K4:“ADULT K-POP”という新コンセプトで活動する4人組ボーカルグループの魅力を本人たちの言葉から紐解く【後編】
2023.10.20
ソニー・ミュージックレーベルズ
2023.10.19
気鋭のアーティストの実像に迫る連載企画「アーティスト・プロファイル」。
今回登場するのは、韓国のオーディション番組『ハロートロット』により選出された4人組ボーカルグループ・K4。“すべてのジャンルを超えた大人も楽しめるK-POP「ADULT K-POP」”をコンセプトに掲げ、10月18日に日本プレデビューミニアルバム『K4YOU ~K for you~』をリリースした彼らに、日本で活動することへの想いと今後の目標を聞く。
前半では、本人たちによる自己紹介とK4としてデビューに至るまでのそれぞれの道のりを語る。
K4
(写真左から)キム・ヒョンミン、オ・ジュジュ、リュ・フィリップ、チョ・ジュン。韓国のオーディション番組『ハロートロット』で見出され、結成された4人組ボーカルグループ。10月18日に韓国ドラマのオリジナルサウンドトラック“韓ドラOST”の楽曲を収めたカバーミニアルバム『K4YOU ~K for you~』をリリースし、日本でのプレデビューを果たした。
世界規模で勢いを増しつづけるK-POP。韓国では新しいグループやアーティストが次々と登場し、さまざまな音楽スタイルでファン層を拡大している。そうしたなかで、“ADULT K-POP”をコンセプトに掲げ、日本で活動をスタートするのが4人組ボーカルグループ・K4である。
「僕たちK4は、韓国の『ハロートロット』というオーディション番組に参加して、上位に入賞し選ばれた4人で結成されたグループです」(キム・ヒョンミン)
「番組には、K-MUSICを全世界に広めるという目的があったんです。その最初のステップとして韓国のエンタテインメントがジャンルとしてしっかり根付いている、日本で活動することになりました。日本はK4の音楽を世界で認めてもらうスタートの地ということになるので、すごくワクワクしています」(リュ・フィリップ)
メンバーは、キム・ヒョンミン、オ・ジュジュ、リュ・フィリップ、チョ・ジュンの4人。歌の実力者によって結成された彼らだが、“K4”というグループ名にはどんな意味が込められているのだろうか。
「グループ名であるK4のKには4つの意味が込められています。ひとつ目はKトロットです」(キム・ヒョンミン)
「ふたつ目は4人の騎士団という意味から、KnightのKです」(オ・ジュジュ)
「3つ目はKウェイブ。韓流のビッグウェイブを巻き起こすという意味です」(リュ・フィリップ)
「最後はノックアウトのKO。僕たちの歌声と音楽で皆さんをノックアウトするという意味が込められています」(チョ・ジュン)
K4の音楽のバックボーンとしてあるトロットは、日本では演歌歌謡と言われる音楽ジャンル。ただ、K4はグローバルな活動を掲げているグループだけに、ひとつのジャンルに縛られることなく自分たちの音楽性を高めようとしている。そして日本においては、卓越したボーカル力、美しいハーモニーをフルにいかしたグループとして展開を見せていくという。
「僕たちK4は“ADULT K-POP”というコンセプトで、新しいジャンルを切り開いていきたいんです。一人ひとりの個性はもちろんのこと、ボーカルスタイル、音楽性もそれぞれ違いますし、さまざまなジャンルの音楽を歌っていけると思っています。4人の声を融合させることで、より強い力を発揮していきたいです」(キム・ヒョンミン)
ここから自己紹介を兼ねて、全員にそれぞれの音楽のルーツやこれまでのキャリアなどを聞いていく。まずは、ボーカルトレーナーの経歴を持ち、K4の最年長メンバーでありリーダーのキム・ヒョンミンだ。
キム・ヒョンミン(Kim Hyunmin)
生年月日:1980年1月28日生(43歳)
身長/体重:180cm/78kg
K4リーダー、2,500人を輩出したボーカルトレーナー
