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連載Cocotame Series

アーティスト・プロファイル

『機動戦士ガンダムSEED』がなかったらアーティスト・玉置成実は生まれてなかったかもしれない【前編】

2024.03.14

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気鋭のアーティストの実像に迫る連載企画「アーティスト・プロファイル」。

今回登場するのは、昨年がデビュー20周年、アニバーサリーイヤーを迎えた玉置成実。今年1月に、『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』オフィシャルサポーターソング「Reborn」をリリース。再び『機動戦士ガンダムSEED』の楽曲を担当することになった彼女が、歌に込めた思いやアーティストとしての現在地を、率直な言葉で語る。

前編では、『機動戦士ガンダムSEED』への思いや、アニバーサリーイヤーのさまざまな活動について聞く。

階段に座てポーズをとる黒い衣装を着た玉置成実

玉置成実 Tamaki Nami

1988年6月1日生まれ、和歌山県出身。血液型O型。2003年4月23日、TVアニメ『機動戦士ガンダムSEED』オープニングテーマ「Believe」でメジャーデビュー。第18回日本ゴールドディスク大賞“ニュー・アーティスト・オブ・ザ・イヤー”受賞。ダンスパフォーマンスも高く評価され、海外ツアーも展開。近年ではブロードウェイミュージカル『Kinky Boots』など舞台作品に数多く出演し、演技の実力も発揮している。2024年1月24日にリリースされた27枚目のシングル「Reborn」は、『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』オフィシャルサポーターソングとなっている。3月13日にアルバム『Singularity』を発表した。

シリーズの総まとめ的な楽曲にしたかった

昨年、メジャーデビュー20周年を迎え、現在は歌、ダンス、そしてミュージカルと幅広く活躍する玉置成実。彼女は14歳だった2003年4月、TVアニメ『機動戦士ガンダムSEED』第3クールのオープニングテーマ「Believe」で歌手デビュー。その後も、『機動戦士ガンダムSEED』第4クールのオープニングテーマ「Realize」(2003年)、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』のエンディングテーマ「Reason」(2004年)、さらに『機動戦士ガンダムSEED DESTINY スペシャルエディション 砕かれた世界 HDリマスター』のエンディングテーマ「Result」(2006年)を担当してきた。その音楽キャリアは、「機動戦士ガンダムSEEDシリーズ」とともにあったと言っても過言ではない。

そんな玉置成実が、デビューシングルをリリースした古巣、ソニー・ミュージックレーベルズから、現在公開中の『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』オフィシャルサポーターソング「Reborn」を1月24日にリリースした。“再会”を意味するタイトルがつけられたこの曲には、どんな思いが込められているのだろうか。

「新曲『Reborn』は、オフィシャルサポーターソングという少し特殊な役割なのもあって、『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の内容を追うというよりは、今までの『機動戦士ガンダムSEEDシリーズ』の総まとめ的な楽曲にしたいと思ったんです。『DESTINY』から『FREEDOM』までの、架け橋となるような楽曲にしなければという責任感が沸きました。

『機動戦士ガンダムSEED』の楽曲でデビューした玉置なので、皆さんが曲を聴いた瞬間に脳内が2003年にワープするような、一瞬で少年少女に戻れるような楽曲にしたかったんです。なので、初めて聴くのに懐かしく感じる、すごく王道のサウンドに仕上げてもらいました」

ダイナミックなサウンドとともに響く玉置成実のボーカルは、芯の強さと伸びやかさが相まった高揚感にあふれたものとなっている。

「35歳になって歌える表現の幅が広がったので、それを全部出し切ろうと思って、1曲のなかでもさまざまな歌い方にチャレンジしたんです。作曲してくださった渡辺徹さんと、ボーカルディレクションの方がレコーディングに立ち会ってくださって、細かくアドバイスをいただきながら、いろんなディスカッションをして作り上げました。それがすごく楽しかったですね。舞台ではやってきたけど、自分の楽曲ではしたことがなかったような表現をたくさんやらせてもらいました」

“出逢い”があるからこそ生きられる

玉置成実がこれまでの経験から得た豊かな表現力が、「Reborn」の歌唱に込められているわけだ。そして歌詞には、未来への夢と希望がたっぷり描かれている。

「歌詞は、『Reason』の作詞家でもあるshungo.さんにお願いしました」

玉置成実「Reason」Music Video

「映画の脚本を読んだ私の感想や、印象に残ったワードをノートに走り書きして、それをshungo.さんにお見せしたんです。そこからも言葉をピックアップしてもらいつつ、今までの作品とうまくリンクするような歌詞にしてもらいました。なので、『Reborn』を聴いてから映画を見に行くと、“この部分はあのキャラクターのことかな?”とか、過去の映像が蘇るような、なんとなく今までの『機動戦士ガンダムSEEDシリーズ』がわかる1曲になっていると思います」

