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連載Cocotame Series

アーティスト・プロファイル

一筋縄ではいかない日々を生きるSUPER BEAVERのリアル【前編】

2023.06.27

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気鋭のアーティストの実像に迫る連載企画「アーティスト・プロファイル」。

2020年のメジャー再契約以降、快進撃をつづけるSUPER BEAVER。2023年は、春秋の大規模ツアーのほかに数々のライブツアーを敢行し、6月28日には新曲「儚くない」をリリース。今年4月に行なわれたZepp Shinjuku (TOKYO)のこけら落とし公演でも話題を振り撒くなど、今最も勢いづいているロックバンドだ。決して平坦ではない道を歩んできた彼らが、紆余曲折の末に辿り着いた現在の境地とは。

前編では、新曲「儚くない」に込められた想いを率直に語る。

SUPER BEAVERプロフィール画像

SUPER BEAVER(スーパービーバー)

(写真左から)上杉研太(B)、柳沢亮太(G)、渋谷龍太(Vo)、藤原“35才”広明(Dr)。2005年、高校の先輩後輩である渋谷、上杉、柳沢に、柳沢の幼馴染みである藤原が加わり結成。2009年、シングル「深呼吸」でメジャーデビューするが、2011年、所属レーベルと事務所を離れインディーズへ。2020年6月、シングル「ハイライト / ひとりで生きていたならば」でメジャー再契約。2023年6月28日、シングル「儚くない」をリリース。7月22、23日には、バンド史上最大規模となる富士急ハイランド・コニファーフォレストでの初の野外ワンマンライブ『都会のラクダSP ~真夏のフジQ、ラクダにっぽんいち~』を開催。8月からは2マンライブ『都会のラクダSP ~サシ飲み五番勝負、ラクダグビグビ~』、9月からはツアー『都会のラクダ TOUR 2023-2024 ~ 駱駝革命21 ~』がスタートする。

グッと聴き込める曲を作りたい

今や彼らの名前、あるいはその楽曲を耳にしたことがない人は少ないのではないだろうか。日本の音楽シーンにおいて現在急速に知名度を上げながら、何にも流されることのない唯一無二の存在感を誇っている。ロックファンのみならず大勢のハートを熱く揺さぶりつづけているバンド、それがSUPER BEAVERだ。

本稿取材時も、撮影やインタビューが文字通り分刻みで組まれたハードスケジュールに追われていた彼ら。しかしながら疲れた顔など一切見せず、むしろ「僕らなんてまだまだです。もっと忙しい方を知っていますし、これだけいろんな活動をさせてもらえているのはうれしいこと。もちろん、ちょっと休みたいなと思うことはありますけど、何もないほうがかえって落ち着かない」(渋谷龍太)、「休みは休み、バンドが動いていたら動いていたで、どっちにしてもきっと充実するように生きていくだけなので」(上杉研太)と飄々と笑う。軽やかだけれど肚の据わったその姿勢は、彼らがこれまで歩んできた道のりのなかで培われてきたものなのかもしれない。

SUPER BEAVER画像1

ご存知の方も多いだろうが、SUPER BEAVERは2009年に一度、メジャーデビューを果たしている。だが、順風満帆とはいかず、2年余りで当時所属していたレーベルと事務所を離れることに。まだ20代前半だった彼らにとってそれは手痛い挫折の経験となったのではないだろうか。それでも4人はバンドをつづけることを選び、インディーズの現場に立ち返って精力的に活動を展開。当時から年間100本近くのライブを実施し、コロナ禍に入る前にはフェスやイベント出演も増え、屈指のライブバンドへと成長した。

そうして2020年、メジャーレーベルと異例の再契約を結んだのだ。そのレーベルが、かつて所属していたエピックレコードジャパンと同グループのソニー・ミュージックレコーズであることも大きな話題を呼んだ。以降の快進撃についてはもはや説明するまでもないだろう。2021年に人気漫画を実写化した映画『東京リベンジャーズ』の主題歌として起用された「名前を呼ぶよ」が映画のヒットに連動して注目を集め、バンドは一躍大ブレイク。その後リリースされた「ひたむき」はテレビアニメ『僕のヒーローアカデミア』第6期オープニングテーマに。つづく「グラデーション」は続編映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』の主題歌に起用され、脚光を浴びつづけた。

