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連載Cocotame Series

サステナビリティ ~私たちにできること~

社長が語るソニーミュージックグループの思い“アーティスト、クリエイターの心身のケアと向き合う”

2023.10.17

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ソニーミュージックグループでは、持続可能な社会の発展を目指して、環境に配慮した活動や社会貢献活動、多様な社会に向けた活動など、エンタテインメントを通じてさまざまな取り組みを行なっている。連載企画「サステナビリティ ~私たちにできること~」では、そんなサステナビリティ活動に取り組む人たちに話を聞いていく。

今回取り上げるのは、ソニーミュージックグループのアーティストやクリエイター、そしてその活動を支えるスタッフの心と身体のケアをサポートする『B-side』。2021年9月から始まったこのプロジェクトでは、専門家によるカウンセリングをはじめ、定期チェックアップやオンライン医療相談、外部講師、有識者を招いたワークショップなどを提供しながら、『B-side Talk ~心の健康ケアしてる?』(以下『B-side Talk』)と題して、PodcastとYouTubeで番組も配信。タレントや専門家などさまざまなゲストとともに心の健康を保つヒントを伝えている。

このたび、10月10日の世界メンタルヘルスデーに合わせて配信された『B-side Talk』に、ソニー・ミュージックエンタテインメント(以下、SME)代表取締役社長・村松俊亮(以下、村松)が出演。『B-side』を立ち上げたソニー・ミュージックレーベルズの徳留愛理(以下、徳留)とともに、エンタテインメント業界におけるメンタルヘルスケアの重要性や村松自身のこれまでの経験について語り合った。Cocotameでは番組収録に密着。収録後に村松、徳留への独自インタビューを行ない、アーティスト、クリエイターに対するソニーミュージックグループの想いを聞いた。

  • 村松プロフィール写真

    村松俊亮

    Muramatsu Shunsuke

    ソニー・ミュージックエンタテインメント
    代表取締役社長

  • 徳留プロフィール

    徳留愛理

    Tokutome Airi

    ソニー・ミュージックレーベルズ

『B-side』とは?

B-sideロゴ

ソニーミュージックグループ各社においてマネジメント契約のあるアーティスト、クリエイター、そしてその活動を周辺で支えるスタッフが、心身ともに健康な状態で創作活動に集中できるようにサポートすることを目的としたプロジェクト。現在は「オンライン医療相談」「定期チェックアップ」「専門家によるカウンセリング」「社内ワークショップ」をソニーミュージックグループ内で提供しており、今後はその取り組みをエンタテインメント業界全体に広げていくことを目指している。

大事なことは人への興味

2021年9月に発足した『B-side』は、ソニーミュージックグループのアーティストやクリエイター、そしてその周辺で直接関わるスタッフの心と身体のケアをサポートするプロジェクト。その名称には、表に立つ自分を「A-side」、普段の自分を「B-side」と位置づけた上で、「A-side」を充実させるためには「B-side」のケアが重要。加えて、“ソニーミュージックグループはどんなときでもアーティストやクリエイターのそばに寄り添いたい=Beside”というメッセージが込められている。

プロジェクトの発起人である徳留は、ソニーミュージックグループ内でアーティストやタレント、俳優、クリエイターのマネジメントを行なう、ソニー・ミュージックアーティスツで数々のアーティストのマネージャーを担当してきたベテランスタッフ。長年アーティストに寄り添い、その活動を一番近くでサポートしてきたが、SNSの普及など時代の変化にともない、専門的な心療医療などの知識を持たないマネージャーが、アーティストの心と身体のケアをすべて担うのには限界があると考えるようになった。

さらに、アーティストやクリエイターは表舞台に立ち、一挙手一投足が注目されるため、自身の身体の不調や心の違和感を気軽に相談しづらい場合もある。そこで徳留らプロジェクトチームは、エンタテインメント業界に最適化された心と身体のケアをサポートする仕組みが必要だと考え『B-side』を立ち上げたという。

徳留写真

村松が、徳留から『B-side』の構想を聞かされたのは2020年末のこと。

「コロナ禍で、みんなが精神的、肉体的に疲弊しているなか、アーティスト、クリエイター、そしてスタッフをしっかりケアするプロジェクトを立ち上げると言ってくれて、とてもうれしかったですね。『ぜひやってください』と、逆にこちらからお願いしたいくらいの気持ちでした」(村松)

