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STAGE ~私たちの世界~

島太星インタビュー:ミュージカル『フランケンシュタイン』舞台成功に必要なのは、役への“飽くなき探求心”①

2025.04.09

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くったくのない笑顔と、独特の感性から放たれる“ちょっと天然”なキャラクター、一生懸命なトークで『ヒルナンデス!』や『呼び出し先生タナカ』などTVのバラエティ番組でも注目を集めてきた島太星。地元である北海道では、ボーイズグループ・NORD(ノール)のメンバーとしても活躍し、ソロアーティストとしての音楽活動も順調だ。

そんな彼が、4月10日より上演されるグランドミュージカル『フランケンシュタイン』で、アンリ・デュプレ/怪物役を加藤和樹とダブルキャストで務める。壮大な世界観と“人間とは、生命とは何か?”を問う骨太なテーマで人気を博し、再演を重ねている衝撃作に、メインキャストのひとりとして挑む島太星の今の想いを聞いた。

前編では、ミュージカルに対する想いや自身が演じる役について語る。

島太星プロフィール画像

島 太星 Shima Taisei

1998年1月29日生まれ。北海道出身。血液型A型。身長177cm。2015年、CREATIVE OFFICE CUEとソニー・ミュージックエンタテインメント(以下、SME)による北海道在住者限定オーディション番組『アオタガイ学園』で優秀賞を受賞。さまざまなエンタテインメントに挑戦するボーイズグループ・NORDの一員として2016年デビュー。グループだけでなく、ソロアーティストとしても活動の場を広げ、ミュージカル「ルーザーヴィル」「聲の形」「GIRLFRIEND」に出演するなど高い歌唱力が評価されている。4月10日開幕のミュージカル『フランケンシュタイン』にアンリ・デュプレ/怪物役として出演。

ミュージカル『フランケンシュタイン』

ミュージカル『フランケンシュタイン』キービジュアル

©製作:東宝/ホリプロ

原作は、ゴシックロマンの名著「フランケンシュタイン」。人類の“生命創造への飽くなき探求”と“愛と友情”をテーマに、大胆なストーリー解釈と流麗かつメロディアスな音楽で描かれたミュージカル。2017年に日本で初演され、メインキャスト全員がひとり2役を演じるというトリッキーな演劇的作劇に加え、壮大でスピード感あふれる衝撃の物語が大反響を呼び、2020年に再演。その後も熱狂的な支持を受け、2025年に再々演を果たす。4月10日開幕となる東京公演を皮切りに、愛知、茨城、兵庫と全国4カ所をめぐる。

【あらすじ】
物語の舞台は19世紀のヨーロッパ。科学者のビクター・フランケンシュタインが戦場でアンリ・デュプレの命を救ったことで、ふたりは固い友情で結ばれる。“生命創造”に挑むビクターに感銘を受けたアンリは、彼の研究を手伝っていたが、殺人事件に巻き込まれるというアクシデントが勃発。ビクターへの友情と愛の狭間にいたアンリは、ビクターを救うために無実の罪で命を落としてしまう。そしてビクターはアンリを生き返らせようとして、亡き骸に自らの研究の成果を注ぎ込むが、誕生したのはアンリの記憶を失った“怪物”だった。“怪物”は自らのおぞましい姿を恨み、ビクターに復讐を誓うのだが――。

記事の後編はこちら:島太星インタビュー:ミュージカル『フランケンシュタイン』舞台成功に必要なのは、役への“飽くなき探求心”➁

島太星にとってのミュージカルは……“戦場!”

島太星のキャリアのスタートは2015年。大泉洋や安田顕、戸次重幸らTEAM NACSも所属する北海道のマネジメントオフィスであるCREATIVE OFFICE CUEとSMEによる北海道在住者限定オーディション番組『アオタガイ学園』で優秀賞に選ばれ、さまざまなエンタテインメントに挑戦するボーイズグループ「NORD」の一員として2016年にデビューした。

その後は道内で多数のレギュラー番組を持つだけでなく、男女混合歌唱グループ「Love Harmony's, Inc.」のメンバーとしても活躍。また、ソロアーティストとしても精力的に活動の場を広げている。

さらには、アメリカのニューヨークで開催された『アポロシアター・アマチュアナイト』で絶賛された歌唱力をいかし、日本でも数々のミュージカル作品に出演。新進気鋭のミュージカル俳優としても注目されている。

