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連載Cocotame Series

Eyes on

Amber's:ジャンルに縛られない楽曲でメジャーデビューを果たすボーダーレスポップデュオ

2022.11.30

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今、注目すべき旬のアーティストにスポットを当て、最新インタビューとプライベートショットで素顔に迫る連載「Eyes on」。

今回は、ドラマ『明日、私は誰かのカノジョ』オープニング主題歌に起用された「Desire -欲情本能-」がヒットとなり、SNSを中心に注目されてきたふたり組、Amber'sが登場。12月3日にメジャーデビューを果たすふたりの出会い、期間限定の共同生活の様子などに加え、 Amber'sの音楽についてや、今後の活動への想いを聞く。

  • Amber's

    アンバーズ

    (写真左より)福島拓人(ギター、プログラミング)、豊島こうき(ボーカル、ギター)。2020年3月、1stアルバム『VOSTOK』をタワーレコード限定販売でリリースし話題に。翌年、TikTokで人気となった「Question」が、ドラマ『カラフラブル~ジェンダーレス男子に愛されています。~』主題歌となる。2022年、ドラマ『明日、私は誰かのカノジョ』オープニング主題歌を担当。2022年12月3日、配信EP「AUTHENTIC」でメジャーデビュー。

あのときよく声を掛けたなって今でも思う

――おふたりはSNSを通じて出会われたんですよね。豊島こうきさんがSNSにアップした動画を見て福島拓人さんがコンタクトを取ったのが始まりだそうですが、そういう出会い方はよくあるんでしょうか。

こうき:Amber'sの活動を始めてから、例えばTikTokを通じて知り合ったアーティストの方と一緒にミュージックビデオ(以下、MV)を作らせていただいたりしたことはあるんですけど。

――イラストレーターのなーゆ。さんとコラボされた「Question」のMVですね。

Amber's 『Question』 Music Video

こうき:はい。本当に良いなと思った方とのコラボレーションはやっていきたいと思っているんですけど、そんなに頻繁にはないですね。

――じゃあ拓人さんとの出会いはかなり……。

こうき:稀ですね。

拓人:僕自身も実はあまり自分から進んでアプローチするほうではないんです。今のところ、こうき君が最初で最後なんですよね。あのときよく声を掛けたなって今でもたまに思うくらい(笑)。それくらい、こうき君の動画が人を突き動かす力を持っていたんだろうなって。見てすぐに連絡を取って、その翌日にはこうき君のライブに行きましたから。

「浅草の酉の市に初めて行って、初めて熊手を買いました。小さいですが、最初の1歩の熊手ということで、これからだんだん大きくしていきたいです」(拓人)

――めちゃくちゃ突き動かされてませんか(笑)。

こうき:しかもチケットを買って来てくれたんですよ、お客さんとして。

拓人:「福島拓人でチケット1枚、取り置きお願いします」ってメッセージを送ったんです。

こうき:そしたら、ライブのあとに「一緒にバンドやりましょう!」って言われて「ああ、そっちか」って。

拓人:ちょっと残念そうだな(笑)。

こうき:いや、当時、10組ぐらいに声を掛けていただいていたんですよ。だから「またか」ぐらいの感覚で……生意気ですけど(笑)。拓人の第一印象も自分とは合わなそうな気がしたので、そのときはあまり乗り気ではなかったんです、正直。でも、その2カ月後くらいかな、ふたりでスタジオに入ったときに、すごいくだらない話で盛り上がったんですよ。今でもよくするんですけど、「もしもこうなったらどうする?」みたいな、絶対あり得ない、オチがどこにあるのかもわからないような話で。そういう話ができることも、それを純粋に楽しいと感じることもすごく貴重だと思うんですよね、関係性として。結局、音楽の話はほとんどしないまま「一緒にやろう!」って。

――運命の出会いですね。Amber'sという名前にはどんな意味が込められているのでしょう?

