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担当者が語る! 洋楽レジェンドのココだけの話

a-ha【後編】a-haを象徴するのはモートンの“癒しのフィヨルドボイス”

2022.10.26

世界中で聴かれている音楽に多くの影響を与えてきたソニーミュージック所属の洋楽レジェンドアーティストたち。彼らと間近で向き合ってきた担当者の証言から、その実像に迫る。

今回のレジェンドは、1985年の大ヒット曲「テイク・オン・ミー」で一躍名を馳せ、80sを代表するポップバンドとして知られているa-ha。結成40周年の今年は、彼らの軌跡を辿るドキュメンタリー映画『a-ha THE MOVIE』が公開され、10月26日には新作アルバム『トゥルー・ノース』を発表するなど、今なお精力的な活動ぶりを見せる。そんな彼らの、ポップアイコンとはまた違う、バンドとしての本質的な魅力とは。ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル(以下、SMJI)の担当者に聞く。

後編では、メンバーそれぞれの個性を深堀りしていくとともに、新作アルバム『トゥルー・ノース』の魅力を語る。

a-ha アーハ

(写真左から)マグネ・フルホルメン(キーボード、ギター)、モートン・ハルケット(ボーカル、ギター)、ポール・ワークター=サヴォイ(ギター)。1982年に結成されたノルウェー出身のポップロックバンド。1984年、「テイク・オン・ミー」でデビュー。翌年、全米チャート1位、全英チャート2位を獲得する大ヒットとなる。その後、1987年に映画『007/リビング・デイライツ』の主題歌をリリースするなど、一躍人気バンドとなる。2022年10月26日、新作アルバム『トゥルー・ノース』をリリース。

  • 道島和伸

    Michijima Kazunobu

    ソニー・ミュージックレーベルズ

モートン・ハルケットは理想的なシンガー

──a-haは、結成から40年経った今も、オリジナルメンバーのまま活動をつづけている貴重なアーティストですが、道島さんから見て、メンバーそれぞれはどんな性格なんでしょうか。

(写真左から)マグネ・フルホルメン、モートン・ハルケット、ポール・ワークター=サヴォイ

まず、マグネ・フルホルメンは、メロディメイカーとして素晴らしいですし、人間的にはすごく真面目な感じがしますね。取材などでも、インタビューを一番うまくやってくれる人です。彼の話を聞くと、環境問題など世界が抱える課題に対して、自分たちは何ができるんだろうかってことをすごく考えていたり、高い意識を持ってる人だなと思います。ポールはいわゆるアーティストって感じで、あまりインタビューにもうまく対応できないタイプです。ずっと曲を書いてるようなストイックな感じです。

モートンはまさにシンガーでしょうね。a-haにはポールとマグネという素晴らしい曲を書くメンバーがふたりいるのでモートンの楽曲は少ないんですが、彼も曲を書ける人ではあるんです。実際ソロの作品では自身で曲を書いていますし。なので彼は、a-haではシンガーに徹しているという感じなんですね。マグネも、曲を書くときは、モートンが歌うことを想定して書いてると言っているので、インスピレーションを与えてくれる理想的なシンガーなんだろうなと思います。

若かりし日のモートン・ハルケット(『a-ha THE MOVIE』より) Photographed by Magne Furuholmen ©MOTLYS, FENRIS FILM, KINESCOPE FILM, NEUE IMPULS FILM 2021

──『MTVアンプラグド』でのパフォーマンスを音源化した2017年の『MTV Unplugged: Summer Solstice』を聴くと、モートンの声の美しさがよりわかりますよね。

a-ha - Take On Me (Live From MTV Unplugged)

有名な曲をアコースティックでやるだけで趣は変わるものですけど、モートンのボーカルだと、よく知ってる曲も、ひと味もふた味も違って聴こえますね。ああいう優れたボーカリストがいると『MTVアンプラグド』のような企画も成立するし、それが長く活動できることの裏打ちになっているのかもしれません。

