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連載Cocotame Series

STAGE ~私たちの世界~

津田健次郎が語る『朗読劇「はじめての」<後編>』の深世界【前編】

2023.12.24

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演劇や朗読劇、2.5次元といった舞台で活躍する俳優や、その舞台を支えるクリエイターにスポットを当て、魅力あふれる世界を紐解いていく連載企画「STAGE ~私たちの世界~」。

1回目となる今回は、YOASOBIと直木賞作家4人によるコラボプロジェクト「はじめての」より生まれた『朗読劇「はじめての」<後編>』をフィーチャー。

2024年1月6日(土)~8日(月・祝)に、東京・シアター1010にて全5公演で開催される<後編>では、短編集『はじめての』に収録の「ユーレイ」(辻村深月)、「色違いのトランプ」(宮部みゆき)を原作とした2作品が上演。トリプルキャストのひとりとしてステージに立つ声優・俳優の津田健次郎に、公演の見どころや意気込みを語ってもらった。

前編では、辻村深月の書き下ろし短編「ユーレイ」へのアプローチの仕方や朗読劇に対する想いを聞いた。

津田健次郎プロフィール写真

津田健次郎 Tsuda Kenjiro

6月11日生まれ。血液型O型。大阪府出身。趣味はカメラ、バイク。第十五回声優アワード主演男優賞受賞。声優や実写俳優業を中心に、役者として幅広く活躍しながら、映像監督や作品プロデュースなどの活動でも注目を集めている。

朗読劇「はじめての」

“小説を音楽にするユニット”YOASOBIと直木賞作家4人が、さまざまなジャンルで作品を展開する書き下ろし小説楽曲化コラボプロジェクト「はじめての」。
 
2023年1月に、短編集『はじめての』に収録された「私だけの所有者」(島本理生)、「ヒカリノタネ」(森絵都)の2作品を、YOASOBI書き下ろし楽曲とともに届ける『朗読劇「はじめての」<前編>』として上演。その第2弾となる『朗読劇「はじめての」<後編>』が、約1年の準備期間を経て2024年1月6日(土)~8日(月・祝)に、東京・シアター1010にて全5公演で開催される。原作は、短編集『はじめての』収録の「ユーレイ」(辻村深月)、「色違いのトランプ」(宮部みゆき)の 2作品。脚本・演出は<前編>につづき、日本演劇界でストレートプレイからオリジナルミュージカルまで幅広い作品を創作しつづけ、高い評価を受けている石丸さち子が担当する。
 
<後編>では、津田健次郎/浪川大輔/崎山つばさ、豊原江理佳、梅田彩佳/平野 綾といった、豪華な声優、舞台俳優陣が日替わりキャストとして集結する。

動きのない朗読劇と動きのある演劇、両方の“良いとこ取り”

『ゴールデンカムイ』尾形百之助役、『呪術廻戦』七海建人役、『チェンソーマン』岸辺役、『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』海馬瀬人役などの名作アニメや映画の日本語吹き替え、ナレーションなど、声優としての活躍はもちろん、近年は『最愛』『リバーサルオーケストラ』『ラストマン-全盲の捜査官』『大奥 Season2』などの実写作品への出演で俳優としても注目を集めている津田健次郎。

20代で舞台演劇からキャリアをスタートさせた津田健次郎は、これまでも数々の演劇作品に出演し、声優としても数多くの朗読劇で役者としての存在感を発揮してきた。そんな経験豊富な彼にとっても、今回出演するトリプルコラボプロジェクト「はじめての」の朗読劇は、魅力的な作品だという。

津田健次郎写真1

「宮野真守くんたちが出演した<前編>も拝見しました。今はいろいろな朗読劇が上演されていますが、『はじめての』はまた新たな試み。とても面白いと思いましたね。本作のプロデューサーが別で手がけている朗読劇シリーズにも、僕は2度出させていただいたんですが、あちらは演出も相当派手なもの。今回はそれとはまた違っていて、よりシンプルな朗読劇であるところに、魅力を感じています」

