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連載Cocotame Series

STAGE ~私たちの世界~

津田健次郎が語る朗読劇『「はじめての」<後編>』の深世界【後編】

2023.12.25

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演劇や朗読劇、2.5次元といった舞台で活躍する俳優や、その舞台を支えるクリエイターにスポットを当て、魅力あふれる世界を紐解いていく連載企画「STAGE ~私たちの世界~」。

1回目となる今回は、YOASOBIと直木賞作家4人によるコラボプロジェクト「はじめての」より生まれた『朗読劇「はじめての」<後編>』をフィーチャー。

2024年1月6日(土)~8日(月・祝)に、東京・シアター1010にて全5公演で開催される<後編>では、短編集『はじめての』に収録の「ユーレイ」(辻村深月)、「色違いのトランプ」(宮部みゆき)を原作とした 2作品が上演。トリプルキャストのひとりとしてステージに立つ声優・俳優の津田健次郎に、公演の見どころや意気込みを語ってもらった。

後編では、宮部みゆき書き下ろし短編「色違いのトランプ」への役づくりや、コラボプロジェクト「はじめての」の取り組みへの印象を聞いた。

津田健次郎プロフィール写真

津田健次郎 Tsuda Kenjiro

6月11日生まれ。血液型O型。大阪府出身。趣味はカメラ、バイク。第十五回声優アワード主演男優賞受賞。声優や実写俳優業を中心に、役者として幅広く活躍しながら、映像監督や作品プロデュースなどの活動でも注目を集めている。

我々の暮らす世界に思うところを反映した“ifの世界”

前編からつづく)『朗読劇「はじめての」<後編>』で演じられるもう1作品は「色違いのトランプ」だ。原作者は宮部みゆき。第120回直木賞受賞作となった『理由』を筆頭に『火車』『模倣犯』などの現代的で重厚な犯罪ミステリーから、『荒神』『ぼんくら』などに代表される時代小説、アニメ映画化もされた『ブレイブ・ストーリー』などのファンタジー小説、日本SF大賞受賞の『蒲生邸事件』や『クロスファイア』などのSF小説を含む幅広いジャンルでエンタテインメントを極めている人気作家だ。

「宮部みゆきさんが、幅広いジャンルの小説を書かれていることは存じ上げていたつもりでしたが、『色違いのトランプ』はタイトルからはなかなか想像できない硬派なSF小説だったので、ちょっとびっくりしつつ、新鮮な気持ちで読ませていただきました。短編ながらとてもドラマティックで、辻村深月さんの『ユーレイ』とはまた違う面白さがある作品だと思いました」

津田健次郎写真1

「色違いのトランプ」のテーマは、“はじめて容疑者になったときに読む物語”。舞台は、7年前に起きた量子加速器の爆発事故によって、鏡写しではあるが、政治や社会のシステムがまったく異なっているパラレルワールドが行き来できるようになった世界。ある日、軍事政権が支配する“あちらの世界”=“第二鏡界”の全体主義国家・日本で起きた反政府テロ事件への“分身”の関与を疑われ、“こちらの世界”=“第一鏡界”の愛娘・夏穂が捕らえられてしまう。父・宗一は夏穂を救うために単身、“第二鏡界”へと向かうのだった――。

「とても面白いSFであると同時に、直接的に表現しているわけではないですけど、社会派のテーマも扱っているように感じました。宮部さんが、我々の暮らす世界に思うところを反映した“ifの世界”を描いているような印象がある。もしも日本が、第2次世界大戦で敗戦していなければ“第二鏡界”のような社会になっていたかもしれない。作品としてのフィクション性、エンタテインメント性は高いですが、いろいろと考えさせられる背景を感じるところも、この作品の魅力だと思います」

キャラクターとしてほぼ無色に近い

そんな「色違いのトランプ」で、夏穂を演じるのは豊原江理佳。夏穂の母親であり、宗一の妻を演じるのは梅田彩佳。そして父・宗一を津田健次郎が演じる。

津田健次郎写真2

「宗一役は……とても難しいというのが、第一印象ですね(苦笑)。キャラクターとしてほぼ無色に近いので、さて、彼をどう表現したら良いんだろうか?……まだ大いに悩んでいるところです」

数々のキャラクターを自分のものにしてきた彼が、そこまで悩むのは何故だろうか?