──最近のインタビューでモートンが、1970年代に活躍したハードロックバンド、ユーライア・ヒープに影響を受けたと語っていました。意外なような気もしつつ、暗くメロディアスな雰囲気はなんとなくわかるなと感じました。

メンバーの年齢的に考えて、3人とも1960~70年代のロックを聴いてきたと思いますよ。もともとポールとマグネはノルウェーで“Bridges”というバンドをやっていて、そのときはドアーズとかの暗めなロックをコピーしていたんです。そのBridgesのなかで、プロ志向の強かったポールとマグネでa-haを作って、ロンドンに渡ったという流れですね。なので、もとから「テイク・オン・ミー」みたいなシンセポップの音楽を作っていたわけじゃないんです。これは想像ですけど、モートンにハードロックを歌わせたらうまいと思いますよ。あまりにもイメージが違うのでやらないとは思いますけど(笑)。

ノルウェーの大スターは南米にもファンが多い

──結成から40年経った今も、a-haは世界中で支持されています。

母国ノルウェーではもちろん、アルバムを出すたびにチャート1位になる大スターですし、イギリスをはじめヨーロッパにもずっと根強くファンがいます。あと、南米には昔から強いです。ブラジルでは1991年のライブ“ロック・イン・リオ2”で当時の動員記録を作ったり、今も南米の各国でずっとファンを掴んでいます。

──日本のファン層はどのような感じですか?

日本でのa-haの初代担当が僕の先輩にあたるんですが、彼が1980年代に日本でa-haの音楽を一生懸命売って、日本の女性層を中心にしたファンの方たちが大騒ぎになったんです。そのころのa-haは、世界中でアイドル的な売り方をしてましたよね。本人たちも、成功するためには仕方がないって思ってたようです。当時、日本ではマンダムのCMに出演したり、それくらい人気がありました。そこからずっと応援してくれているファンの方が今も多く残ってる感じです。なので日本のa-haのファンは、今もコア層は女性層が多いですね。ただ、1980年代の音楽には男性層のファンが多いので、性別関係なく聴いてくれています。

──こうやって話を聞いていくと、a-haは全然 “一発屋”じゃないですね(笑)。

そうなんですよ(笑)。今回のアルバムも通算11枚目ですし、それ以外にもライブ盤や企画盤を何枚も出してる。一発屋じゃそんなに出せないですよ。一発屋と捉えられてしまうのは、デビューシングルが大ヒットした人の宿命みたいなものですよね。でも、アイコニックな曲があることは全然悪いことじゃないですからね。

『トゥルー・ノース』の発表は奇跡に近い

──10月26日リリースの7年ぶりのアルバム『トゥルー・ノース』は、どんな作品になっていますか?

今回アルバムが出るということで、僕はびっくりしたんです。というのも、今年公開された彼らのドキュメンタリー映画『a-ha THE MOVIE』のなかで、マグネが「スタジオに入るとメンバーとケンカになるから、もうa-haのアルバムは作らない」って言ってるんです。だから、もうa-haとしての新しいアルバムは出ないんだろうなと思ってたら、ソニーミュージックに移籍してリリースすると知って、え? ってなりました(笑)。

さらに驚いたのは、アルバムの内容が素晴らしいことです。僕は長い間、日本でのディレクターをやってますけど、リリースで興奮できるかどうかは、やっぱり内容次第なんですよね。今回の『トゥルー・ノース』に対しては、結成40周年の2020年代に入って、この3人がこんなにも素晴らしい音楽を世に出すことは奇跡に近いな、これは掛け値なしに素晴らしいアルバムだって思えたんです。アルバムに先行する形で、映画『トゥルー・ノース』も公開されるという展開もあって、あらゆる面で、これはなかなかすごい作品だなと思いましたね。

a-ha-True North(Full Trailer)

