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連載Cocotame Series

Eyes on

ももすももす:移籍第1弾シングルから始まる新たな戦い

2023.01.13

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今、注目すべき旬のアーティストにスポットを当て、最新インタビューとプライベートショットで素顔に迫る連載「Eyes on」。

今回は、TVアニメ『魔王学院の不適合者 Ⅱ ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~』のエンディングテーマ「エソア」をリリースするももすももすが登場。ハイトーンボイスが印象的なシンガーソングライターが、今回、レコード会社を移籍するまでの経緯や、音楽活動への想いを語る。

  • ももすももす

    Momosumomosu

    1995年9月11日生まれ。埼玉県出身。2015年、“ももす”として作詞作曲を手掛け、ロックバンド、メランコリック写楽でボーカル、ギターとして音楽活動を開始。2018年より“ももすももす”名義でソロ活動をスタートさせ、2019年2月、「木馬」(日本コロムビア)でメジャーデビュー。2020年3月、1stアルバム『彗星吟遊』を発表。2023年2月15日、レコード会社移籍第1弾となるシングル「エソア」をリリースする。

高校時代は恨みつらみを曲にしてました(笑)

――ももすももすさんが音楽を始めたきっかけから教えてください。

中学生のときにギターを弾き始めたのがきっかけで、そこから音楽を作り始めました。なんでギターを弾き始めたのかっていうと、当時、学校で楽器がすごく流行っていて、私も憧れて。もともと3歳からピアノをやっていたんですが、クラシックしか弾かせてもらえなかったので、あんまり楽しくなかったんです。でも今は、作曲にすごく役立っているので、ピアノを弾くのも楽しくなりました。

ももすももすが公園でミットを手にしゃがんでいる写真

「中高とソフトボールをやっていたので、今でもときどきキャッチボールをします。当時のポジションは、すごい弱いピッチャーでした(笑)」

――歌うようになったのはいつごろからなんですか?

実際に歌い始めたのは高校生になってからですね。そのころボーカロイドが流行ってたので、ボーカロイドの曲を中心にカバーをしていました。DECO*27さんとか、ピノキオピーさんがすごく好きでしたね。あと、これは、ほとんど誰にも言ったことないんですけど、“弾いてみた”を、顔を出さずにニコニコ動画で公開したことがあって。そしたら、私、手が大きいので、コメントに「男だろう」みたいに書かれてしまって。それ以降、“弾いてみた”動画はやめてしまいました。

――当時からバンドを組んだりしていたんですか?

はい。高校の同級生と一緒にバンドを組んでました。そのバンドが解散したあとに、メランコリック写楽というバンドを組んで、本格的に音楽を始めた形になります。

――高校時代の最初のバンドではどんな音楽をやっていたんですか?

人への恨みつらみを曲にしてました(笑)。そのときは世の中すべてを憎んでいて、人生に何ひとつ良いこともなくて。これを歌にして、誰かに届けるしかないと思ってたんですけど、自分の声質が原因なのか、そういう想いはなかなか届かなくて。

当時から今に至るまで、People In The BoxやSyrup 16g、ART-SCHOOLが大好きで、そういう感じのロックバンドをやっていたんですけど、何を歌っても「かわいい歌だね」としか言われなかったですね。「あ、私にはこういうロックは向いてないんだ」と思ったし、あと、私の声が“かわいい”と認識されていることを知って、そのバンドはやめました。

もすももすが蕎麦を前に微笑んでいる写真

「近所にあるお気に入りのお蕎麦屋さんで、大好きな胡桃蕎麦を食べるところです。お蕎麦を食べに行ったときは必ず写真を撮るようにしています」

――メランコリック写楽での活動は、ご自身にとってはどんな日々でしたか?