こうき:まず“A”から始まる名前にしたかったんですよ。最後の“'s”も俺が付けたいと言ったんですけど、そこには、ふたり組だけどいろんな人を巻き込んでいきたい、たくさんの人たちと協力しながらやっていきたいっていう想いがあって。なので絶対“'s”は付けたかったんです。「そういう良い言葉がないかな」って拓人に投げたら、“Amber(琥珀)”という単語を持ってきてくれて。琥珀は、マイナスなエネルギーを排出し、プラスのエネルギーを取り込むパワーを持っていると言われていて、それって自分たちのやっていきたい音楽や活動にすごく繋がるものがあるなって思えたんですよ。

拓人:こうき君とも共通してるんですけど、僕はイギリスの音楽とかカルチャーがめちゃめちゃ好きなんですね。イギリスって信号の色の呼び方が“Blue(青)”“Red(赤)”“Amber(琥珀色)”なんですよ、“Yellow(黄色)”じゃなく。そこにすごくイギリスらしさを感じて、素敵だなと思ったんです。提案したらこうき君も「めっちゃイイじゃん!」って言ってくれて。

――琥珀って化石なんですよね。宝石でもあるけど、鉱物ではなく有機物なところとかが、キレイだけれど生身な感じもするAmber'sの音楽と通じるものがある気がします。

こうき:自分たちでも最近、それはより感じますね。すごく良い名前だなってさらに思うようになりました。

「毎年、白馬村に楽曲制作の合宿に行くんですが、そこにいるワンちゃんのサラちゃんです。シベリアンハスキーで大きいんだけど優しい子で、いつも癒されます。サラちゃん会いたさに合宿に行ってます」(こうき)

音楽で自己表現することにハードルは感じなかった

――おふたりが音楽に目覚めたのはいつごろですか?

こうき:僕が音楽をやろうと思ったのは18歳とか19歳のころ、高校を卒業してからですね。

――それまでも音楽に対して興味は持っていたんでしょうか。

こうき:聴いてはいましたけど、周りとはちょっと違って、僕は歌謡曲とか、ちょっと昔の音楽が好きだったんですよ。祖母の影響で、さだまさしさんがやっていらしたフォークグループ、グレープも大好きで、その憧れから、部屋にインテリアとしてアコースティックギターを飾っていました。アコギって弾くのが難しいからずっと飾ったままだったんですけど……東日本大震災のときに、テレビから情報が入ってきたりするのがつらくなってしまって、それと同時に「何かやりたい!」っていう気持ちが強く湧いてきたんですね。そのまま、なんでかわからないけど、“そこにあった”アコギを手に取って弾き始めたんです。ネットでチューニングの仕方とかを調べたりして。でも、そのときは別に音楽でどうこうしようとは考えていなかったんですよ。

――では、どんなきっかけが?

こうき:ひとりの人間として自己表現をしたいと思うようになって……当時、カラオケが好きで、友達とよく行っていたんですけど、そこで将来についての話とかもしてたんですね。「自己表現したい。自分がこういう人間だって表現できる機会なんて人生においてそんなにないけど、俺はそれをしたいんだ」って話したら「そんなに良い夢があるなら、やりなよ」って言われたんです。「おまえの強みである歌でそれをやってみたら?」って。

――こうきさんのハイトーンボイスはまさに武器ですよね。歌が強みだという自覚はされていたんですか。

こうき:いや、まったく。そう言われて初めて「あ、強みなんだ」って思いました。でも音楽は好きでしたし、そのころにはギターもある程度弾けるようになっていたので、音楽で自己表現するということにハードルは感じなかったです。

――拓人さんはどうだったんですか?

拓人:僕はずっとバンドが好きで、それこそイギリスのバンドの曲とかいろいろ聴いていて。なので高校では軽音楽部に入部して、そこで初めてギターを持ったんですよ。ギターを習得する際の最初の壁と言われているFコードも、僕は難しいとも思わず弾けるようになって、これは自分に向いてるのかもと思い始めて。そこから、めちゃめちゃ楽しくなって弾きまくっているうちに、自分は特別だ、これはすごい才能だって思い込んじゃったんです(笑)。今考えればただの錯覚なんですけど、あのときに「自分にはもうこれしかない!」って思えたのが良かったんでしょうね。しかも最初はギターで目立ちたいっていう気持ちが大きかったんですけど、こうき君と出会ってAmber'sを始めたことで、良い音楽を作りたい、名曲を生み出したいっていう想いのほうが強くなりました。

「アメリカのサイトで、素材はこれ、色はこれ……と全部セルフオーダーした、世界に1本のマイギター。メジャーデビューを発表したタイミングに新たな相棒としてお披露目したいという気持ちで作った、こだわりぬいた1本です」(拓人)

――おふたりの出会いの場もSNSでしたが、Amber'sといえばSNSでの発信をすごく活発にしている印象があります。一緒にやり始めた当初からSNSの活用は考えていたんですか?

