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連載Cocotame Series

技術者たち ~エンタメ業界が求めるエンジニアの力~

デジタルコーディネーター:エンタメビジネスの課題をテクノロジーで解決【後編】

2023.02.22

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専門的な知識とスキルを持つ技術者=エンジニア。さまざまなエンタテインメントビジネスを手掛けるソニーミュージックグループにも、それぞれの分野で力を発揮するエンジニアが多数在籍している。

連載企画「技術者たち~エンタメ業界が求めるエンジニアの力~」では、そんなソニーミュージックグループのエンジニアに話を聞きながら、今、エンタメ業界で求められているスキルやこの業界で働くことの意義、悦びについて語ってもらう。

第3回は、ソニー・ミュージックソリューションズ(以下、SMS)で働くふたりのエンジニアをクローズアップ。グループ内の各社やSMS内の他部門から持ち込まれるビジネス上の課題を、デジタル技術でサポートする彼らの仕事内容とやりがいついて聞いた。

後編は、エンジニアに必要な資質、エンタメ業界でエンジニアを目指す意味について話を深めていく。

  • 宜保吉悟

    Gibo Yoshinori

    ソニー・ミュージックソリューションズ

  • 後藤健吾

    Goto Kengo

    ソニー・ミュージックソリューションズ

スキルを磨くことを“努力”と感じない人に適性がある

──(前編からつづく)宜保さんはITエンジニアとしての経歴があってソニーミュージックグループに入社したということでしたが、エンジニアになる前はどのような勉強をされてきたのでしょうか。スキルを磨くために何をしたのか教えてください。

宜保:私はSIer(顧客企業のシステム構築・導入・運用などを行なう事業者)を経て、2017年にソニーミュージックグループに入社しましたが、実はSIerのエンジニアになったのは2016年なんです。後藤さんをはじめ、我々のセクションにはユニークな経歴の人間がいると言いましたが、実は自分もそれなりに変わった経歴を経ていまして(笑)。SIerのエンジニアになる前は、飲食店や楽器店などまったく違う業界で働いていました。当時は、Excelもまともに触れないくらいのレベルでしたね(笑)。

そこから一念発起でIT業界に転職しようと思い立ち、必死で勉強しました。それなりの年齢だったので、この年で転職するならこれくらいはやらなきゃダメだろうというくらいには頑張りました。

──まったくの異業種から、なぜIT業界に転職しようと思ったのでしょうか。

宜保:最初はありがちな「ITの時代と言われているし、手に職をつけようかな」ぐらいの軽いノリでした。あと、それまでが常に立ちっぱなしの仕事で、デスクワークを経験したことがなかったので、「そろそろ座って仕事をしたいな」という思いもありましたね(笑)。ただ、容易に想像できると思いますが、ITエンジニア職で未経験者を採用する企業は少なく、50社くらい応募して面接まで辿り着けたのは4、5社程度。その内の1社に何とか入り込むことができました。

そこでSIerの業務に約1年就いて、そこからSMSに転職したので、この業界ではやっと中堅どころに足を踏み入れたぐらいのキャリアですかね。

──とは言え、今のようにエンジニアとして活躍するまでにはさまざまな道のりがあったかと思います。そう甘いものではなかったと思いますが、おふたりはどんな努力をされてきましたか?

宜保:私の場合は、プライベートの時間を使って書籍やネットの情報を参考にひたすら何かを作る、動かすということを繰り返しながらスキルを身に付けていました。ただ、それを“努力”だとは感じていませんでしたね。今の仕事も、Web制作やプログラミングが面白いと思えたのでつづいているという感覚です。逆に言うと、プログラミングを面白いと思えなかったり、そのシステムがどうやって動いているのかということに興味を持てなかったら、この仕事をつづけるのは難しいと思います。

後藤:私も同感です。この仕事を始めたばかりのころ、Webサイトについて調べると、聞いたことがない、意味もわからない専門用語が次々と出てきました。それで一つひとつ、意味を調べていくんですが、ひとつ調べると、さらに知らない専門用語が5、6個出てくる(笑)。もうこうなったら片っ端から調べていくしかないとなってやりつづけましたが、私にとってはその作業が苦ではなく、どんどんハマって楽しみながら知識を身に付けることができました。おそらく、自分にはそういう適性があったのだと思います。

スキルを磨くためにしたことと言うと、以前Webメディアの制作をしているときに、「一からサイトを作ったらどうなるんだろう」と思って、自分でドメインを取得し、実際に簡易的なサイトを作ったことくらい。そのときもやっぱり“勉強”や“努力”という感覚ではなかったですね。

エンタメ業界ならオンリーワンの仕事ができる

──エンジニアを目指す方は、メーカーやIT企業を志望するケースが多いのではないかと思います。そのなかでエンジニア志望者が、エンタテインメント業界で働く意義や価値はどこにあると思いますか?

