一筋縄ではいかない日々を生きるSUPER BEAVERのリアル【前編】
2023.06.27
気鋭のアーティストの実像に迫る連載企画「アーティスト・プロファイル」。
今回は、3月に満を持してアーティストデビューを果たし、5カ月連続リリース中のSunny Sunnyへのインタビューをお届けする。あさぎーにょとして活動の幅を広げていくなか、ようやく見付けた音楽アーティストとして表現したいこととは。
後編では、Sunny Sunnyとして発表された楽曲の解説と、これからのアーティスト活動について語る。
Sunny Sunny(サニー サニー)
“へんてこポップ”をテーマに音楽制作、映像制作、イラスト制作、モデル活動、プロデュース活動など、多岐にわたって活躍するSNSの人気クリエイティブアーティスト・あさぎーにょ。Sunny Sunnyは、彼女が新たにスタートさせた音楽プロジェクトの名義であり、そのアーティスト名。2023年3月2日、「One Sunny Day」でデビュー。5カ月連続リリースが話題となっている。6月28日に第4弾「ばかやろ」を発表する。
(前編からつづく)2023年6月現在、YouTubeチャンネル登録者数88万人、Instagram登録者29万人、TikTok登録者数26万人などに加えて、中華圏最大のソーシャルメディアWeiboが104万人、bilibiliが34万人を超え、あさぎーにょとしての総フォロワー数280万人を超える彼女。あさぎーにょ名義のままでアーティスト活動を行なうかどうかは「Beのメンバーと何度も話し合って、何周もして、Sunny Sunnyになった」という。
「普段のあさぎーにょでは伝えられないことを音楽で伝えていくのであれば、あさぎーにょの延長線じゃないほうが良いんじゃないかという結論に辿り着きました。新たな世界観を作っていくという意味で、むしろあさぎーにょと乖離させた形にしたことで、私自身もワクワクしたし、楽しみだなって思って。
実際にSunny Sunnyとしてのデビューを発表したときは、SNSでフォローしてくださっていたファンの方たちが、私の昔からの夢が叶ったことを喜んでくれて。Sunny Sunnyになるまでの過程を知ってくださってた方たちとは感動をシェアできたのかなと思いますし、『あさぎーにょが考えてることがわかった』という声もいただけたので、すごく良かったですね」
つづく2ndシングル「神さまお願い」はピアノを基調にしたバウンシーなR&Bナンバー。TikTokではダンスバズも起こり、サウンドには心が弾む明るさがあるが、歌詞では思い通りにいかない日々への苛立ちや理不尽な出来事に対する怒りが込められている。
“明るく楽しくワクワクする”日向の気持ちだけでなく、“思慮深く考えることや時には悲しく思う”日陰の気持ちにも目を向けることの大切さを音楽で表現したいという想いが実を結んでいる。
神さまお願い - Sunny Sunny(Music Video)
「『One Sunny Day』は自分がこれからやっていく未来を表現した曲だったので1曲目にしたんですけど、『神さまお願い』には、もう神様に願いたくなるような、ちょっとしたネガティブな気持ちを込めていきたいと思って。これまでは温かみのあるポジティブな曲しかなかったので、私にとっては、初めてネガティブな気持ちを書いた曲っていうことになりますね。
タイトルや歌詞にも影の部分が見受けられるし、『神さま、なんでこんな目に合わせるの? 私、なんにもしてないじゃん!』っていう怒りも込められています。みんなも日常のなかで『なんでこんな目に合うんだ?』っていう出来事があると思うので、きっと共感してくれた方もいたと思う。ミュージックビデオ(以下、MV)では少し涙も見せているんですけど、楽曲全体としてそんなに悲しい歌ではないので、神さまにちょっとイラッとした感じというか、もやもやした気持ちとして、リスナーには受け取ってもらえたんじゃないかと思います」
クリエイティブアーティスト、YouTuberとしてセルフプロデュースに長けた彼女だが、本作の作詞作曲は、シンガーソングライターのましのみに任せ、MV制作においてもスタッフに委ねていることが、これまでの活動との大きな違いのひとつだろう。
「ましのみさんとは、デビュー曲『One Sunny Day』のときから、ある程度のテンション感やイメージだけお伝えして、一緒に形にしていってます。特に、『神さまお願い』は、みんなで作り上げていった感覚のある作品です。私ひとりで作り上げたものではないっていうのが新鮮だし、いろんなクリエイターのエッセンスが加わったことで、Sunny Sunnyの世界観がより多くの人に受け入れてもらいやすい感じになったかなというふうに思いますね」
3作目となる楽曲「RETRO」は、“ドライブ中に聴いて気持ちが良い曲”というテーマで制作された、ネオレトロが表現された曲となっている。
RETRO
「1曲目にはこれからの方向性を示すメッセージを込めて、2曲目には初めてネガティブな感情をちょっとだけ入れて。3曲目はかなりライトに、ドライブ中に聴けるような雰囲気にしたいっていうことを伝えたら、お昼のおひさまのポカポカしたときに流していたくなるような曲に仕上げてくださいました。
タイトルは『RETRO』ですけど、あんまり時代を特定しないようにしてるんですね。子供のころなのか、学生のころなのか、もっと昔のレトロなものなのか。聴いてくれたみんなが、自分が思い浮かぶレトロがあれば良いなと思って。どんな人のレトロにもはまるような素朴さがあるし、なんだか心が温まって、ポジティブになるような曲になりました。それぞれのちょっと懐かしい記憶を思い出してもらいながら、ドライブに浸ってもらいたいなと思いますね」
さらに、6月28日には第4弾「ばかやろ」をリリースし、7月にも新曲がつづく。
「『ばかやろ』は怒りから始まった曲なので、かなり怒ってます(笑)。でも、こういう気持ちをちゃんと音楽で発信できるのはすごくうれしいですね。7月リリース予定の曲は、まだ作っている最中なんですけど、とてもすがすがしくて一番ポップな曲になるのかなと予想してます。
連続リリース後は、実際、どういうアーティストになるっていうのは決め切っていなくて。Beのスタッフと一緒に、進みながら見付けていきたいなと思ってますね。ただ、私はSNSっていう場所で活動してるので、そこで新たな楽しみ方ができたりとか、どんな音楽の届け方ができるのかっていうチャレンジはこれからもつづけていきたいなと思ってます。
それでもやっぱり、楽曲の作り方に関しては、自分の気持ちを優先してやっていくことを変えてはいけないかなと思っていて。例えネガティブな気持ちであったとしても、それをポジティブに変換してアートを作っていくっていう想いでアーティスト活動を始めたので、何か企画で作る曲もあるかもしれないですけど、そこに自分の本当の気持ちをちゃんと乗せるっていうことは、これからも変わらずやっていきたいなと思っています」
Sunny Sunnyというアーティスト名が、既にSNSクリエイターとして絶大な支持と認知度を得ているあさぎーにょという存在を超えた先に、彼女が新たな時代のポップアイコンとして輝きを放つ未来が待っているのではないかと想像している。
文・取材:永堀アツオ
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