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連載Cocotame Series

技術者たち ~エンタメ業界が求めるエンジニアの力~

デジタルコーディネーター:エンタメビジネスの課題をテクノロジーで解決【前編】

2023.02.21

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専門的な知識とスキルを持つ技術者=エンジニア。さまざまなエンタテインメントビジネスを手掛けるソニーミュージックグループにも、それぞれの分野で力を発揮するエンジニアが多数在籍している。

連載企画「技術者たち~エンタメ業界が求めるエンジニアの力~」では、そんなソニーミュージックグループのエンジニアに話を聞きながら、今、エンタメ業界で求められているスキルやこの業界で働くことの意義、悦びについて語ってもらう。

第3回は、ソニー・ミュージックソリューションズ(以下、SMS)で働くふたりのエンジニアをクローズアップ。グループ内の各社やSMS内の他部門から持ち込まれるビジネス上の課題を、デジタル技術でサポートする彼らの仕事内容とやりがいついて聞いた。

前編では、ふたりが担当する業務の内容と、ソニーミュージックグループに入社した経緯を聞く。

  • 宜保吉悟

    Gibo Yoshinori

    ソニー・ミュージックソリューションズ

  • 後藤健吾

    Goto Kengo

    ソニー・ミュージックソリューションズ

テクノロジーを使って、さまざまな課題を解決

──おふたりは、現在、SMSのデジタルソリューション部にあるコーディネートルームというセクションで日々の業務に取り組まれていますが、こちらではどのような仕事をしているのでしょうか。

宜保:ソニーミュージックグループの各社、各部門から「こういうサービスを始めたい」「こういうWebサイトを作りたい」など、システムの構築やWebサイトの制作といった相談を受けた際に、それを実現するためのチーム作りや外部リソースを用意して、プロジェクトが円滑に進行するように調整する総合窓口のようなセクションです。実際にプログラムを組むというよりは、デジタル関連の案件に対して人と人をつなぐような仕事をしています。

──担当する案件は、それぞれ違うのでしょうか。業務内容を教えてください。

宜保:私は主に、アーティストのグッズ販売、デジタル商材のダウンロード販売などを行なうECサイトを担当しています。サイトを運営するのは別の事業部ですが、新たな機能やサービスを実現するためにどうすれば良いか、各部署から相談を受けて対応しています。

ひと言にECサイトと言っても、最近は求められることが多くなっていて、例えば「ファンクラブ限定でグッズを販売したい」「特別なキャンペーンができないか」など、さまざまな相談が持ち込まれます。そういった依頼に応えるための窓口ですね。

後藤:私は「イベントを開催するので、新しくLP(ランディングページ)を作りたい」とか、「オフィシャルサイトを移管したい」「新しいデジタルの施策を導入したい」など、新規および突発的に発生する相談案件を担当することが多いです。

──最近では、どんな新機能、新サービスの導入に携わりましたか?

宜保:私の場合は、ECサイトから派生して、グッズを会場でスムーズに受け取れるシステムの構築ですね。イベントやライブの会場でグッズを販売すると、ものすごい長蛇の列ができて、ファンの方々を何時間もお待たせすることになります。しかも、コロナ禍によって感染防止対策を徹底しなければいけないオペレーションが導入されたことで、グッズ販売はより時間がかかってしまうようになりました。

そこで「ライブ会場で商品の受け渡しをスムーズにできるようにしたい」という依頼を受け、事前のネット決済によって、指定された時間帯に会場の窓口に行くとグッズが受け取れるサービスを導入しました。これによって、数時間とお待たせしていたものを、長くても30分ほどに短縮することができました。

また、ECサイトでの「オンラインくじ」も実現しています。1回数百円のくじを引くと、景品のなかからどれかひとつが当たるというくじが、コンビニなどで販売されていますよね。それと同じようなシステムをアーティストのECサイト上で再現しています。とても人気が高く、ファンの皆さんにも喜んでいただけているようです。

──持ち込まれた相談や課題は、すべて対応されるのでしょうか。

後藤:基本的には自分たちのリソースを使って対応することを前提にお話を聞きますが、納期の問題で実現が難しいケースもあります。また、グループ内で対応すると余計なコストや時間がかかってしまうような場合は、外部のベンダーを紹介することもあります。そういった見極めも、我々の大切な業務となります。

宜保:いっぽうで、他社ではうまくいかなかった案件を成功させた事例もあります。最近でもECサイトでアクセスが集中した際、つながりにくい状況やお待たせする時間を少しでも減らして、快適な利用環境をご提供する課題に取り組みました。

ネットを主体としたビジネスはトレンドの変化、進化のスピードがとても速く、こちらもスピーディに対応していかなければ置いていかれてしまうのが現状です。課題への対応はスケジュールが一番の問題であることが多いんですが、我々を頼ってくれる各プロジェクトの担当者、そしてその先にいる大勢のファンの方々に喜んでもらうため、厳しいスケジュールでも、できる限りのことは対応するように心掛けています。

