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連載Cocotame Series

アーティスト・プロファイル

メンバー4人で開くBLUE ENCOUNTの新たな扉【後編】

2023.02.08

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気鋭のアーティストの実像に迫る連載企画「アーティスト・プロファイル」。

今回は、新作ミニアルバム『Journey through the new door』を発表するBLUE ENCOUNTへのインタビュー。今年春からの日米2拠点活動を宣言し、新たな地平へと向かう彼らの想いを聞く。

後編では、『Journey through the new door』誕生の裏側と、ブルエンというバンドの本質に肉薄する。

BLUE ENCOUNプロフィール画像

BLUE ENCOUNT ブルーエンカウント

(写真左から)田邊駿一(Vo、G)、江口雄也(G)、高村佳秀(Dr)、辻村勇太(B)。熊本発、都内在住4人組。2014年9月、EP『TIMELESS ROOKIE』でメジャーデビュー。ドラマ『ボイス 110緊急指令室』主題歌「バッドパラドックス」、アニメ『僕のヒーローアカデミア』オープニングテーマ「ポラリス」などのヒット曲多数。2月8日、ミニアルバム『Journey through the new door』をリリース。2月11日には、日本武道館公演『BLUE ENCOUNT TOUR 2022-2023 ~knockin' on the new door~ THE FINAL』を開催。また、3月31日公開の映画『映画刀剣乱舞-黎明-』主題歌に、新曲「DESTINY」が起用されることが発表された。

ありのままの俺たちを見せた2022年

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前編からつづく)日米2拠点活動――彼らがこうした異例の選択をできたのは、周りのスタッフの理解によるところもきっと大きいだろう。だが、当然ながら、彼らがこの9年間に築きあげてきた信頼や実績がなければ、そして世に送り出した音楽が多くの人々に認められ、求められていなければ、どんな未来を描こうとも絵空事に終わったかもしれない。BLUE ENCOUNTだったら大丈夫、この4人の進む先が見たい、そう思わせる力を今の彼らが宿していることは、2月8日リリースのミニアルバム『Journey through the new door』にも明らかだ。

BLUE ENCOUNTが選んだ新しい未来の形について発表があったのは2022年6月のこと。田邊駿一や江口雄也がそうだったように、ファンにとってもそのニュースは驚きだっただろう。バンドに何が起こったのか、このまま年内の活動もおぼつかなくなるのではないかと危惧した人も少なくないはずだ。

しかし彼らはそうした世の中の懸念を良い意味で裏切ってくれた。6月の「青」を皮切りに、8月には「終火」、9月には「Z.E.R.O.」と立てつづけに新曲を配信リリース。夏フェスに2マンにとライブ出演を重ね、さらにはツアー“BLUE ENCOUNT TOUR 2022-2023 ~knockin' on the new door~”も開催し、未来に向かって歩みを止めない勇姿を各地で見せつけたのだ。『Journey through the new door』の宣伝用キャッチコピーには「激動の2022年に生まれた次の道筋を照らす5曲をコンパイル!“今まで”と“未来”に捧ぐ、新たな扉を開くミニアルバム!」とあるが、まさに激動と呼ぶにふさわしい日々の研鑽と、未来への覚悟と希望が、この作品には詰め込まれている。

「自分たちでもびっくりするぐらい、2022年はあっという間だった気がします。6月に自分たちの未来を発表することができて、自分たちが今まで抱えてきたものも、一人ひとりの想いも、ちゃんと世の中に伝えられたことで僕たち自身も安心しましたし、隠すものが一切なくなったことで、ここからはありのままの俺たちを見せる2022年にしようと、思いっきり走れましたね。なんと言ってもこの1枚がその証拠になっていると思います」(田邊駿一)

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今作を生み出すにあたって軸となったのは、「俺たちって何?」「自分って何?」という自身への問いだったと田邊は語る。実のところ、そうした問いを投げかけられるのはあまり好きではなかったと言う。そんなことより、とにかく自分たちが良いと思うものを作りつづけようとここまでひたむきに走ってきた彼が、今あえてその問いに向き合いながら曲作りに臨んだのは、やはり新しい未来へと踏み出すためなのだろう。自分の足元を今一度見つめ直すことで、踏み出す一歩を確かなものにしたかったからではないか。