村松写真

徳留から『B-side』の構想を聞いた村松が「うれしかった」と振り返った背景には、社長就任時から繰り返し語ってきた想いがある。

2019年、ソニー・ミュージックエンタテインメントの代表取締役社長 COOに就任した際、村松はグループの全スタッフに向けてアーティストやクリエイターを第一に考えることの大切さを訴えた。ソニーミュージックグループには大きく分けて3つの事業領域があり、主に音楽事業を展開するカテゴリには「アーティスト&ミュージックビジネスグループ」という名称がついている。

村松によると、「ミュージック」よりも「アーティスト」を先にしたことには意味があるという。その真意について、「すべてにおいてアーティスト、クリエイターありき。アーティスト、クリエイターが主体であり、彼らを適切にサポートすることにより、表現物、ビジネスはあとからついてくるという考え方」だと述べていた。そこに、アーティストやクリエイターへのリスペクト、彼らを大事に守ろうという強い意志を込めている。

「最近はAIなど、テクノロジーの進化が目覚ましいですが、ゼロからイチを生み出すのは、アーティストやクリエイターといった生身の人間です。だからこそ、その根源である人を大事にしなければと、強く思っています」(村松)

村松写真

だが、ゼロをイチにする創作活動には、当然、生みの苦しみがつきまとう。作品を生み出すために孤独な戦いを強いられ、プレッシャーに晒されたアーティストやクリエイターのなかには、身体や心が疲れてしまう人もいる。

「アーティストやクリエイターはセンシティブな性質を持った人が多いと思います。ステージ上での立ち居振る舞いや、SNS、テレビを通しては、なかなかそう見えなくても、一線級で活躍している人たちは、非常に細やかなことにも目を向けられます。そして、そういう人たちが創り出す楽曲や映像、キャラクター、ゲーム、芝居、文学だからこそ我々は心を動かされる。それこそB-side、つまり自分の内面に向き合いながら葛藤しているアーティスト、クリエイターが生み出すエンタテインメントにこそ感動が宿るのだと思うのです。だからこそ、エンタテインメント業界にも身体とメンタルヘルスをケアする『B-side』のような取り組みが必要だと思います」(村松)

さまざまなアーティストのマネージャーを歴任してきた徳留は、「ライブ後に、村松さんはアーティストの心に響く言葉をかけている」と指摘した。

「村松さんは音楽の制作と宣伝のキャリアが長く、アーティストに近い距離で仕事されてきたと思うのですが、アーティストに対しての心遣いというか。例えば、所属アーティストのライブに来られたときに、ライブ後にアーティストにかけられる言葉とか、ちゃんと心に刺さることを言われているなあ、と感じることがあります」(徳留)

徳留写真

「アーティストだからと思って話したことはなく、それこそソニーミュージックグループで一緒に働くスタッフと同じ、素晴らしいエンタテインメントを生み出したいと願う同志だと思っています。

ただ、やはりすごい作品を生み出し、パフォーマンスができるアーティスト、クリエイターに対して個人的な憧れがありますし、ひときわ興味も湧きます。個別に話すときも、何を考えているのか知りたいから、それを聞いているだけ。『なんでそんなに良い曲が書けるの?』『なんでそんなアイデアが思いつくの?』と、基本的に“なんで”から入ることが多いですね。そうするとみんなとうとうと語りだしてくれて、今度は僕に対しても質問を投げかけてくれる。

そうやって距離が近づいていくと、『今度メシでも食おう』となります。アーティスト、クリエイターは、我々の最も重要なビジネスパートナーであり仲間。だからこそしっかり肩を組みたいし、彼らをサポートするために何ができるかを考えます」(村松)

「村松さんは人に対する興味が強いんですね、基本的に。 『B-side』の立ち上げ時もそうだった気がします。私が何を一生懸命言おうとしているのか、その姿勢であるとか、そういうところをキャッチされてるっていう感覚はありましたね」(徳留)

だが、「ヒットを出さねば」「売れなければ」という思いは、時にアーティストやクリエイターにとってプレッシャーになりかねない。音楽業界を長く経験してきた村松は、楽曲制作が難航したときには、アーティストの心が軽くなればと言葉も掛けてきたという。

「これはアーティストやクリエイターだけじゃなくて、スタッフに対しても同じですが、結果だけじゃなく、結果としてはあまりうまくいかなかったかもしれないけど、その過程を見てくれる人が必要、ということですよね」(徳留)

「『そもそも名作なんて簡単にできないよ』と、よく言ってきました。僕はアーティストから曲を聴いてほしいと言われても、お世辞で評価するようなことはしません。それなりのクオリティだと感じたときは、そのままに『ぼちぼちかな』と言いますし、逆に素晴らしいと感じたら素直にそう伝えます。世界に80億人以上の人が存在し、一人ひとり趣味趣向が異なるなかで、全員に響く曲、作品なんてできるわけがない。

