『ソードアート・オンライン』スタッフ座談会PCバナー画像
『ソードアート・オンライン』スタッフ座談会SPバナー画像
連載Cocotame Series
story

アニメづくりへの情熱

『ソードアート・オンライン』チーム座談会――作品の可能性を引き出し、10年以上にわたり新しい魅力を供給し続ける秘訣

2024.02.02

  • Xでこのページをシェアする(新しいタブで開く)
  • Facebookでこのページをシェアする(新しいタブで開く)
  • LINEでこのページをシェアする(新しいタブで開く)
  • はてなブックマークでこのページをシェアする(新しいタブで開く)
  • Pocketでこのページをシェアする(新しいタブで開く)

2012年のアニメ放送開始から10年以上を経て、今もなお多くのファンに愛され続ける『ソードアート・オンライン(以下、SAO)』シリーズ。作品に携わるスタッフたちは、どのようなチームワークを発揮し、いかにして長期にわたるヒットを支えてきたのか? “継続”の秘訣を聞いた。

本記事は、アニプレックスのコーポレートサイトに掲載された「ANIPLEXストーリー」を再編集したものです。

  • アニプレックス丹羽将己プロフィール写真

    丹羽将己

    Niwa Masami

    アニプレックス

  • アニプレックス柿山大秋プロフィール写真

    柿山大秋

    Kakiyama Taishu

    アニプレックス

  • アニプレックス栃木淑人プロフィール写真

    栃木淑人

    Tochigi Yoshito 

    アニプレックス

SAOに出会うまでの道のりと、SAOチームでの仕事

――アニメ業界で働きたいと思ったきっかけと、アニプレックス(以下、ANX)を志望した理由を教えてください。

柿山:私はもともと別のアニメ関連の会社で働いていたのですが、それは学生のころから“エンタテインメント業界に入りたい”という目標が常にあったからでした。

実は、丹羽さんが担当していた『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』をはじめ、これまで多くのアニプレックス作品に魅了されてきたひとりでもあったので、「そんな作品を手がける会社でいつか働いてみたい!」と思っていました。そこでキャリア採用のタイミングでANXを受けたところ、ご縁をいただいて入社させていただきました。

栃木:私は新卒で入社したのがソニーグループ株式会社なのですが、実はそのきっかけになったのが『SAO』です。学生時代に『SAO』に衝撃を受けて、自分でも「VRを作りたい」と思い、商品企画としてソニーに入社しました。

残念ながら新卒でVRのチームには配属されなかったのですが、いつものように仕事をしていたある日、急に職場でアスナの声が聞こえてきました。最初は幻聴かと思ったのですが、ちょうど隣の部署で声優の戸松遥さんに収録していただいた声を元に、ボーカロイドのようなかたちでアスナにしゃべってもらうプロジェクトをやっていたんです。そのチームの方々に直談判し、通常業務に加えてセリフ案や演出案を作る業務などを担当させていただきました。

その経験のなかでやっぱりアニメ自体の仕事がしたいと思い、4年かけて少しずつつながりを作り、ANXに移ることができました。

丹羽:私は、新卒でソニーミュージックグループに入社したのですが、最初は音楽関連の部署に配属になって、アーティストの売り込みをする仕事に就きました。

ソニーミュージックグループはほかにもいろいろな会社があるので、CDなどの営業や、大阪にある営業所に赴任したこともあります。CDの営業をしているなかで、“アニメタイアップの曲が売れる”というのは営業に携わるなかでわかっていて、アニメ業界の市場規模が拡大してきているというのは肌で感じていました。

そんななか『魔法少女まどか☆マギカ』というアニメを見て、アニメがサブカルからメインカルチャーとなる道筋が見えたように思い、そこから異動の希望を出して今の部署に配属になりました。

真剣な表情で話すアニプレックス丹羽将己

――現在の仕事内容を教えてください。

丹羽:アニメの企画制作を10年以上に渡り行なっています。最初の5年は先輩についてアシスタントプロデューサーとして、以降は自身がプロデューサーとして携わっています。

この仕事で大切なことは、褒めることだと考えています。クリエイターでも、どんな仕事をしている人でもやっぱり褒められたらうれしいですよね。むしろ褒められないと拗ねます。あとは「どこを褒めていくか」も大事で、そのポイント次第で相手に信頼してもらえるかが決まると思うので。プロデューサーとして、どこをどう見るかというのは常に心がけています。