2022年2月に短編集『はじめての』が水鈴社より刊行され、YOASOBIがその短編小説4編を楽曲化したデジタルシングルを発表。同年5月には4曲を網羅した「はじめての – EP」がリリースされた。そして2023年1月には、「私だけの所有者」(島本理生)、「ヒカリノタネ」(森絵都)の2作品を、YOASOBIの書き下ろし楽曲とともに届ける『朗読劇「はじめての」<前編>』として上演。宮野真守、井上麻里奈、内田真礼、藤井ゆきよといった人気声優の出演によって朗読劇化され好評を博した。

津田健次郎が言うように、『朗読劇「はじめての」<前編>』はモノトーンの舞台に段差が設けられ、椅子や間仕切りなど最小限の舞台装置が置かれた空間での芝居を堪能できるシンプルな朗読劇。

だがマイクの前に役者が立って会話劇を繰り広げる朗読劇ともまた違い、インカムをつけた役者陣が場面に合わせてアクションを繰り広げる舞台演劇らしさも持ち合わせているのが、『朗読劇「はじめての」』の特徴だ。

「そこも面白いなと思いました。舞台上で動きがない朗読劇は役者もお客さんも音に集中して物語の世界に没入できるというプラスの面がありながら、演出面はどうしても控えめになります。しかし、朗読劇で役者が動くとそれとは違ったアプローチが生まれてきますよね。例えば、舞台上を歩く動きひとつとっても、作品の世界を表出していく大切な要素になっていく。この作品の<前編>でも、宮野真守くんはコミカルな場面では体を派手に動かして表現していました。実に宮野くんらしくて、見ていて楽しかったですね(笑)」

津田健次郎写真2

「動きのある朗読劇もいくつか経験してきた」と言う津田健次郎自身も、動く朗読劇の演出の多彩さに期待を寄せている。

「そういう意味でもこの作品は、“動きのない朗読劇”と“動きのある演劇”、両方の良いとこ取りをできる作品だというのが、僕の印象です。ただ正直なところ、今の段階ではまだ<後編>の稽古が始まっていないので、そのあたりは脚本と演出を手がける石丸(さち子)さんからいただく演出を、しっかり受け取って演じていきたいですね」

また、同じ“声の演技”にスポットを当てた“朗読劇そのもの”にも、アニメや映画吹き替えでの声の芝居とは違うベクトルで、役者としての感性をより刺激される魅力があるという。

「やはり、“ライブ”であることは大きいです。アフレコではないので、映像の尺に合わせることなく、自分の間で芝居ができる。それにアニメや外画(海外の映像作品)は演じるキャラクターの絵や映像がありますが、小説の朗読劇は絵がないぶんイメージを自分で立ち上げることができます」

特に、3日間日替わりのトリプルキャストで届ける『朗読劇「はじめての」<後編>』は、2作品で津田健次郎と同じ役どころを、浪川大輔、崎山つばさも演じる。役者の個性ごとに異なる演技の違いを、3人のキャストで体感できることも、観る側にとっての面白さと言えるだろう。

そして<前編>と同じく、<後編>でも劇中のBGMとして能勢朝也音によるピアノの生演奏を採用。役者の演技に合わせ、リアリタイムで音楽の演出が楽しめるのも、『朗読劇「はじめての」』の魅力だ。情景や心情が、音楽の生演奏で演出されるというのも“ライブ”ならではと言えるだろう。

「生演奏とのコラボレーションというのも、ワクワクしますね」

津田健次郎写真3

これはガール・ミーツ・ガールな物語

『朗読劇「はじめての」<後編>』では2作の原作が演じられる。1作は「ユーレイ」。第147回直木賞を受賞した『鍵のない夢を見る』をはじめ、映画化を筆頭に多彩なマルチメディアミックスでも話題になった第15回本屋大賞受賞作の『かがみの孤城』など、世代を超えて愛される作家・辻村深月の書き下ろし短編作品である。