「僕は幼いころから歌うことが大好きで、歌手を目指していたんです。でも親の猛反対があったので、兵役を終えたあと、音楽活動をするため逃げるようにソウルに引っ越しました。それから約20年、チャレンジと挫折の繰り返しでしたね」(キム・ヒョンミン)
過去にはソロ歌手としてデビューした経歴を持つキム・ヒョンミン。しかし、結局ソロ歌手としては成功を収めることができず、大きな挫折を味わった。しかし、彼は音楽の世界で生きていくことを諦めることなく、その後、ボーカルトレーナーに転身することになる。
「情熱を注いできた音楽をやめて、ほかの仕事をするなんて考えられませんでした。だから音楽に携わる仕事として、ボーカルトレーナーになり、10年間講師をつづけたんです」(キム・ヒョンミン)
アーティストとして成功できるかどうかは、本人の努力や実力だけで決まるものではない。人との出会いや時の運に左右されることもある。それでも諦めないと決めたキム・ヒョンミンは、ボーカルトレーナーをつづけながら、ひとつの思いを秘めていたという。
「絶対に自分を講師だとは思わないようにしていました。なので、生徒の皆さんにも後輩にアドバイスする気持ちで接していましたね。なぜ、そんなことを思っていたかというと、歌手になる夢を忘れたくなかったから。自分を講師だと認識したら、もうステージの上に立つ歌手にはなれないと思ったからです」(キム・ヒョンミン)
ボーカルトレーナーをつづけるなかで、自分に欠けているものへの気づき、歌手としてのスキルアップも実感できたという。だからこそ「『ハロートロット』で大きなチャンスを掴めて、本当にうれしかったです」とキム・ヒョンミンは語った。
そんなキム・ヒョンミンに音楽のルーツを聞くと、キャリアを重ねてきたことがよくわかる多彩なアーティストの名が挙がった。
「僕は、たくさんのアーティストに影響を受けてきました。トロット歌手のナフナさん、日本でも有名なチョー・ヨンピルさん、チンソンさんやイン・スニさんといった韓国の先輩の方々。海外ではマイケル・ボルトンさんの声質に憧れましたし、日本では安室奈美恵さん、中島美嘉さんの声やパフォーマンスが好きですね。あとは、X JapanやB'zといったバンドの方たちからも大きな影響を受けています」(キム・ヒョンミン)
つづいてオーディション番組『ハロートロット』で1位を獲得し、モデルとしても活躍するオ・ジュジュ。
オ·ジュジュ(Oh Juju)
生年月日:1988年2月7日生(35歳)
身長/体重:184cm/68kg
「ハロートロット」1位、現役モデル、特技はボウリング
モデルとしても活動しているだけあり、絞り込まれた9頭身級の体型と取材現場での優雅な立ち居振る舞いが印象的だ。そんなオ・ジュジュは、学生時代あるスポーツでかなりの好成績を残すスポーツマンだったという。
「僕をプロスポーツ選手にするのが両親の夢で、中学から大学までボーリングの選手をしていました。でも、それは自分が思い描いていた将来のビジョンではなかったんですね。それで親に『金メダルを取ったらボーリングを辞めさせてほしい』と相談して、実際に金メダルを取り、選手を辞め、モデル活動を始めました」(オ・ジュジュ)
プロになることも視野に入れられるほどの腕前がありながら、有言実行でボーリングをすっぱり辞め、芸能活動を始める意志の強さは、まさにオ・ジュジュの個性と言えるだろう。そしてそれは歌うこととの出会いからも見て取れる。
「モデル活動をしながら、オーディションにも参加していました。そこでは歌う機会もあって、それが僕の歌手への扉を開くきっかけになったんです。最初は、当然歌うことに関するスキルはゼロ。オーディションのステージで自分の力不足を感じましたし、ほかの参加者との力量の差がはっきりとわかりました。周りとこれだけ差がある……だったら努力しなくてはという気持ちでしたね」(オ・ジュジュ)
