フィロソフィーのダンス：新メンバーを迎え、5人での第2章が幕を開ける

• 

  フィロソフィーのダンス

  Philosophy no Dance

  （写真左より）木葭のの、香山ななこ、日向ハル、奥津マリリ、佐藤まりあ。2015年結成、2020年9月、「ドント・ストップ・ザ・ダンス」でメジャーデビュー。2022年11月、オリジナルメンバーの十束おとはがグループを卒業。メンバー自身が選考するオーディションを経て、木葭のの、香山ななこが加入した。2023年3月15日、新体制初のシングル「熱風は流転する」をリリースする。

「原石を見付けた」ってこういうことかもしれない

――2022年4月から行なわれていたオーディションを経て、木葭（きよし）ののさん、香山（かやま）ななこさんが加入しました。オリジナルメンバー3人から新メンバーのおふたりを紹介していただけますか。では、木葭ののさんから。

奥津：普段はほわほわした柔らかい子なんですけど、パフォーマンスになると目がキリッとして、歌声もカッコ良いし、いろんな歌い方ができる表現力を持っています。

日向：オーディションを通して、「原石を見付けた」ってこういうことかもしれないと思った子なんですよね。すごい天然さんで、どう考えてもボケ担当なんですけど、本人は自分のことをツッコミが得意だと思ってるらしくて（笑）。しゃべってるだけで面白くて、幸せな気分にさせてくれるし、しゃべらなくてもすごく華がある。意外な魅力がどんどん出てくる、沼タイプのアイドルちゃんです。

佐藤：一緒に活動してまだ3カ月ですけど、すごく優しくて、人の気持ちを考えて発言できる人だなって。オーディションでは、ビジュアルや歌声とか、表に出ている部分に注目することがどうしても多かったんですけど、実際に、同じメンバーとして活動していくなかで、中身の、人間的な部分の魅力がいっぱい伝わってきたので、これからきっとたくさんの人に愛されるんじゃないかと思います。

木葭：フィロソフィーのダンスは本当に面白いグループだから、私がツッコミとして頼りがいのある人間になって、みんなにもっと自由にボケてもらえるように頑張っていきたいです！

「雑誌の取材後に、新メンバーふたりで自撮りしました。取材のカメラマンさんが、撮りながらいっぱい『かわいい！』って言ってくださって、自己肯定感が爆上がりしてる写真です（笑）」（木葭）

――歌、ダンス、ルックス、内面といろいろ出たけど、本人的にはそこなんですね（笑）。では、もうひとりの新メンバー、香山ななこさんはどんなキャラクターですか？

奥津：気が強くて、芯がしっかりしてるなかに、かわいらしいフレッシュさがあって。それが絶妙なバランスなので、愛おしくなる気持ちと、頼りになる気持ちと、どちらも湧いてくるから……（悶絶しながら）もう～～って感じです（笑）。

日向：ななこは、良い意味ですごく自信に満ちあふれてるんですけど、それは、自分のなかで不安要素がなくなるまで、きっちりと練習をしてきてるからなんですよね。自分がどれだけやれば安心するかを既に測れているのはえらいし、大人っぽいところがありつつ、しゃべると、妹というか、赤ちゃんみたいでめっちゃかわいいんですよ。しっかりしてて、頭も切れるけど、しゃべるとバブちゃん（笑）っていうのが沼だから、初めての環境に遠慮しないで、たくさんしゃべって、みんなをメロメロにしてほしいなって思ってます。

佐藤：ななこの口から出る発言がすべてポジティブなものなので、すごく頼もしいなって思ってます。昨日も、撮影してくれたカメラマンさんに「どっち向きの顔が好き？」って聞かれたときに、「どっちも」って答えてたんですよ。自分を認めてあげる力も高いし、もともとアイドルファンということもあって、ファンの人たちの気持ちを真っ先に考えて発言できる。ファンの方の気持ちをちゃんと理解しているので、安心して一緒にアイドル担当ができるなって。このグループはアイドルなんだっていうことをシンボル付ける、象徴みたいになってほしいし、なれると思ってる所存でございます。

