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連載Cocotame Series

アーティスト・プロファイル

一筋縄ではいかない日々を生きるSUPER BEAVERのリアル【後編】

2023.06.28

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気鋭のアーティストの実像に迫る連載企画「アーティスト・プロファイル」。

2020年のメジャー再契約以降、快進撃をつづけるSUPER BEAVER。2023年は、春秋の大規模ツアーのほかに数々のライブツアーを敢行し、6月28日には新曲「儚くない」をリリース。今年4月に行なわれたZepp Shinjuku (TOKYO)のこけら落とし公演でも話題を振り撒くなど、今最も勢いづいているロックバンドだ。決して平坦ではない道を歩んできた彼らが、紆余曲折の末に辿り着いた現在の境地とは。

後編では、Zepp Shinjuku (TOKYO)こけら落とし公演の裏側を明かす。

SUPER BEAVERプロフィール画像

SUPER BEAVER(スーパービーバー)

(写真左から)上杉研太(B)、柳沢亮太(G)、渋谷龍太(Vo)、藤原“35才”広明(Dr)。2005年、高校の先輩後輩である渋谷、上杉、柳沢に、柳沢の幼馴染みである藤原が加わり結成。2009年、シングル「深呼吸」でメジャーデビューするが、2011年、所属レーベルと事務所を離れインディーズへ。2020年6月、シングル「ハイライト / ひとりで生きていたならば」でメジャー再契約。2023年6月28日、シングル「儚くない」をリリース。7月22、23日には、バンド史上最大規模となる富士急ハイランド・コニファーフォレストでの初の野外ワンマンライブ『都会のラクダSP ~真夏のフジQ、ラクダにっぽんいち~』を開催。8月からは2マンライブ『都会のラクダSP ~サシ飲み五番勝負、ラクダグビグビ~』、9月からはツアー『都会のラクダ TOUR 2023-2024 ~ 駱駝革命21 ~』がスタートする。

自分の生まれ育った街にできた会場の記念すべき1日目

前編よりつづく)快挙と言えば、4月17日にZepp Shinjuku (TOKYO)にて開催された同会場のこけら落とし公演もそのひとつだろう。渋谷龍太の生まれ育った街、新宿歌舞伎町にこの春開業した東急歌舞伎町タワー。その施設内にオープンした新たなライブホール、Zepp Shinjuku (TOKYO)で4日間にわたってこけら落とし公演が行なわれたのだが、その栄えある初日のステージをSUPER BEAVERが務めあげたのだ。

SUPER BEAVERライブ画像1

2023年4月17日、Zepp Shinjuku (TOKYO)こけら落とし公演『SUPER BEAVER 都会のラクダ柿落としSP ~新宿生まれの、ラクダ~』より

しかもアンコールでは、『CDTV ライブ! ライブ!』2時間スペシャルの生中継が入り、オープンしたての会場から「名前を呼ぶよ」「グラデーション」を全国のお茶の間に届けた。ツアー『SUPER BEAVER 都会のラクダ HALL TOUR 2023 ~ラクダ紀行、ロマン飛行~』の真っ最中というタイトなスケジュール、加えてこけら落とし公演も初ならば、生中継も初という実に無謀な状況だったと4人は振り返る。

だが、もちろん、彼らの記念すべきステージに駆けつけた満場のファンたちと一体となって繰り広げたライブは、SUPER BEAVERにとっても、会場にとっても歴史に残る一夜として刻まれた。

渋谷龍太ライブ画像1

「やっぱり感慨深いものはありましたね。自分の生まれ育った街にできた会場の、記念すべき1日目のステージに立てるって、そんなめぐり合わせ一生に一度だってないことだと思いますし。ただ、最初にオファーをもらったときは何日目の公演になるのか漠然としていたんですよ。でも、思い入れがあるからこそ、絶対に初日じゃないと意味がないと思って、そこはこだわらせてもらいました。