歌詞には、『機動戦士ガンダムSEED』と玉置成実自身をリンクするキーワードがこっそりと埋め込まれているという巧みなサプライズも。

「1番のサビの“信じられる理由に気がついた 自分で決める結末(こたえ)”っていうフレーズを英語にすると、“Believe”“Reason”“Realize”“Result”っていう、私が『機動戦士ガンダムSEEDシリーズ』で歌ってきた曲のタイトルになってるんです。私、最初全然気づかなかったんですけど、shungo.さんに言われて『すごい!』ってテンションが上がりました(笑)」

そのなかでも特に気に入っているフレーズがあると言う。

「個人的に好きなのは、落ちサビの“出逢いは別れを上回る”っていうところですね。やっぱり生きていく上で、ほんとに辛い別れも経験していくわけじゃないですか。でもそれよりもたくさんの“出逢い”があるからこそ、こうして自分は生きられるんだって常日頃感じるので、そこはリアルさがあるなって思います。ネガティブじゃなくポジティブなメッセージとして、別れと出会いはすべてつながっていて、次へとつづいてるんだよって感じられて好きですね」

ミュージックビデオ(以下、MV)では、「こだわった」というダンスも披露。海外でも高く評価されている玉置成実のダンススキルが遺憾なく発揮されている。

玉置成実「Reborn」Music Video(『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』オフィシャルサポーターソング)

「歌詞にも盛り込まれていたように、実は振り付けにも、『Believe』『Reason』『Realize』の各楽曲から引用したダンスがちょこちょこ入ってるので、それを発見してもらえたらうれしいですね。それにプラスして、衣装にもサプライズがあるんですよ。『Believe』でかぶってた白のウィッグだったり、『Believe』と『Reason』のMVで持ってた鉄パイプも、これは象徴的だから持ちたいって言ったんです。

玉置成実「Believe」ジャケット画像

シングル「Believe」(2003年)

当時『Believe』で着ていた衣装も着ています。去年の4月に20周年記念のライブをやったんですけど、そのときに以前マネージャーだった方が『プレゼントがある』って言って、家で保管してくださってた当時の衣装を持ってきてくれて。めっちゃ状態が良くて驚きました。それで今回のMV撮影のときに、着れたら使おうって一応持っていったら普通に着れて、本番で使ったんです。歌詞でいうと、1番に出てくる“回帰する その刹那”という部分で着ている衣装です。そうやって、楽しめるポイントがたくさんあるMVになってます」

ファンが歓喜するようなエモーショナルな仕かけが詰まった「Reborn」のシングル盤には、玉置成実自身が作詞を手がけたカップリング曲「Affection」も収録。

「カップリング曲は『機動戦士ガンダムSEED』に関係なく自由に歌詞を書いて良いよって、最初に言われてたんです。先に音をいただいたんですが、作曲の島崎(貴光)さんには何曲も作っていただいてるので、音を聴いた瞬間に『玉置成実だ!』って思ったんですよ。それで、『SEEDシリーズ』関連の楽曲は“僕”視点が多かったけど、この曲は女性視点で書きたいなと漠然と思ったんです。

『FREEDOM』の脚本を読んだときに、ヒロインのラクス・クラインの成長や人としての素晴らしさ、意志の強さに感銘を受けて、「ラクスの歌詞を書きたい!」と思って。全然、頼まれたわけでもないのに、ラクスをイメージした曲を書きました(笑)。なので、私が思うラクスとキラ(・ヤマト/『機動戦士ガンダムSEED』の主人公)の、恋よりももっともっと深いAffection=愛情そのものを1曲で描きました」

関われてなかったら一生引きずってたかも(笑)

デビュー時から強い結びつきのある『機動戦士ガンダムSEED』は、本人いわく「玉置成実のすべての始まり」。

「『機動戦士ガンダムSEED』がなかったら玉置成実らしい楽曲も生まれてなかったし、もしかしたらアーティスト・玉置成実自体が生まれてなかったかもしれない。しかも、ともに成長させていただいた作品でもありますし、ほんとに大きな存在ですね。