たくさん遠征に行ったり、深夜まで練習したり、バンド内でいろいろな話し合いが行なわれたり、スタジオ終わりにご飯に行ったりとかして……青春でしたね。

――惜しくも2年8カ月で解散してしまいましたが、それはどんな経緯だったんでしょうか。

私が心を病んでしまって。スタジオに行ってもどうしても声が出なくなってしまったんです。それで私が脱退することになり、解散に至りました。

――その後、ひとりで歌い始めたのはどうしてですか?

やっぱり音楽をやめられなくて。今まで作ってきた曲や積み重ねてきたものがあったし。当時、大学に通っていたんですけど、親には「大学を卒業するまでに音楽で成功するきっかけがつかめなかったら就職する」と言っていて。そんななかで、「音楽をやらないか」ってお声掛けいただいたので、そう言ってくれる人がいるなら、私は音楽をやるしかないって思いました。

――2019年2月にシングル「木馬」でももすももすとしてメジャーデビューを果たし、2020年3月に1stアルバム『彗星吟遊』を発表しています。

これは、ベーシックを宅録で作って、クレジットで表記されている以外は全部自分で演奏しているので、ほとんど自分ひとりだけで作ったアルバムだなって思います。自分の好きな音色が詰まっていますし、今、『彗星吟遊』みたいなものを作ってって言われても作れない。当時の私のそのままを表わしている、写真のアルバムみたいな作品になってますね。

ももすももすが白のニットを着て部屋にいる写真

「私の宅録部屋です。いつもここで曲を作ってます。目の前には、今までリリースしたCDを飾っています」

――今、振り返って見ると、当時のアルバムはどのように見えますか?

がむしゃらな感じがします。今もがむしゃらに生きているんですけど、まだ世界がすごく狭くて、子どもだったなって思います。そのアルバムを作り終えたあと、「私はこのあと何をしたらいいんだ……」って放心して。しばらく燃え尽き症候群になって、ちょっと悲しい時期がつづきました。

――ちょうどコロナ禍にも入ってしまったので、ライブもできなかったんですよね。

そうですね。インストアライブをやる予定だったんですけど、それが全部なくなってしまって。家で自分で『彗星吟遊』の収録曲をアレンジして、絵を描いて、YouTubeにアップしたりしていました。ひとりでコツコツやる活動が多くなって、より内側に内側に自分の気持ちが向かっていって。でも、それはそれで、動画の編集ができるようになったりとかして、良い機会だったなって思います。

ももすももすが襟に大きなフリルついたブラウス着て髪を三つ編みにしている写真

「『宵町花』のギターを自宅で録音したときのものです。弾き終わって、『やってやったぜ!』という気持ちでピックをくわえてみました(笑)」

音楽は人間関係と一緒

――ソロデビューからの2年間はどんな日々でした?

もう音楽なんて嫌だってなるときもあれば、もう音楽しかないんだなってなるときもあって。音楽をやめたら自分はどうなるんだろう? って考えることもありました。音楽は、自分を支えてくれるものでもあるし、自分を傷付けるものでもあるし、人間関係と一緒だなと思いました。やっぱり仕事で音楽をやるってなったら、たくさん傷付くこともあるなっていうのが、感想としてあって。それに、自分と戦っていかなきゃ、音楽は作れないし……。

――それほどの覚悟をもったのはいつごろですか?

2022年の1年間は、私、新作をリリースしていないんです。というのも、1年間ものすごく悩んで。音楽を作っても作っても世の中に届けられない。でも、いつか必ず日の目を見る、光はきっとあると信じて生きてきたなかで出した結論です。……全然関係ないんですけど、この間、サッカーのワールドカップで日本代表のコスタリカ戦とスペイン戦を見てたときに、本田圭佑さんの解説を聞いて、ものすごく元気が出て。“本田圭佑 名言”で検索したんですよ。そしたら、「サッカーがすべてじゃない」っていう言葉が出てきて。それを見て、確かに“音楽がすべてじゃないな”と思って。私、今まで、四六時中音楽のことしか考えてこなくて。ほかに趣味もないし、ゲームもやらないし、絵も描かないし。音楽でダメだったら、この人生終わりだって思ってたんですけど、そんなこともないのかなって思うようになったんですね。それで、これからは楽しんで音楽をやろうと思うようになりました。

――かなり最近の話ですね(笑)。

そうなんです。結構、最近の話です。本田圭佑さんのようには私はできないかもしれない。でも、少しは気持ちが楽になりました。

――音楽以外に趣味がないとのことですが、音楽以外で好きなものは何もないんですか?