結果、初日を任せていただけたのは、これまで支えてくれたたくさんの方々のおかげでもあり、4人で意志を持ってやってきたことがひとつの形になったんだなって。それはとても誇らしい事実として真摯に受け止めています」(渋谷龍太)

渋谷龍太ライブ画像2

「あの日に辿り着くまでは正直、難航した部分もあったんですよ。そこまで頑張ってやることなのかなって一瞬、思ったりもしたほどで。でも渋谷には“やりたい”っていう強い意志があったし、じゃあ覚悟を決めてやり切るか! と。

そう決めてからは、どんどんいろんなエネルギーが加わって、最終的にはとてつもなく大きなコンテンツになった。生中継の演奏が終わったときにステージ袖をチラッと見たら、ツアーを一緒に回っているスタッフがみんな、めちゃくちゃガッツポーズをしていたんですよ(笑)。その瞬間になんて良い日だろうと思ったし、こんな素晴らしい感動を4人だけじゃなく、チームの一人ひとり、会場に来てくれた一人ひとりと一緒に感じられているんだなって。スペシャルな1日でした、本当に」(上杉研太)

上杉研太ライブ画像1

「そこにいた全員が100点だったなって思えた日でしたね。生中継はぶっちゃけ、プレッシャーがやばかったですけど(笑)。でもチームみんなが同じ方向を向いてたし、メンバーもバシッとキメてたと思うので」(藤原“35才”広明)

藤原“35才”広明ライブ画像1

「バンドを結成してから18年以上やってきてますけど、まだ予測できないことってあるんだなって思いました。こけら落としと生中継が合体するっていうのも、あの場所でそれをやるのも、誰ひとり経験がないんですよ。準備も含めてめっちゃ大変だったんですけど、でも感動が起きる前って大変なことをしなくちゃダメなんだなって、つくづく思いましたね。

経験を積むと、面倒くさそうなことや揉めそうなことって避けるようになっていくじゃないですか。それは別に悪いことじゃないけど、“この先に何かある気がする”っていうときは、あえてそこに飛び込むべきなんだなって。そうしたほうが楽しいこと、ドキドキすることに出会える可能性が上がる。早いうちからリスクを削れば、もちろん悪いドキドキはなくなるけど、それを飛び越える120%は起きないんですよね。それを改めて実感させてもらえました」(柳沢亮太)

柳沢亮太ライブ画像1

周りにいてくれる人がモチベーション

2020年のメジャー再契約も、コロナ禍で敢行した横浜アリーナでの無観客配信ライブもそう。大変だけれどワクワクするチャレンジを、ファンやスタッフといった自分たちを支えてくれる人たちとともに、いくつも積み重ねてきたSUPER BEAVER。そういった経験は、バンドをつづけていく理由のひとつに絶対になると柳沢は断言する。

とはいえ、バンドというものはメンバー全員が継続する意志を持っていなければ、長く動かしていくことはできないだろう。SUPER BEAVERがここまで歩みを止めることなく進んでこられた、活動の原動力とはなんなのだろうか。

SUPER BEAVER画像1

「それこそZepp Shinjuku (TOKYO)のこけら落としみたいな忘れられない日が今までにもたくさんあって、そういう日っていつも以上に感謝の気持ちを強く実感します。本当にすごくありがたいなっていう気持ちが、活動しているなかでずっとあるんですよね。

それに対して、ライブだったり楽曲だったり、僕たちの活動で返したいって思うんです。それが活動する原動力っていうか。もうずっと、“いただいている”っていう感覚なので、少しでも返せたらなと。僕はそれがバンドに向かう力になっていますね」(藤原“35才”広明)

「僕もほぼ同じかな。周りにいてくれる人がモチベーションになりますよね。それはメンバーであり、チームであり、支えてくれる人たちであり、一番は俺らの音楽を聴いてくれる人たち。そういう人たちがいてくれるから、気持ちがつづくんです。