あと、大人になってから改めて全シリーズを何度か見直したんですが、そのたびに気づくことがあるんです。昨今、世界のどこかで戦争が起こっていて、リアルに子どもたちが戦っていることもあるじゃないですか。

なかなかニュースだけだとわからない感覚が、アニメだと自然と感情移入できるから、キャラクターを通じて胸が痛くなったり、戦場にいる人の感覚が共有できたりするんです。リアルな世界でもこういうことが起こっているんだよって、皆さんに伝える大切な役割のある作品だなと思っています」

そんな、自身にとってかけがえのない作品と久々の再会を果たし、オフィシャルサポーターソングという形で関わることになったのは、彼女にとっても大きな喜びとなったはずだ。

「これはほんとに感謝ですね。もし今回関われてなかったら、たぶん悔しくて一生引きずってたかもです(笑)。『機動戦士ガンダムSEED』の映画化は、皆さんも20年近く待っていたなかで遂に実現したものですし、私もいちファンとしてすごくうれしいです。そこに自分が新曲で携わらせていただけたのは奇跡に近いなって。頑張ってきて良かったって思いますし、ほんとにご褒美のようにも感じます。

周りの方たちのおかげでここまで来れましたっていう感謝の気持ちを、この『Reborn』に詰め込みましたね。あと、西川(貴教)さんが西川貴教 with t.komuroで主題歌『FREEDOM』をやられて、挿入歌の『望郷』を中島美嘉さんが歌い、See-Sawさんがエンディングテーマ『去り際のロマンティクス』を手がけられていて、ほんとに私が大好きな人たちがまた集まっていることが、それこそいちファンとして“胸熱”案件だなと思います。そこに私も並んで、サポーターソングとして『Reborn』で一緒に作品を盛り上げられるのは、ほんとにありがたいなと感じてます」

玉置成実は、今回、『機動戦士ガンダムSEED』との繋がりのスタート地点である「Believe」を、『THE FIRST TAKE』で歌唱している。生バンド編成で伸びやかな歌を披露するそのパフォーマンスは、まさに20年の成熟と進化を感じさせるものと言える。

玉置成実 - Believe / THE FIRST TAKE

「今の自分が歌える、大人『Believe』になりましたね。『THE FIRST TAKE』は一発撮りだから、普通のライブよりも全然緊張するんですよ。バンドの皆さんは長くやってるプロフェッショナルな方たちなんですけど、みんな『めちゃ緊張した』って言ってました(笑)。

私のことを知らない『THE FIRST TAKE』ファンの方にも曲を聴いていただける機会でもありますし、さらに気合いも入りました。このために2カ月くらいボイトレに通って調整して、最後のほうは2日に1回とかのペースで練習したんです。

ライブとは違う、レコーディングの状況でよく聴こえる発声とかにもチャレンジして、最終的にあのボーカルスタイルになりました。練習の成果が出し切れた手応えはありますね。なので、皆さんの『良かったよ』っていう言葉が純粋にうれしいです。

あと、キーボード担当の齋藤真也さんは、当時『Believe』のアレンジをやってくれた方で、ギターの石井裕さんは当時の音源でも弾いてくれてた方なんです。しかも石井さんは『Affection』でも弾いてくださってるんです。そういう、付き合いの長い、頼もしい方たちの演奏で歌えて、すごくうれしかったです」

そして3月13日には、約13年ぶりとなるオリジナルアルバム『Singularity』をリリース。久々のアルバムはどんな作品になっているのだろうか。

「デビュー20周年を記念したアルバムです。近年配信リリースしてきた、『ウルトラマンZ』や『勇者シリーズ』の『勇者宇宙ソーグレーダー』、『バトルスピリッツミラージュ』など、いろいろな作品の主題歌を1枚に収録する内容になっています。あと、『Believe』『Realize』『Reason』は20周年バージョンで再録しました。それと、私としては、36ページのフォトブックがついてくるのが推しポイントなんです(笑)。豪華な写真集みたいになっているので、ぜひお手に取っていただけるとうれしいです」

玉置成実 20th Anniversary PHOTO BOOK画像

後編につづく

文・取材:土屋恵介

リリース情報

玉置成実「Reborn」ジャケット画像

「Reborn」
発売中
試聴・購入はこちら(新しいタブで開く)

玉置成実『Singularity』ジャケット画像

『Singularity』
発売中
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ライブ情報

『Nami Tamaki 20th Anniversary LIVE -Focus-』
3月17日(日)
詳細はこちら(新しいタブで開く)

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