「まず宗一というお父さんは、娘の視点からすると、まったく魅力的ではないんですよね(苦笑)。作中でも同様に描かれていますが、宗一は実直に働いて、妻と子に恵まれ、ただただ真面目に暮らしている父親。そういうお父さんを役として演じようとすると、どうしても淡々としてしまう気がするんです。言い方は難しいですが、とても地味な存在。そういう魅力的な部分が描かれていない大人を、舞台の上で魅力的に見せるには……いったい、どうしたら良いんだ? というのが、正直な印象で。もし宗一が、ダメな父親だけど行動力はある、とかなら、そこを突破口にして演じられるんですが、彼はとにかく淡々としている。いや、本当に難しい人物ですね」

津田健次郎写真3

津田健次郎が宗一の役づくりを難しいと語る背景には、もうひとつ理由があった。

「今までやってきた役を振り返ってみると、それこそダメなお父さん、ダメな大人は結構やらせてもらっているんですが……ここまで地味を徹底している人物を演じるのは、おそらく初めてなんですよ。キャラクターとしてクセの強い役を担当させていただくことが本当に多いので(笑)。

しかも今回の脚本では、情景を描写している地の文も、僕が語りながら物語が展開する予定なので、なおさら淡々としてしまう可能性がある。かといって、動きに逃げるのは嫌なんですね。物語の後半には、躍動的なシーンも出てくるんですが、それも含めて、朗読劇として宗一をどう表現していくか……そこがこの作品における僕のポイントかなと感じます」

逆に言えば、悩みに悩んだ宗一を、本番で津田健次郎がどう表現していくかは、本記事を読んだファンには大きな見どころとなるはずだ。

「このお話は確かにSFなので、独自の世界が描かれている面白さというのは、すごくあるんですね。でも根底に流れているのは、やはり人間ドラマ。自分が暮らす鏡界とは似ているけどまったく違う世界に行って、娘を取り返さねばと願う強い焦燥感であったり、娘との関係性の微妙さであったり、そもそも家族とはどういうものか? という奥深いドラマも描かれていきます。ラストに流れる余韻も非常に印象深い。だからこそ、そこに至るまでの淡々とした流れのなかにハラハラ、ドキドキする躍動感をどう表現するか。そこはこれから、しっかり練り込んでいきたいと思っています」

津田健次郎写真4
津田健次郎写真5

YOASOBIと役者としてコラボレーションできることをうれしく思う

津田健次郎が言うように、粛々と進行していく物語ではあるが、クライマックスには「ユーレイ」と異なるベクトルで、あっと驚く展開が用意されている。

「パラレルワールドものというのはアニメにもよくありますが、このお話の仕掛けは、本当に面白く新鮮ですね。これもネタバレになってしまうので多くは言えませんが、“第二鏡界”で娘の夏穂と出会ってからのドライブ感がまた、それまでとは素晴らしい対比になっています。アニメにしろ、映画やドラマにしろ、今のお客さんは事件が畳みかけられ、速いカット割りでドンドン進むお話に慣れています。

そういう展開とは趣の異なる『色違いのトランプ』は、劇作品としてもチャレンジャブル。津田健次郎、どうする? と、試されているような気もしています(笑)。ここに流れる独特の緊張感を皆さんに楽しんでもらえるよう、頑張りたいです。

『ユーレイ』も『色違いのトランプ』も、2作品とも目で読む小説として書かれた言葉を、我々がどう語りや台詞として表現できるかも、プレッシャーがかかるところですが、辻村深月さんと宮部みゆきさんでは文体もかなり違いますから、そういう違いも、皆さんに楽しんでいただけたら良いなと思います」

