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アーティスト・プロファイル

日本人声優初! マルチリンガルアイドル、天城サリーが挑戦する2言語キャスト【前編】

2023.02.14

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気鋭のアーティストの実像に迫る連載企画「アーティスト・プロファイル」。

今回登場するのは、デジタル声優アイドル、22/7のメンバーであり、さまざまなアニメ作品に参加している天城サリー。現在、世界各国、各地域で放送、配信中のアニメ『トモちゃんは女の子!』では、キャロル・オールストン役を日本語版、英語版同時に担当するという、日本人声優としては初の試みに挑戦。マルチリンガルをいかしてグローバルに活躍する彼女に、今の想いを聞く。

前編では、キャロル・オールストン役で日英同時2言語キャスト担当する『トモちゃんは女の子!』の舞台裏を語る。

天城サリープロフィール画像

天城サリー Amaki Sally

4月26日生まれ、アメリカ・ロサンゼルス出身。2016年12月24日よりデジタル声優アイドル22/7のメンバーとして活動。グループでは、キャラクターメンバー・藤間桜を務める。同時期より、声優としてもアニメやゲームなどで幅広く活躍。放送、配信中のアニメ『トモちゃんは女の子!』日英版の両方で、キャロル・オールストン役を担当している。

天然の“何も考えていなさそう”になるように

天城サリーインタビュー画像1

アニメ『トモちゃんは女の子!』で、イギリス出身の女の子、キャロル・オールストンを演じている天城サリー。デジタル声優アイドル、22/7のメンバーであり、マルチリンガルでもある彼女は今、声優として新たな一歩を踏み出している。

出演中のアニメ『トモちゃんは女の子!』の原作は、ボーイッシュな女の子・相沢智(トモちゃん)が、幼なじみの男の子・久保田淳一郎に想いを寄せる恋愛コメディ漫画。日本のみならず世界各国、各地域で人気の作品で、満を持して、2023年1月にアニメ化。それぞれの国や地域で放送、配信されている。

TVアニメ「トモちゃんは女の子!」本PV

この作品で、天城サリーは日本語版と英語版でキャロル・オールストン役を担当。日英2言語をひとりのキャストが担当することは、日本人声優では初めてのことだ。

「キャロル役はオーディションで掴みました。当初から制作スタッフの皆さんは、キャロル役に関しては日本語版と英語版を同じキャストにすることを考えていらして、オーディションは日本語と英語が両方話せることが参加条件だったそうです。オーディション用の台本には日本語のセリフと英語のセリフが書いてあって、私もその両方を演じました。

私は英語で話すときに、どうしても声が低くなっちゃうんですよ。なので、まずはキャロルちゃんの声を日本語で作って、そのあとに英語の声を調整していったので、英語版の収録をするとき、はじめは苦労しましたね」

天城サリーインタビュー画像2

日本語は少ない口の動きで話すことができる言語だと言われている。それに対して、英語は口を大きく動かし、唇や舌を使って発話する言語。息の使い方や発声法が違うため、同じ人がしゃべっていても、日本語と英語では声のトーンが自然と違ってくる。一般的にも、英語をしゃべる声は低くなりがちだそうだ。

「今回、声の参考にしたのは、海外ドラマ『ビクトリアス』に登場するキャット・バレンタインという女の子。シンガーのアリアナ・グランデさんが、すごく高音で浮遊感のある声で演じているんです。アリアナ・グランデさんは、地声は低いんですが、キャットを演じるときは高いトーンにしているんですよね。キャットのキャラクターもキャロルちゃんっぽいなと思っていたので、そのイメージで私もやってみようと思いました」

キャロル・オールストンは、ふわふわした天然の性格で、男子生徒にモテるキャラクター。今回、そのキャラクターを表現するために、天城サリーはかなり試行錯誤を重ねたと言う。

