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連載Cocotame Series

Eyes on

竹内アンナ:デビュー5周年を迎え、音楽をつづけていくことの意味を語る

2023.07.28

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今、注目すべき旬のアーティストにスポットを当て、最新インタビューとプライベートショットで素顔に迫る連載「Eyes on」。

今回は、卓越したギタープレイで知られるシンガーソングライター、竹内アンナが登場。KinKi Kids、坂本真綾らへの楽曲提供や、映画『SING/シング:ネクストステージ』の日本語吹き替え版でウサギ役を担当するなど、幅広く活躍中だ。

そんな彼女が、今年の5~6月に行なわれた全国ワンマンツアー『竹内アンナ RELEASE TOUR 2023 -at FIVE-』を振り返りつつ、8月にデビュー5周年を迎える現在の想いを語る。ツアーの貴重なオフショットも公開!

  • 竹内アンナプロフィール写真

    竹内アンナ

    Takeuchi Anna

    1998年4月25日、アメリカ・ロサンゼルス生まれ、京都府出身。2018年8月8日に4曲入りEP「at ONE」でメジャーデビュー。2020年3月18日に1stアルバム『MATOUSIC』をリリース。収録楽曲「RIDE ON WEEKEND」はWOWOWオリジナルドラマ『有村架純の撮休』主題歌としても話題となった。2023年8月5日、EPシリーズのアナログ盤5枚を一斉リリースする。

すごく強くなれたツアー

全国ツアー『竹内アンナ RELEASE TOUR 2023 -at FIVE-』ライブ写真1

全国ツアー『竹内アンナ RELEASE TOUR 2023 -at FIVE-』より
Photo by Kazushi Hamano

──全国ワンマンツアー『竹内アンナ RELEASE TOUR 2023 -at FIVE-』を終えた感想から聞かせてください。

今回のツアーは、ひと言で言うと、すごく強くなれたツアーだなと思っています。今まで、いろんな形態で回るツアーを行なっていて、アコースティックギターの弾き語りもあれば、ひとりで機材を使いながらやることもあるし、フルバンドで、凄腕のミュージシャンの方々にサポートしてもらうこともあって。

今回は、初めて同世代のバンド、dawgssのベースとドラムと私っていうスリーピースで回ったんですね。以前にもスリーピースでライブをやったことはあったんですけど、同世代のミュージシャンだけのツアーは初めてで。

実は、dawgssのライブを観に行って、「一緒にやらせてください」っていう直接のお願いから始まったんです。年齢が近くて、こんなにカッコ良いミュージシャンがいるんだっていう驚きとリスペクトがあったので、リハーサルの段階から自分自身を奮い立たせましたし、ツアーを一緒に回って、より負けられないっていう刺激をもらいました。

全国ツアー『竹内アンナ RELEASE TOUR 2023 -at FIVE-』ライブ写真2

全国ツアー『竹内アンナ RELEASE TOUR 2023 -at FIVE-』ライブ写真3

全国ツアー『竹内アンナ RELEASE TOUR 2023 -at FIVE-』より
Photo by Kazushi Hamano

──今回は、おなじみのアコギだけでなく、半分以上の曲でエレキギターも弾いてましたね。

そうですね。自分がここまでの曲数でエレキを持ってステージに立つっていうのは、今までにはなかった大きな変化でしたね。去年の夏に“335”(ギブソンES-335)を買ったので、この機会にもっと積極的にエレキを使っていこうってなったんですけど、やっぱりアコギとは全然違って。アコギでひとりでやっていたときは、ベースラインを弾いたり、リズムが出るような弾き方をしたり、どれだけひとりでたくさんのことをできるかっていう足し算の作業が多かったんです。

でも、トリオって最小のバンド編成としてそれぞれが隙間を埋めるアプローチをすることも多いから、ぶつからないように、逆にどれだけ引き算できるか、どこまでそぎ落とせるかっていう、まったく別の作業をする必要もありました。そのなかから、自分でも新しい発見ができたし、それはアコギにもフィードバックできるものだなって思いました。

竹内アンナオフショット写真1

「リハーサル中のショットで、ギブソンの『ES-335』を弾いてます。去年の夏、お茶ノ水の楽器店で試奏して買いました。これまではアコギばかりだったので、初めて自分でちゃんと買ったエレキギターです」

──最初に言っていた「強くなれた」というのは?

