K4:“ADULT K-POP”という新コンセプトで活動する4人組ボーカルグループの魅力を本人たちの言葉から紐解く【前編】
2023.10.19
気鋭のアーティストの実像に迫る連載企画「アーティスト・プロファイル」。
今回登場するのは、自身の楽曲だけでなく、MAISONdesをはじめ、数々の楽曲へのフィーチャリングボーカリストとしての参加で“SNSで最も使われる歌声”の異名を持つasmi。放送中のTVアニメ『ポケットモンスター』オープニングテーマ「ドキメキダイアリー」も話題だ。そんな彼女の、ポップアイコンとしてのイメージとは違う、22歳の等身大の素顔がうかがえるインタビューをお届けする。
後編では、昨年秋以降の心境の変化や、「ドキメキダイアリー」を歌って得た自信、そして今後のビジョンも語る。
asmi(アスミ)
大阪府出身、在住の22歳、シンガーソングライター。2019年10月に初の楽曲「osanpo」を配信リリース。2020年9月、1stアルバム『bond』をリリースし、CDショップ大賞2021年関西ブロック賞を受賞。2020年から2023年の間に、コラボレーションやフィーチャリングボーカリストとして起用された楽曲は25曲以上。TVアニメ『ポケットモンスター』オープニングテーマ「ドキメキダイアリー」(asmi feat. Chinozo)発売中。TVアニメ『デキる猫は今日も憂鬱』のエンディングテーマに起用されている新曲「破壊前夜のこと」が配信中。
今年は、4月14日に配信リリースした、ボカロPのChinozoとともに担当するTVアニメ『ポケットモンスター』のオープニングテーマ「ドキメキダイアリー」でも話題を呼んだasmi。少女・リコと少年・ロイをW主人公として迎えた新シリーズ『ポケットモンスター』のヒットとともに、楽曲も注目を浴びた。
ドキメキダイアリー - asmi feat. Chinozo(Official Music Video)
「オープニングテーマに決まるかもしれないって聞いたときは、まず、『え? やばっ……』っていう信じられない感じやって。決まってからも『ほんまに?』って感じだったんですけど、放送が始まって、やっと実感できました。
『ポケモン』は小学生のときに毎週見てて、劇場版も見に行きました。映画のシェイミのぬいぐるみを母に買ってもらったり、友達とゲームをしたり、私の子供時代において『ポケモン』はすごく大きな存在なんですね。
それが、自分が大人になって、オープニングテーマを担当させてもらえる。しかも、新しいシリーズのポケモンをやらせてもらって、本当に光栄だなと思ったし、頑張らないとなっていうふうにさらに火がつきました」
「ヨワネハキ」「PAKU」で2年連続TikTokのアワードを受賞しているasmiと、YouTubeで最も再生されたボカロ曲「グッバイ宣言」を手掛けたChinozoという、SNSで大きなバズを起こしている大人気のふたりによる楽曲に注目が集まったが、彼女自身は「楽曲を受け取ってから、自分のなかに入ってくるまでに時間がかかった」と言う。
「普段はラブソングを歌うことが多いし、自分で書く曲もほとんどがラブソング。『ドキメキダイアリー』はまったく恋とは関係ない曲なので、なかなか入ってこなかったんです。でも、レコーディング当日の朝、スタジオに向かう電車のなかで、すっと入ってきて。『待って。これ、私の歌やん』って、ビビッときて。それからはもう自分を支える歌になったし、レコーディングもめちゃくちゃ、もう今までにないくらい心が燃えて歌えました」
“ドッキドキメキ気流に私は乗っている きっとね”という歌い出しは、今や多くの人が一度は耳にしたことのある歌声を持つ彼女自身と重なる。「これは、asmiさんのことですよね?」という問いかけに、「確かに私のことだと、今は自分でも思ってます」と笑いながら答えてくれた。
