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Action ~いま、私たちにできること~

『京まふ』2年連続のコロナ禍での開催、そこで示したイベントの在り方【前編】

2021.11.02

「Action ~いま、私たちにできること~」では、急速に変わりゆく社会のなかで、ソニーミュージックグループやエンタテインメント業界の新たな試みに注目。どんなときでも人々に寄り添い、心を潤すエンタテインメントの未来を追いかけていく。

今回は、2021年9月18日、19日に京都市の「みやこめっせ」で行なわれたマンガ・アニメのイベント『京都国際マンガ・アニメフェア2021』、通称『京まふ』を昨年につづきフィーチャー。京都市と運営事務局を務めるソニー・ミュージックソリューションズ(以下、SMS)の担当者に集まってもらい話を聞いた。

昨年は、緊急事態宣言が解除されてから国内で初めて開催される大型イベントとして感染防止対策に万全を期して開催されたが、今年は緊急事態宣言下というさらに厳しい環境下での実施となった。

開催に至るまでの感染状況や社会情勢の変化、イベントへの強い風当たりを受けても実現しようとした、関係者たちの強い思いとは? 

前編では、昨年の『京まふ』を振り返ってもらいつつ、今年の開催をどのように展望していたのかについて語ってもらった。

  • 藤本清敏氏

    Fujimoto Kiyotoshi

    京都市産業観光局
    クリエイティブ産業振興室
    コンテンツ産業振興課長

  • 野沢陽子氏

    Nozawa Yoko

    京都市産業観光局
    クリエイティブ産業振興室
    コンテンツ産業振興係長

  • カンスカ・マグダレナ

    Kanska Magdalena

    ソニー・ミュージックソリューションズ

  • 堀切万記

    Horikiri Maki

    ソニー・ミュージックソリューションズ

『京まふ』とは?

 
『京まふ』はマンガ・アニメを中心としたコンテンツの総合見本市。実行委員会とともに京都市が主催し、マンガ・アニメを活用した新事業の創出支援、クリエイターの育成支援や雇用機会の創出、コンテンツ都市としてのブランド力の強化、そして日本が世界に誇る文化のひとつである“マンガ”、“アニメ”を京都から発信することを目的に2012年よりスタート。今年で10回目の開催となる。

コロナ禍でのイベント開催のロールモデルになった『京まふ』

──『京まふ』は、昨年につづいてコロナ禍での開催となりましたが、昨年と同様に、開催後14日間が過ぎても、当日来場されたファンの方、関係者の方からも感染されたという報せはなく、2年連続で無事に終了されたということですが、まずは、昨年のレビューを改めて伺わせてください。

『京まふ』の公式サイトでも、無事に開催されたことを報告。

野沢:昨年の『京まふ』は、2020年5月25日に全国で緊急事態宣言が解除されてから、初めて開催される大型イベントだったということもあり、感染対策の取り組みも含めて注目していただき、たくさんの方にご来場いただきました。

当時は、なかなかライブやイベントの再開にどこも踏み出せないという状況のなかで、行政がどういった形でコロナ禍のイベントを開催するのか、ひとつのロールモデルを示せたのではないかと考えています。

京都市産業観光局の藤本氏と野沢氏は、オンラインで取材に対応いただいた。

藤本:加えて、従来は首都圏で開催されていたイベントを地方で開催する動きがありましたが、逆に京都からコロナ禍におけるイベントの取り組み方というものを示せて、その後の首都圏でのイベント再開の動きにも良い影響があったと聞いていたので、この点でも『京まふ』を開催した意義があったのではないかと思います。

マグダレナ:野沢さんがおっしゃったように、昨年の『京まふ』が無事に開催できたことで、SMSが携わっているほかのイベントやライブも、開催に向けて背中を押されたような気がします。

去年は、初めてのコロナ禍での大型イベント開催で、前例・事例がなかったために、運営チーム全体が手探りで感染対策について考えていきました。すべてがゼロベースからでマニュアルも一から作成しています。結果、陽性者を出さずに、来場者からも評価いただけて安心しましたね。

また、感染対策を含めた『京まふ』の運営実績や経験が、ほかのイベントのリファレンスになったとも聞いていますので、苦しい状況にあるエキシビションビジネス業界において、少しでも役に立つことができたのなら、私たちも本当にうれしいです。

──昨年はコロナ禍での開催について、ファンの方たちを中心に「開催してくれて良かった」という、ポジティブな反響がSNS上でありましたが、今年はどうだったのでしょうか。

藤本:今年も開催について、ダイレクトにネガティブな声をいただくことはありませんでした。不幸中の幸いというか、緊急事態宣言下ではあったものの、本番に近づくにつれて、感染状況も拡大から鎮静へと向かっていたタイミングでもあったので、開催後は「今年も開催してくれて良かった」という声をたくさんいただくことがきました。