歌のスキルがゼロの状態から始めて、現在の歌声を出すまで成長するにはそれなりの苦労もあったはずだが、「さまざまなオーディションを受けるたびに、歌手としての基盤が作られていったような気がする」とオ・ジュジュは語る。しかし、そんな彼も歌手としてデビューする夢はなかなか叶えることができず、将来を見据えた決断のタイミングが刻々と近づいていた。
「歌手デビューを目指してから4年間、さまざまなオーディションに参加しましましたが、その道は険しくて……。実は、『ハロートロット』のオーディションを最後のチャレンジにしようと思っていたんです。これでダメだったら、歌手の夢は諦めようと。でも、だからこそ自分のすべてを出し切ろうと思って挑戦したら、1位という結果になりました。そして、K4にめぐり会えたんです」(オ・ジュジュ)
そんなオ・ジュジュに自身の音楽ルーツを聞くと「僕もナフナさんやキム・ヨンジャさんといった韓国の先輩から影響を受けました。日本のアーティストでは、氷川きよしさんをよく聴きます」と答えてくれた。
3人目は、アメリカ生まれで、K4で活動する前にもグループデビューを経験したことがあるリュ・フィリップ。
リュ・フィリップ(Ryu Phillip)
生年月日:1989年7月11日生(34歳)
身長/体重:180cm/62kg
フロリダ州マイアミ出身、特技は英語、ギター演奏、アクション
彼が歌手を目指したのは、幼少期を過ごしたアメリカでの家庭環境からだった。
「僕が歌手を目指したのは声楽をやっていた両親の影響で、オペラハウスで歌う両親の姿を見て憧れを持っていました。当時は、毎朝、母が弾くピアノの伴奏で歌を歌って1日が始まるという生活でしたね」(リュ・フィリップ)
その後、家族とともに韓国に戻ったリュ・フィリップは、さらなる影響を家族から受けて、歌手への道を志すことになる。
「韓国に戻ってから、母は声楽を職業とするのを諦め、テレビタレントとして活動を始めました。そんな母の姿を見ているうちに、自分も表舞台に立って活躍する人になりたい、母が叶えられなかった歌手という夢を自分が成し遂げたいと思うようになったんです」(リュ・フィリップ)
そうして、20歳から芸能活動をスタートさせたリュ・フィリップ。最初に所属した芸能事務所では、6年ほど練習生の期間を過ごし、その後、グループデビューも果たすことになる。このときの芸能活動でも、一定の成果はあり、さまざまなことに挑戦できたようだ。
「もともと音楽に真心を込めて歌う母の姿を見ていたので、僕も感情やメッセージを込めた歌が歌えるようになりたいと思って頑張っていました。当然、歌手の道を進んでいきたいという思いはあったんですが、芸能活動をするなかで、演技をしたり舞台に出たりする機会もあって、本格的に俳優の道に進みそうにもなったんです」(リュ・フィリップ)
それでもK4というボーカルグループに入り、歌手としてより大きなステージに立つことを目指すことになったリュ・フィリップ。そこには、歌との縁と原点回帰への思いがあった。
「演技をすることも面白かったんですが、同時に歌う機会にもたくさん恵まれて。そのたびに、自分はやっぱり歌手としてやっていきたい、母のように歌いたいという気持ちに戻っていきました。いろんな経験をさせてもらって、今こうしてボーカルグループ・K4のメンバーとして活動できていることが本当にうれしいです」(リュ・フィリップ)
アメリカから始まったリュ・フィリップの歌手への道。その道程ではどんな音楽に影響を受けてきたのだろうか。
「いろんな国や地域の音楽に影響を受けてきました。韓国だとイン・スニさん、チョー・ヨンピルさんの曲がとても好きですね。アメリカでは、ワンリパブリックがとても好きです。僕が影響を受けたアーティストは、どの方も楽曲が持つメッセージの伝え方を大事にしていて、まるで人生を語るように歌う。自分もそんなふうに感情を込めて歌いたいです」(リュ・フィリップ)
最後は、ソウル大学声楽科出身でグループ最年少のチョ・ジュン。
チョ・ジュン(Cho Jun)
生年月日:1993年1月11日生(30歳)