「うん、気流に乗りまくりだと思います。でも、正直言うと、そこまでは言い切れない自信がない部分も自分のなかにはあって。でも、この曲を歌ってると、『もう絶対乗ってるやん!』って思えるぐらい自信が湧いてくるし、最初から最後まで、ひと言ひと言が全部、自分の心境とぴったりなんですよね。
例えば、“分からない物語にビビらないで”もそう。私はわからないことにビビリまくりなので、この楽曲に、歌詞に、鼓舞されるし、めちゃくちゃ元気やパワーが出る。チャレンジする心、エネルギーをもらいました。本当にこの曲は、私のなかで大きな存在になっています」
すべてが初めてのことで、ともするとビビることだらけだったこの3年間を、asmiはどう乗り越えてきたのだろうか。バーチャルであるネットの世界からリアルで対面できるライブの場に飛び出したasmiと、新しい冒険へと旅立った『ポケモン』の主人公には共通する部分が多かったのだろう。楽曲のなかの“私”は、まだ見ぬ未知の世界で“私を知りたい! 私を見つけたい!”と、“私の知らない私”を探して旅をしている。
「そこなんです! これもまさに自分のままで、私、自分のことがなんにもわかってなくて。去年の秋、目標を紙に書き出してからちょっとずつ変わってきてはいるものの、いまだに自分のことがわかってない。スタッフさんに相談したり、全国のショッピングモールで歌いながら、少しずつビビらない方法を見つけていった感じです。私、素の自分はめちゃくちゃネガティブだったんですけど、お客さんの前に立つことで、少しずつポジティブになる方法がわかってきたのかもしれない。asmiとしては、みんなを元気にしたいなっていうふうにすごく思えたので。
そのとき初めて来てくれた人もいるし、前から応援してくれた人たちもいるし、遠いとこからわざわざ来てくれた人もいた。その一人ひとりと目を合わせて、話したことによって、応援してくれている一人ひとりが生身の人間やっていうことを肌で感じられたというか。その生身の人たちがもしも私の歌で元気づけられているんだったら、それをもっと頑張りたいっていうふうに思いました。一人ひとりを元気づけられるような曲をもっともっと書いて、歌って、もっとみんなの役に立っていきたいなって思ってます」
新たなモードに入ったasmiの背中を押した「ドキメキダイアリー」は、asmiとしては初のシングルCD盤もリリースされ、そこには、TikTokで現在32億回再生されている「PAKU」と、asmi自身が作詞を手掛け、Yuta Hashimotoとともに作曲した新曲となるラブバラード「ずっと」も収録されている。
「めちゃくちゃありがたいですね。アニメ『ポケモン』のオープニングテーマっていうだけでもきっと歴史に残るのに、asmiのシングルで初めてCDとしてリリースされるのが『ドキメキダイアリー』っていうのは本当にうれしいです。asmiを好きでいてくれるみんなに手に取ってもらえるものを、この3曲で作れて本当に良かった。
新曲の「ずっと」はラブソングです。ショッピングモールツアーを経て、これからみんなを元気づける曲が書けるようになりたいと思ってるんですけど、自分で書くと、どうしてもラブソングばっかりになっちゃうんですよ(笑)。やっぱりラブソングを書いてるのが楽しくて。
たぶん、素の私が恋愛体質だからっていうのもあるかもしれないんですけど、やっぱり恋愛が一番心躍るというか、日々を彩ってくれるんですよね。普段だったらつまんないことも楽しくなるし、電車に乗るだけでも楽しくなる。そういう感覚を曲にしてしまえば、さらにみんなの恋が楽しくなると思うから、ラブソングを書くのはやめないと思います」
目の前で話す彼女の声は甘く舌足らずで、滑舌は心許ない。しかし、これが歌となると、リスナーの胸をキュンとさせる甘さはそのままで、「口から音源」と言われるほど、ピッチもリズムも寸分狂わずに発せられるから不思議だ。
