頑張りたいというメンバーが多いなか、TPDのメインだった歌とダンスで身を立てたいと語るのは、グループの“ダンスリーダー”として頑張ってきた脇あかりだ。

「やはり、やりたいのは歌とダンスです。今でもコンテンポラリーダンスをつづけていて、TPDでやっていた歌って踊るパフォーマンス以上に、身体そのもので表現することがやりたいですね。ダンスには言葉の壁はないので、海外にも出て行けるようになれたら良いな。そして、今も地元の大分でお仕事をさせていただいているので、東京と大分、両方を拠点に動けたらなと思います」

そして最年少の橘二葉は……。

2021年9月26日“東京パフォーマンスドール DANCE SUMMIT The Final”より。

「正直に言うと、“私、これからどうするの?”っていう感じで、具体的なことはまだ決められていないんです。これからは、TPDというグループ活動ではできなかったことにも、自由に挑戦することができるんですよね。なのでなおさら、やりたいこと、チャレンジしたいジャンルがたくさん浮かびすぎて。女優ならアクション映画とかに挑戦してみたいし、モデルだったらガーリーな感じも、クールな感じもやってみたい。TPDを離れて何ができるか、まだ探している最中ですけど……だからこそ、何でも場数を踏んでいきたいです」

私たちを見付けてくれて応援してもらえたことは運命

2021年9月26日“東京パフォーマンスドール DANCE SUMMIT The Final”より。

約8年間、TPDのメンバーとして頑張りつづけ、苦労を乗り越えてきた彼女たちは、それがあったからこそ、エンタテインメントの世界で自己表現する楽しさと、自分の表現活動が観る人に与えるものがあることの喜びを知った。そしてずっと走りつづけてきた芸能界で、より深みと高みを目指したい想いをますます募らせている。一人ひとりがその夢を語る瞳は、キラキラと輝いている。と同時に、その輝きを生み、彼女たちに授けてくれたのは、TPDの8年間をさまざまな形で応援してくれたファン一人ひとりの想いであることに、6人は心から感謝している。

「数多くのアイドルのなかから TPD を選んで、応援してくれて、本当にありがとうございます! TPDの活動は休止しますが、これからのお仕事で、皆さんに恩返しをしていきたいと思っています。これからも応援よろしくお願いします!」

櫻井「コロナ禍で特典会や握手会ができなかったり、ライブの数が減ってしまったり、急遽スケジュールが変更になってしまったりと、今まで応援してくださってきた方にとっては、すごく苦しい出来事があったかと思いますが、本当にありがとうございました。このインタビューでみんながそれぞれの未来を語ったように、グループ活動以外でやりたいことを、この8年間で見付けられました。そして納得した上で答えを出した、前向きな活動休止なので、皆さんにとっても私たちにとってもプラスにしていけるよう頑張りたいです。これからもそれぞれのメンバーの活動を応援してもらえたら、とてもうれしいです!」

上西「まずは……東京パフォーマンスドールと出会ってくださって、本当にありがとうございましたとお伝えしたいです。コロナ禍で、ファンの方々と直接会って話せなかったので、また直接お話しできる機会を作れるのは、私が新しいことを始めたり、何かを出版したりするときなのかな? と思っています。早くお会いできるよう、頑張ります。これからも、応援してくださってる皆様に『星来に飽きたな』と思われないよう、いろんな自分を見せられる場をたくさん見付けて、表現できる人になりたいと思います」

2021年9月26日“東京パフォーマンスドール DANCE SUMMIT The Final”より。

「東京パフォーマンスドールは、一人ひとりが夢を持って集まったグループなので、これからが新しいスタートだと感じています。TPDをグループとして大好きだった方もいらっしゃったと思いますし、個人個人を応援している方もいらっしゃると思うんですけど、これからは、私のことも新しい脇あかりとして、応援していただけたらうれしいです」

浜崎「今まで応援してくださった皆さんには、本当に頭が上がらないほど感謝の気持ちでいっぱいです。でもこれが一生の別れではないですし、あかりが言ったように、ここからが新しいスタート地点だと私も思うので、これからは、今までの経験を存分にいかして、皆さんにお仕事で恩返ししていきたいです。グループとしての活動はできなくなっても、TPDの曲は残りつづけます。YouTubeやCDを通じて、これからもTPDが皆さんに元気を与えつづけられたら、すごくうれしいです!」

高嶋「8年間という月日の間、一度でもTPDを好きになってくれた皆さんにも、最後まで TPD を信じて応援してくださった皆さんにも、今は感謝の気持ちしかありません! 何百人、何千人というアイドルやアーティストがいるなかで、私たちを見付けてくれて応援してもらえたことは、本当に運命だと思うんです。私たちも、そんな皆さんに支えられて、ここまで、最後までやってこれました。ここからは、第2の芸能人生として、それぞれが独り立ちします。試練ももちろんあると思いますが、それもこれからまた応援してくださる皆さんがいれば、絶対に乗り越えられると信じています。TPDとしての活動は一度終わりますが、それぞれの応援をこれからもよろしくお願いします。8年間、本当にありがとうございました!」

TPDとしての活動で得たものを胸に、6人は、デビューシングルのタイトルと同じく、それぞれが「BRAND NEW STORY」をここから紡いでいく。新しい扉は開かれた。彼女たちの未来に大いに期待したい。

 

文・取材:阿部美香
ライブ写真:Jumpei Yamada

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