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連載Cocotame Series

アーティスト・プロファイル

ドラマ主題歌を担うシンガー・Uruの作品への寄り添い方【前編】

2022.08.09

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気鋭のアーティストの実像に迫る連載企画「アーティスト・プロファイル」。

今年4月期の人気ドラマ、日曜劇場『マイファミリー』(TBS)を彩った主題歌「それを愛と呼ぶなら」がロングヒットとなっているUru。これまでも数々の映画やドラマ、アニメの主題歌を担当し、ヒット作品の一端を担うシンガーソングライターである。そんな彼女が主題歌やテーマ曲を書き下ろす際の想いや、6月に上梓した自身初の短編集などについて語る。

前編では、「それを愛と呼ぶなら」制作の裏側を聞く。

Uru ウル

2013年よりYouTubeチャンネルにて名曲カバー動画配信をスタートさせ、2016年6月、「星の中の君」でメジャーデビュー。以降、映画やドラマ、アニメのタイアップソングを数多くリリース。2020年、『第62回 輝く!日本レコード大賞』で特別賞を受賞。2022年4月から放送された日曜劇場『マイファミリー』の主題歌「それを愛と呼ぶなら」が話題となる。自身初の短編集『セレナーデ』発売中。2022年7月30日よりライブツアー“Uru Tour 2022「again」”がスタートした。

「それを愛と呼ぶなら」は、ドラマに寄り添った曲が作れた

2022年の春ドラマで最も話題となったのは、二宮和也主演の日曜劇場『マイファミリー』だったことは間違いないだろう。毎週、ドラマの放送後には視聴者のさまざまな考察や感想がSNS上で飛び交い、迎えた最終回では、クール内3度目のTwitter世界トレンド1位を獲得。視聴率も16.4%を記録した。

その主題歌「それを愛と呼ぶなら」を歌ったUruのオフィシャルYouTubeチャンネルにも数多くのドラマファンが訪れ、「日曜劇場×Uruは間違いない」や「ドラマで流れるタイミングが毎回、完璧」などのコメントが寄せられた。TBS公式YouTubeチャンネル「YouTuboo」では、視聴者から寄せられた“マイファミリーフォト”と、ドラマとのコラボムービー「私にとってのマイファミリーProject “KIZUNA”」を公開。最終回の放送後には、Uru自身がSNSを通して、「主題歌を歌わせていただいてありがとうございました」という感謝の言葉を伝えた。

「多くの人に聴いてもらえたのがとてもうれしかったですね。それは、いつも、とても良いシーンでかけてくださったドラマのおかげだと思っています。たくさんの反響をいただけたので、皆さん、喜んでくださったのかな? ドラマに寄り添った曲を作れたのかなと思っています」

2013年夏にYouTubeで始めたモノクロのカバー動画で注目を集めたシンガーソングライター・Uruは、2016年6月15日に有村架純の主演映画『夏美のホタル』の主題歌「星の中の君」でメジャーデビューを果たした。その後も、綾野剛主演ドラマ『コウノドリ 第2シリーズ』の主題歌「奇蹟」、ドラマ『中学聖日記』の主題歌「プロローグ」、日曜劇場『テセウスの船』主題歌「あなたがいることで」、ドラマ『推しの王子様』の主題歌「Love Song」、映画『ファーストラヴ』の同名主題歌など、数多くのドラマ、映画主題歌を手掛けてきた。

これほどまでに映像作品からのオファーが絶えないのは、聴く者のこわばった心を優しく解きほぐしてくれるような凛とした歌声の魅力と、“作品に寄りそう”という、彼女の楽曲制作における姿勢そのものにあるのではないかと推測する。

「もともとあった曲を主題歌に起用していただいたのはデビュー曲『星の中の君』だけなんです。主題歌として書き下ろす場合は、自分で好きなように曲も歌詞も書く場合と、作品に寄り添って作る場合では、進路も速度も違いますね。既にあるお話に対して曲を作らせていただくのは、楽しさもありますけど、やっぱり難しくもあって。制作者の方々がそのドラマや映画をどんな作品にしたいと思っているのかを考えます。現場にずっと一緒にいるわけではないので、テーマやリクエストをいただいて曲を書いたとしても、なんかちょっと違うかな? って一瞬でも思われたら嫌だなと思っていて。