ミステリーからコメディまで、さまざまなジャンルを横断する辻村深月作品は、リアリティのある人物設定と思春期に多くの人が感じるであろう言葉にならない感情を、透明感あふれる心理描写で描き出すことに定評がある。「ユーレイ」もまさに、そんな辻村深月の魅力が遺憾なく発揮された作品だ。

「辻村深月さんの作品は僕も読んでいますが、どこかまっすぐな思いみたいなものが、すごく強く表に出ている印象がありますね。『ユーレイ』も切ないお話で、読み始めは重く感じるんですけど、そこにもどこか爽やかさがある。主人公の少女たちのピュアさが、爽やかさに繋がっている作品だなと思いました。しかも、凝った仕掛けが施されていて、驚きもあります」

津田健次郎写真4

短編小説集『はじめての』は、4人の作家が“はじめて〇〇したときに読む物語”をテーマに、バラエティに富んだ作風を発揮した小説集。『ユーレイ』のテーマは“はじめて家出したときに読む物語”だ。

主人公は、家出をして海沿いの駅に降り立った中学生の少女・“私”。何かに惹かれ、夜の海辺まで歩いて行った“私”は、広場の一角に花束が手向けられているのを見る。誰かがここで亡くなったのだろうか?……そう思っていたところに突然、裸足で白いワンピースを着た、不思議な少女に声をかけられる。“私”の心を見透かすように話しかけてくる少女は、いったい誰なのだろうか……?

「僕が印象的だったシーンは、やはりラストのほうですね。詳しく喋るとネタバレになってしまいますから差し控えますけど(苦笑)、読んでいて驚かされる仕掛けはとても面白い。それに、これはガール・ミーツ・ガールな物語なんですよ。ふたりの少女が出会うことで、主人公の抱えている生きづらさみたいなものが、昇華されていく爽やかさ。そういうところが、この作品の良さだと思います」

生きづらさを抱えた少女の心情は、今青春まっただなかにいる少年少女たちにも、かつて多感な青春を経験してきた大人にも、ありありと迫る。そして主人公と偶然にも出会う白いワンピースの少女が誰なのか? という辻村深月らしいミステリー要素もスリリングで、観る者をわくわくさせる奥深さを加えている。ふたりがあることを一緒に共有することで、心を通わせる場面も印象深い。

「はい、そのシーンも心に残りますよね。それがどういう演出になるのか、僕も楽しみにしていますよ」

津田健次郎写真5

フラットな立ち位置からの“語り”にしたい

1月6日(土)公演で津田健次郎とともにふたりの少女を演じるのは、豊原江理佳と梅田彩佳。そしてこの物語で津田健次郎が担うのは、語り部だ。小説では“地の文”として表現されているふたりの少女の台詞以外のパートの“語り”役となって、物語を導いていく。

「あくまでこのお話は少女ふたりの物語ですから、語り手である僕はふたりのジャマを極力せずに、物語全体の世界観を提示しつつ説明を加えていく立場。なので、極力フラットに演じた方が良いかなとは思ってますね。あまり色をつけずに。

小説では情景描写だけでなく、主人公の内面も描かれていますが、彼女の心情そのものを僕が感情的に表現してしまうことは、多分しない。そこも石丸さんとの擦り合わせになるとは思いますけど、フラットな立ち位置からの語りを今の段階ではイメージしています。もしもこれがすべて僕ひとりの朗読だったら、色をつけることもあるでしょうが、あくまでもメインは少女ふたり。語りはそれを支える役割なので、サポートに徹した方が良いなと思っています」

