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クリエイター・プロファイル

『ゆるいるか』で海のことをもっともっと知ってほしい――“みいるか”がクリエイター活動に込める想い①

2024.12.25

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SNSの総フォロワー数が130万以上を数え、女子小学生を中心に圧倒的な人気を誇るお絵描き動画クリエイター・みいるかをクローズアップ。代表作である、かわいいイルカと海の仲間たちをモチーフにしたオリジナルキャラクター『ゆるいるか』シリーズで人気を博した、みいるかのイルカ愛、海の生き物愛はどのように育まれ、創作活動につながったのか。

前編では、子どもにも大人にも夢を与える『ゆるいるか』シリーズに込めたメッセージについて話を聞いた。

  • みいるかさん プロフィール画像

    みいるか

    Miiruka

    オリジナルキャラクター『ゆるいるか』をメインに海の生き物をゆるふわ可愛く描く、イルカに恋するお絵描き動画クリエイター。TikTok、YouTube、Instagram、X などの SNS を通して、みいるかが描くイラストとともに海の生き物の大切さを広めたい思いで活動中。

記事の後編はこちら:『ゆるいるか』で海のことをもっともっと知ってほしい――“みいるか”がクリエイター活動に込める想い②

“海の生き物に興味を持ってほしい”という想いが創作活動の原点

“イルカ好きなゆるふわイラストレーター”“『ゆるいるか』のぬいぐるみといつも一緒”と自己紹介しているように、パステルカラーのイルカのキャラクター「アオイルカ」や「ピンクイルカ」「シロイルカ」「シャチ」など、愛らしい海の生き物たちのイラストで人気のみいるか。彼女がイルカと海の生き物をテーマに創作活動をスタートさせたのは、2020年のこと。そのきっかけは意外なことだった。

ゆるいるかたちのイラスト

「お絵描き動画クリエイターとして活動を始める前は、水族館で解説員の仕事をしていました。ところが、コロナ禍で水族館がお休みになってしまって……。皆さんに生き物のことを伝えられない日々が続いていたんです。

そんなとき、たまたま趣味でイラストを公開していたSNSがバズって。これからの時代はSNSで生き物たちのことを発信していったほうが、もっと多くの人にいろいろなことを伝えていけるんじゃないかと思い、SNSでのイラスト投稿活動を始めました」

みいるかの創作活動の目的は、自作のイラストを見て賞賛をもらうことではなく、海の生き物の生態を広め、理解を深めてもらうことだ。

「“海の生き物について知ってもらう”という活動の目的は、4年経った今でも変わらないですね。だから絵の勉強や、イラストレーターになるための学校に通うこともまったくしていなくて。もちろん趣味として描いたりはしていたんですが、人前でイラストを披露したことがあったのは、それこそ水族館の解説員のお仕事としてですね。

小さいころから絵を描くのは好きだったので、生き物の生態を紹介する展示用や紙芝居用の絵を描いたり、館内イベントで子ども向けのお魚のお絵描き教室を開いたり、それくらいでした」

イラストへのモチベーションは、海の生き物への深い愛情があってこそ。水族館で働き出したのも、みいるかが、ある海の生き物に夢中になったからだという。

「それがイルカです。本物のイルカに初めて会ったのが3歳のときで、そこからずっと好きですね。イルカを好きになったことで、海の生き物に接する機会がだんだん増えていって、ほかの海の生き物もどんどん好きになっていったんです。そして、一番好きなイルカに関わる仕事がしたいなと思うようになり、結果的に水族館の解説員のお仕事に就くことができました」

大好きなイルカや海の生き物の魅力を来館者に伝え、喜んでもらえる解説員の仕事は、みいるかにとってもやりがいのある、一生続けていきたい仕事だった。そんな充実した生活に、突如訪れたコロナ禍。先ほど、水族館の休館を機に、SNSへの創作活動が始まったと話してくれたが、そこに至るまでにも彼女にはさまざまな想いがあったという。

「SNSで生き物のこと伝えようと思った具体的なきっかけは、コロナ禍で水族館が休館したときに行なわれていた遠隔授業です。病院にいる子どもたちにリモートで水槽を見せて、魚たちの解説をするんですが、先輩の授業を見学したときに、これまでは直接お客様に会って解説をすることが普通だと思っていたけど、オンラインというやり方も素敵だなと感じて。

そこからSNSでイラストを描いて、バズって……と、結果的には水族館を退職してイラストレーターとして独立することになりました。ですが、水族館を辞めるまでに、1年半くらい悩みましたね」