面白いのは、ポールとマグネが別々に6曲ずつ作っていて、それぞれのソングライターとしての姿がはっきり見えるという部分。今回、ノルウェーのオーケストラと一緒にライブレコーディングに近い形で制作するという、新しいチャレンジをしてるんです。このコンセプトを主導したのが、ドキュメンタリー映画のなかでは、もうアルバムを作らないと言ってたマグネだったということにも驚きました(笑)。

最近のバンドの方向性からすると、アルバムはもっとオーケストラっぽい音になるのかなと思ったら、まったくそんなことなくて、良質なポップスアルバムに仕上がっています。歌詞も、リード曲の「アイム・イン」を含めて、コロナ禍の世に送るメッセージとして優れてるし。

a-ha「アイム・イン」(日本語字幕ver)

──歌詞には、環境問題への意識も込められているんでしょうか。

全部ではないんですが、マグネが書いてる表題曲などはノルウェーの自然をテーマに書いてるそうです。彼が、1980年代にノルウェーに初めて電気自動車を持ち込んだらしいです。もともと自然環境にコンシャスな人なんですよね。

今回のアルバムは、しばらくa-haから離れてた人が聴くと、すごく違った印象を持つと思います。歌詞がすごく深い、大人のポップスとして聴ける作品ですし、ほんとに長い間付き合っていけるアルバムになってると思います。でもまあ、とにかくモートンの歌が良いですよ。

──道島さんのイチ推しポイントは、やはりボーカル、モートン・ハルケットの声ということですね。

僕、古いタイプのA&Rなので(笑)、キャッチコピーにこだわりがあるんですが、今回のアルバムは“今こそ世界へ届けたい、癒しのフィヨルドボイス”って付けたんです。やっぱりa-haを象徴するものはモートンの声ですから。ちょっと笑えるところも狙いなんですよ。“フィヨルドボイス”って完全に造語なので(笑)。

──最後に、a-haの功績と現在に与えた影響について、まとめていただけますでしょうか。

a-haは、アルバムを作るごとに新たなことを取り入れて、進化しつづけているバンドだと思うんです。そういう部分では、音楽性は違いますけど、U2とかに近いのかなと思います。

よくアーティストが、常に新作が自身の最高傑作だと言いますけど、なかなかそうならないことも多いじゃないですか。でもa-haはそれを1980年代からつづけていて、今回も新作『トゥルー・ノース』という濃密な作品を作って、それを証明している。しかも、世界中に新作を待っているファンがいる。40年も進化して成長しつづけているのは、本当にすごいと思いますね。

──また、現在活躍しているさまざまなアーティストが、a-haの影響を受けています。

最近だと、ザ・ウィークエンドの「ブラインディング・ライツ」やハリー・スタイルズの「アズ・イット・ワズ」だったり、「テイク・オン・ミー」をオマージュした楽曲が多いですし、後世にかなり影響を与えています。コールドプレイのクリス・マーティンもa-haが大好きだと公言していますし、a-haに影響を受けて今活躍しているアーティストやミュージシャンは実はたくさんいるので、これからも彼らの評価はもっとあがっていくんじゃないかと思いますね。

文・取材:土屋恵介

リリース情報


 

『トゥルー・ノース』
20220年10月26日(水)発売

(通常盤)

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『a-ha THE MOVIE』(Blu-ray)
2022年12月2日(金)発売
5,280円
販売元:ハピネット・メディアマーケティング
©MOTLYS, FENRIS FILM, KINESCOPE FILM, NEUE IMPULS FILM 2021
 

 
『a-ha THE MOVIE』(DVD)
2022年12月2日(金)発売
4,290円
販売元:ハピネット・メディアマーケティング
©MOTLYS, FENRIS FILM, KINESCOPE FILM, NEUE IMPULS FILM 2021

関連サイト

公式サイト
https://www.sonymusic.co.jp/artist/a-ha/
 
『トゥルー・ノース』特設サイト
https://www.110107.com/s/oto/page/a-ha_TN?ima=2939

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