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連載Cocotame Series

サステナビリティ ~私たちにできること~

VTuber・九条林檎が語る沖縄で得た“クオリア”【前編】

2023.09.22

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ソニーミュージックグループでは、持続可能な社会の発展を目指して、環境に配慮した活動や社会貢献活動、多様な社会に向けた活動など、エンタテインメントを通じたさまざまな取り組みを行なっている。連載企画「サステナビリティ ~私たちにできること~」では、そんなサステナビリティ活動に取り組む人たちに話を聞いていく。

今回インタビューするのは、沖縄県の伊江島でサンゴの移植を行なった、玉川学園サンゴ研究部のフィールドワークに同行し、生徒たちとの座談会に参加したVTuber・九条林檎。沖縄での体験やサンゴ研究部とのディスカッションを通じて感じたこととは。

前編では、初めて訪れた沖縄の印象、そしてサンゴ研究部の生徒たちとの座談会の感想を聞く。

  • 九条林檎プロフィール写真

    九条林檎

    Kujo Ringo

    吸血鬼と人間のハイブリッドレディで、魔界の名門、九条家の長女。バーチャルタレント/VTuberとして、歌やダンス、ゲーム、悩み相談と、多岐にわたるテーマでコンテンツを配信中。2022年5月より、ソニー・ミュージックエンタテインメントが運営するバーチャルタレント育成&マネジメントプロジェクト『VEE』に所属。

自分の目で見てみないとわからない情報

――玉川学園 サンゴ研究部のサンゴ移植の取材で沖縄県の伊江島を訪れました。初めての沖縄はどうでしたか?

少々厳しい暑さでした。我の郷里であるマルクホルテという国は、日本に比べるとちょっとばかり気温が涼しめなんですね。特にここ数年は、暑い時期に外へ出ますと日傘をさしていても顔から腕から全部溶けてしまうんじゃないかと思うくらい。でも吸血鬼と人間のハイブリッドレディで、お日様大好きな我としては大変うれしい季節です。沖縄はそういう意味でも、非常に楽しませていただきました。

――沖縄には、これまでどんな印象を持っていましたか?

沖縄のことは、今まで本とかテレビとかラジオとかでさんざっぱら見たり聞いたりしていて、頭のなかで架空の沖縄像ができていました。今まで見てきたものとまったく違ったものが出てきたというわけではもちろんないものの、やはり自分の目で見てみないとわからない情報量みたいなものがありました。

九条林檎写真1

例えば、海のなかのサンゴ礁ひとつ取っても、目から見る映像だけじゃなく、一緒に波を感じたり、水のなかで自分の体が浮く感じ、背中に照りつける太陽の強さとか、そういったより大きな輪のなかで、自分の心の経験としての記憶が溜まって非常に良かったなと。

そして映像やなんかで見るよりも、月並みな言葉ではあるが、何十倍も魅力的な島だったと、そういうふうに思っております。特に生まれて初めて生で見た天の川は、心の底から感動しました。都会ではなかなか見ることができない光景がいっぱい詰まっていて、自分自身の知見を深める良い機会だったなぁと感じております。

水中写真1

水中写真2

――伊江島で、玉川学園 サンゴ研究部の皆さんとの座談会に参加していかがでしたか。

サンゴを研究している学生さんと話す機会は、なかなかないものですから、本当に良い経験をさせていただきました。事前にサンゴに関する文献を読んで予備知識を得ていましたが、お話をするなかでサンゴの現状についての知見がさらに深まっていきました。そこから生まれた質問を皆さんに聞いて、またさらに知見を深めていく。サンゴについてどう関わっていこうかなんて考えたりしながらお話できる機会というのは、非常にありがたかったです。時間が許すのであれば、生徒さんそれぞれについてもう少し深掘りしてみたかった。それくらい興味深く楽しくお話しさせていただきました。

――生徒の皆さんの意識の高さにも驚きましたね。

我も同意見です。玉川学園という学校自体が、探究学習をテーマに自主的に学ぶスタイルをかなり前から実践してきた学園とお聞きしたので、やはりそこで育ってきている生徒さんたちだなと。自ら探求して、学習して自らの糧にしていく。興味のあることを自分のなかで組み合わせて、さらなる学習に昇華させていく。そういうことができる人たちだという印象でした。それはもう本当に、全員に対して思いましたね。

そのなかでスキューバダイビングの得意不得意であったり、ゲームが好きな方がいたり、弓道で世界一を目指している方もいたんですが、それぞれできることや趣味の違う人たちが、サンゴの保護とそれに伴う海洋環境、自然環境の改善というものに対して心を同じくして活動しているということが、素敵だと思ったりしました。

九条林檎写真2

――生徒さんたちとのやり取りで覚えていることや、印象深いことは?