「最初にキャラ作りをするときに、原作ファンの皆さんがキャロルちゃんにどんな印象を持っているかを調べたんです。そしたら一番多かったのが、“何も考えていなさそう”というものだったんですよね(笑)。といっても、キャロルちゃんは意外と勉強はできるんですよ。なので、頭がからっぽという感じではなくて、天然の“何も考えていなさそう”という印象になるようにしたいなって思いました。

天城サリーインタビュー画像3

あとは、『このセリフはこう言おう』と考えすぎると、キャロルちゃんらしくなくなってしまうなと思って、なるべく考えるのを止めました(笑)。オーディションのときから、キャロルちゃんのセリフを丸暗記して、自分がキャロルちゃんになりきるようにしたんです。そうすることで、何も考えていないように見えるんじゃないかと。今も台本をいただくと、マネージャーさんと『どんな言い方が“何も考えていなさそう”に聞こえるかな』と話し合うことがありますね」

英語版は収録現場でキャラクターができていった

『トモちゃんは女の子!』の収録は、まず日本語版の収録が先行して行なわれた。日本アニメのアフレコ現場では、基本的に、出演するキャストがスタジオに集まり、複数のマイクを使いながら、セリフの掛け合いをして収録していく。コロナ禍となってからは、感染対策のために少人数のキャストで収録が進められているが、本作ではメインキャストが顔を合わせて収録することができた。

「相沢智(トモちゃん)役の高橋李依さん、 久保田淳一郎役の石川界人さん、群堂みすず役の日高里菜さんと一緒に収録できました。この作品は会話劇でもあるので、一緒に収録ができて良かったです」

天城サリーインタビュー画像8

日本語版全話分のアフレコが終わったあとに、英語版の収録が行なわれた。英語版の収録は、アメリカのテキサス州ダラスにあるアニメ配信の世界的ブランド、クランチロールの本社で実施された。

「私は、アメリカでアニメの収録をするのが初めてだったんですが、当初『収録には18日間必要です』と言われたんです。でも、日本での活動もあって、どうしても時間が確保できなくて。なんとか7日間で収録していただけないかとご相談したところ、アメリカのスタッフの方々が考慮してくださいました」

日本とアメリカのアフレコのやり方は違う。アメリカでは、キャストがそれぞれ単独で収録する“別録り”が基本だという。キャスト同士が顔を合わせないので、収録時に直接掛け合いをすることもない。

「事前に、英語版の台本が送られてきたときに、“収録時にセリフが変わるので、あまり台本を読み込まないように”というディレクションがあって。実際に現場に行ったら『ここは日本語のリップシンク(口の動き)に合わないから、セリフを変えよう』ということが何度かありました。私もその場で、この言い回しのほうが良いんじゃないかと提案させていただいたりもしました。なので、英語版の『トモちゃんは女の子!』は、収録現場でキャラクターができあがっていく感じがありました」

天城サリーレコーディング画像

米・クランチロールのレコーディングブースにて。

英語版のセリフは、日本語版のセリフをローカライズしたものになっている。ただ日本語版のセリフを英語に翻訳するのではなく、等身大の高校生らしい言葉づかいに調整され、アメリカをはじめ、各地の視聴者が楽しめるような細かいアレンジも施されている。

「私はいつも、海外の映画やドラマを原語と日本語吹き替え版の両方で見るんですけど、アメリカのジョークなどが直訳されていると、日本では意味が伝わらないかもしれないな、もったいないなと思うこともあったりします。なかには、日本語に合わせてまったくジョークの内容を変えているものもあったりしますよね。今回は後者のやり方でセリフをまるっきり変えています。

例えば、日本で“あざとい”というと、好ましく思われていないというニュアンスが混ざると思うんですけど、英語だと、そのニュアンスも含めてピッタリくる言葉がないんですよ。

『トモちゃんは女の子!』のなかで、キャロルはトモちゃんたちから、“キャロルちゃんはかわいいけど友だちにはなれないかも”って思われているところがあるんですが、このニュアンスを英語で表現するのがすごく難しかったんですね。それで、『このシーンは、アメリカの社会でも伝わるようなジョークに変えませんか?』と私から提案して、アメリカのスタッフの方々と一緒に考えながら収録をしていきました」