柿山:私は国内ライセンス部門でライセンス事業を担当しています。具体的には作品の商品化窓口担当として、キャンペーン、コラボ内容の精査、グッズやイラストなどの制作物の監修、新規営業、契約条件の交渉など、さまざまな調整業務を行なっています。

業務を進めるうえで意識していることは、“常にファンの皆さんと作品に寄り添うこと”です。“ファンの皆さんがどういうコラボやグッズを求めているのか?”、“作品のポテンシャルを一番発揮できるような取り組みとは何だろう?”と、いつも考えながら仕事に取り組むことを大切にしています。

栃木:自分は海外事業部門に所属しており、業務は大きくふたつあります。ひとつめは映像や商品化の権利を海外の企業へライセンスする業務です。ふたつめは海外のイベントに出展してステージを実施するなどの宣伝業務です。

地域としては、韓国、東南アジア、中東、インドを担当しています。海外展開で重要なのが、その国や地域の文化や習慣を知り、現地に受け入れてもらえるようにするローカライズです。やはり国や地域によって考え方やルールが全然違うので、丁寧に進めています。

和やかな雰囲気で会話するSAOスタッフ3名

“良い意味で自分勝手にやる”ことがファンを飽きさせないことにつながる

――テレビシリーズを中心に、映画、ゲームなど、さまざまなコンテンツで走り続ける『SAO』のアニメシリーズですが、作品に携わる皆さん自身“SAOチーム”とはどんなチームか? そして、継続の秘訣を教えてください。

栃木:SAOチームは、本当に作品が好きな人が集まっている度合い、純度が高いチームだと思います。丹羽さんの号令のもとにまとまりつつ、個々人のモチベーションもしっかり同じ方向を向いているチームだと思いますね。

柿山:皆さん優しいですし、すごく協力的だなと感じます。私はキャリア採用で入社したのですが、温かいチーム感で迎え入れてくれました。

丹羽:SAOチームは、社内でも「いいチームだよね」と言われています。作品をベースに、何かより面白いことをやってやろうみたいな気概がある人たちが集まっているから10年も継続しているのだと思います。“いい意味で自分勝手にやる”そういう精神が良い結果を生み出しています。

柿山:自分勝手にできる背景には、丹羽さんがちゃんと現場を見てくれているという安心感もありますね。

また、その自由さが10年以上にわたってファンの皆さんを飽きさせないことにつながっているのだと思います。

栃木:あとは長いシリーズだからこそ、定期的に国や地域ごとのファンの皆さんが『SAO』のために集まれる場を持つことが大切だと思っています。

放送されていない時期でも海外各地でイベントを実施するなど、作品を“好きだー!”という気持ちを表現できる場があると、ファンの皆さんの熱量もきっと上がると思うので、そういった機会を大事にしています。

新しい試みとしては、『ソードアート・オンライン -フルダイブ- 』のような声優さんによる朗読劇を含めたイベンドなどもより海外に展開していきたいですね。

丹羽:『SAO』は1年に1回新作があるくらいのペースを10年以上続けています。実はこのペースは普通ではあり得ないんです。

アニメは作るのに最低2、3年はかかるので常に仕込んでいないと無理です。アニメが1回放送されて10年経ったらどんな作品でも10周年ですが、『SAO』はずっと走り続け、常に新しい作品を届け続けてきての10周年なので濃度が全然違います。

実は2023年はアニメの新作がなかった久しぶりの年だったのですが、そのときもチームメンバーがいろいろな施策を仕込み、『SAO』を忘れられないように動いてくれました。

身振り手振りで話すアニプレックス柿山大秋

世界の果てまでアニメを広げ、未来に向けて走り続けたい

――『SAO』に携わって、仕事へのやりがいを感じる瞬間を教えてください。

栃木:海外のイベントで現地のファンの皆さんの盛り上がりを目にしたときです。2019年に丹羽さんとシンガポールで実施した『SAO』のイベントでの熱狂は強く心に残っています。

あとは作品の広がりを実感できたときです。最近だと、中東やインド、アフリカからのお問い合わせも増えてきています。日本のアニメイベントでも海外の人が増えているように感じられてうれしいですし、「チャンスだな」と思っています。

柿山:自分が担当した案件に触れたファンの皆さんの反応を見るときです。準備が大変であればあるほど、“このグッズ絶対買う!”、“コラボ楽しかった!”などのいい反応が返ってくると、救われた気持ちになります。