「それは私もめっちゃ思ってて。普段は全然滑舌が良くないんですよ。なんでなんでしょうね(笑)。『PAKU』を歌って、初めて自分って滑舌良いんだって思いました。そもそも『ヨワネハキ』を歌うまでは、アップテンポの曲で声を張り上げて歌うような曲は、自分には向いてないって思い込んでいたんです。でも、『ヨワネハキ』を歌ってから、めちゃくちゃ評価してもらって。こういう歌い方は自分の作った曲じゃ無理やけど、誰かに書いてもらった曲でだったらできるし、すごい求められてるんやと思って。じゃあ、やりたいなと思ったので、これからもTikTokで使えるようなアップテンポの曲も、みんなを元気にできる曲も、恋愛の悩みや日常の想いを切り取ったバラードの曲も、いろいろ歌っていきたいなと思ってます」
最新曲は既に配信中で、8月30日にCDリリースされることも決定した「破壊前夜のこと」。TVアニメ『デキる猫は今日も憂鬱』のエンディングテーマとしてOAされている楽曲だ。
【期間限定公開】デキる猫は今日も憂鬱 ノンクレジットED/EDテーマ「破壊前夜のこと」歌:asmi
「めちゃくちゃうれしいですね。お仕事に疲れた方が、帰ってきて、ふう~ってテレビつけたらやってる時間帯のアニメなんで、ホッと一息つきたいときに見るアニメのエンディングで、私の曲が皆さんの耳をちょっとでも癒せたらなと思ってます」
作詞作曲を自身が手掛けたこのラブソングで描かれているのは、冬を舞台にした、どうしたって伝わらない一方通行の想いだ。
「なんか、冬が好きなのかもしれないですね。やっぱ寒いから着込むし、女の子ってかわいくなりますよね。だから恋したくなるのかな。この曲で、私が一番のお気に入りなのは、“夜の端くれだってそこそこに/私とあなたの真ん中で”っていう歌詞。みんな、それぞれが世界の真ん中だと思ってるので、世界にふたりだけっていう感じですね」
少々物騒にも思えるタイトルにはどんな想いを込めているのだろうか。
「“叶わないなら滅んでまえ東京”とまで言ってますよね(笑)。これは、叶わないというか、本当はもっと知ってほしいという気持ちなんです。今、目の前に好きな人がいて、話している。その好きな人と話してるときの私が、私のすべてだと思わないでほしいっていう。知ってほしいけど、これ以上を知ってもらえる兆しはまったくない。ということで、やけくそ半分で言っていて。いつでも破壊しかねない、ギリギリの状態を書いた曲ですね。この相手の場合、優しいから置いてはいかないけど、ただ主人公のほうが好きなだけなんですよね」
ショッピングモールツアーに加え、6月には全国5カ所をめぐる『asmi special live tour「Nice to meet you!」』を行なうなど、ライブ活動に邁進している彼女は、11月には東京と大阪で初のホールライブ『asmi special live「Wonder Closet」』を開催する。
「6月のツアーは、まだワンマンをやったことがない場所、ライブで初めて訪れるところを中心に回りました。名古屋、横浜、仙台、神戸、広島。今までは、もしかしたらみんなが大阪とか東京とか、私がライブをするところに会いに来てくれてたけど、今度は私からも会いに行くということで、みんなと“はじめまして”をするツアーとして、精一杯回ってきました。さらに、ショッピングモールツアーや『ポケモン』を通じて知ってくださったお子さんたちとか、ご家族連れの方たちにも来てもらいやすいようにと思って、11月にホールでのワンマンライブを開催します。
私にとっては、めちゃくちゃキャパが広くて、大きなチャレンジになります。まだまだ不安のほうが大きいぐらいなんですけど、『成功させる!』っていうのは決めてるので、あとは私が頑張るだけ。私がイメージしているライブエンタテインメント要素を増やして、ホールならではのライブを楽しんでもらえるステージにしたいなと思ってます。今はまだ、のっそりしてるので(笑)、不安もありますけど、頑張るしかない。言ってるだけじゃなくて、本当にひとつずつ、しっかりやっていくしかないなと思ってます。ぜひ、遊びに来てください!」
文・取材:永堀アツオ
撮影:荻原大志
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