香山：私も（佐藤）まりあちゃんと一緒にアイドル担当としてやっていきたい気持ちです。

佐藤：ぱちぱちぱち。足りてなかったんですよね、今まで。

奥津：待て待て。嘘だろ？

日向：私たち、アイドルだと思われてなかった（笑）？

「オリジナルメンバー3人での変顔ショットです。新メンバーの前ではしっかりしようとしてるんですけど、3人で集まると自然とふざけちゃいます（笑）」（奥津）

たくさんの人にフィロソフィーのダンス愛を伝えたい

――新体制となったフィロソフィーのダンスはどうなっていきそうですか？

奥津：オーディションの審査員として、素敵な候補者の皆さんと接していくなかで、いろいろな可能性を考えて。フィロソフィーのダンスの未来を考えたときに、一番明るいものを想像することができたのがこのふたりでした。ののとななこには、自分のなりたい姿、自分のキャラクター、自分らしいものを見付けていってほしいなと思います。今は、フィロソフィーのダンス第2章として、全員が思いっきりこの場所を楽しめたら、何か面白いことが起きるんじゃないかなって思ってます。

佐藤：「新しいフィロソフィーのダンスが気になる」って言ってくれてる人が増えているんです。アイドル界でもっと知ってもらって、さらにジャンルの垣根を越えて、もっといろんな人に出会えるようなグループに、ふたりが導いてくれると思います。

日向：ののはすごく謙虚なんですよね。こんなにかわいいのになんで自信がないの？　っていうくらい。そのギャップが魅力でもあるんですけど、フィロソフィーのダンスの活動を通して、いつか褒められたときに「でしょ！」って言えるぐらい、自信に満ちあふれた子になってほしいなとも思います。その自信は、経験と時間を積み重ねていくなかで自然と得られるものだと思うから、このグループで経験を積んで、幸せで心が満たされて、気付いたらあんなに謙遜していたののが「だって私、かわいいもん」とか、「だって私の歌、最高じゃん」って口から出るようになってくれたらすごく良いなって思ってます。

ななこは逆に、にじみ出る自信でキラキラしているところや、芯の強さが魅力。これからいろんな経験を積んで年を重ねることで、強さだけじゃなく、しなやかな優しさも手に入れたら、最強になっちゃうんじゃないかなと思っています。ななこからその両方が見られるようになるのが楽しみです。

「5人で初のYouTube生配信後、コメントを読み返しているところです。コメント欄が、のののメンバーカラーの緑色と、ななこの紫色のハートであふれかえっていて、本当にファンの皆さんが温かくて、『うれしいね』って話しながら読んでました」（佐藤）

――新メンバーのふたりからも意気込みをお願いします。どんなグループにしていきたいですか？

木葭：私はもともとすごくネガティブ気質で、自己肯定感も低くて、根暗な感じなんですけど、オーディションの最中に、『Love 4 You TOUR 2022』のツアーファイナルを見学させてもらった際に、皆さんがすごく明るくて、楽しくパフォーマンスしていて。私もあの輪のなかに入りたいって強く思ったことを覚えてます。私も観てる人を楽しくさせるような、明るいパフォーマンスができるように、頑張りたいと思います。

香山：私自身が2年前ぐらいにフィロソフィーのダンスを知ったときに、「何でもっと早く知れなかったんだ」って後悔したんですね。

奥津：あははは。オタクの言葉。

香山：きっとまだ出会ってない、将来ファンになる人たちもきっと出会ったときにそう感じると思うので、そんな方々とも早く出会えるように、もっとたくさんの人にフィロソフィーのダンス愛を伝えて、知ってもらえたらなって思ってます。