そんなSUPER BEAVERが、6月28日にリリースするのが新曲「儚くない」。6月30日より公開の映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』の主題歌だ。「名前を呼ぶよ」「グラデーション」とつづいた主題歌シリーズ3部作を締めくくるこの曲は、前2作とは趣きをガラリと変えてミディアムテンポのバラードに仕上げられている。作詞作曲を手掛けた柳沢亮太は楽曲の着想をこう語る。

「『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編』が前後編になるということ、しかもそれぞれに主題歌が欲しいというお話をいただいていたんです。特に今回はシリーズの完結でもありますし、すべてを包括できるような楽曲になったらなお良いと伺っていて。なので純粋に良い曲、グッと聴き込める曲を作りたいと当初から思っていました。必ずしもバラードでなければという縛りはなかったんですけど、自然とミドルバラードのイメージが浮かびましたね」(柳沢亮太)

柳沢亮太画像1

主張というよりは祈りとか願いとかに近いもの

生きることと死ぬこと、命あるすべてのものにとって避けては通れないテーマに真正面から向き合った、まさに珠玉と呼びたいこの楽曲。普遍性を宿した壮大なテーマではありながらも、決してその壮大さに呑まれることなく、徹頭徹尾、等身大の眼差しで紡がれた切実にして温かな想いが、一聴してダイレクトに胸の奥まで届く。

“儚いから美しいなんて/命には当てはまらなくていい”“笑いながら しぶとく 僕は 生きていたいよ/願わくば 一緒に”。そう綴られた歌詞に滲む、祈りにも似た思慕。「儚くない」というタイトルに込められているのは、何がどうあっても良いからとにかく生きてほしいと、この音楽に触れた一人ひとりに捧げる、彼らの全身全霊の願いだと思えた。

「おっしゃったように、これは主張というよりは祈りとか願いとかに近いものがあると思っていて。冒頭の書き出しからして、取りようによってはただのワガママというか意地というか、摂理に逆らいたいぐらいの気持ちがあるんですけど……あらゆる価値観が存在するこの世界、行き違うこと、なかなかわかり合えないこと、誤解や語弊が生まれる議題ってたくさんあるじゃないですか。なかでも、生死にまつわることはその最たるもので。

自分がどう思っていても、どんなことを言っても、どうしてもすれ違ってしまう部分があるのは大前提として、それでも“いつか終わる”っていうのは誰にでも等しくあることなんですよね。それに対して自分はこういう気持ちであれたら良いなっていうところをようやく歌えたのが、この曲なんです。ギリギリのところで押し付けることなく、ちゃんと届けたいという温度感で歌えた楽曲なんじゃないかな」(柳沢亮太)

「柳沢から渡されたデモを聴いて単純にグッときたんですよ、良い曲だなって。バンドとして、これからはこういうテーマの曲も歌っていくという意味でも素晴らしいなって思いますし、今、30代半ばに差し掛かった自分らにとっても等身大に感じられるものがこの曲にはあって。ある程度生きていると、環境の変化だったり、出会う人、離れていく人、いろんなことが日々、積み重なっていくじゃないですか。今、このタイミングだからこそ自分自身にも響くものがとてもありましたね」(上杉研太)

上杉研太画像1

「生きている実感を得るというか、死にたくないっていう気持ちはもちろん、生きてこそだと思いながらバンドをやってる瞬間もありますから、僕にも。きっとこれを聴いて、いろんな方がいろんな気持ちになると思うんですけど、どうにか生きてほしいなって思っちゃうんですよ、やっぱり。大変でもなんとか頑張ってほしい、少しでもその力になれたらと思いながら、この曲の制作に臨んでいました」(藤原“35才”広明)

藤原“35才”広明画像1

大切な人や風景を思い浮かべてくれたら

シンプルだけれどタフで包容力のあるバンドサウンドと、繊細で流麗なピアノとストリングスの音色が織りなすアンサンブルは、聴き手の気持ちに柔らかく寄り添い、その真ん中を激しく揺さぶる。