猫とお笑いですね。以前は、宇宙に興味があったんですけど、宇宙はもう自分の身体の一部みたいになってしまって。この世には自分ひとりしか生きてないんだっていう気持ちで生活するようになってから、宇宙への興味もなくなってしまいました。

――“自分ひとりしか生きてない”というのはどういうことですか?

私はいつも人と比較して、「また、ダメな自分だ」とか、「人に嫌われた」とか、「嫌味を言われた」とか思ってしまうんです。だから、「いや、そんなことはない。全員ステルスで誰も存在してないんだ」って考えるようにして。もう、宇宙のなかにたったひとりしかいない人間なんだって思うようになってから、宇宙も自分の身体の一部のようになりました。

――それはかなり孤独で、寂しさを感じませんか?

寂しいです。でも、猫が2匹、毎晩横で寝てくれるんで、大丈夫です。

ももすももすと青い目の白猫の写真

「2匹いるうちの1匹で、アルテミス・10歳です。名前は『美少女戦士セーラームーン』からとりました」

――お笑い好きというのは?

お笑いって音楽に近いものがあって。お笑い芸人さんってみんな売れたいと思ってるじゃないですか。音楽家もみんな売れたいじゃないですか。……みんなかどうかはわからないけど、私は売れたいんですよ(笑)。売れたいし、人生を変えたいし。ウルフルズの曲に乗って『M-1グランプリ』の過去のシーンが流れるプロモーション動画を見て、「あ、これだ!」と思って。

――(笑)それでした?

私、このマインドで音楽やってるんだ、と思って。

――ももすももすさんの、文芸少女で猫好きのイメージからは想像がつかないです。

お笑い芸人さんも売れたい気持ちがありながらも、毎日、「売れたい、売れたい」って言うわけじゃないし、売れなくても明るく頑張っている方が多いじゃないですか。そこをすごく見習いたいなと思って。かなり影響を受けてます。

――芸人同様、心のなかではいつか天下を取るっていう気持ちで音楽をやってるんですね。

はい。ライブも、ツアーで全国を回りたいですし。周りと比べて、私は全国ツアーもやってないし、まだワンマンライブすらできてないので、すごく落ち込んだりするんですけど、いつかは絶対やるんだ! っていう気持ちでやっています。

――理想の音楽家像として、ご自身はどうなりたいですか?

何でもやりたいし、何でもできる人になりたいです。私は歌がそんなに上手なタイプじゃないんですけど、みんなに愛してもらえるような音楽を作っていきたいし、それに見合った活動をしていきたいと思ってます。

意味のわからない歌詞をたくさん書きたい

ももすももすがマイクを手に上を向いている写真

「2022年に出演した、渋谷duo MUSIC EXCHANGEでの対バンライブのときの写真です。『シャボン』の一番盛りあがるところを熱唱してます」

――今回、エピックレコードへの移籍が決まったことはどう感じました?

第3の人生が始まったんだと思いました。

――第1がメランコリック写楽、第2が日本コロムビア時代で、第3が始まったと。第1と第2はどんな時代で、第3の時代はどうしていきたいですか?

第1は青春時代で、ただただ楽しんでました。インディーズだったので、好き放題に音楽を作ってたんですけど、第2の時代はメジャーデビューしたので、たくさんの人に響く音楽を作っていこうとか、いろんなことを考えて。あと、ほとんどが宅録で、ドラムも全部自分で打ち込んでいたんですけど、第3の時代は、いろんな人の手を借りながら、自分の殻を破って、いろんなことに挑戦したい。明るく元気に健康的に音楽をやっていきたいなと思います。

――自分の殻を破るとは?