津田健次郎写真6

さらに『朗読劇「はじめての」』シリーズにおいては、原作とコラボして書き下ろされたYOASOBIの主題歌も朗読劇に華やかな彩りを与えている。「ユーレイ」の主題歌は「海のまにまに」、そして「色違いのトランプ」の主題歌は「セブンティーン」。原作の世界を歌詞とアニメーションで丁寧に紡ぐ2曲のミュージックビデオも、YouTube「Ayase / YOASOBI」チャンネルで公開中だ。

YOASOBI「海のまにまに」Official Music Video

YOASOBI「セブンティーン」Official Music Video

「最初にも言いましたが、ここまでしっかり小説と音楽が融合するというのは、とても面白い試みだと思うんです。小説からインスパイアされて楽曲のなかに世界観が滲み出るとか、村上春樹さんの『ノルウェイの森』じゃないですけど、物語に楽曲が直接登場するケースは多いかと思いますが、コラボプロジェクトとして最初から企画が進んでいくのはレアケースですよね。新しい創作方法だなと感じていますし、僕個人も、YOASOBIさんの『群青』が好きでよく聴いています。そんなYOASOBIさんの楽曲と、役者としてコラボレーションできることを、とてもうれしく思いますね」

津田健次郎写真7

演出家・石丸さち子、そして共演者の豊原江理佳、梅田彩佳とも、今回の舞台が初顔合わせになるという津田健次郎。彼が新しい役どころにチャレンジする『朗読劇「はじめての」<後編>』が、どんなケミストリーを生み出すか、とても楽しみだ。

津田健次郎写真8

文・取材:阿部美香
撮影:冨田 望

イベント情報

朗読劇「はじめての」<後編>
 
2024年1月6日(土) 開場14:30 / 開演15:00
2024年1月7日(日) 【昼公演】開場12:30 / 開演13:00【夜公演】開場16:30 / 開演17:00
2024年1月8日(月・祝) 【昼公演】開場12:30 / 開演13:00【夜公演】開場16:30 / 開演17:00
 
<出演>
津田健次郎/浪川大輔 /崎山つばさ ※トリプルキャスト
豊原江理佳
梅田彩佳 /平野 綾 ※ダブルキャスト
 
脚本・演出:石丸さち子
音楽:桑原あい
演奏:能勢朝也音
主題歌:YOASOBI
 
<後編演目/2作品>
「ユーレイ」(原作:辻村深月)
「色違いのトランプ」(原作:宮部みゆき)
 
朗読劇「はじめての」<後編>詳細
https://w.pia.jp/t/hajimeteno/(新しいタブを開く)
https://www.t1010.jp/html/schedule/2024/01.html(新しいタブを開く)

再配信情報

朗読劇「はじめての」<前編>再配信
 
出演:宮野真守/井上麻里奈/内田真礼
脚本・演出:石丸さち子
音楽:桑原あい
主題歌:YOASOBI
 
<前編演目/2作品>
「私だけの所有者」(原作:島本理生)
「ヒカリノタネ」(原作:森絵都)
 
<配信対象公演>
2023年1月8日(日)夜公演(会場:よみうり大手町ホール)
 
チケット販売期間:12月16日(土)12:00~2024年1月9日(火)21:00
視聴可能期間:12月23日(土)12:00~2024年1月9日(火)23:59
プラットフォームPIA LIVE STREAM
配信チケット料金:3,500円
購入はこちら(新しいタブを開く)

関連サイト

津田健次郎公式HP
https://tsudaken.jp/(新しいタブを開く)
 
津田健次郎X(旧Twitter)
https://twitter.com/tsuda_ken(新しいタブを開く)
 
津田健次郎Instagram
https://www.instagram.com/2_da_ken/(新しいタブを開く)
 
「はじめての」特設サイト
https://www.yoasobi-music.jp/hajimeteno/(新しいタブを開く)
 
朗読劇「はじめての」X(旧Twitter)
https://twitter.com/hajimeteno2023?_fsi=YsYt5LZo(新しいタブを開く)
 
朗読劇「はじめての」YouTube
https://www.youtube.com/@hajimeteno(新しいタブを開く)
 
『はじめての』水鈴社HP
https://www.suirinsha.co.jp/books/detail5.html(新しいタブを開く)

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