こうき:SNSにアップするようになったのは、コロナ禍がきっかけですね。最初は普通にアルバムを作って、ツアーをやって……という流れを考えていたんですよ。でも1stアルバム『VOSTOK』をリリースした直後にコロナ禍になり、予定していたツアーが全部中止になりまして。それでも自分たちの音楽を届けたい気持ちが強かったので、だったらこの時代、SNSを使って発信していこうっていう。

――コロナ禍で計画が白紙になっていく状況に、やはり落ち込まれたでしょう。

こうき:落ち込みはしましたけど、でもSNSがあるってプラスに捉えてました。おかげでさらにガムシャラになって、そのタイミングで、1年間の期間限定ですけど、ふたりで共同生活を始めたんですよ。人に会うのが大変な時期だったじゃないですか。だったら同じ屋根の下で暮らせばいいんじゃない? って。

「Amber’sのファンクラブ、“琥珀隊”に向けた配信で、僕の大好きなスニーカーを熱弁しているところです。中学生のころから地道に集めて、今は100足ぐらいになりました。乾燥剤を入れたプラスチックバッグに入れて、ちゃんと空気を抜いて、大切に保管しています」(こうき)「共同生活しているときは部屋の大部分を占めてて大迷惑でした(笑)」(拓人)

――実際に一緒に生活してみていかがでした?

こうき:この人、音楽以外はなんにもできないんだなって思いました(笑)。正直、解散もよぎりましたね……って冗談ですけど。でもホント生活のリズムが全然違うんですよ。拓人はすんごい夜型で。

拓人:逆にこうき君はすっごく朝型。

こうき:しかも狭い家だったので、僕が寝ているすぐ横で、夜中になると♪チャッチャッチャッチャってギターの音が聞こえてきて。

拓人:で、僕が眠たくなってきたなというときに、こうき君の発声練習が始まる、みたいな(笑)。でも、主にこうき君が歩み寄ってくれましたね。

「ペットのレオパードゲッコー、キャンチョメとパルコです。共同生活してて、こうき君がいないときにふと『寂しいな』と思って、昔から飼いたかったトカゲを飼いまして。こうき君に反対されたらイヤだなと思って、2週間内緒にしてました(笑)」(拓人)

――曲作りは捗りました?

拓人:毎日、作ってましたね。共同生活をしている間に200曲ぐらいは作ったと思います。

こうき:僕たちはお互いに作曲するけど、作り方がそれぞれ違うんですよ。僕が弾き語りで作ったデモに拓人がギターをつけたりアレンジを加えたり、拓人が持ってきた打ち込みのオケに対して僕がメロディをつけたり。そうしてできたものに僕が歌詞を乗せるっていう作り方で。

――曲を作るにあたって、ふたりの間で何か決めていたことなどはありましたか?

拓人:特に口に出して決めたことはないんですけど……SNSにあげる曲に関して、“自分たちは気に入ってないけど、せっかくできたから聴いてもらおう”みたいなことは絶対しませんでしたね。あと、やっぱりオリジナル曲を聴いてほしいので、たまにカバーをあげたりもしたけど、基本的にはオリジナル曲を投稿してました。とにかく自分たちがカッコ良いと思う音楽をストレートに発信したいっていうところは、お互い意識していたと思います。

こうき:やっぱりふたりで発信するものだから、お互いが納得したものでないと、なんのためにふたりでやってるんだって話じゃないですか。例えば、どちらかが「この曲イケてないな」と思ったとしても、諦めきれないときは相手にプレゼンして説得したり、「この要素を入れたらもっと良くなるんじゃない?」ってアイデアを出し合って組み立てていったりっていうこともします。そうやって生まれたものがAmber'sの音楽なんです。

「期間限定の共同生活後、引っ越しの日の写真です。俺ら、当日まで引っ越し準備を全然してなくて(笑)。とりあえず全部外に出して、外で掃除機をかけている拓人を撮りました」(こうき)

裏も表も見せていきたいっていう想いを込めた

――ジャンルに縛られず、それぞれが良いと思って作った曲をぶつけ合うことで、カラフルでバリエーション豊かな作品になるんでしょうね。特に、12月3日配信のデビューEP「AUTHENTIC」は、収録されている全曲がキャッチーで、1曲1曲の個性が際立った作品になっていて、メジャーデビューで、さらなる新しい世界へ踏み出そうとするおふたりの強い意志を感じます。

