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連載Cocotame Series

サステナビリティ ~私たちにできること~

VTuber・九条林檎が語る沖縄で得た“クオリア”【後編】

2023.09.23

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ソニーミュージックグループでは、持続可能な社会の発展を目指して、環境に配慮した活動や社会貢献活動、多様な社会に向けた活動など、エンタテインメントを通じたさまざまな取り組みを行なっている。連載企画「サステナビリティ ~私たちにできること~」では、そんなサステナビリティ活動に取り組む人たちに話を聞いていく。

今回インタビューするのは、沖縄県の伊江島でサンゴの移植を行なった、玉川学園サンゴ研究部のフィールドワークに同行し、生徒たちとの座談会に参加したVTuber・九条林檎。沖縄での体験やサンゴ研究部とのディスカッションを通じて感じたこととは。

後編では、日ごろのサステナブルな行ないや、沖縄で得た“クオリア”について語る。

  • 九条林檎プロフィール写真

    九条林檎

    Kujo Ringo

    吸血鬼と人間のハイブリッドレディで、魔界の名門、九条家の長女。バーチャルタレント/VTuberとして、歌やダンス、ゲーム、悩み相談と、多岐にわたるテーマでコンテンツを配信中。2022年5月より、ソニー・ミュージックエンタテインメントが運営するバーチャルタレント育成&マネジメントプロジェクト『VEE』に所属。

本当に地球に優しいのかを考える

九条林檎写真1

――(前編からつづく)サステナビリティに関することで、九条さんが日ごろから心掛けていることはありますか?

フードロスを意識して、食事を適量にして残さず食べることは昔から心掛けています。牛乳などを買うときも手前からとりますね。賞味期限が近いほうから。あと、我が屋敷にはでっかくてかわいいゴミ箱が4つございまして、“このゴミはこの色のゴミ箱に”といったように、毎日テンションを上げながら分別をしております。エコバッグも、水玉のかわいいものを使用しておりますよ。ゴミの分別やエコバッグ持参などは世間的にも既に当たり前のことですが、取り入れ方によってはなかなか楽しめますよね。

――加えて、環境に良いものを選んだり?

そうですね。何かを購入するときは、それが自然環境に良いかどうかをいったん考えてみるというのを行なっています。例えば、野菜を買うときに、それをスーパーに運搬する過程で二酸化炭素が発生するのであれば、近所の農家さんが作って直売されている野菜を買ったほうが環境に優しいかもしれない。

なので、周りにあふれている情報に振り回されるのではなく、環境に優しくできているのかな? それは本当に必要なモノ、コトなのかな? というのを、いったん立ち止まって考えるのも大事ではないかと。もちろん真実を知るというのはなかなか難しいけれども、少し立ち止まってそのことについて考えてみるというのを、多くの人が習慣にできると良いのではないかと思います。

九条林檎写真2

――座談会で、生徒さんたちに「環境問題に関して魔法でどんなことでも叶うとしたら何を願いますか?」という質問をしました。九条さんだったらどう回答しますか?

生徒さんにも同じように答えていた方がいらっしゃったんですけど、絶滅した生き物ですとか、失われた地形の復刻がなされたら良いなと思いました。人間の科学や技術というのは動物をお手本としている部分が結構あります。有名なところだと、痛くない注射針を開発しようというときに、蚊の針の構造を参考にしたり、魚の皮膚を真似た素材で競泳用水着を作ったりということをしていますね。

生物の歴史はとんでもなく長いですから、その時々の環境に対して最適解を持っていることが多い。ただ、絶滅してしまったことによって、失われた情報も多くあります。なぜその生物が絶滅したのかまでひっくるめて知ることで、人間社会をより良い形に発展させることもできるだろうし、そこを学ぶことで、自然環境に対してもう2度と同じ過ちを犯さないということも望めるのではないでしょうか。

リアルでの体験も大事

玉川学園 サンゴ研究部フィールドワーク写真1

――サンゴの移植などのサンゴ研究部の取り組みと、九条さんが普段行なっているエンタテインメントを世の中に発信していくという活動は、何か大きなものに自身を捧げているという部分で、少し似ているのかなと感じました。対象に対して常に自分は何ができるかという姿勢が。

確かにそうですね。我の活動のモチベーションも、人間たちの生活を豊かにしたいという想いが一番大きいです。自分自身が前向きに生きるのが難しかったころがあって、それでも今さまざまなことに対して前向きに取り組めている。だからこそ、そこまでの抜け道、意識の持ち方のようなものを、同じような境遇にある人には教えて差し上げたいし、もっと広めたい。皆に幸せに生きていただきたいという想いがあります。サンゴ研究部の皆さんも、サンゴから何か直接的な見返りを求めているわけではなく、自分ごととして活動していますよね。そういう意味では近いのかもしれません。

玉川学園 サンゴ研究部フィールドワーク写真2

――3日間の沖縄取材でいろいろな体験をされたと思いますが、九条さん的に何かインプットされたものはありましたか?

我はバーチャルタレントという存在ではあるものの、バーチャルでの体験と同じぐらいリアルでの体験も大事にしています。それこそ今回、自分の目で天の川を見たのは初めてで。少しばかり暗かったりぼやけていたりはしたんですけれども、なんだかずっとずっと心に焼き付いて、感動できているんですね。我は“クオリア”というものの存在を信じているのですが、クオリアについて少し説明して良いですか?