みいるかとかわいい海の仲間たち

活動初期に描いたイラスト

聞けば、国内の水族館では飼育員が解説員の仕事を兼ねることが多いため、彼女がやりがいを持って続けてきた解説員という職種は、かなりの狭き門。一度、その職を離れてしまえば復帰は難しい。クリエイター活動の魅力と水族館勤務の楽しさ、どちらを取るべきかと、みいるかは悩んだそうだ。

「コロナ禍で先が見えなかったこともあり、一度、水族館を辞めようと思ったときに、母親のような存在で信頼していた先輩に相談したことがあったんです。そこで言われたのが、“もし私があなたのお母さんだったら、今のコロナ禍だからSNS活動ができてるだけで、今後どうなるかわからない道に行くのは勧めたくない”だったんです。

“ずっと夢だった解説員にせっかくなれたのに、手放していいの?”と言われて、一度は踏みとどまったんですけど……解説員の仕事は勤務時間内だけではなく、家に帰ってからも解説の練習をしたり、後輩の仕事をチェックしたりとやることがたくさんあったので、だんだん動画の活動と水族館の仕事の両立が、難しくなってしまって。

両立したい気持ちが一番だったのですが、どっちも中途半端に続けることも嫌で、これはどっちかに決めなきゃ! と思ったときに、気持ちがクリエイター活動のほうに次第に傾いていきました」

悩みに悩んでの大きな決断。SNSを始めてあっという間にバズった人気クリエイターとだけ聞くと、順風満帆なキャリアだと想像してしまうが、その背景には色々な逡巡があったようだ。

「でも、お絵描きクリエイターの道を選んで、良かったです。子どもたちが『ゆるいるか』を通じて、海の生き物に興味を持ったというお声をいただくことも増えて、水族館では会えなかった人やお仕事にもたくさん出会えています。何より、『ゆるいるか』を好きでいてくれる方々からの声や言葉に、私自身がいつも支えてもらっていて、本当にありがたいです」

『ゆるいるか』キャラクターの設定は自分の経験とファンの声を反映

『ゆるいるか』のキャラクターたちが生まれたのは、みいるかの名前で本格的に活動する前。趣味で描いていたイラストに登場させた“海の妖精”が原点だという。

「イルカのキャラクターも今はアオイルカ、シロイルカ、ピンクイルカと増えましたが、当初はピンクイルカだけだったんです。

そして、最初はピンクイルカちゃんが、相棒のくらげさんと一緒に旅をするというイラストを描いていたのですが、海の生き物のお話を伝えたいとなったとき、私本人からの発信だけじゃ、声が少なすぎるなと感じて。そこにもっとキャラクターがいてくれたら興味を持ってもらえるだろうし、楽しく見てもらえるかもしれないと思ったんです。

もともとピンクイルカちゃんは描いていたので、この子をもうちょっと膨らまそうと思って、仲間のイルカや私が好きな海の生き物のキャラクターを増やしていきました」

ピンクイルカちゃんのイラスト

ピンクイルカちゃん

今年の夏に発売されたコミック『ゆるいるか 夢いっぱい 海のだいぼうけん』のキャラクター紹介によれば、アオイルカは面倒見のいいしっかり者、シロイルカはのほほんとした楽観的な性格で、ピンクイルカはムードメーカーのお調子者。

クールで食いしん坊なシャチ、雲の上に住んでいるやさしいクジラのくーみん、とてもレアなアルビノシャチのあるると、あるると一緒にあちこち旅をしている物静かなクリオネのくるる、アオイルカたちを見守るくらげやめんだこなど、彼らの性格もユニークだ。

これには、本物の海の生き物の様子も反映されているのだろうか。

みいるかさんが描く海の仲間たち

「たまに本物の生態を持ってる子はいますが、私のなかでは本物の生き物と『ゆるいるか』をくっつけてほしくはなくて。みんなが言葉を喋ったり、カエルアンコウもイルカちゃんたちと一緒におにぎりを食べたり(笑)、本物とは違うところがあります。

そこはあくまでキャラクターとしての楽しさを見ていただきたいので、彼らはあくまでも“海の生き物の妖精たち”として描いています」

イルカたちとカエルアンコウがおにぎりを食べるイラスト

キャラクターを創作するうえでは、数が多くなればなるほどバラエティに富んだ個性的な性格を考えていくのも大変だと思われるが?