世に出したときにヒットするということはビジネスの尺度では良いことですが、そのときどきの流行や自分ではどうすることもできない環境もあるので、“良い作品=必ず売れる”とはならない。その作品に自信があるなら、ヒットするかどうかをプレッシャーに感じる必要はないんです。ひとつの作品が売れなかったとしても、その人のアーティスト、クリエイター人生が終わるわけでは決してありませんし、仮にうまくいかなかったとしたら、それすら糧にすれば良いと思います」(村松)

アーティストやクリエイターであれ、それを支えるスタッフであれ、本当に大事なことは結果よりもプロセス。そう村松は、繰り返す。どういう立場であれ、結果を出せなければ評価が下がることもある。ただ、そのときにプロセスをしっかり見ている仲間が身近にいれば、「大丈夫だ。次も頑張ろう」と思えるはずだと村松は主張する。

そして、話題は近年の職場環境の変化、働き方改革に広がっていった。村松が現場を飛び回っていた時代に比べると、エンタテインメント業界の働き方は大きく変化したと語る。現在は会社を統括する立場になった村松だが、社内を歩き回り、日々いろいろなスタッフと会話をするなかで気づいたことがあるという。

「みんな真面目で、おとなしく仕事していますよね。僕らが現場にいたころは、そもそもパソコンもなかった時代だから、コミュニケーションの手段が会話のみ。携帯電話もなく、そこら中で電話をかけているから、社内がうるさかったですよね。でも、今はみんなメールやSNSでやりとりするので、フロアがシーンとしている。でも、エンタテインメントの仕事は雑談が大事。もっと周りと雑談してほしいと思います」(村松)

周囲のスタッフ同士が互いに興味を持ち、それぞれの状況を“指差し確認”すること。それこそが、メンタルヘルスを良好に保つコツではないかと村松は語る。

「ソニーミュージックグループ内にもいろいろな人がいます。仕事も環境も人間関係も千差万別なので、みんなでコミュニケーションして指差し確認をしてほしいですね。その上で、誰かを置いてけぼりにしちゃダメだし、僕の想いとしては、もっと群れてほしい。

会社は群れですし、結局のところ自分ひとりでは何もできません。自分がいなくても会社は回るし、トップの僕がいなくたってソニーミュージックグループの仕事はグルグルと回るでしょう。だからこそ、今、隣の人が元気かどうか、何をしたいと考えているのかを指差し確認して群れてくれれば、みんなが安心、安定するのではないかと思います。エンタテインメントビジネスだからこそ、人への興味と指差し確認を忘れずにしてほしいと願っています」(村松)

ソニーミュージックグループが立ち上げた『B-side』だが、今後はエンタテインメント業界全体に取り組みを広げたいとプロジェクトリーダーの徳留は考えている。アーティストやクリエイターが持続的な活動を行なう上で、『B-side』が果たすべき役割、『B-side』の今後について最後に村松、徳留に聞いた。

「今のところ『B-side』はソニーミュージックグループ内のアーティストやクリエイターが対象ですが、会社の枠を超え、業界全体でこういう意識が広まっていくと良いなと思います」(徳留)

「アーティスト、クリエイター、それに関わるスタッフをケアすることは、我々、エンタテインメント業界そのもののサポートにつながり、その成長にも寄与します。ソニーミュージックグループだけでなく、エンタテインメント業界全体にも『B-side』の輪を広げていくのは素晴らしい考え。課題はもちろんありますし、越えなければいけないハードルもあると思いますが、やり方はいろいろあるはず。『B-side』のような取り組みが必要なのは確かなことなので、今後の進化、拡大を期待しています」(村松)

【特別企画】 「ソニーミュージック社長に聞いてみた!~大事なことは人への興味~」 ゲスト:ソニー・ミュージックエンタテインメント代表取締役社長 村松俊亮

取材・文:野本由起
撮影:干川 修

関連サイト

『B-side Talk ~心の健康ケアしてる?』Podcast
https://lnk.to/Mlweb7(新しいタブで開く)
 
『B-side Talk ~心の健康ケアしてる?』公式Youtubeチャネル
https://www.youtube.com/channel/UCh_OA4atMVQ8o32mSUXdZTg(新しいタブで開く)
 
『B-side Talk ~心の健康ケアしてる?』公式X(旧Twitter)
https://twitter.com/B_side_Talk(新しいタブで開く)
 
『B-side Talk ~心の健康ケアしてる?』公式Instagram
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