津田健次郎写真6

夜の海辺で少女ふたりが語り合い、心を通わせていく様から浮かび上がるものも多い。

「ラストまで観ていただければ、このお話が非常に希望にあふれた物語だということがわかってもらえるはず。小説を読んでもそうでしたが、観ていてすごく救われていく感じはあると思います。僕には10代で家出をした経験はないんですが(苦笑)、主人公と同世代の方々が生きづらさを感じ、道を踏み誤ってしまう事件が多い今、非常に刺さるメッセージも込められている気がします」

この「ユーレイ」は、ピアノの生演奏とのコラボレーションによって、朗読劇に「リーディングミュージカル」の要素を交えた新しい演出が施されているという。<前編>ではキャスト全員が声優だったが、<後編>には津田健次郎、浪川大輔という声優をメインにしているベテラン俳優のほかに、2.5次元ミュージカルへの出演でも知られる崎山つばさ、ミュージカル俳優として高い評価を得ている豊原江理佳、AKB48やNMB48として活動し卒業後は数々の舞台やミュージカルで活躍する梅田彩佳、声優としてもミュージカル俳優としても活躍中の平野綾が起用されている。朗読劇と演劇のハイブリッドに加え、音楽劇の魅力も併せ持った「ユーレイ」に、津田健次郎も顔をほころばせながら語る。

「ますます“良いとこ取り”な朗読劇になりそうですね。どんな舞台になるか、僕も本当に楽しみです」

津田健次郎写真7

後編につづく

文・取材:阿部美香
撮影:冨田 望

イベント情報

朗読劇「はじめての」<後編>
 
2024年1月6日(土) 開場14:30 / 開演15:00
2024年1月7日(日) 【昼公演】開場12:30 / 開演13:00【夜公演】開場16:30 / 開演17:00
2024年1月8日(月・祝) 【昼公演】開場12:30 / 開演13:00【夜公演】開場16:30 / 開演17:00
 
<出演>
津田健次郎/浪川大輔 /崎山つばさ ※トリプルキャスト
豊原江理佳
梅田彩佳 /平野 綾 ※ダブルキャスト
 
脚本・演出:石丸さち子
音楽:桑原あい
演奏:能勢朝也音
主題歌:YOASOBI
 
<後編演目/2作品>
「ユーレイ」(原作:辻村深月)
「色違いのトランプ」(原作:宮部みゆき)
 
朗読劇「はじめての」<後編>詳細
https://w.pia.jp/t/hajimeteno/(新しいタブで開く)
https://www.t1010.jp/html/schedule/2024/01.html(新しいタブで開く)

再配信情報

朗読劇「はじめての」<前編>再配信
 
出演:宮野真守/井上麻里奈/内田真礼
脚本・演出:石丸さち子
音楽:桑原あい
主題歌:YOASOBI
 
<前編演目/2作品>
「私だけの所有者」(原作:島本理生)
「ヒカリノタネ」(原作:森絵都)
 
<配信対象公演>
2023年1月8日(日)夜公演(会場:よみうり大手町ホール)
 
チケット販売期間:12月16日(土)12:00~2024年1月9日(火)21:00
視聴可能期間:12月23日(土)12:00~2024年1月9日(火)23:59
プラットフォームPIA LIVE STREAM
配信チケット料金:3,500円
購入はこちら(新しいタブで開く)

関連サイト

津田健次郎公式HP
https://tsudaken.jp/(新しいタブで開く)
 
津田健次郎X(旧Twitter)
https://twitter.com/tsuda_ken(新しいタブで開く)
 
津田健次郎Instagram
https://www.instagram.com/2_da_ken/(新しいタブで開く)
 
「はじめての」特設サイト
https://www.yoasobi-music.jp/hajimeteno/(新しいタブで開く)
 
朗読劇「はじめての」X(旧Twitter)
https://twitter.com/hajimeteno2023?_fsi=YsYt5LZo(新しいタブで開く)
 
朗読劇「はじめての」YouTube
https://www.youtube.com/@hajimeteno(新しいタブで開く)
 
『はじめての』水鈴社HP
https://www.suirinsha.co.jp/books/detail5.html(新しいタブで開く)

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