“何もないこと”がエンジニアの喜び

──SMSには、現在、エンジニア職と言われる人がどれくらい在籍しているのでしょうか。

宜保:どこまでをエンジニア職と捉えるかにもよりますが、私たちが所属する部署には50人ほどが在籍しています。

──宜保さんと後藤さんは、入社以来ずっとこの部署で働いているのでしょうか。

宜保:私はそうですね。

後藤:私は、ソニーミュージックグループのヘッドクォーターであるソニー・ミュージックエンタテインメントでWebメディアの運営やサイト制作を担当していて、異動で現在の部署に在籍しています。

──もともとITの知識があり、エンジニア職を志望してソニーミュージックグループに入社されたのですか。

宜保:私の場合はそうですね。前職はSIer(顧客企業のシステム構築・導入・運用などを行なう事業者)で、クライアント先に一定期間常駐しながらプロジェクトの一部に携わり、それが終わると次のプロジェクトに移るという仕事をしていました。

それはそれでスキルを磨く職人的な面白さはあったのですが、あるときからひとつのサービスの立ちあげや工程の一部だけでなく、エンドユーザーに届くまでを丸ごと経験したいという思いが強くなっていったんです。そういった仕事ができる企業、なおかつ自分が好きなエンタテインメントに関われる仕事なら、よりやりがいを感じられるのではないかと思って2017年にSMSに入社しました。

後藤:私は金融業の営業職から転職しているので、エンジニア職はまったくの未経験でした。前職にもやりがいを感じていたのですが、どうしても大好きなエンタテインメントに携わる仕事がしたくて転職を決意したんです。

ソニーミュージックグループの中途採用にエントリーした際は、いろいろな職種で応募が受け付けられていましたが、エンタテインメントにまつわる特別なスキルがあったわけではないので、どんな仕事でも良いから、まずは飛び込んでみようと入社しました。そしてWebメディアの制作、運営を担当することになり、その仕事を通じてネットワーク関連の知識を吸収して、現在にいたっています。

──金融業の営業職からの転職、しかも未経験から現在のデジタルコーディネーターという職に就かれているのは、かなり珍しい職歴なのではないですか?

後藤:そうかもしれないですね。でも、我々の部署には面白い経歴の人が結構いて。例えば、劇場運営、雑誌やWebメディアの編集という前職を経て、私と同じようにIT業務の経験、知識ともにゼロで異動してきたのに、今ではファンクラブ関連のサイト運営のサポートをバリバリやってる担当者もいます。

──そんなケースもあるんですね! IT業務のエンジニアは、経験者や専門的な分野を学んできた人がなるものだという固定観念を持っていました。

宜保:まあ、一般的なルートではないのは確かですね(笑)。ただ、後藤さんもそうだし、今、話に挙がった担当者もそうですが、みんな仕事に対する熱量は高いですよね。知らないことがあれば、自分でとことん調べて、どんどんスキルを磨いていってる印象です。

──でなければ、未経験からスタートして活躍するのは難しいですよね。それでは、おふたりが現在のお仕事で、最もやりがいを感じたり、達成感を覚えるのはどんなときか教えてください。

宜保:私はやはり転職の理由でもあった、立ちあげから完成まで一気通貫してサービスに携われることにやりがいを感じますね。立ちあげたサービスの収益や利用状況が数字でダイレクトにわかるのも新鮮でした。またSNS上では、リリースしたばかりのサービスについて、すぐにユーザーの声を確認することができます。好評の反応があればうれしいですし、不評があったときは、それを反省点として次にいかしていく、やっぱり誰かのリアクションがあるというのは、仕事をする上でのやりがいにつながっています。

後藤:確かに、数十秒前に発信したサイトについてSNSでリアルタイムに反応が見られるのは勉強になりますよね。私も宜保さんと同様に、良い反響が得られると「やっていて良かったな」と思います。

ただ、サイトやサービスがローンチした際は、やっぱり緊張もしますね。何かトラブルがあると、アーティストやコンテンツのイメージまで損なわれてしまうことがあるため、「何も起こらないで!」と祈るような思いになります。

そういう意味では、トラブルなくプロジェクトがローンチされたときが、最大の成功体験と言えるかもしれません。私の場合、公開されるとミッションが完了になるプロジェクトに携わることが多いので、何事もなくローンチできると「自分がこの数カ月間頑張ってきたのは、この瞬間のためだったな」と実感できます。

後編につづく

文・取材:野本由起
撮影:干川 修

関連サイト

ソニーミュージックグループ コーポレートサイト
https://www.sme.co.jp/(新しいタブで開く)
 
ソニーミュージックグループ コーポレートサイト 採用情報
https://www.sme.co.jp/recruit/(新しいタブで開く)
 
ソニー・ミュージックソリューションズ
https://www.sonymusicsolutions.co.jp/s/sms/?ima=4039(新しいタブで開く)

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