木葭：そうだね。私もフィロソフィーのダンスがずっと大好きで憧れだったので、もっともっとたくさんの人に知ってもらいたくて。その分、やっぱり頑張らなきゃなって思ってるし、たくさんの人に愛を届けることができて、たくさんの人から愛をもらえるようなグループになったら良いなと思います。

「これは腹筋をしております。私の衣装はお腹が出るので、初めてのアーティスト写真撮影のときに少しでもお腹が締まって見えますように、と。『細くなれ！　細くなれ！』という願いを込めて（笑）、撮影直前までやってました」（木葭）

――おふたりとも、もともとフィロソフィーのダンスのファンだったんですね。

木葭：私は以前、別のグループでアイドル活動をしていたことがあるんですけど、もっといろんなアイドルグループのことを知らなきゃと思って、いろいろなアイドルさんを見ていたときにフィロソフィーのダンスに出会いました。R＆Bやファンク、ソウルとか、楽曲がおしゃれで、（小さな声で）ちょっと変な振り付けもあって……（笑）。ほかのアイドルグループとはひと味違うカッコ良さが素敵だなと思ったし、コンセプトなどすべてがどタイプで。結局、所属していたグループは解散することになったんですけど、今こうして、あのときに見ていたグループに入れてるっていうのが、ちょっとまだびっくりしてます。

香山：もともと曲が良くて、カッコ良いアイドルが好きだったんですけど、『RAGAZZE!』という番組で「ダンス・ファウンダー」のパフォーマンスを見たことがきっかけでフィロソフィーのダンスを知りました。曲がカッコ良くて、好みだったので、そこから好きになって。それで、フィロソフィーのダンスのレギュラーラジオを聞いて、メンバーの皆さんの人としての面白さにも惹かれていきました。

「2022年11月、日比谷野音のバックステージでの写真です。私たち新メンバーがお披露目されたライブだったので、終わったあとヘアメイクさんが『初ライブの記念に撮るよ～』って言って撮ってくださいました」（香山）

――当時、そのラジオ番組の悩み相談コーナーで、香山ななこさんからのお悩みを取り上げたことがあったんですよね？

奥津：カオス回だったんですよね……。毎回、メンバーの誰かが“占いの母”に扮してお悩み相談に答えるというコーナーがあって、普段は私と誰かのふたり体制で放送していたんですけど、その日は4人の全員集合会で、占いの母が4人集合するっていう（笑）。

香山：アイドルになりたいという私の相談に、「まだまだ時間があるからそんなに焦らなくて良いよ。何にでもなれるから大丈夫だよ」って言ってくれました。あと、レモネードが好きって言ったら、（元メンバーの十束）おとはちゃんに、「朝の9時にレモネードを飲めばアイドルになれるよ」って言われて。それで、家にあった柚子蜜でレモネードみたいなものを作って飲んだら、アイドルになれました。

佐藤：あはははは。見えてたんだね。

日向：あははは。ほんとにごめんね。真剣に相談してくれたのに。でも、無事にアイドルになれて良かった。

奥津：当たってたからね、すごいね。

またここからフィロソフィーのダンスの快進撃が始まる

――2023年1月10日、放送中のTVアニメ『あやかしトライアングル』のオープニングテーマとして書き下ろされた新曲「熱風は流転する」が配信リリースされました。

TV アニメ「あやかしトライアングル」ノンクレジットOP映像｜フィロソフィーのダンス「熱風は流転する」

木葭：アニメのヒロインの花奏すずが主人公の風巻祭里と、ただの友達じゃなくて、一歩先の関係に進みたいと願うような乙女心だったり、少し大胆で欲張りなところなど、恋する女の子の気持ちを盛り込んだ曲になってます。

香山：今、ちょうどダンスを練習中なんですけど、今までのフィロソフィーのダンスになかった、食べちゃいたくなるようなかわいい女の子をテーマに振り付けをしてくださっていて……。