左手を肘に当てこちらをみる島太星

「最初に出させていただいたミュージカルは、2022年、札幌を中心に活動している劇団千年王國の『ロミオとジュリエット』でした。ストレートプレイの舞台に出演することもありましたけど、僕、歌が好きで音楽ばかりやってきたから、お芝居はあまり得意ではなくて。でもミュージカルは、歌でもお客様に想いを届けることができるじゃないですか。だから興味を持ち続けてこられたというのは正直ありますね」

振り返ると、最初にミュージカルに出演したころは、勝手がわからず稽古でも苦労が多かったという。だが、初ミュージカル出演から3年を経た今は、歌と芝居が融合するミュージカルならではの醍醐味も感じられるようになってきたようだ。

「ミュージカルはまず“お得”だと思うんです! 普通のストレートプレイの舞台や映像作品だと、演じる人物の感情とか、たくさんのことをお芝居だけで伝えなきゃいけない。

でもミュージカルは、お芝居と音楽の両方でそれを伝えることができるので、演じるほうも“お得”だし、観ている人にとってもすごく伝わりやすいと思うんです。台詞だけでなく曲調が変わると、“ここはこの人がとても悲しんでいるシーンだ”とわかりますからね」

赤い椅子に座り、笑顔で話す島太星

歌手としての実力も折り紙つきの彼は、歌で感情を表現する力にも長けている。しかし、“歌だけ”では伝えきれないことを伝えることができるのも、ミュージカルの魅力のひとつだ。

「音楽のライブでは、この歌にはこういう背景があって、こんな想いを込めていて……というバックボーンを説明することはなかなか難しいですよね。でも、ミュージカルはお芝居が入ることによって、音楽の意味が伝わりやすくなり、役の心情も細かく伝えることができる。それがとても素敵だと思うんです」

そう楽しそうに、キラキラした瞳で話す島太星。だが、続く言葉ではグッと表情を引き締めた。

「そういうミュージカルの素晴らしさはとても感じていますが……まだまだ“心から楽しめる”レベルに僕は到達していません。今までのミュージカルでも、毎回、演出の方にご指摘を受けることばかり。もちろんそれが成長につながるので必死に頑張っているんですけど、もし自分が思い描いた通りに演じることができれば、“ミュージカルって本当に楽しい!”と言い切れると思います。

でも、まだひとりで全部を作り込める技術がないから、ビクビクしながらやっているところは正直あります。だからミュージカルは、僕にとっては“戦場”なんです」

2022年より始まった、島太星とミュージカルとの“戦い”。2023年には『大阪松竹座開場100周年記念 ミュージカル ルーザーヴィル』でマーヴィン・キャムデン役を演じ、『聲の形』では石田将也役として主演を務めた。2024年の『GIRLFRIEND』ではウィル役で主演し、ジャン役で出演したリーディング・ミュージカル『アンドレ・デジール 最後の作品』では朗読にも挑戦した。

毎年、ミュージカルの話題作への出演が続いているからこそ、厳しさを痛感している最中なのだと言う。

「ミュージカルへの出演が決まるたびに、めっちゃ不安にはなりますね(苦笑)。僕が一番“戦場”だと感じるのは、やっぱり稽古場。今までミュージカルをやらせていただくなかで、厳しい現場じゃなかったことは一度もありませんでした。僕にとっては、もう精神が削れるくらい、毎日“ここから逃げ出したい!”と思うくらい、ギリギリでやってきていて。

でも、その“戦場”での僕が、全部役に反映される。だからこそ自分も役に入り込めるし、稽古場での自分の想いを役の感情に投影できて、その人物が成立できるんだな、と思います」

『フランケンシュタイン』で2役を演じる難しさ

そんな進化の過程にいる島太星が、2025年に挑むのは、グランドミュージカルの人気作『フランケンシュタイン』だ。

これまでいく度も映像化、舞台化されてきた同名ゴシックロマン小説を、大胆なストーリー解釈と流麗な音楽でミュージカル化した本作は、2017年に日本初演。熱狂的な支持を集めたことで2020年に再演され、さらなるファンの熱い要望に応えるかたちで今回、再々演が実現する。4月10日~30日まで東京建物Brillia HALLで行なわれる東京公演を皮切りに、5月には愛知、茨城、兵庫でも上演される予定だ。

そんな『フランケンシュタイン』のオーディションに島太星が挑んだのは、2023年のことだった。

紺色の背景に赤いライトを浴びながらこちらを見つめる島太星

「夏ごろ、北海道でNORDのメンバーとレギュラー番組のアウトドアロケをしていたんです。そのときは焚き火を囲んで、キャンプファイアみたいなことをしていました。

そのロケのカメラが回っている最中に、マネージャーさんが僕に『話がある』と言ってきて。『え? どうしたんですか?』って聞いたら、『こんな大作ミュージカルのオーディションを受けないかと声がかかったんだよ』と! そこからもう、事務所(CREATIVE OFFICE CUE)も大騒ぎでしたね(笑)。しかも、先方からお話をいただくなんて! ということにも驚きました。ミュージカル作品に詳しくない僕でも、すごい話をいただいたんだというのはよくわかったので、オーディションもとても緊張しました」

