『ソードアート・オンライン』チーム座談会――作品の可能性を引き出し、10年以上にわたり新しい魅力を供給し続ける秘訣
2024.02.02


2023年に世界95の国と地域で初開催され、2024年にはより規模を拡大して開催する『「鬼滅の刃」ワールドツアー上映』。国内外での実現に向けて奮闘するアニプレックス(以下、ANX)『鬼滅の刃』宣伝、海外チームに、仕事のやりがいや働き方について聞いた。
本記事は、アニプレックスのコーポレートサイトに掲載された「ANIPLEXストーリー」を再編集したものです。
目次

中台勇樹
Nakadai Yuki
アニプレックス

平沼征吾
Hiranuma Seigo
アニプレックス

張 有沙
Cho Yusa
アニプレックス

H
アニプレックス
――皆さんの仕事内容を教えてください。
中台:宣伝部門に所属していて、ANXが企画したアニメやゲーム、映画などの作品を世に広めていく仕事をしています。例えば、新作のアニメがあったとしたら、放送日までにどのタイミングで映像やビジュアルを公開するか、といったプランを立てていきます。そのプランを元にして、社外の関係者や社内の各部署とのハブとなって、情報解禁に向けての準備を進めています。
平沼:私も宣伝部門で、基本的には中台さんと一緒です。ポスターのキャッチコピーをはじめ、新しい映像の内容から流す時期など、どういうものを展開したら多くの人に受け取ってもらえるのか、楽しんでもらえるのかを考えています。
張:海外事業部門は、作品の海外展開を担当している部署です。ただ、実際に海外現地で何か展開しようとしても、日本からだと距離や時差の限界もありスムーズに行なえないことがあります。
そこで、作品ごとに現地での展開に協力していただくパートナー企業と、その国や地域にあったライセンス展開や宣伝の取り組みを行なっています。
私自身は、主にアニメとゲームのマーケティングを担当し、アメリカや中国の自社現地法人をはじめとする各地のパートナー企業と連携して仕事をしています。
H:私も海外事業部門に所属しており、『鬼滅の刃』を筆頭に、さまざまなアニメの配信、マーケティング、商品化などの海外展開に携わりながら、ヨーロッパのマーケティング担当として現地のアニメイベントなどでANX作品の宣伝業務を行なっています。
――皆さんが、やりがいを感じるのはどのようなときですか。
張:普段はメールやオンライン会議での対応が多く、海外のファンの皆さんへ作品をお届けしている実感を得ることは難しいのですが、その分イベントなどで現地を訪れてファンの皆さんの姿を間近で目にしたときにはやりがいを感じます。
日本からお連れしたゲストのトークやパフォーマンスを見て喜んでいただいたり、東京でデザインしたブースや配布物で記念撮影をしたりするファンの方々を見ると“私はこの人たちに作品を届けるために頑張っているんだな”と実感できて、また頑張ろうという気持ちになります。
H:私も張さんと同じです。私はコロナ禍の入社だったので、入社後しばらくは海外イベントも中止が続きました。海外への渡航規制が緩和され、2022年に初めての海外出張でロサンゼルスのアニメイベントを訪れたとき、現地アニメファンのリアクションを目の当たりにして、とてもやりがいを感じました。
中台:やっぱりお客様に一番近いところで仕事をしているのが宣伝だと思いますので、例えば屋外で広告を出したり、Web上で新情報を公開したり、そういったこちらの仕かけに対するお客様の反応をダイレクトに感じることができるのが一番のやりがいだと思います。
平沼:私は、楽しんでもらえるような宣伝を考えているときが楽しいです。例えば、どうしたら人に集まってもらえるだろう、何を見たら楽しいと感じてもらえるだろう、作品の魅力をどうしたら最大限に伝えられるだろうなど、そして、それがハマったときはうれしいです。
――今の業務に必要なスキルはありますか。
中台:宣伝は関わる相手が多岐に渡り、そのすべての人の力を借りて情報を発信していく仕事なので、すべての部署、関係者と信頼関係を築いていく“コミュニケーションスキル”が一番必要だと思います。
平沼:そうですね。宣伝はもしかすると、できた方がいいスキルはたくさんあるけれど、できなければいけないスキル自体はあまりないのかもしれません。ただ、人と人の間で動き続ける仕事なので、絶え間なく動き続けることが大事なのかなと思います。
中台:英語を話せるとか、広告の指標がわかるとか、そういった専門スキルがあると仕事の幅が広がるとは思いますが、それは入社してからでも身につけられますし。そういう能力を持っている方は、社内、社外でお付き合いするなかにもたくさんいるので、自分で全部やるというよりも、そういう方々と一緒に動くことにより力を集結させられるほうが大事だと思いますね。