「ギリギリのところで押し付けることなく、ちゃんと届けたいという温度感で歌えた楽曲」と柳沢が語ったように、エモーショナルではありつつも暑苦しさは微塵もない。仰々しく頭でっかちな応援歌でも、どこか絵空事めいた他人行儀な人生讃歌でもなく、聴いた人、一人ひとりの歌として、その人の内側でいつまでも鳴りわたるだろう音楽だ。

「生きること、死ぬことをメインテーマとしてここまで強く押し出した曲は、これまでの俺らにはなかったと思います。ものすごく器のデカい曲でありつつ、人それぞれにピンポイントに刺さる曲だと思ったので、聴いてくださる方が具体的な出来事、例えば大切な人とか風景とかを思い浮かべてくれたら良いなと思いながら、どう歌おうかすごく考えましたね。聴いたときにグッとくるポイントや思い出すことってそれぞれで違うはずだし、どういうアプローチが良いのかなって。

レコーディング前にいろんなベクトルで気持ちの乗せ方を試してみたんですけど、言ってしまえばどれも正解で。ただ、なぜ自分たちは音楽をやっていて、なぜそれをわざわざ人に聴いてもらうことをしているのか、そういうことを考えたときに、一番の落としどころはここなんじゃないかっていうのが今回の歌です。自分の感情を乗せる部分は思いっきり大事にしましたけど、同じくらい“のりしろ”も残したいと」(渋谷龍太)

渋谷龍太画像1

ボーカリストとして自身の感情を表現することに終始するのではなく、「儚くない」を聴き、受け止めてくれた人たちの気持ちの置きどころもしっかりと用意しておきたい。渋谷の言う“のりしろ”が、デモ段階から間違いなく“良い曲”だったこの曲をひと回りもふた回りもスケールの大きな、懐の深い楽曲に進化させた。この曲は、おそらくSUPER BEAVERにとってもバンドの歴史に加わる新たな代表曲になるだろう。

「今だからできた曲だと思ってもいるんですよ。この曲でテーマにしたことって、わりと昔からぼんやりと考えていたことではあって。それがたまたま映画の主題歌というきっかけをいただいたことで、こうして形にすることができた。

もともとこのバンド自体、タイアップありきでないと成立しないような楽曲って作れないんですよ。“今、SUPER BEAVERがいちばん歌いたいことってなんだろう?”がやっぱり大前提で。そういう意味では『儚くない』っていう、今後も歌いつづけていきたくて、のちのち振り返ったときにひとつの起点となるような楽曲が、今このタイミングで作れたというのは、バンドにとってすごくありがたいし、良いことだったなと思います」(柳沢亮太)

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それにしても「儚くない」とは実にSUPER BEAVERらしいタイトルではないだろうか。前述した通り、決して平坦ではなかった道のりをしぶとく生き抜いて、今、彼らはここにいる。若くしてデビューしながらも波瀾に満ちていたその歩みは、逡巡と葛藤にさいなまれてもがいた日々もあっただろう。理想と現実の狭間で揺れ惑ったことも一度や二度ではなかったはずだ。

SUPER BEAVERの音楽が熱狂的に支持されるのは、それでも諦めず、一歩一歩を踏み締めてきた人間でなければ紡ぐことのできない真の情熱をそこにはっきりと見出せるからに相違なく、また、そうした彼らの生き様に、時に自分を重ねては勇気を得てもいるからではないか。一筋縄ではいかない日々をなお遮二無二生きる4人のリアル、儚くないからこその美しさ。しぶとく生きて、生きて、生きた結果、メジャー再契約という快挙を成し遂げてしまうところも、まったくもって儚くない。

SUPER BEAVER「儚くない」MV (映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』主題歌)

後編につづく

文・取材:本間夕子
撮影:大塚秀美

リリース情報

SUPER BEAVER「儚くない」ジャケット写真

「儚くない」
6月28日(水)リリース
試聴・購入はこちら(新しいタブを開く)

ライブ情報

『都会のラクダSP ~真夏のフジQ、ラクダにっぽんいち~』
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『都会のラクダSP ~サシ飲み五番勝負、ラクダグビグビ~』
詳細はこちら(新しいタブを開く)
 
『都会のラクダ TOUR 2023-2024 ~ 駱駝革命21 ~』
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