「そうですね。未来に向かうと言っているのに、自分自身の舵が取れていなかったらどこにも行けないな、っていう気持ちがあったので。今、自分が乗っているのはどんな船なのか、ここでちゃんと理解した上で、その先のいろんな場所に進んで行きたいなって思ったんです。今までだったら“自分とは何か?”なんてことに向き合うのはイヤだったんですよ。意図せずそうなったことはありましたけど。

でも今回は、あえて自分から向き合ってみることにしたんです。バンドの想いをすべてみんなに伝えることができたからこそ、ここで向き合わないなんてちょっと良くないなとも感じましたし、そうやって晒け出した上で自分が何を歌えるかっていうところにもすごく興味があったんですよね。そしたら『青』という曲がまず生まれて。あの曲ができたおかげで、さらに自由に、自分の気持ちに嘘をつかず曲を作れたというのがすごくデカいです」(田邊駿一)

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ようやく求めていたパーツが全部揃った

2022年にリリースした前述の3曲と今作のために作られた新曲2曲で構成される『Journey through the new door』。とりわけ出色なのはラストを飾る新曲「DOOR」だろう。

「この曲ができたからこそミニアルバムとして完成したと思っていて。この曲ができるまではアルバムというより、1曲1曲を寄せ集めたものという感じだったんですよ。もし、その状態でタイトルをつけなくちゃならないとしたら、めちゃくちゃ難しかったと思うんです。でも『DOOR』が生まれたことで、ちゃんとアルバムタイトルとしてこの名前を冠することができました」(江口雄也)

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スケジュールのギリギリまで粘り、最後の最後に完成した「DOOR」。それが昨年11月のことだというから、その産みの苦しみたるや、推して知るべし。

「インスピレーションが浮かんでこなかったんですよね、何も。たぶん『青』という曲でこれまでで一番自分と向き合ったからこそ、そうなっちゃったんだと思うんですけど。これはもう絞っても絶対に出てこないだろうって諦めかけていたとき、ちょうど11月の頭だったんですけど、憧れのELLEGARDEN先輩のワンマンライブを観させていただいたんです。それが、超マニアックなセットリストだったんですよ。僕みたいな大ファンからしたら全部がメイン曲なんですけど、観る人によってはポカーンとしてしまうような、知る人ぞ知る選曲なのに、それが本当に最高で。何よりも高校時代にエルレに出会ったときの少年の僕がそこにいたんですよね。

で、その次の日に浮かんだのが『DOOR』だったんです。取材中に、エルレを観たという話をしていたら、それが終わって次の取材までの合間にパッとメロディが浮かんできて。急いでMP3に吹き込んだものを次の日、スタジオで一気にワンコーラスぶん作りあげたんです。普段だったらまず、みんなに聴かせて、良いかどうかを判断してもらうんですけど、この曲の場合はもう“これがイチオシです”って先に言って渡したくらい(笑)。それだけ手応えがあったんですよ」(田邊駿一)

「聴いた瞬間、5曲目にこういう曲が来てほしいなって漠然と思っていたイメージにポンとハマったんですよね。ようやくこのアルバムに求めていたパーツが全部揃ったっていう感覚がありました。“ああ、この曲だったんだ!”みたいな」(高村佳秀)

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現実に打ちひしがれそうになっても「それでも夢は自分次第なんだ」と己を鼓舞し「一緒に行こう」と聴く者にてらいなくその手を差し出す、確かな強さと温もりをたたえた歌詞。自分自身に語りかけながら、目の前にいるあなたたちもひとり残さず次の未来へ連れていく、そんな覚悟にも似た想いと、BLUE ENCOUNTを支える一人ひとりへの慈しみがこの歌詞には溢れている。田邊の、ソングライターとして新たな扉が今まさに開かれようとしている、そんな予感がしてならない。

「この歌詞に関しては今までの自分に向き合って、未来の自分のドアノブに手をかけたっていう感じがするんですよ。こういう歌詞、初めて書けたなっていう感覚があったというか。これをずっと待っていたって思うような言葉が次々に頭のなかに降りてきて、待っていたんだけど、ある意味、当たり前のように書いていった気がするんですよね。