身長/体重:176cm/68kg
「ハロートロット」3位、ソウル大学声楽科出身、特技はいろんな発声で歌うこと
チョ・ジュンも幼いころから歌手になることを夢見ていたという。しかし、彼の前には両親の反対という高いハードルが現われた。
「親が学者だったので、音楽の世界に進むことにとても反対されました。でも、僕も子どものころから心に誓っていた夢だったから、諦めることができなくて。思いを伝えて熱心に説得したところ、『しっかり勉強をして、大学に入ってから音楽に挑戦してみたら』と言ってくれたんです。それで一生懸命勉強して大学に合格し、音楽を始めることができました」(チョ・ジュン)
ソウル大学の声楽科に見事進学したチョ・ジュン。しかし、大学生生活を送るなかで、授業として受ける声楽よりも、自分が本当にやりたい音楽がより明確になっていったという。
「大学では、オペラを専攻して学んでいましたが、自分はもっと大衆寄りの歌を歌いたいんだということがよくわかったんです。そこからミュージカルにも挑戦しましたが、これもしっくりこなくて。自分が本当に歌いたい歌はなんだろうって模索していたときに、トロットに出会いました」(チョ・ジュン)
日本では演歌歌謡と表現される音楽ジャンルのトロット。そう聞くと年配の人に人気の音楽ジャンルかと思われるが、現在では、昔ながらのトロットにEDMなどのダンスサウンドがミックスされた新しいスタイルで、若者層の間でも大ヒット。まさに老若男女に響く音楽ジャンルで、チョ・ジュンが歌いたいと望んだ大衆音楽とぴったりマッチする。ただ、チョ・ジュンの前に今度はコロナ禍という大きな壁が立ちはだかる。
「トロットを歌いたくても、歌える場所が一切なくなってしまったんです。でも、やっと見つけた自分が本当にやりたいことだから、トロットを歌いつづけるにはどうしたら良いんだろうと思ったときに、テレビに目を向けてみたら、オーディション番組『ハロートロット』があって、チャレンジすることにしました」(チョ・ジュン)
トロットに出会い、オーディション番組を経てK4の仲間に出会う。チョ・ジュンも縁に導かれて、今こうして日本でのプレデビューを迎えた。
「自分のなかで、K4として4人のグループで活動するというのはとても新鮮です。あと、僕は日本の文化がとても好きなので、ほかのメンバーよりも少しだけ日本語が話せます。それをいかして、日本の方が好きな曲もどんどん歌っていきたいと思っています」(チョ・ジュン)
ソウル大学の声楽科で学んだチョ・ジュンにも音楽のルーツを聞いてみると、意外な答えが返ってきた。
「やはり僕は日本のカルチャーが好きで、なかでも日本のアニメが大好きなオタクなんです(笑)。だから、アニメ作品に楽曲を提供している米津玄師さん、あいみょんさん、Adoさん、YOASOBIさんなども大好きですね。ヒットチャートの音楽や、TVアニメ『ONE PIECE』の楽曲もよく聴きます。ほかには、カーペンターズも大好きです」(チョ・ジュン)
K4に至るまでの道のり、それぞれの音楽的なルーツは、まさに四者四様。しかし、4人とも挫折を味わったり、大きな壁を乗り越えたりして、今、ここにいる。それぞれが持つ経験と個性を武器に、大人の魅力も醸し出せるグループとして活動するK4に注目していきたい。
文・取材:土屋恵介
撮影:干川 修
日本公式HP
https://www.110107.com/s/oto/page/K4?ima=5358
K4ソニーミュージックオフィシャルサイト
https://www.sonymusic.co.jp/artist/K4
Japan Official YouTube
https://www.youtube.com/@K4japanofficial
Japan Official X(旧Twitter)
https://twitter.com/K4JapanOfficial
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