宜保:グッズを販売するECサイトもファンクラブサイトも、アーティストや作品、IPが軸になるため、扱う商品もサービスも、そこにしかないオンリーワンの商品、サービスを提供することになります。

そこで求められるのは「他社よりも多く売るにはどうすれば良いか」というよりは、「アーティストや作品の魅力をより多くの人に伝えるにはどうすれば良いか」という考え方。

アーティストやコンテンツを支える事業部のスタッフは、日々こうした考えのもと、さまざまな施策を企画、実施しています。そういった思いに対し、ITのスキルで貢献できるのは、エンタテインメント業界のエンジニアならではだと思います。

──アーティストを支える人、作品を制作する人の思いも、ダイレクトに感じられる仕事ですよね。

後藤:エンジニア職を志望されている方で、私のように知識も経験もゼロからスタートするということはあまりない例だとは思いますが、“好き”をモチベーションにして働けるのは、エンタテインメント業界の特長だと思います。

──とは言え、システムに関わる仕事なので、予期せぬエラーは避けられません。プレッシャーがかかることもあると思いますが、それをどのように乗り切っていますか?

宜保:Webサービスを電化製品と同じように「コンセントがつながっていれば常に動きつづけるものでしょう?」と、思っている方がいらっしゃるかもしれませんがそうではなくて。どんなシステムでもメンテナンスは必要ですし、サーバーにアクセスが集中しすぎると不具合が起こる。もしくは、もっと別のシステムトラブルが発生することも考えられるので、そのことを窓口である我々がしっかりと伝えていかなければいけない。

その上で、予期せぬトラブルが発生したときは、原因を解明して打開策を提案し、迅速に対応していく。もちろん何かしらの反省点はあるはずなので、そこはしっかり押さえて、あとは「自分の責任だ」などと、ひとりで抱え込み過ぎないようにすることも大事だと思います。

──ネットやテクノロジーについて、もっと皆さんの理解が深まると良いですね。

宜保:理解していただければ、いろいろなことがよりスムーズになることは間違いないですが、やはりシステムについては専門の知識が必要になるので限界がありますよね。それに、逆の立場として考えると、私たちは音楽やアニメ、キャラクターを生み出すことはできません。お互いに専門の領域があって、適材適所だということ。だから、我々がやらなければいけないことは、ともかくトラブルが起きないように事前に入念な検討や対策を行なうことだと思います。

──最後に、おふたりがソニーミュージックグループで実現したいこと、個人的な野望があれば、教えてください。

後藤:本当に個人的な野望ですが、せっかくエンタテインメントを生み出す企業にいるので、アニメや音楽など何かしらのクレジットに自分の名前が載ったらうれしいですね。自分が関わっていたということを、将来、子どもや孫ができたら自慢したいです(笑)。

宜保:私は、社内で技術の追求に特化したチームを作りたいという野望があります。日々新たなビジネスを作り出そうとする事業部のアイデアを、最新の技術と高度なスキルで強く後押しできる精鋭チームが作れたら、ソニーミュージックグループはもっともっと面白いものを生み出せるはず。ソニーグループとの協力体制もいかしながら、Webサービスに限らず、アプリ、IoTなどあらゆるデジタル技術を集約したチームを作ってみたいですね。

文・取材:野本由起
撮影:干川 修

関連サイト

ソニーミュージックグループ コーポレートサイト
https://www.sme.co.jp/(新しいタブで開く)
 
ソニーミュージックグループ コーポレートサイト 採用情報
https://www.sme.co.jp/recruit/(新しいタブで開く)
 
ソニー・ミュージックソリューションズ
https://www.sonymusicsolutions.co.jp/s/sms/?ima=4039(新しいタブで開く)

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