例えば、“自分はダメだな”とか、“自分は弱いな”とか、“こういうことやったら人に嫌われるんだろうな”とか、人の目を気にする自分を忘れて、思いっきり自分のやりたい音楽をやりたいです。これからは、今までの作り方の固定観念を崩して、ジャンルにもこだわらず、自分の声にあった曲を作っていきたいし、ワンマンライブがしたいです。

――自分のやりたい音楽というのは?

すごく意味のわからない歌詞をたくさん書きたいです。

――(笑)。それはどうしてですか? たくさんの人に聴いてもらいたいという気持ちもありつつ、誰にでもわかるような歌詞は書きたくないってことですよね。

誰も傷付けたくないからです。歌詞に意味を持たせると、どこかで誰かを傷付けてしまうと思うんですね。でも、私にしかわからない歌詞を書けば、誰も傷付かないじゃないですか。だから、聴いた人が『どういう意味だろう? これ』って考えるような歌詞を書くほうが、私は好きです。

――移籍第1弾として、TVアニメ『魔王学院の不適合者 Ⅱ ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~』のエンディングテーマを歌うことになったときはどんな心境でしたか?

ものすごくうれしかったし、ここで報われたいなって思いました。発表できるまでの期間、ものすごく辛くて。決まっているけど、なかなか前に進めない。この期間がものすごく辛かったんですけど、やっと皆さんに発表することができてうれしいです。プレッシャーもあるんですけど、なるべく楽しく戦って、健康的に音楽をやっていけたら良いなと思います。

ももすももすが「水曜定休日」と書かれた店のシャッターの前で微笑んでいる写真

「浴衣を着付けてもらって、川越の街を散策しているときに撮りました。なんか、良い文字だなあと思って。2023年は水曜定休にしたいと思います(笑)」

――意味のわからない歌詞を書きたいとありましたが、アニメ作品のタイアップで書き下ろしの曲を作る難しさはありましたか?

難しかったんですけど、楽しかったです。戦いがメインのアニメで、私も日々、自分と戦っているので、自分とリンクするような歌詞が書けたので良かったなって思います。

――アニメ作品とご自身でリンクした部分というのは?

孤独だったり、あらゆる理不尽と戦っていくところとか。私も今まで理不尽なことがたくさんあって。高校時代に、この世の中を恨んで曲を書いたりしていたのは、そういう理不尽さに対する思いが私の心のなかにあったからで、それを慰めるような気持ちで書いていました。あと、聴いてくれる人の心のなかの悲しみが少しでも癒えたら良いなという想いも込めてます。

――「エソア」というタイトルにはどんな意味があるんですか?

絵空と愛で「エソア」です。造語です。

――絵空事というのは、“この世にはありえない”愛ということですか?

そうですね。この世にはありえないかもしれないけど、信じていればいつか手に入る愛ですね。信じていたら、きっと報われるっていうふうに思ってもらえたら良いな、と。そこが一番自分に言い聞かせていることでもありますね。

――楽曲が完成して、ご自身ではどんな感想を抱きましたか?

ホッとしました。まだ曲が作れるんだって。私、1曲できたら、“次、できなかったらどうしよう”って思っちゃうタイプなので。今も、次のことを既に心配しています。

――それはきっと、ずっとつづきますよね。

はい。永遠につづくので、やっぱり曲作りは自分との戦いなんだなって思います。

――またここから戦いが始まりますね。

そうですね。新たな一歩だと思うし、『魔王学院の不適合者 Ⅱ』と一緒に私も戦っていきたいなと思います。でも、私はプレッシャーに弱いので、怖いです。アニメが放送されるのは楽しみなんですけど、たくさん聴いてもらえるかが怖い。でも、たくさん聴いてもらわなきゃ困るので(笑)、頑張ります。

文・取材:永堀アツオ

リリース情報

「エソア」
2023年2月15日(水)リリース
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