すごいミュージシャンふたりに私がついていくんじゃなくて、ちゃんとこのふたりを引っ張れるようになりたいっていう気持ちがあったんだと思います。ひとりのときはすべてを背負うという意味では強くなれるんですけど、ひとりだから何をやっても良いっていう自由さもあるんですよね。

でも、ほかのメンバーと一緒にやることで、フロントマンとして前に立っているという意識がより強くなったというか。このツアーのなかで、自分の意識が変わったかなって思います。

竹内アンナオフショット写真2

「ツアーを一緒に回ったdawgssのふたりと。左がベースの森光奏太さん、右がドラムの上原俊亮さんです。毎公演記念撮影していましたね。ふたりからとても刺激をもらいました」

「また生活の途中で会いましょうね」という想いを込めて

──全国9カ所を回ったツアーでしたが、特に印象に残っている出来事はありますか?

各地でそれぞれにドラマがあって、一つひとつ思い出せるんですけど、まず、どの会場も、今回のツアーから声出しが解禁されたっていうのは自分のなかで大きかったです。私も楽しみに待ってたけど、お客さんたちが倍以上の熱量で楽しみに待っててくれて。それが、すごくうれしかったですね。

声出しができなくても楽しかったツアーはたくさんあるけど、やっぱり自由に声を出したり、踊ったり、自分らしい楽しみ方ができるっていうのは、改めて良いものだなって感じました。私もお客さんも、お互いにそれが再認識できたツアーになったかなって思ってます。

そのなかでも特に印象的だったのは福岡公演かな。どこの土地でも、小さいお子さんを連れてきてくださるご家族がいらっしゃるんですけど、福岡公演のときは最前列に、小学生ぐらいの女の子がお父さんと一緒に来てくれていて。出た瞬間から、「アンナちゃん!」ってかわいい声で叫んでくれたんです。

──彼女にとって、初めてのライブだったかもしれないですね。

そうですね。しかも、ライブを最前列で観る経験はなかなかないかもしれないじゃないですか。最後まで楽しんでくれていた様子を私は間近で見れたし、それがすごくうれしかったんで、アンコールのときに、その子に「何を聴きたい?」って聞いたんですよね。そしたら本編でもやった「あいたいわ」をリクエストしてくれて。せっかくだしと思ってひとりでアコースティックバージョンでやったら、すごく喜んでくれて。同じようなことが、昨年の弾き語りツアーの岡山公演でもありました。

竹内アンナオフショット写真3

「ツアー中、金沢公演の朝、散歩に出たときの写真です。この風景が、ちょうどそのときに持っていた梨木香歩さんの『裏庭』の表紙に似ていたので、いつも持ち歩いているデジカメで撮りました」

竹内アンナオフショット写真4

「これがMYデジカメです。20年以上前に発売された『サイバーショット』で、色も白がほしくてめちゃくちゃ探して手に入れました。お気に入りです」

──昨年の11月から12月にかけて行なった『弾き語り TOUR 2022 atELIER cafe -アトリエカフェ-』ですよね。岡山公演はツアーファイナルでもありました。

10歳くらいの女の子がひとりで来てくれていたんですよ。10歳っていうのは、私が音楽に興味を持ちだした年齢なんですね。きっと多くの方が、それぐらいの年齢のときに出会った音楽が自分のなかのひとつのルーツになってると思うんですよ。そのあともたくさんの音楽に出会うけど、結局、戻ってくるのはそこだったりする。