「あなたがキャロルなのね!」と出会った瞬間にハグ

天城サリーインタビュー画像5

天城が演じるキャロル・オールストンはイギリス出身という設定。英語にはイギリス英語やアメリカ英語といったアクセントの違いがあるが、そういったセリフのニュアンスについても、スタッフと相談しながら収録していったという。

「英語版のアフレコをするときに、最初はイギリス英語の発音でやろうという話もあったんです。ただ原作の『トモちゃんは女の子!』では、キャロルちゃんは標準の日本語をしゃべっていて、外国語のイントネーションで日本語を話しているわけではないんですよね。だとしたら、英語バージョンではストレートなアメリカ英語をしゃべるのが適しているんじゃないかと思ったんです。もし英語版で、ほかの子がアメリカ英語をしゃべるなか、キャロルちゃんだけがイギリス英語を話していると、ひとりだけヘンに浮くことになっちゃいそうで。

それでマネージャーさんに私の考えを伝えて、スタッフさんと相談してもらったんです。最終的には、ストレートなアメリカ英語で収録することになりました。ただ、今回、キャロルちゃんのキャラクターソングを私が英語で歌っているんですけど、そのなかのセリフはちょっとイギリス英語っぽく発音してみました」

キャラクターソング「Bounce With Me」キャロル・オールストン(CV:天城サリー)

当初、制作スタッフから「18日間必要」と言われた英語版の収録だったが、結果的に天城は、3日間で終えることができたという。

「アメリカでの収録は新しく経験することも多かったですけど、日本語版の収録を通して作品のことやキャロルのことを理解した上でアフレコに臨めました。また、現場では完成した映像を見ながら収録することができたので、収録自体はスムーズに進みました」

天城サリーレコーディング画像2

アフレコ時にはひとりで収録していたが、現地ではほかの英語版キャスト陣とも交流できたという。英語版の相沢智役はレクシー・ニエト、久保田淳一郎役はリコ・ファヤルド、群堂みすず役はジャッド・サクストン。天城は、キャスト一同と記念写真を撮るなど、和気あいあいとした時間を過ごしたそうだ。

「英語版キャストの皆さんと集合写真を撮らせていただく機会があって、『あなたがキャロルなのね!』と出会った瞬間にハグしてくれて、すぐに打ち解けました。すごくフレンドリーな雰囲気でしたね」

天城サリー英語版キャスト集合写真

(写真左から)クランチロールのシニアボイスディレクター、ケイトリン・グラス、ジャッド・サクストン、天城サリー、レクシー・ニエト、リコ・ファヤルド

アニメがカルチャーとして根付いている日本では“声優”という職業が確立されており、俳優、役者とは異なるひとつの専門職として認識されているが、アメリカでは、他ジャンルのアクターが担当するケースが多い。

「アメリカのキャストさんは、声優のお仕事が専門ではなく、ミュージカルなどで活躍されている方もいらして、マルチに活動されている方が多いんです。少し前のアメリカのアニメ業界は、俳優さんをメインでやりながら、声優さんもやってみようという方が中心だったようです。でも最近は、世界的にアニメの人気が高まっているので、アメリカでも最初から声優を専業で目指す方も増えていると聞きました。日本のアニメ文化が、アメリカのエンタテインメント事情にも影響を与えているのかもしれないですね」

※2023年2月14日の記事公開時に作品名に誤りがありました。訂正してお詫びいたします(2023年2月16日更新)。

後編につづく

文・取材:志田英邦
撮影:干川 修

関連サイト

天城サリー Twitter
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天城サリー Instagram
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天城サリー YouTube
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22/7公式サイト
https://nanabunnonijyuuni.com/s/n129/artist/a1?ima=2336(新しいタブで開く)
 
22/7公式Twitter
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22/7公式Instagram
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22/7公式YouTube
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『トモちゃんは女の子!』公式サイト
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