昨年に関して言うと、何よりも“感染を拡大させない”というのが至上命題になっていたので、昨年に引きつづき、感染予防対策の面でも成功を収められたという点を評価していただいたと考えております。

野沢:民間の事業者の方々からも「『京まふ』での感染予防対策を教えてください」、「こういう対策を考えているんですが、『京まふ』ではどうしていましたか」というお問い合わせを複数いただきました。

そういう意味では、京都市役所として、行政機関に所属する自分たちの知見が民間の皆様の取り組みに役立てられたことも、開催する意義に含まれると感じましたね。

マグダレナ: 世の中的にも、リアルイベントが徐々に復活しているなかではありましたが、出展者やファンの皆さんが今、どれくらいのモチベーションで『京まふ』のリアル開催を見ているのかは、情報出しの際に都度リアクションをしっかり確認して、ギリギリまで判断材料にしていました。

──いっぽうで昨年、SMSサイドでは社内から「本当に開催するの? できるの?」という声も上がっていたとお話されていましたが、今年の開催についてはどのような反応だったのでしょうか?

堀切:2021年3月末に開催された『AnimeJapan 2021』は、当初、『京まふ』同様にリアルイベントとして開催しようという流れになっていました。最終的には、感染が拡大してしまったので、オンラインでの開催になるのですが、この流れは『AnimeJapan』の実行委員会の方々が実際に昨年の『京まふ』を視察されて、「これならリアルでも開催できますね」という確信を得られたからなんです。『京まふ』の開催がなかったらこうした動きにはなっていなかったと思います。

緊急事態宣言下での開催は想定外だった

──なるほど。しかし、思いもよらず、今年の『京まふ』は昨年よりも状況が悪いなかでのスタートとなりましたね。

マグダレナ:正直なところ、緊急事態宣言下で開催されるというのはまったく想定していませんでしたね。昨年が終わった時点で、来年は状況も良くなっているだろうし、来場者の方々もコロナ禍でのイベントに慣れていて、開催規模も拡大し、よりスムーズな運営ができるはずだと考えていました。

しかも、今年は『京まふ』の記念すべき10回目の開催ということもあって、チケットの第1弾販売が始まったころは、ファンの方々の反応やチケットの売れ行きも、コロナ禍の前に戻ったような勢いだったんです。

堀切:緊急事態宣言下での開催になるので、開催判断は慎重にしないといけない部分がありました。その上で、出展者の方々の“出展の是非”に対するお考えについては、これまで蓄積されたSMSと出展者の方たちとの繋がりがありましたので、リアル開催に関して直接、率直な意見を伺うことができました。その意見を基に、出展者の方々にとってもメリットのある開催のご提案ができたと感じています。

おかげ様で、出展者ブースの申し込みも、これ以上入るとブース間の距離が十分に取れず感染予防対策が難しくなるので、締め切る寸前までいっていましたし、ステージのスケジュールもいっぱいになりました。これはいよいよ“いつもの『京まふ』”に戻れるんじゃないかと思っていたら、その後、変異株の感染も広まり、どんどん状況が悪くなっていって、一切の楽観ができないことを改めて痛感しました。

──京都市としても、昨年の『京まふ』は緊急事態宣言下での開催ではなかったですし、その後、観光も徐々に回復傾向に向かっていたと思います。しかし、今年は緊急事態宣言下となり、この期間は観光に関しても再び厳しい状況になってしまいましたね。

野沢:観光という視点では、昨年の『京まふ』開催時はまだましなくらいで、1度目の緊急事態宣言が発出された際は、繁華街である四条河原町を中心にほぼ人がいない状況でした。今年はその状況に比べると、昼の人並みが例年の半分から3分の2くらいまで戻ってきている認識ですね。もちろん、夜は緊急事態宣言の行政指導により、街から人がいなくなってしまう状況でしたが。

藤本:太秦にある『東映太秦映画村』なども営業を再開されていて、そういうスポットには人が戻ってきていますが、京都という街全体に完全に人が戻ってくるにはまだ少し時間がかかりそうな気がしています。実際、海外からの観光についても、まだ制限がある状態ですし。

これまでの京都の観光というのは、海外や他府県から来ていただくだけになっていましたが、コロナ禍を経て、京都市としても従来の観光だけではなく、プラスアルファを見付けていかないといけないと改めて痛感しましたね。

 

後編につづく

文・取材:油納将志
撮影:干川 修

関連サイト

『京まふ』公式サイト
http://kyomaf.kyoto/
 
ソニー・ミュージックソリューションズ
https://www.sonymusicsolutions.co.jp/s/sms/?ima=3603

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