こうき:まさにその通りで、今回、全部が新曲なんですよ。今の自分たちをたった4曲で表現するとしたらどんな曲を作る? っていうところからこのEPは始まっていて。やっぱり今の自分たちが一番脂が乗ってると思うし、だからこそメジャーデビューというタイミングは新曲で勝負したくて。なので、どう戦っていくのか、1曲ずつ考えながら作っていきました。トータルバランスを考えるより、1曲1曲シングルとして成立するレベルのものを作って、それをみんなに聴いてほしいって思っていたので、そう感じていただけたのがすごくうれしいですね。

拓人:僕たちがこれまでに作ったデモは480曲ぐらいあるんですけど、メジャーデビューする今の想いをどうしても曲に込めたかったんです。なので最新曲だけのEPにしました。

――1曲目「1!2!3!」はまさに幕開けを予感させるアッパーな楽曲ですし、タイトル曲である「AUTHENTIC」はブラスセクションもふんだんに取り入れられたファンキーなテイストに仕上がっていて、Amber'sの新しい扉が開いたことを感じさせます。ボーカルも、「AUTHENTIC」ではハイトーンからファンキーな唸り声まで、かなり攻めたアプローチをされていますね。

こうき:いけるところまでいってやるっていう強い気持ちを表現したかったんです。今の自分の武器としての歌声、これで勝負したいんだっていう想いを込めた曲ですね。

Amber's 『1!2!3!』[Official Live Document]

――3曲目の「Black Swan」やラストナンバーの「例えばの話」はかなり内省的と言いますか……この2曲に限りませんけど、こうきさんが書く歌詞の主人公って、どこかこの世界に対しての生きづらさや、“普通”からはみ出してしまう自分を抱えていますよね。でも、そんな自分を否定するのではなく、ちゃんと肯定しようとする力強さも持っていて。そういうところがすごく心に響きました。

Amber's『Black Swan』[Official Live Video]

こうき:例えば音楽じゃなくても時代性ってあるじゃないですか。SNSとかテレビとか、その時々の流行があって、その波にうまく乗れた人や物が評価されたり。それってすごく良いことでもあると思うんですけど、僕からするとなんだかつまらないというか……そこに寄せていくことが自己表現ではないと思うんですよね。

世間で流行っているものや評価されているものになりすまして気に入ってもらっても、それは自己表現でもなんでもない。少なくとも僕がやりたいことではないんです。だからある意味、時代に抗っているのかもしれないという気持ちはすごく大きくて、でも、それをやらなきゃこうやって音楽をやっている意味もないよなって。「Black Swan」は根本的にそういう想いがあるからできた曲だし、これからもそういうことを歌っていくんだろうなとは思いますね。

拓人:表のキレイなところを切り取って、そこだけ見てくださいっていうのはなんだか違うというか。「Black Swan」も「例えばの話」も、人の裏側にあるものだと思うんです。裏も表も見せていきたいっていう想いは1stアルバムにも2ndアルバムにもあって、それは今回のEPでも絶対に必要だったので。と言っても、必要だから入れたとかではなく、良いと思う曲を並べてみたらそうなっていたっていう感覚のほうが強いんですけど。そういう意味でも、すごく良い作品になったという自信があります。

――これからのAmber'sもとても楽しみです。将来の大きな目標としては、拓人さんは“東京ドームのステージに立つこと”を挙げていらっしゃいますが、近い目標というと?

こうき:やっぱりライブで直接伝えていくことですね。今までSNSで発信してきたことを、今度は直接、手渡していきたい。本当に直近で言うなら、12月3日のワンマンライブを大成功させること。ここからだと思っているので。

拓人:僕も同じ気持ちです。SNSとかで「待ってるよ」っていうコメントを見るたび、そう思いますね。来年はライブの数をもっと増やしたいですし、楽しみにしていてほしいです。

文・取材:本間夕子

リリース情報

EP「AUTHENTIC」
2022年12月3日(土)配信リリース
試聴・購入はこちら

ライブ情報

Amber’sメジャーデビューライブ「Beginning the AUTHENTIC」
 
日時:2022年12月3日(土) OPEN 18:00 / START 18:30
場所:東京・Shibuya eggman
チケット購入はこちら(新しいタブで開く)

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