張:海外事業の業務においては、もちろん英語はできたほうがいいのですが、それよりもまずは相手を理解しようとする姿勢が必要だと考えています。さまざまな国や地域の人たちとやり取りをするなかで、日々あらゆる視点や価値観をベースにした要望や提案が寄せられます。言語だけでなく文化や考え方など、地域ごとに日本とは異なる部分があるので、相互理解を図りながら作品の魅力を発揮するためのベストな案がどこにあるのかを探します。言語や文化の違いを受け入れる姿勢を持つことが大切だと考えています。
H:そうですね。海外事業部門は海外の方々と協力して仕事を進めていきますので、それぞれの地域の文化に対してリスペクトを持つことが大切だと考えています。また、海外の取引先の皆さんとはなかなか直接会ってお話することができないため、メールやオンラインミーティングで日々細かく丁寧にコミュニケーションを取ることも重要だと考えています。
――ANXはどのような社風でしょうか。
張:風通しの良い会社だと感じています。部署のなかにも壁がなくて、上司には日々相談にのってもらっていますし、海外法人の皆さんとも毎日のように話し合いをしています。また、ときには岩上社長から意見をもらうこともあります。作品ごとに各部署から担当者を集めたチームを作るので、部署の垣根を越えたつながりもありますね。
H:若い世代でもやりたいことを言えばみんなが背中を押してくれる社風です。私自身も裁量権があると感じています。新しいことにチャレンジしたい方は、ANXにとても向いていると思います。
中台:前職が堅実な仕事の進め方をする会社でしたので、面白いと感じられる挑戦だったらどんどんやらせてもらえて、すごいスピード感で進んでいくANXに驚きました。ひと言で言えば、挑戦させてくれる会社です。
平沼:アニメやそれに関連するものについて、本当に好きな人たちが集まっている会社というイメージです。それが原動力になって、すごいエネルギーになって面白いことに突き進んでいくので仕事もしやすいですが、正解や終わりがない仕事なので、突き詰め続けていく大変さもあります。
――2023年に実施された『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』について、携わったことや印象に残っていることを教えてください。
平沼:公開日が2月3日で、『鬼滅の刃』は作品的にも鬼と関わっていて、節分と縁があるということで“浅草寺で豆撒きをやりましょう”と制作チームから提案がありました。前日に町中を着ぐるみと練り歩きをして、当日はキャストの皆さんが舞台に立って、豆撒きをするということがありました。この作品でなければやれなかったことがいろいろできました。
中台:ワールドツアー上映の実施自体を発表したのは、制作スタジオのufotableの皆さんが制作された“プロモーションリール”の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』でのTV放送に合わせてだったのですが、そのTV放送の視聴を促進すべく、「無限列車」を実際に作ってそれをトラックの荷台に乗せて、2カ月かけて47都道府県を回るという企画を行ないました。各地で反響があり、全国規模で作品を愛してくださる皆さんがいると改めて感じました。
H:キャストの皆さんを連れて、ロサンゼルス、パリ、ベルリン、ソウル、メキシコシティ、台北でそれぞれ舞台挨拶を実施しましたが、海外事業部門のメンバーが準備から運営に携わりました。チームとしてもとてもいい経験になりましたし、世界の『鬼滅の刃』ファンの皆さんの様子を実際に拝見できて、私としても仕事に対するモチベーションがさらにアップしました。
張:世界各地で舞台挨拶を行なう企画は、『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』が公開されるタイミングから上がっていたものの、当時はコロナが流行した影響でずっと実現できていませんでした。
昨年、海外渡航制限が緩和され始めたことをきっかけに実施に向けて動き始めましたが、時勢的にまだ慎重にならざるを得なかった部分も多かったです。今年は去年の実施結果を踏まえて、よりもっとたくさんの人に届けられるように頑張っています。
――アニメ業界で働きたいと思ったきっかけやANXを志望した理由を教えてください。