“これからどうやってサンゴを取り巻く環境の話を広めていくか”ということを質問したときに、広報担当のユウミさんが「TikTokは面白い動画が伸びるところだから」と言っていて、それぞれのプラットフォームをちゃんと分析しているのに驚かされました。特性をわかった上で、“自分たちはサンゴの研究に関してまじめにやっていく”という戦略を立てられている部分が印象に残りましたね。

動画を作るのはサンゴの白化問題に直接的には関係ない部分ですが、サンゴの保護そのものだけではなく、それを取り巻くもの、プロモーション活動や、ウニの研究をされている生徒さんもいらっしゃって、全部が包括的に考えられた、マクロな視点で見ているんだなと感心しました。きっと、サンゴ研究部内で代々培われてきたものがあるからこそなんだろうと感じました。

心の抜け道みたいなものを皆さまに教えたい

九条林檎写真3

――九条さんが、「やらない善よりやる偽善」など、ご自身の言葉でリアルな助言をしていたのが印象に残っています。

きっと学校にはいろんなことを教えてくれる先生方がいらっしゃると思うのだが、我にはより豊かに生きるために、意識をせずに生きていたらなかなか知ることができない、心の抜け道みたいなものを皆さまに教えよう、そして皆で豊かな生活を送れるようになろうという目標がございます。

もちろんその抜け道のなかには、絶対的に「これが正しいですよ」とは言いづらいものもあるのだが、常に品行方正に生きようとすると、どこかで疲れが出てしまうこともあると思う。そんな意識を持って、生徒の皆さんにもお話しさせていただきました。

――今回は、サプライズで生徒さんたちの前に登場するといった演出でした。やってみていかがでしたか?

やはり最初は不安がありました。生徒の皆さんの前に突然現われて、果たして受け入れてもらえるだろうか? 心を開いてお話ししてくれるだろうか? と。我の活動では常に、思考を豊かにするとか、相手に楽しくお話ししてもらうということを念頭に置いているので、楽しかったと思って帰ってもらえるだろうかというような不安はあったけれども、皆さんが驚いたり喜んでくださったりして、その不安は一気に消えうせ、楽しくお話しさせていただくことができました。

リアルタイムでリアクションがもらえる、ジョークやなんかに笑ってもらえるというのが、一番良かった。画面越しではあるものの、皆さんの温度感を感じながらお話しできたので、やはりこういう機会は良いですね。

九条林檎写真4

――生徒の皆さんが楽しそうに実習をされてる様子を見て、ご自身の学生時代を思い出すようなことはありましたか?

皆さんがサンゴを移植するために、宿泊しているコテージから海へ向かうときに、大勢で自転車をこいでいる背中に青春を感じましたね。あとは、ふたりの生徒さんが「これどうする?」「やっぱりこうしよう」みたいな相談をしているところに、横から別の人が「いや、それはこうだったはずだよ」みたいに話に加わったりしていて、そういうのも微笑ましかったです。遠足とか修学旅行で、生徒同士が助け合う感じがなんとも懐かしく思われて、非常に良かったですね。

サステナブルな生活によって美しいサンゴが守れる

――今回は環境問題にまつわる活動を見てもらいましたが、九条さんのなかで理解や意識が変わった部分はありますか?

最近SDGsの認知が進んできて、サステナブルな生活をするためのプロダクトができたり、サービスが始まったりというのはたくさん耳にするのだけれど、では我々がサステナブルな生活、取り組みをすることによって守れるものが一体何かというのを直接見る機会はなかなかないと思うんです。

九条林檎写真5

そんななかで、今回実際に沖縄のサンゴ礁を見ることができ、我は本当に幸運でした。サステナブルな生活を意識することによって、「この美しいサンゴが守れるんだ。この美しい海を守りたいんだ。残していきたいんだ」と感じることができました。

今までも地元の森だとか川だとかをきれいに残していきたいという意識はあったものの、自分の見慣れたもの以外で「これが守れるんだ」という対象が目の前にありありと出てきたのは初めての経験。前向きに考えるきっかけにもなったし、それをどのように自分の行動につなげていくのか、具体的に考えるきっかけにもなったな。

――例えばどんなことを考えましたか?

環境に対して優しくするという行動が、特に最近は大きなビジネスにも組み込まれるようになっています。環境に対して良い行動をしたいという消費者の想いを汲んで、企業側が自社の得意分野で環境問題に取り組む。そのことが、大きな価値を生み出すようになってきている。

これは座談会でも申し上げたんですけど、「やらない善よりやる偽善」だと我は断然思っているので、その目的がお金儲けだったとして、それが環境に良いのなら圧倒的に良いと我は思う。我々一人ひとりができることは非常に小さなことですが、環境に良いほうの選択肢を取っていくだけでも、それが企業の皆さんに伝われば「消費者は今、環境に良い行動がしたいと思っている。これは商機だぞ」と考えてくださるかもしれない。そうすれば、ひとりではできないような規模での環境への働きかけができるかも、と。サンゴをどうやって守っていくかを具体的に考えたとき、そう思ったりしました。

後編につづく

文・取材:諏訪圭伊子
撮影:干川 修
水中撮影:中川西宏之

関連サイト

九条林檎プロフィールページ(VEE公式サイト)
https://vee-official.jp/talent/kujo-ringo/(新しいタブで開く)
 
九条林檎 X(旧Twitter)
https://twitter.com/ringo_0_0_5(新しいタブで開く)
 
九条林檎 YouTube
https://www.youtube.com/@KujoRingo(新しいタブで開く)
 
玉川学園
https://www.tamagawa.jp/academy/(新しいタブで開く)
 
玉川学園 サンゴ研究部HP
https://www.tamagawa.jp/academy/lower_upper_d/life/sango.html(新しいタブで開く)
 
玉川学園 サンゴ研究部Instagram
https://www.instagram.com/tamagawa.35.35.35/(新しいタブで開く)

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