それにね、今まではもらってきたもののほうがすごく多かったけど、ここから返していけそうな気がしてるんですよ、どんどん。なので、今までベットしてもらった以上のものをしっかりと返したい。もちろん返すだけがすべてではないんですけど、そういうことがモチベーションになってることは間違いないです」(渋谷龍太)

渋谷龍太画像1

「今、いろいろ考えていたんですけど、要はそれだけ魅力があるってことなんだなって。バンドなんて別に絶対やらなきゃいけないことではないし、絶対つづけていかなきゃいけないことでもないじゃないですか、きっと。

だけど、やりたいって思うんです。なんでかっていうと……例えば自分たちが一生懸命頑張って作り出すものが“ギブ”だとしたら、すごく“テイク”があるんですよね。その循環が絶妙なバランスで成り立っていて。“自分たちが頑張ったら、こんなにもらっちゃったよ、どうしようね?”みたいな(笑)。そういうことをずっとずっとやってる気がするんです。

で、それをつづけていると結局、生きていくってそういうことじゃね? みたいな感じになるっていうか……若干、哲学っぽいですけど(笑)。ごく自然に自分がいて、バンドがあって、日々ライブをしたり、曲を作ったり、そういうのが全部リンクしてるっていう。極論、いつだってやめられると思ってるけど、別にやめるものでもないよなって。そう思って毎日やれることをやってる感じ。もう生活になったんですかね。生活のために挑んでいくものというよりは、生活自体になっちゃったというか(笑)。でも、それってとんでもないことだと思うんですよ。結局のところ、本当に夢中になれるものだからだし、刺激的だからっていう、ただそれに尽きるんじゃないかな」(上杉研太)

「常々思ってるんですけど、バンドって組むときが一番難しいんですよ。足並みが揃っているのかどうか、同じ熱量であるかどうかなんて組んだ瞬間はホントわからないので、バンドがつづくってだいぶ奇跡的なことだなって。このバンドはたまたま、やっていこうぜっていう空気になって、それはすごくありがたかったですね。あとは共有してきたっていうことがすごく大きいなって思います。

それこそ、メジャーで一度潰れかけたとき、“カッコ悪いから、このままでは終われないよね”っていう価値観だけはすごく強固に共有できてたんですよ。バンドとしてああなりたい、こうなりたい以前に、“ここで踏ん張らなかったらちょっと違う気がする”っていう価値観の共有がかなり序盤にできたから、それ以降、“じゃあカッコ良いってどういうことだろう?”“今のこの悔しさの真反対にあるものなんじゃないか”みたいなことをコツコツと積み重ねてこれたんだと思うんですよね。そこから“この光景をまた見たい”とか“これは俺も楽しいしあなたも楽しいよね”って、ワクワクするものをたくさん生み出していくための発想も生まれてきますし」(柳沢亮太)

今すごくバンドが変化している時期

SUPER BEAVER画像2

メジャーと再契約してまもなく3年、活動内容は満足のいくものになっているのだろうか。そう尋ねると「そうか、1回目のメジャーのときより長くやってるんだ」「記録更新したな」とにわかに色めきたつ4人。冗談めかしたその明るい口調に、現在の充実ぶりが伺える。

「すごくたくさん力を貸していただいていると思います。最初のメジャーのときとはわけが違うっていうか。改めてメジャーレーベルとタッグを組むと決めたときから、あくまでも共闘するという形を取りたいなと思っていたんですよ。どちらかにぶら下がるという形は、僕は健全ではないと思っていたから、お互いがしっかりと共闘する関係性を築きたいって。その気持ちにもちゃんと応えてもらってると思いますし、だからこそ自分たちも気合いの入る部分はすごく大きい。とても健全な環境を作っていただいている実感がありますね」(渋谷龍太)