あとは、売り上げを上げることですね。数字としてもいい結果につながると、そういった側面でも作品へ貢献できているという実感があり、うれしく感じます。

丹羽:『SAO』の続編を発表したとき、ファンの皆さんから上がる歓声を聞くときが一番やっていて良かったと思う瞬間です。

当たり前ですが、その都度、プロジェクトが成功するかどうかによって、次が作れるかどうかが決まります。それで一番いいのは、作品を評価され、次を期待され、その声が大きくなって次につながるという、この幸せの連鎖が合成される瞬間、これがとんでもないエネルギーになります。

関わっている人間からすると一番の喜びだったりするので、これがやりがいです。逆にこれを知らないと、続けるのが難しいと思います。そして、SAOチームを経験した若手社員たちがどんどん育ってきていることもうれしく感じています。

身振り手振りで話すアニプレックス栃木淑人

――皆さんが目標とする夢、実現したい野望を教えてください。

栃木:ふたつありまして、まずひとつは、やっぱり世界の果てまでアニメを広げたいと考えています。もうひとつは、アニメが街中に溶け込んでいる景色を増やしていきたいです。東京の街を歩いているときにアニメとコラボした看板であふれた景色を見るととてもうれしいですし、この状況を海外でも増やしていきたいと思います。そのためには作品を見てくださる方を増やしつつ、現地のブランドとのタイアップなども整えていくことが大切なので、努力していきたいですね。

柿山:最近のアニメ市場では、他社を含め本当に多くの作品でグッズやコラボが展開されていて、飽和状態になりつつあるなと感じることがあります。そんななかでも、ファンの皆さんにもっと楽しんでいただけるような面白い取り組みを生み出し続けたいという気持ちがあります。

『SAO』でもファンの皆さんに喜んでいただけるように、これからもいろいろチャレンジしていきたいなと思っています。

丹羽:SAOでいうと10年、20年、30年と走り続けていきたいです。しかし、ただ生きながらえるのではなく何十年経っても打席に立ったら必ずヒットを打つ、そういう強い作品にしたいと考えています。

そのときに自分がどういう役割かはどうでもよくて、そこにつながる“今”というのをSAOチームで作っていけたら、それでいいかと思います。いつまでもファンの皆さんに期待してもらえる作品を作り続けたいですね。

 『ソードアート・オンライン』フライヤー画像

アニメ業界で活躍する武器は入社してからも調達可能!? 大切なのは作品愛

――最後に、新卒採用が始まるタイミングですが、ANXで働きたいという人に向けて、学生のうちに取り組んだらいいこと、こんな人と一緒に働きたい! というメッセージをお願いします。

栃木:好きな作品に没頭し続けることと、語学でも、説明力でも、何かひとつ自分の武器を磨くことをおすすめします。この“好き”というエネルギーと“武器”をかけ合わせると、できることが広がると思います。

私自身、グループの垣根を越えて『SAO』の仕事に取り組めるようになったのもこのおかげだと思っているので、ぜひ皆さんそれぞれの“好き”と“武器”を大事に育ててください。

柿山:アニメ業界で働き始めるともちろん楽しいことも多いのですが、ときには辛いこと、大変なこともあります。そして何より自分の時間を担当作品に費やすことも多くなるはずです。

そんなとき、前を向いて走るためには、その作品に寄り添いどれだけ自分の愛を注げるかが重要だと考えています。これから入社される皆さんが、そんな熱い気持ちを持っている方々だとうれしいなと思います。

丹羽:私は音楽の業界からなにも武器を持たずにアニメの世界に飛び込んだのですが、そんな現地調達タイプでもANXでは仕事ができます。

しかし、生半可な気持ちでは、周りの優秀で面白い人たちと肩を並べて仕事ができません。入社したからには本気でやる。でもその先に本気でやったからこそ楽しい瞬間がいくらでもあると思うので、そういうものを期待して武器を持っている人はそれを磨いて臨めばいいし、なくてもANXに入社してからいろいろな刺激があるので、自分なりに頑張るのもありだと思います。ぜひ一緒に、楽しい瞬間を共有できたらうれしいです。

笑顔で話すSAOスタッフ3名

©川原 礫/アスキー・メディアワークス/SAO Project

関連サイト

アニプレックスオフィシャルサイト
https://www.aniplex.co.jp/(新しいタブを開く)

連載アニメづくりへの情熱