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連載Cocotame Series

アーティスト・プロファイル

『機動戦士ガンダムSEED』がなかったらアーティスト・玉置成実は生まれてなかったかもしれない【後編】

2024.03.15

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気鋭のアーティストの実像に迫る連載企画「アーティスト・プロファイル」。

今回登場するのは、昨年がデビュー20周年、アニバーサリーイヤーを迎えた玉置成実。今年1月に、『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』オフィシャルサポーターソング「Reborn」をリリース。再び『機動戦士ガンダムSEED』の楽曲を担当することになった彼女が、歌に込めた思いやアーティストとしての現在地を、率直な言葉で語る。

後編では、デビュー当時の思い出や、これまでの楽曲からわかる玉置成実の歴史を明かす。

階段に座てポーズをとる黒い衣装を着た玉置成実

玉置成実 Tamaki Nami

1988年6月1日生まれ、和歌山県出身。血液型O型。2003年4月23日、TVアニメ『機動戦士ガンダムSEED』オープニングテーマ「Believe」でメジャーデビュー。第18回日本ゴールドディスク大賞“ニュー・アーティスト・オブ・ザ・イヤー”受賞。ダンスパフォーマンスも高く評価され、海外ツアーも展開。近年ではブロードウェイミュージカル『Kinky Boots』など舞台作品に数多く出演し、演技の実力も発揮している。2024年1月24日にリリースされた27枚目のシングル「Reborn」は、『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』オフィシャルサポーターソングとなっている。3月13日にアルバム『Singularity』を発表した。

「Believe」のレコーディングは中学2年生のとき

前編からつづく)約21年前の2003年4月、玉置成実はソニーミュージックからシングル「Believe」でメジャーデビューした。振り返ってみると、そのころはどんな思いでいたのだろう。

「当時はまだ14歳でした。『Believe』のレコーディングやミュージックビデオ(以下、MV)の撮影をしたときはまだ中学2年生で、ちょうど3年生になった春にデビューしたんです。レコーディングの時点では、地元の和歌山から通いで東京に来ていました。3月末に上京して、4月にデビューだったので、バタバタであっという間でしたね。

東京の学校に転校し、普段の生活に慣れるのにもしばらく時間がかかりました。関西人なので標準語が苦手でしたし、デビューはしたものの、中身は上京したてのただの子どもって感じでしたね(笑)。だから、“私はほんとにデビューしたのかな?”って、デビューの実感がないまま過ごしていた気がします。

玉置成実「Believe」Music Video

当時“謎の美少女”って、自分で言うのはおこがましいキャッチフレーズをつけていただいて(笑)、それもあってあまり表に出る機会がなかったんですよね。だから、余計デビューした実感がなかったんです。『ミュージックステーション』には出させていただいたんですが、緊張し過ぎて記憶もないです(笑)。

そんな日常のなかで、『Realize』のレコーディングスタジオで、『機動戦士ガンダムSEED』の最初の放送を見たんです。オープニングで『Believe』が流れて、自分の名前があることが不思議でした。今みたいにSNSはなかったですが、ホームページのBBSに感想を書いてくださる方がいて、そこでようやく、デビューしたんだな~って理解し始めたんだと思います」

14歳で地元を離れ、プロの世界に飛び込むというのは、並大抵の決断ではない。そこに不安や迷いはなかったのだろうか。

「私は小学生のころからアクターズスクールに通っていて、人前で歌うイベントには出てたりしたんです。そもそもアクターズに入ったのも、早くデビューがしたかったからで。なぜか、デビューは早ければ早いほど良いって、子どもながらに思ってました(笑)。

そんななか、中学1年生のときにソニーミュージックのオーディションを受けて、ファイナルまで進んだんです。SOUL'd OUTさんなど10組が残っていたんですけど、私はそのときにはデビューが決まらなくて、そのあと育成部門にお世話になっていました。和歌山からちょこちょこ東京に来て、スタッフさんに毎月本を渡されて感想文を書くっていう、作詞の練習みたいなことをずっとしていた時期もありました」

椅子にもたれかかる赤い衣装を着た玉置成実

20th Anniversary PHOTO BOOKより

和歌山の少女が夢を掴むために奮闘し、デビュー1年目で大ブレイクというサクセスストーリーがあったわけだが、ただ本人は事の大きさを実感していなかった。

「のちのちになって、すごいことだったんだなって気づきました(笑)」

そうした彼女の思いとは裏腹に、2004年3月には『第18回日本ゴールドディスク大賞』で“ニュー・アーティスト・オブ・ザ・イヤー”賞を獲得するなど、玉置成実は若きダンス&ボーカルアーティストとしてヒット街道を爆進していった。ソニーミュージック所属時の作品には、アーティストとしてはもちろんのこと、素の玉置成実の成長の跡が残されている。