昔だったら、ただ“頑張れよ”って言ってるだけだったと思うんですけど、今回改めて“BLUE ENCOUNTってなんだ?”って自分に問いかけたときに“一緒に行こうぜ”って言えるバンドになりたいんだなって思いました。別に僕らが引っ張っていくとかじゃなく……一緒に行きたい場所がある、みたいな感覚に近いんですけどね」(田邊駿一)

いろんなジャンルの曲を作りたい

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ちなみに辻村勇太は、今作のレコーディングに早くもリモートで挑んだという。ブルエンの未来への試みは既に始まっていたのだ。

「リモートでのレコーディングをやり始めたのが『青』からなんですよ。つまり、『Journey through the new door』は、リモートという手法で作った曲をひとつにまとめた作品とも言えるんですよね。それをあえて大々的に謳わず、知らずに聴いた人にどのように伝わるのかすごく気になる作品でもあるんです、僕としては。

今までと同じくらい、もしくはそれ以上に伝わったとしたら、この先リモートでやっていくことに対してもより自信がつきますし、そういう意味でも楽しみです。自分自身、このミニアルバムを作った上でさらにBLUE ENCOUNTとして良い曲ができそうだなっていう未来も感じましたし。日本を離れて生活を始めたら、また感じるものも変わってくると思うんですよ。これができたことでさらにワクワクを実感しているんですよね」(辻村勇太)

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さて、BLUE ENCOUNTは来年、2024年にいよいよデビュー10周年のアニバーサリーを迎える。永遠のルーキーを標榜しつつも、今や中堅バンドの枢軸としてその存在感は増すばかり。ライブバンドとしてはもちろん、エンタテインメントとも親和性が高く、圧倒的な熱量とドラマチックかつハイレベルなクオリティを有する彼らの楽曲は、アニメやドラマ、映画などにおいて常に引く手あまただ。3月31日に公開される『映画刀剣乱舞-黎明-』の主題歌に、書き下ろしの新曲「DESTINY」が起用されるというニュースも届いた。ブルエンというバンドに課されたイメージ、求められているものに対して、彼らはどんなスタンスでいるのだろうか。

「ここ数年は意識してないかもしれないです。というのも、僕らはいろんなジャンルの曲を作りたいんですよ。“僕ららしい曲”ではなく、あんな曲もこんな曲も作ってみたい。それで世界のトップを獲れるようなものができたら最高だな、みたいな欲求のほうがとにかく強いので、求められるものに応えようとか、そういう感覚が良い意味であまりないんです」(高村佳秀)

「昔はバンドマンがテレビに出たりタイアップがついたりすると『カッコ悪いな』とか言われがちな風潮もありましたけど、僕らはまったくそんなこと思ってなくて。僕自身、テレビもラジオも大好きだし、出たいし、知ってもらえるきっかけがあるなら、どこでだって自信を持ってやりたいです。

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例えば『バッドパラドックス』はドラマの視聴率が高かったこともあって、今までブルエンを聴いてなかった方にも聴いてもらえてるっていう実感が如実にあった曲なんですよ。メディアミックスじゃないですけど、いろんなものが相乗効果となってこんなふうに楽曲が盛りあがるんだなって。バンドとして初めてプロデューサーさんとタッグを組んで、新たな一面を引き出していただいた曲でもあるんですけど、そういう意味でも世界がより広がりましたね。

BLUE ENCOUNT 『バッドパラドックス』Music Video【日本テレビ系土曜ドラマ「ボイス 110緊急指令室」主題歌】

タイアップのお話をいただくときのオーダーも、今までだったら“『もっと光を』みたいな曲を作ってください”ってよく言われていたんですけど、最近は“『バッドパラドックス』みたいな曲をお願いします”とかどんどんバリエーションも出てきて。それって代表曲が増えてるってことじゃないですか。『ポラリス』もアニメのおかげで世界的に聴いていただけたり、ホント夢があるなと思いますもん。

BLUE ENCOUNT 『ポラリス』Music Video【アニメ『僕のヒーローアカデミア』第4期オープニングテーマ】

何年経とうと、自分たちが歯車を回しつづけていれば新しいチャンスを掴めるし、どんなイメージの曲でも、この4人が作ったものならBLUE ENCOUNTだよって胸を張って言える。これからもそうやって進んでいくつもりです」(田邊駿一)

文・取材:本間夕子

リリース情報

『Journey through the new door』ジャケット写真
(通常版)

『Journey through the new door』
2023年2月8日(水)リリース
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