そのオーディションで印象的だったのは、アンリ・デュプレ/怪物役の劇中歌を歌ったことだと島太星は言う。

「今も歌稽古でかなり苦労しているんですけど、僕にとってはとにかく難しい曲なんです。オーディション当時は、本当に“何がなんだかわからない”という状況でしたし、低音も全然出なくて、とにかくがむしゃらに歌っていました。

だからオーディションの出来ばえについては、本当に自信がなくて。でも、音楽監督補と歌唱指導をしてくれている福井(小百合)先生が、『大丈夫じゃない? もっと上手くなるから』と言ってくださって、合格をいただいたんです。それから1年間、福井先生がみっちり僕の歌を鍛えてくださいました」

歌の難しさもさることながら、彼が演じるアンリ・デュプレ/怪物という人物自体が難しい役どころだ。

このインタビューをしたのは、稽古の最中。まだ通し稽古が始まる前だったからこそ、島太星には役づくりにも大きな迷いがあった。

「周りの人からは、人間から人間じゃない姿に変わってしまった怪物を演じるのが、すごく難しくて大変そうだと言われるんですけど、台本をいただいて感じたのは……僕自身、アンリをしっかり演じられるのかという不安でした。

例えば、ビクターが研究していた“生命創造”について、アンリは最初、“それは神の領域に踏み込むことだから!”と止めるんですよね。それくらい真面目だし、広い視野を持っている。アンリだったら、ビクターを止めるために激しい言い方をするのではなく、あえて心を押し殺したような言い方をするんじゃないか? と想像はできました。

だけど、僕は今まで感情のままにがむしゃらにお芝居をすることが多かったから、それは通用しない。普段の僕でやると、かなり子どもっぽく見えてしまうだろうから、そこは不安でしたね」

アンリが怪物になってしまったあとも、演じるうえでの選択肢が島太星には与えられていた。

「怪物に関しても、考えなければならないことがたくさんあって。人間から冷たい仕打ちを受けるのは、自分を創り出したビクターのせいだと復讐心を燃やすんですけど、怪物として生まれたばかりの彼は、まるで赤ちゃんのようで、言葉も話すことができない。

そこからどんどん言葉がわかり、成長していきますが、果たして怪物のなかにアンリとしての記憶があるのかないのかは、演者に任されているところが大きいんです。何? そのムズい選択肢! って(苦笑)」

苦笑いで話す島太星

それを自分はどうするべきかを知るために、歴代の怪物役キャストの演技にも注目した。

「やっぱりほとんどの方が、怪物にアンリの記憶を入れているんですね。それがないと、単なる怪物の復讐劇になってしまう。僕も入れたいと思ったんですけど、そういう気持ちって、急に芽生えてくるものじゃないし。どこでアンリの記憶が目覚めたのか、どこから気持ちを入れたらいいのか。そういうポイントを考えれば考えるほど、本当に難しい役なんだなと実感しました」

島太星がアンリをどう演じるかは、この物語に通底するビクターとアンリの固い“友情”を描いていくうえで、大切なポイントになることは確かだ。このことは、上演に先駆けて行なわれた製作発表会で、本作の潤色/演出を担当する板垣恭一氏も語っていた。

「そうなんです。友情だけど、青春物語に出てくる若者同士の友情とはまた違った、大人の友情というか。でも板さんは、僕には若者ならではのパワーもあるから、それも楽しみだと言ってくださいました。

だから、実際に稽古を進めていくと、もしかしたら子どもっぽい情熱を持つアンリが正解になるかもしれないし、もっと精神年齢を高めにしてと言われるかもしれない。そこは僕自身も楽しみにしています」

後編では、共演する3名のキャストや役づくり、今後の展望について語る。

後編につづく

文・取材:阿部美香
撮影:干川 修

舞台情報

    • ミュージカル『フランケンシュタイン』キービジュアル

      ©製作:東宝/ホリプロ

  • ミュージカル『フランケンシュタイン』
    • 【公演日程】
    • 東京公演:4月10日(木)~4月30日(水)
    • 愛知公演:5月5日(月・祝)~5月6日(火・祝)
    • 茨城公演:5月10日(土)~5月11日(日)
    • 兵庫公演:5月17日(土)~5月21日(水)

 

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