「どの曲にも思い入れが強いんですけど、ほんとに思春期、反抗期の私を感じられるんですよ(笑)。特にMVを見ると、客観的にはわからないとは思うんですけど、メイクとかに現われていますね。中学生なりに“がっつりメイクしたい!”とか、高校生になって“髪を巻きたい!”とか、みんな思い始めるじゃないですか。『Fortune』(2005年)のMVで初めてつけまつげをつけたんですけど、それは割と早い段階の反抗期です(笑)。

どんどんメイクを研究しだして、当時、細眉で目を黒く囲むのが流行っていて、『あれやりたい!』と言ったのが『Brightdown』(2007年)のころですね。あと『ネイルを派手にしたい!』と言い出したなとか。そういう自分の成長のすべてが全部の楽曲に刻まれています(笑)」

楽しい思い出もあれば、歌声の変化という壁にぶつかった辛い経験もあったという。

「『Get Wild』(2005年)を出したのが高校2年生のころだったんですけど、そのときに急に1週間ほど声が出なくなったんです。変声期だったんですよ。実は女性って一生通してずっと変声期があるんですって。年々話すトーンがゆるやかに落ち着いてきたりするんですけど、私の場合は珍しく、男性と同じように大きい変声期が1回来たんです。ほんとにカスカスの声も出ないレベルで、“私はもう歌を歌えないんじゃないか”って思ったくらいでした。

1週間後に声は出るようにはなったんですけど、ちょっと声が太くなってたんです。“あれ、ちょっとカッコ良い声になってる?”って感じでした(笑)。そこで、子どもから大人の声帯に変わりましたね。高音が出しにくくなって、そのぶん下の音域がとても広がったんです。

ただ、キーが高い曲が多かったので、すごく悩んだりもしました。あと、私は体質的に声が変わりやすいのか、そこからも年々変化していってるんです。2006年に舞台をやり始めたんですが、さまざまな役をやらせていただくなかで、いろんな声の出し方を勉強するようになりました。その辺から、より自分の声と向き合っていった感覚がありますね」

写真いっぱいに顔を映した玉置成実

20th Anniversary PHOTO BOOKより

泣きながら話を聞いてもらったこともあった

2003年から2008年まで在籍したソニーミュージック時代は、まさに玉置成実のティーンエイジャー真っ只中の多感な時期だった。

「『Reborn』には、“再会”の意味が込められているんですが、私的に今回の一番の“Reborn”は、デビュー当時の14歳の私を知ってるスタッフの皆さんが集結してくれて、また一緒に音楽を作らせていただいていることです。みんなほんとに人が良くて(笑)。素敵な人たちが多いんですよ。楽曲に対しても、アーティストに対しても、ものすごく愛情が感じられるんですよね。

私が反抗期のころに事務所のマネージャーさんとぶつかっちゃったりすると、ソニーミュージックに来て、泣きながらスタッフさんに話を聞いてもらったことがありました(笑)。それくらい、ソニーミュージックは、私にとっては家族のような、おうちのような温かい場所なんです。こうして時を経て、また一緒にお仕事できてることが感謝でしかないです」

16年ぶりのソニーミュージックへの帰還は、玉置成実にとって実家に戻ってきた感覚のようだ。

「こんなふうに温かい現場だったなって、当時を思い出しますね。安心できる方たちが周りにいてくれるので、今は甘えまくってます(笑)。今、私はすごく良い環境でお仕事させてもらっていて。親身になってくれる事務所のスタッフと、兄のようなソニーミュージックのスタッフさんたちと、この『Reborn』を作れたのがめっちゃうれしいんです。玉置成実を育ててくれた人たちと一緒に作った1枚みたいな、自分にとってスペシャルな作品ですね」

カーキ色の服を着た玉置成実

20th Anniversary PHOTO BOOKより

玉置成実は近年、舞台を中心とした活動を行なってきた。だが、昨年のデビュー20周年を機に、音楽に重点を置いた活動にシフトしていっているという。

「実は、去年のライブ(2023年4月23日、浅草花劇場での『Nami Tamaki 20th Anniversary LIVE -Ultimate- /-Almanac-』)が10年ぶりくらいのワンマンライブだったんです。イベントとかは出てたけど、舞台を年に3本やったりしてたので、ワンマンをやれていなかったんです。昨年から20周年イヤーということで、今は舞台をお休みして音楽をしっかりやりたいなっていうタームですね。