「やっぱりキャラクターというのは、自分の経験などをアウトプットしないと描けないと思うんです。なので私の場合は、自分の幼少期を誇張したり、私の周りにいた人をモチーフにしたりして考えていきました。

例えば、ピンクイルカちゃんは、ほかの人が持っているものに憧れを抱いちゃう、ちょっと暴れん坊で破天荒なキャラなんですけど、実はあの子は3歳くらいの自分がモチーフなんです。小さいころはお兄ちゃんが持っているものが羨ましくて、なんでも欲しくなっちゃう子だったので(笑)」

また、絵以外の部分では、愛情あふれるみいるかのファンから寄せられた声も反映しているという。

「普通、表に出てくるキャラクターは、作者がしっかりキャラを作り込んで、それを物語の形にしていくものだと思うんですけど、『ゆるいるか』は違うんです。私がふわっとしたものを作って、それに皆さんがいろいろな要素をつけ加えてくれています。

人間関係と近いですよね。いろんな人と接していくなかで、この子はこういう立ち位置なんだなとわかってくる感じが。ファンの皆さんのご意見をいただいて、キャラクターと一緒に私も成長させてもらっている気がします」

例えばシャチの食いしん坊設定も、ファンと一緒に作り上げたキャラクター性だ。

「投稿した動画内で、シャチくんが食べているシーンがあったんですが、そのコメント欄に“シャチくん食いしん坊でめっちゃ可愛い”という声があふれていたんです。次からそういうキャラにして投稿したら、皆さんが喜んでくれまして。じゃあ、シャチくんは食いしん坊キャラでいこう! と、決めました」

こいのぼりを食べようとするシャチくん

シャチくん

これこそが、コメントでクリエイターにファンの感想がすぐに伝わるSNSだからこその面白さ、醍醐味とも言える。みいるかのファンにとっても、コメントがキャラクターや物語に反映されていくのは、自分たちが『ゆるいるか』ファミリーの一員になれた体験ができるうれしさがあるだろう。

個性派キャラクターの誕生秘話と『ゆるいるか』で本当に伝えたいこと

みいるか自身が水族館解説員だったからこそ、一般的にはまだ存在が知られていない生き物が登場しているのも『ゆるいるか』シリーズの楽しさだ。例えば、カエルアンコウ。『ゆるいるか』で初めて存在を知ったという人も多いのではないだろうか。

「カエルアンコウは、2年前くらいに生まれたキャラクターなんですけど、詳しい紹介がついたのはコミックから。初期から私のSNSを見てくれていた方にはもうおなじみなので、私としても、やっと陽の目を浴びせることができた! という感覚ですね。実はこの子の設定にもエピソードがありまして。

カエルアンコウのイラスト

カエルアンコウ

カエルアンコウがキャラクターデビューしたのはキーホルダーでした。それを発売したとき、店頭のポップにカエルアンコウが間違えてチョウチンアンコウと紹介されたことがあって。

それをファンの方が見つけて教えてくれたんですけど、確かにアンコウをよく知らなければ、有名なチョウチンアンコウと間違えられても仕方がない……じゃあ、いっそのこと“強そうなチョウチンアンコウになりたい!”と憧れている子だったら面白いなと、そういう設定にしてみました」

アルビノのシャチ・あるるも、解説員ならではの視点が反映されている。

「ここがちょっと難しいところなんですけど、実際に白いシャチというのは見つかってはいるんですが、それがアルビノ個体なのか、白い変種個体なのかは、実はまだわかっていないんですね。

もしかしたらアルビノシャチは存在しているかもしれないし、していないかもしれない。そこも海の生き物の不思議として、興味を持っていただけるきっかけになればいいなと思い、あえてアルビノシャチの妖精を登場させました」

あるるのイラスト

あるる

そういった話を聞くにつれ、みいるかの『ゆるいるか』創作のモチベーションが、海の生き物に興味を持ってもらいたいという想いに根づいていることがよくわかる。

さらにコミック『ゆるいるか 夢いっぱい 海のだいぼうけん』の物語では、人間によって海のゴミが増えたおかげで命を落とす生き物が増えているという環境問題にも触れている。イルカと仲間たちのゆるふわな日常が描かれるだけではなく、そこには海の生き物を愛する作者自身のメッセージも軸としてしっかり込められているのだ。

「ただ、そういう事柄だけを前面に出した本を書いてしまうと、興味がある方にしか手に取ってもらえないと思うんですね。海の環境問題に関しては、そういう活動を積極的にされている方や、専門の方がたくさん本を出していらっしゃいますから、そんななかで私ができることは、今までそこに関心がなかった人、知らなかった人にも届けること。

なのでコミックでは、軽く触れるかたちでお話に組み込みましたし、伝えたいことは後書きにしっかり書きました。あの本を読んだことがきっかけで、いろいろなことを考えてもらえたらうれしいですね」

後編では、クリエイターとしての夢や今後の活動について語ってもらった。

後編に続く

文・取材:阿部美香

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