ちなみに再契約を決意したとき、今のこの景色は想像できていたのだろうか。

「こうならなければメジャーにいく意味がないと思っていたので……想像も何も、こうならなかったら困る(笑)。そういう意志のもと、再契約に臨んだので、その気合いはレーベルにも伝わっていたんじゃないでしょうか。“ちゃんとやらなきゃヤバいぞ”っていう空気は確実にあったと思います(笑)。僕らもソニーミュージックにとってそういう存在でいられなければ、一緒にいる意味がないと思われてしまうでしょうし、お互いにこういう緊張感のある関係性をつづけていければ良いんじゃないかな」(渋谷龍太)

2年後の2025年、SUPER BEAVERは結成20周年の大きな節目を迎える。現段階で思い描いているビジョン、目標を聞いてみた。

「20周年はこういうことをやろうとか、そういう話はしていますけど、とりあえずは目の前のライブや次のツアーをしっかりやることに重きを置いていたい。そのなかで20周年に向けて、自分たちがワクワクできること、周りにいる方に楽しんでいただけるようなことをしっかり計画していければ、と。楽しいことは自分たちで作っていかなければいけないと思っているので、そういう20周年を迎えられたら良いですね」(渋谷龍太)

「今すごく、バンドが変化している時期だと思うんですよ、いろんな意味で。そうやって変わりつづけた先の2年後にまた『良いバンドだな』って自分でも思いたいし、みんなにも思ってもらえていたら良いかな。変わって良いところと変わっちゃいけないところをちゃんと見極めるセンスを持ちつつ、バンドの在り方を4人でちゃんと共有して、2年後を迎えたいですね。すごくシンプルなことだけど、地道に毎日ちゃんとやっていきたいです」(藤原“35才”広明)

SUPER BEAVER画像3

「2年後も『いやぁ、なかなか休みは取れないですよね~、ありがたいことに』って言っていたいです。個人的には休めるならいつだって、何日だって休みたいですけど(笑)、バンドとしてはそれぐらい充実していてほしいですよね。ちゃんとこのまま健全につづいて、今年のツアーも成功させて来年に繋げて、またそんなふうに話していられれば」(上杉研太)

「20年っていうと、最初にメジャーデビューした成人式のころを思い出すんですよ。あれって人として生きてきて、初めて20年を意識するイベントじゃないですか。そこからさらに20年経つんだなと思うとすごいことだなって。そのときもちゃんと音楽で食えていたいですよね。だって音楽だけで生きていくって並大抵のことじゃないし、いつまでもつづけられる保証はない。死ぬまでつづけられたらそれに越したことはないけど、それってすごく難しいことだと身にしみてわかるので。

昔、音楽とお金は別だっていう話を何度もしていましたけど、今は別じゃないって思いますし、だからこそメジャーと再契約したわけだし。ホント純粋につづけられていたら良いなって思いますね。それは20周年に限らず、25周年も30周年も、ずっと。そもそも周年を大々的に祝うなんて、ある程度ちゃんと活動していなきゃできないですよ。それをちゃんとやれるって、そんな幸せなことはないですよね。現状に甘んじることなく……ま、もっと忙しくなれと大きな声では言わないですけど(笑)、でもそれぐらいの気持ちはずっとあるので。同じことを2年後も思えていたら、そんな幸せなことはないです」(柳沢亮太)

文・取材:本間夕子
撮影:大塚秀美

リリース情報

SUPER BEAVER「儚くない」ジャケット写真
「儚くない」
6月28日(水)リリース
試聴・購入はこちら(新しいタブで開く)

ライブ情報

『都会のラクダSP ~真夏のフジQ、ラクダにっぽんいち~』
詳細はこちら(新しいタブで開く)
 
『都会のラクダSP ~サシ飲み五番勝負、ラクダグビグビ~』
詳細はこちら(新しいタブで開く)
 
『都会のラクダ TOUR 2023-2024 ~駱駝革命21~』
詳細はこちら(新しいタブで開く)

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