去年からライブを再開したので、パフォーマンスをもっともっと上げていきたいなって思ってます。ダンスのリハーサルでも、ダンサーさんたちと細かいところまで揃えたくて、休憩なくみっちり踊ったりしてます。スタジオの隅でひとりで踊ってるときもありますし、そういう意味で、改めて初心に帰ってる感覚はあります。

歌のほうも、ボイトレで、今、発声をいちから変えてるんです。先ほども話した『THE FIRST TAKE』のときからなんですけど、声帯も筋肉なので、体の使い方を根本から変えています。ダンスしながらより歌をキープできる筋肉の使い方を教えてもらっているので、慣れるまで時間がかかるんですけど、それを完璧に習得できたら怖いものなしだなって(笑)。

そうやっていろいろ学ぶことが多いのが楽しいです。自分にできないことをたくさん学んで可能性が広がったり、“自分の体からこんな音が鳴るんだ”とか、そういう発見ができるのって楽しいですね」

キャリアを重ねてから、歌とダンスという自身のベースとなる武器を改めて磨いている玉置成実。そこには、自分の今の体と向き合うという意味合いもあった。

「体が楽器なので、たぶんこれからもいろんなことがあると思うんです。この20年で、耳を悪くした時期もありました。難聴になったり、耳管開放症にもなったり……。耳管開放症は、外の音が聞こえなくなって自分の声が耳に返ってきちゃう状態のことで、それは今でも少しあります。私は20代中盤で初めてなって、最初はかなりストレスでしたが、今ではそうした病気との付き合い方も上手くなってきました。

きっとこれから先もいろんなことがあると思いますけど、そのたびに体と話し合って、表現者として成長していけたら良いなと思います」

そのときどきにやりたいこと、好奇心がずっとある

長い髪をなびかせる赤い衣装を着た玉置成実

14歳でデビューした玉置成実は、当たり前ではあるのだが、20周年を迎えてもまだ35歳だということにも改めて驚く。

「ありがたいことに、まだまだなんでもできるなって思いもありますし、これからもどんどん頑張りたいなと思ってます。ファンの方のなかにも、デビューからずっと応援してくださる方がいるんですよ。20年推しが一緒ってすごいことだなって、素直に思っちゃいますね(笑)。最近は、ちょっと離れてたけど帰ってきてくれたファンの方も多いです。もはや私は港のような気持ちですね(笑)。“おかえりー”って。

それこそ“『THE FIRST TAKE』で好きになりました”って言ってくださる方もいますし、あらゆるファンの方たちの存在がありがたいです。だからこそ、私はいつもベストな状態でいたいなって本当に思います」

まだまだ活動をつづけていきたいという彼女のモチベーションになっているものとは。そしてその先には、どんな夢や目標が見えているのだろう。

「私はそのときどきの自分がやりたいこと、好奇心がずっとあるんです。なので、新しいことにも怖がらずにチャレンジしていければ良いなと思います。そして、私自身だけじゃなく、何かやりたくても一歩を踏み出せないような人の背中をちょっとでも押せるような、そういう存在であれば良いなと思います」

3月17日には、20周年イヤーを締めくくるワンマンライブ『Nami Tamaki 20th Anniversary LIVE -Focus-』を開催する。進化を止めない玉置成実が繰り広げる、熱いライブとなることは間違いなさそうだ。

「今回のライブは、X(旧Twitter)で、シングル以外で聴きたい曲を募集したんです。そのなかから選んだ曲もありますし、20周年イヤーの集大成として、自分的には“これしかない!”って思えるセットリストになりました。なので、結構ハードなライブになるとは思いますが、踊り煽る玉置成実を終始観てもらえると思います(笑)。

皆さんもぜひスタミナをつけて、一緒にお祭り感覚で楽しんでいただけたらうれしいです。久しぶりに歌う曲たちがたくさんあるので、過去の作品を聴き直してから来ていただけるとよりいっそう楽しめるかなと思います。では皆さん、ライブ当日は熱と熱をぶつけ合いましょう(笑)!」

文・取材:土屋恵介

リリース情報

玉置成実「Reborn」ジャケット画像

「Reborn」
発売中
試聴・購入はこちら(新しいタブで開く)

玉置成実『Singularity』ジャケット画像

『Singularity』
発売中
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ライブ情報

『Nami Tamaki 20th Anniversary LIVE -Focus-』
3月17日(日)
詳細はこちら(新しいタブで開く)

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