だから、その年齢の女の子が私の音楽に出会ったってことは、その子のなかで私の音楽がルーツになるかもしれない。それがすごくうれしくて、何か私がしてあげられることはないかな? って思って、アンコールで聴きたい曲を聞いて。そのときは「Free! Free! Free!」をやったんですけど、その子は泣いて喜んでくれて。そういう出来事があったから、5枚目のEP「at FIVE」に入っている「生活 feat. パジャマで海なんかいかない」っていう曲ができたんです。

Anna Takeuchi - 生活 (Lyric Video)

──楽曲内で“幼い日のわたしと同じ瞳の色をした少女”にとって、“帰れる場所でありますように”と歌ってますね。

そうですね。この先、何十年とつづいていく人生のなかで、きっとたくさんの音楽に出会っていくだろうけど、最後に戻ってくる場所が自分の音楽であったら良いなって思って。そういう意味でも、今日の日のライブが、その子にとって素晴らしいものになってくれたら良いなっていう思いで、アンコールでリクエスト曲を聞いて。

毎公演はできないんですけど、お子さんが聞ける距離にいるときは聞くようにしています。そういうことが福岡公演でもあったのですごくうれしかったんです。その後、会場で急いでお手紙を書いて、封筒に入れて渡してくれて。お手紙を書いてくれるってことは、その子にとって何か残ったというか、伝えたい何かがあふれたってことだからすごくうれしいなと思いました。

竹内アンナオフショット写真5

「名古屋から金沢への移動中、夜遅くに岐阜県の瓢ヶ岳のパーキングエリアに立ち寄りました。そこで食べたバニラアイスがおいしかった!」

──今回のツアーでは、「生活」が本編の最後の曲になっていました。歌う前には「音楽をみんなに届けつづけるために生活をつづけていく」と宣言していましたが、ライブでの出会いから生まれた曲を生でお客さんの前で歌って、どんなことを感じましたか?

ライブは終わるけど、それでも私は音楽をつづけていくから、また生活の途中で会いましょうねっていう想いを込めて歌いました。“私、つづけていくからね”っていう気持ちを直接届けられて、すごく良かったなって思います。初めて来てくれた方もたくさんいるから、その出会いのなかで「生活」を歌えたのは、自分のなかでも意味があったというか、感慨深いです。

──今、このタイミングで“音楽をつづけていく”という決意表明をしたのはどうしてですか?

8月にデビュー5周年を迎えます。まだまだ小さい数字ですけど、5年っていうのはひとつの節目でもあると思うので、そういうタイミングで“今までやってきた私も竹内アンナだし、この先やってく私も竹内アンナ。これからもブレずにやってくよ”っていう想いを、みんなに届けられたら良いなっていう気持ちがありました。

竹内アンナオフショット写真6

「リハ中の写真です。今回のツアーTシャツを着ているんですが、これは同い年のイラストレーター、菊地伊織ちゃんがデザインしてくれました」

芯さえブレなければ、何をやっても大丈夫

──この5年間はどんな日々でしたか?

あっという間でしたけど、本当に濃厚な時間を過ごしました。5年もやっていれば、慣れてくることもあると思うんです。でも、惰性になるんじゃなくて、毎回、新鮮な気持ちでトライできているのは良いことだなと思う。それは、自分の心持ちでだけじゃなく、そういう環境にいられることもありがたいなって思いますね。今回のツアーの編成も含めて、新しいトライをしつづけているし、この先もずっと、毎回、何かステップアップできる、更新できるものをつづけていきたいなって思っています。

──竹内さんの音楽は、ポップ、ロック、ソウル、R&B、ジャズ、ブルース、ヒップホップ……と多岐にわたっていて、アコギだけじゃなく、エレキも弾くようになりました。変化を恐れずにどんどん新しい世界に飛び込んでいくなかで、逆に変わっていないことは何かありますか?