――はい、お願いします。

生まれてからずっと部屋のなかにいて、文献などから世界中の知識を頭にインプットしていたとしても、実際に外の世界に出てそれを見たり、触れたりすれば何か得るものがあるだろう。その何か得るものというのを脳科学では“クオリア”と呼んでいて、今回、我はそれを得ることができたと感じています。

もちろん、天の川や沖縄の海を見て美しいと思うその感動のクオリアは自然のものであって、自分で作れるものではないものの、自分の活動だとかエンタメで少しでも再現できたら、それはどんなに素晴らしいことかと思っています。

例えば何か美しい物を表現するとき、超美麗映像を使うのはひとつの手段ですが、あえてちょっと色味を落としたり、ぼやかしてみることで、自分の裸眼の体験、自分の素の体験に近づけてみる。そういうやり方もあるなというふうに思いました。

九条林檎写真3

――今回のインプットは、例えばどんな創作につながりそうでしょうか。

去る8月に我が企画でTRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム)の配信を行なっていたのですが、ゲームのシナリオを我が書き下ろしたんですね。

それを書く際に、明確に自分のなかで夏をテーマにしていたので、夏の手触りみたいなものをどう描写したらプレイヤーに感じてもらえるか、そしてプレイヤーが遊んでいるさまを視聴者の皆さまにどうやって感じてもらうかという課題がありました。今回の沖縄取材は、ものすごく濃い夏の体験だったので、そのシナリオ制作にずいぶん役立った感がありますね。

ChatGPTも割と良い線をいく

九条林檎写真4

――6~7月には九条さんがプロデュースしたVR音楽劇の上演もありましたし、活動の幅がどんどん広がっていますね。現在は、常に何本ものプロジェクトが並行している状態なのでしょうか。

そうですね。ミュージカルを作っている裏でずっとTRPG企画の準備をしていたりして、結構大変でした。でも我には、それ以上にやりたいことがたくさん、それこそ無限にありますから。今この瞬間もいっぱいやりたいことがあって、身体が5つぐらいほしいところです(笑)。

――九条さんの分身を作りたいところですね。

実はこれが面白いことに、やろうと思えばできるんです。最近ChatGPTなんてものが出てきましたけれども、あれに九条林檎の口調を徹底的に教え込むと、割と良い線をいくんですね。ただ、結局はChatGPTの性格になってしまうので、受付のお姉さんが九条林檎の口調でしゃべっているみたいな人が出来上がります。それはそれで、なかなか楽しい実験ではありますが。九条林檎ベータ版として受付ぐらいはやってくれそうかな(笑)。ただやはり、創作をするとなるとなかなか難しいですね。

――そういったAIの技術も一般化されつつありますが、VTuber・九条林檎として今後やってみたいことを教えてください。

まだ実現するかどうかはわからないですが、まずはVR音楽劇の次作を作りたいのと、ユニットというかちょっと人数が多めのグループみたいなものを作って、シリーズのコンテンツを作ったり、グループのストーリーを表現することにも挑戦したいなと思います。

そのいっぽうで、我自身が幼いころ少しダンスをやってたので、ダンスをもう少し深掘りしたコンテンツをやっていきたいという気持ちもあるし、さらに九条林檎自身のストーリーというものもございますので、それも展開していきたいです。もう話し出したら止まりません(笑)。

九条林檎写真5

――座談会のときに生徒さんにこんな質問もしました。「個人的に何でも願いが叶うとしたらどんなことが良いですか?」。九条さんだったら何を願いますか?

うーん、いや、これは悩みどころですね。

――「もっと時間が欲しい」とかではなく?

もちろん時間も欲しいですけれども、同じぐらいに予算も欲しいです(笑)。VTuberの体を動かすのに最高峰の機材を使ったりすると、億単位のお金がかかるんですね。それはもう、ゲームのCGなどでも使われているような機器で、1台数百万円するカメラを何十台も並べるという世界。ただ、それがあるとより良い身体表現ができる。もっと生々しい動きを皆さまにお届けすることができるんです。なのでそれが欲しいという気持ちもありつつ、やはりコンテンツを制作する時間はもっと欲しい。

それこそ我が5人に増えたら、もっとたくさんのエモーションを皆さまに届けることができるのに。あ、でもスーパーコンピューターがあれば、もうちょっとAIを回して背景をリッチにしていけるライティングみたいなのが使えて、ゴリゴリにエフェクトを入れても全然重くない滑らかで快適な映像を皆さまにお届けできるのでは……もう決めきれませんね(笑)。うん、やはり世界平和でお願いします。これからも安心して創作をつづけていくために。

文・取材:諏訪圭伊子
撮影:干川 修
水中撮影:中川西宏之

関連サイト

九条林檎プロフィールページ(VEE公式サイト)
https://vee-official.jp/talent/kujo-ringo/(新しいタブで開く)
 
九条林檎 X(旧Twitter)
https://twitter.com/ringo_0_0_5(新しいタブで開く)
 
九条林檎 YouTube
https://www.youtube.com/@KujoRingo(新しいタブで開く)
 
玉川学園
https://www.tamagawa.jp/academy/(新しいタブで開く)
 
玉川学園 サンゴ研究部HP
https://www.tamagawa.jp/academy/lower_upper_d/life/sango.html(新しいタブで開く)
 
玉川学園 サンゴ研究部Instagram
https://www.instagram.com/tamagawa.35.35.35/(新しいタブで開く)

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