奥津：待て待て～！

日向：今までもかわいい振りはあっただろう！

香山：かわいくて、カッコ良いところもある曲になってます。

奥津：ななこのセリフも聞きどころです！

香山：「好きな人の耳元で囁くように言ってください」って言われて。

日向：エッチなディレクションだ（笑）。

香山：レコーディングのときはかわいい感じでやりました。自分的には“♪私欲張り甘えたい”っていうところも、楽器の音がなくなって、カッコ良い決めパートだと思ってるので、ライブでもキメキメにしたいなと思ってます。

「アーティスト写真を撮影したときに、メンバー全員と記念写真を撮ろうということになって、これはハルちゃんとの初2ショットです。それぞれ衣装のデザインが違っていて、私の衣装はたくさんのお花がガーリーな感じでお気に入りです」（香山）

佐藤：頼もしいね。まずは、新体制一発目で、TVアニメのオープニングテーマに選んでいただけたことが本当に光栄です。バトルとラブコメが入り混じった作品なんですけど、手に汗握るカッコ良いところと、キュンとするかわいい部分をこの楽曲でも出せてたら良いな。キャラクターになりきって、ちょっとかわいい感じで歌ってみました。このアニメを楽曲の面からも盛りあげたいですし、アニメファンの方々にも届くような1曲になったら良いなと思っています。

日向：アニメのオープニングテーマを歌うのは今回が初めてなんですよ。とってもうれしかったんですけど、5人の歌声が揃ったときにどうなるかわからないというタイミングだったので、プレッシャーもありました。それが、完成した曲を聴いたら、「そんな心配いらなかったじゃん！」って思わせてくれたぐらい、新メンバーふたりの歌声がとても素晴らしくて。オーディションのときと比べてもギュインギュインと成長してくれてるので、こんな一面もあったんだ！　とすごく楽しめると思います。

あと、事前に『週刊少年ジャンプ』（現在は『少年ジャンプ＋』）で連載されていた原作漫画を読ませていただいて、イラストの繊細さと大胆さが印象的だったので、繊細で大胆っていう二面性を歌でも表現したいと思いました。いつも以上に細かいところに気を付けて歌ったんですけど、レコーディングのときにディレクターさんから「少年ジャンプの主人公感を全開にしてください！」って言われて。前から、「ハルちゃんの声は『少年ジャンプ』に載ってるマンガの主人公っぽい」とよく言われていたんですけど、今回はいつにも増して、“少年ジャンプ感”を前面に出してみました。ラスサビでたくさんがなってるので、そこに注目してほしいです。

「新体制初のアーティスト写真撮影のオフショットです。第2章はイメージを変えたいということで、これまでは色味のある衣装が多かったんですが、初のモノトーン衣装です。いつも持ち歩いてる私のフィルムカメラで撮りました」（日向）

奥津：新メンバー含めて、5人の個性的な歌声を楽しめる曲になってるんじゃないかなと思ってます。ななこは意外と声の芯が太くて強いし、ののはセクシーな女性らしい部分が合ってるなと思ってて。そして、オリジナルメンバーたちも容赦なくブリブリかましてます。『あやかしトライアングル』のなかには、バトルシーンもあれば、お友達との学校のシーンやセクシーシーンもあって。いろんな面があるなかで、私はお色気シーン担当として、思いっきり色気を爆発させて歌わせていただきました。

――2023年は「熱風は流転する」で幕を開けますが、グループとしてはどんな1年にしたいですか？

奥津：またここから、フィロソフィーのダンスの快進撃が始まるんじゃないかなと思ってます。私たちオリジナルメンバーも、新メンバーが入って、ケツを叩かれている気分というか。私たちも頑張らなきゃなって、改めて気を引き締めていますし、チームとしてもすごく士気が高まっている状態です。新しく始まったときの勢いをなくさずに、いろんなイベントやフェスにもどんどん出ていって、大きい会場でのワンマンライブ開催を目指して頑張りたいです。せっかく始まった第2章なので、アイドル界に“熱風”を巻き起こしていきたいと思います。

文・取材：永堀アツオ