だから、本当にドラマの制作の方といろいろとやりとりさせていただきますし、原作があれば原作を読み込んで、脚本があれば脚本を読みながら、自分が視聴者だったらどう感じるかを想像しながらメモしていきます。その作品の世界観を歌でも共有するというのが一番難しいし、そういう、自分に世界観を浸透させていく作業に最も時間を割きます」

大切な存在に気付くという曲にしようと思った

2年前に大きな話題を集めた日曜劇場『テセウスの船』以来、2度目となる日曜劇場『マイファミリー』の主題歌として書き下ろした「それを愛と呼ぶなら」にも、もちろん、同じ姿勢で挑んだ。

「最初に『マイファミリー』というタイトルとプロットをいただいたときに、ドラマのジャンルが“ノンストップファミリーエンターテイメント”だとお聞きして、ミステリー要素も強いのに、どうしてこのタイトルなのかがわからなかったんです。でも、このドラマが最終的に描きたいことは、ミステリーではあるけれども、家族の絆なんだって思ったんです。だから、このタイトルなんだなって」

【Official】Uru 『それを愛と呼ぶなら』 TBS系 日曜劇場「マイファミリー」主題歌

Uruとしては、11枚目のシングル「Love Song」以来、8カ月ぶりとなる新曲で、ドラマ『マイファミリー』のために書き下ろした「それを愛と呼ぶなら」は、掛け違えていたシャツのボタンを、下から順に、一つひとつ丁寧に外し、もう一度、重ね合わせていく“僕”の情景から始まる。

「自分のすぐそばにいた大切な人が、身近にいすぎて見えなくなってしまっている。それは、空気のように当たり前の存在になっていた人、自分のことを一番理解してくれる、自分の分身のような存在。近くにいるからこそより大切にするべき存在だったってことを、何かのきっかけで気付いたという曲にしようと思いました」

最初は“それを愛と呼ぼう”だった

ドラマのプロデューサーである飯田和孝からは「大切な人を改めて大切と思える、リアルに背中を押せる前向きなラブソングを」というリクエストがあったそうだ。

「私が今まで書かせていただいてきた曲は、背中を押すというよりは、隣で共感するような曲だったと思うんですね。でも、『マイファミリー』の内容は、そこから一歩先に進んでいる。物語が次から次へと展開していくなかで、後悔している暇もなく、本当に前に行くしかないという。大切なものを取り戻しにいくぞっていう気持ちを曲に入れられたら良いなと思って。前を向けるような、大切な人への気持ちに素直になれるような曲にしたいと思いながら作っていました」

編曲は、「あなたがいることで」以来2度目のタッグとなる小林武史が担当。小林はUruの歌声や楽曲に関して、「装飾や安直な派手さを寄せ付けないところがあると思っています。できるだけ骨組みの力強さに近付くようにと思って、音作りをしました」と明かした上で、過度なアレンジや細工を施さない端正なバラードに仕上げている。ドラマで流れた1番のサビの後半“やっと気づいたんだ”というフレーズにハッとさせられた人も多かったのではないだろうか。

「レコーディングでは『マイファミリー』の世界観を私の体に染み込ませて、ドラマの映像を思い浮かべながら歌いました。“走れ走れ”には今までの後悔を自分の活力に変えているような前向きさを込め、落ちサビの“世界中を探してもここにしかないもの”は、やっと一緒になれたあとでホッとして、家族を抱きしめながら歌っているイメージです」

傷だらけになりながらも全力で走り、かけがえのないものを取り戻した先に、タイトルとなっている“それを愛と呼ぶなら”という、一度しか出てこないフレーズへと辿り着く。

「最初は“それを愛と呼ぼう”だったんです。でも、スタッフさんと相談しながらだったんですけど、この主人公は、いろんなことをないがしろにしてきた後悔を抱えていて、やっと家族を取り戻せた瞬間に、“それを愛と呼ぼう”なんて言い切れる人物じゃなさそう、という話になって。私もそう思ったんですね。“呼ぼう”と言い切るよりも、“もしこれを愛と呼ぶんだったら”と、家族と一緒に確かめ合っているほうが良いんじゃないかなと。だから、“呼ぶなら”にしたんですけど、これで良かったなと思っています」

後編へつづく

文・取材:永堀アツオ

ライブ情報

Uru Tour 2022「again」
詳細はこちら(新しいタブで開く)

 

リリース情報

「それを愛と呼ぶなら」
発売中
試聴・購入はこちら(新しいタブで開く)

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