張:子どものころから、アニメをきっかけに物事に興味を持ったり何かを始めようと思ったりすることが多かったことが理由のひとつです。また昔から広く興味を持つタイプだったので、その気質を受け止めてくれそうなソニーミュージックグループの総合エンタテインメント企業としての事業域の広さに惹かれました。
H:私は元々、日本の文化を海外に広げていくことに興味がありました。就職活動の際にさまざまな業界を調べるなかで、日本の強みとして思い浮かんだものがアニメでした。
ANXを志望した理由は、自分の好きなIP(知的財産)を生み出しており、私もアニメや音楽の展開に携わってみたいと考えたからです。
中台:私は一番好きなアニメが『四月は君の嘘』というアニメで、ANXが企画している作品なので入社したいなとずっと思っていたのですが、新卒のときは叶いませんでした。
一度はゲーム会社に入社したのですが、いつかもう一度チャレンジしようと決めていて、ゲーム会社で4年間の実績を積んで再チャレンジして入社しました。
平沼:私は大学生の途中からアニメを見始めて、その表現の自由さに面白さを感じてアニメ業界を志望しました。
また大学時代、いくつかの会社の方々と話をする機会がありましたが、ソニーミュージックグループの担当者が一番まっすぐに、学生でもちゃんと話を聞いてくれたので、いいイメージを持っていました。
――この仕事を続けている“原動力”を教えてください。
中台:“やりがい”とも共通しますが、自分が担当した作品をお客様に楽しんでいただいて、例えば“2023年に一番印象に残った作品です”とか、そういった反応を見る機会があると次も頑張ろうと思えます。
平沼:新しいことができたときに、もっと新しいことができるのかと思うと、それが次に向かう力になっています。今度はもしかしたらもっと新しい場所でなにかができる日が来るかもしれないとか、盛り上がった舞台挨拶のあとにも、次はもっと面白いイベントができるかもしれないと思ったりします。
張:自分が担当している作品、企画、イベントに対して“もし中学生のときの私が触れていたらとっても楽しんだだろうな”と想像できたときです。“きっと当時の私のように楽しんでいる子が今もたくさんいるだろうな。その子たちのために頑張ろう”とやる気が湧いてきます。
H:ロシアに留学した際にホームステイ先の家族に、車で約5時間かけて現地のアニメイベントに連れて行ってもらったことがありました。『Anime Japan』のようなイベントを想像して訪れたら、そのイベントにはいっさい日本からの正規展開がなく……でも現地の人たちはとても楽しんでいて、その光景が大変衝撃的でした。
この経験がずっと私の仕事に対する原動力になっており、今後も世界中の人が日本のアニメファンと同じようにアニメを公式で楽しめるような環境を作っていきたいです。その夢を実現するために頑張っています。
――最後に、ANXで働きたいという皆さんに向けて、こんな人と一緒に働きたい! というご意見があれば聞かせください。
中台:アニメやゲームに限らず、実写の映画でも音楽でも常にエンタテインメントに楽しんで接することができる人が入社してくれると、そこからアニメやゲームにいかせる新しい宣伝方法も生まれると思います。そういった姿勢を持った人が入ってきてくれるとうれしいですね。
平沼:この会社で面白いなと思うことは、同僚との会話のなかで“何が好きなの?”というような話が中心になることです。
好きなものややりたいことをグッと握りしめて戦うのがカラーの会社だと思うので、そういったものを大切にしている人が来てくれたら素敵だなと思います。
張:仕事はやっぱり大変なことも多いので、どんな状況でも物ごとを楽観的に捉えて面白がれる人のほうが向いているかなと思います。
会社では個人ではなくチームで仕事をするので、“皆で楽しい物ごとを作っている”ということを忘れない方に入ってきていただけるとうれしいです。
H:何かひとつにすごく注力してきた人や、好きなものに対する熱量が大きい人がいいと思います。エンタメ業界は華々しく見えますが、日々の地道な細かい業務の積み重ねで初めて大きな展開につながっていきます。そのため、自分の好きなモノ、コトに対して努力を惜しまない人や、目標に向かって突き詰められる人と一緒に働ければいいなと思います。
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
アニプレックスオフィシャルサイト
https://www.aniplex.co.jp/
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