ジャンル感や曲調、歌詞のテイストが変われども、デビューのときから一貫して変わらないのは、自分の曲を聴いて、ちょっとでも明るいほうにみんなが向けたら良いなっていう想いですね。

それは別に、無理矢理引っ張りたいっていうわけじゃなくて。何かひとつでも明るいほうに顔を向けるきっかけになったら良いなっていう気持ちは、デビュー前にリリースした「alright」のときから変わらずにずっとあります。

5年の月日のなかで、リリースのたびに新しいサウンドにトライしたり、歌詞のなかで使う言葉が変わったりはしてるけど、シンガーソングライターとしての自分のテーマはずっと変わってないですね。

竹内アンナオフショット写真7

「マイギターたちです。こうやって待っていてくれる姿がかわいいな~と(笑)。いつもありがとね!」

──話に出た「alright」という曲は、今ご自身のなかでどんな存在になっていますか?

5年という節目を迎えるにあたって、改めて聴き返したんですけど……初々しいなって思いました(笑)。歌い方もそうだし、歌詞も今の私じゃ絶対書けないって思った。そういう意味では、そのときの自分の気持ちを曲に残せているのは、ミュージシャン冥利に尽きるし、これからもたくさん残していきたいなと思いましたね。

あとは、「alright」を聴き返したことで原点回帰したというか。最近はアコギだけで曲作りをするようにしていて。ここ数年は打ち込みでデモを作ることが多かったんですけど、ちょっと初心に戻って、デビュー前にやっていた作り方で久しぶりに曲作りをしてます。

──原点に立ち返りつつ、今後をどう見ていますか。ツアーの最終日のMCでは「これから先の未来が楽しみになるツアーでした」と言っていました。

久しぶりの声出しのツアーで、本当に確信を持って、これからも私は音楽の世界にいるんだろうなって感じたんです。私はライブが好きで、ここが私の居場所だと思ったし、これからもつづけていきたいと強く感じました。このツアーで、まだまだできることがたくさんあるなっていうことにも気付けたし、本当に次に繋がるツアーだった。早くまたツアーがしたいし、もっと細かく回りたいなと思いました。

竹内アンナオフショット写真8

「ライブのリハーサルが終わって、ちょっと一息ついているところです。ツアーのために新調したSHINOSのギターアンプと一緒に」

──「まだまだできること」というのは?

この2年間くらいは、声出しできない期間を挟んでいたので、コール&レスポンスができる曲を作ってなかったんですよね。だから、改めてそこにフォーカスを当てて、そういう曲を作ってみても良いなと思いました。

それ以外にも、例えば、景色だけじゃなく、香りや味までイメージできるような曲も作っていけたら良いなと思ってて。私は秋の香りがすると、くるりを聴きたくなるし、景色と香りはセットだったりすると思うんですね。だから、春の香りの曲、夏の香りの曲のように、香水の種類みたいな感じで曲を作ってみたいなっていうのもある。

あとは、文章を書くことも好きなんですよ。毎回、歌詞を書くときに、短いお話を書いてから、それをもとに歌詞に仕上げていて。だから、小説じゃないけど、台本のようなものを書いて、架空のドラマや映画のサントラを自分で作る、みたいなこともやりたいですね。

──今まで書いてきた短いお話を集めた短編集は出さないんですか?

出さないです! 黒歴史に近いので(笑)。恥ずかしくて出せないんですけど、短いお話を挟むことによって、自分のなかの曲に対する解像度も上がるし、客観的に見られるようになるんですよね。今は自分のなかだけに隠してますけど、見てもらいたい気持ちが芽生えたら、いつかそういう試みもできたら良いかもしれない。

“みんなが明るいほうを向けますように”っていう芯さえブレなければ何をやっても大丈夫だと思うので、私も楽しいし、みんなも楽しいという方向にどんどん進化していけたらと思います」

文・取材:永堀アツオ

リリース情報

EPシリーズ【アナログ盤】
発売日:8月5日(土)
詳細はこちら(新しいタブで開く)

ライブ情報

『Slow LIVE '23 in 池上本門寺 20th Anniversary』
2023年9月2日(土)
会場:池上本門寺・野外特設ステージ(東京)
チケットはこちら(新しいタブで開く)

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