番外編:や団×マネージャーが振り返る『キングオブコント』ファイナリストに至る道
2025.09.05


ソニー・ミュージックアーティスツ(以下、SMA)所属の芸人たちをフィーチャーする「芸人の笑像」、その番外編。活躍目覚ましい芸人とマネージャーのクロストークで、現在に至るまでの道のりを語る。
今回登場するのは、7月21日に第1回大会が放送される『アサヒビール スマドリ ダブルインパクト 漫才&コント二刀流No.1決定戦(以下、ダブルインパクト)』のファイナリスト、スタミナパン。後編では、現時点でのふたりのリアルな姿や『ダブルインパクト』決勝への意気込みを聞いた。
目次

スタミナパン
Sutaminapan
(写真左より)麻婆/1989年7月20日生まれ。神奈川県出身。身長169㎝。体重115㎏。トシダタカヒデ/1989年6月7日生まれ。千葉県出身。身長178㎝。体重58㎏。

田上洋平
Tagami Yohei
ソニー・ミュージックアーティスツ
記事の前編はこちら:番外編:スタミナパン×マネージャーが語る『ダブルインパクト』決勝への道①
――この2、3年で、賞レースで結果を出すだけでなく、テレビやラジオへの出演も増えたと思いますが、売れてきた実感や、私生活での変化はありますか?
麻婆:家賃3万9,000円の部屋から、もっといいところに引っ越ししました、つい最近。でもまだまだギリギリの生活ですけどね(苦笑)。
トシダ:僕もずいぶん変わりましたよ。腹が減ったら我慢せずに飯を食ってよくなりました。コンビニで値段を見ずに、おにぎりが買える!
麻婆:でもトシダさん、ビニール傘だけは買わないんですよね。
トシダ:それは絶対買わない! もったいない!
――(笑)後輩におごったりは?
トシダ:ひとりなら。ふたり以上はまだ無理です(笑)。まだまだそこまでは行けてないですかね。やりたいですけどね、(錦鯉・渡辺)隆さんみたいに一緒に飲んでタクシー代をポンと渡すとか。
そういえばこの間、今年の『M-1グランプリ』の記者会見に呼んでもらったんですけど、その楽屋で松井ケムリ(令和ロマン)に子どもが生まれたお祝いに、目の前で真空ジェシカの川北(茂澄)が、「おめでとう!」って言ってお札をぱっと渡したんですけど……その流れに俺ら参加しませんでしたから。
麻婆:見て見ぬフリを。100円だったら僕らも続けたんですけど。
トシダ:あれは完全に川北が悪いです!
麻婆:ただ、ちょっと売れてきたかな? と思えるのは……街で顔を指されることが増えましたね。「ラジオ聞いてます」とか、「頑張ってください」と応援の言葉もいただくので。
トシダ:お前は、見た目がわかりやすいからいいよな。俺は全然なんだけど!(笑)
田上:仕事のオファーも変わってきましたね。今まではSMAの誰かと一緒に、っていうことが多かったんですけど、スタミナパンをメインでライブをやりたいとか、営業のオファーもずいぶん増えましたね。
トシダ:ありがたい!
田上:SMAの芸人は苦労人が多いので、売れても生活態度はそんなに変わらない気がします。
――ネタでいうと、『M-1』の準決勝進出、敗者復活戦での活躍をきっかけに漫才の比重が増えたスタミナパンですが、賞レースに対する考え方も変化してきていますか?
麻婆:ないとは言えないですね。例えば……今年は『キングオブコント』に出ませんし。やっぱり漫才のほうが順調なので、『M-1』に向けて漫才ネタを作らなくちゃいけないなと。ありがたいことに、漫才に期待していただいているっぽいし。何か言ってもらえているうちに、『M-1』の決勝には行かないとなって思ってます。
――敗者復活戦効果もあると思いますが、スタミナパンを最初から漫才コンビだと認識している人も増えているでしょうしね。
麻婆:コントをやる機会が減ったぶん、そっちで新しいネタができてないっていうのもあるので。
トシダ:ほんと『キングオブコント』に関しては、「俺たちは出ない!」というよりは、“ほんとに今年は出れないなぁ”って感じなんですよ。ちゃんと戦えるネタがあれば出るんですけど、ちょっと戦えなさそうなので。だから積極的に出ないんじゃなくて、諦めたというのが近いですかね。そのぶん『M-1』で頑張ろうと。
――両立は難しいものですか?
麻婆:両方で満足できるネタを……というのはやっぱり難しいですね。逆だったらできるのかな?
トシダ:いや、漫才メインでコントも……というのでも、そうそうできないと思うなぁ。
――そんななか、今回コントと漫才の両方で競い合う『ダブルインパクト』の決勝に勝ち進みました。今回が第1回で未知の大会ですが、勝機を感じての出場ではなかった?
トシダ:そういう感じでもなかったんです。
麻婆:コントをやってきていて、今は漫才をやってるから、じゃあ出なきゃね、みたいな。
トシダ:コントのストックもあるから、出れなくないなと。
田上:マネジメント的にも、今の賞レース戦国時代はそもそも大変なんですよね。『M-1』と『キングオブコント』はもうおなじみになりましたけど、特に春から秋にかけては数が多いですし、予選大会も重複する。しかも『ダブルインパクト』のように今年新しく始まるものもある。
新しい賞レースも、2年前、3年前から予告があって、皆さん準備してください! だったらいいんですけど、そんなことはなくて。この時期からエントリー始まりますって、いきなりスタートするんですよ。
トシダ:そうなんですよね~。
田上:今回の『ダブルインパクト』も、幸いスタミナパンはコントも漫才も経験しているから出られましたけど、いきなり言われて両方用意ができてる芸人なんて、まぁいない。それでも、売れるため、結果を残すためにチャレンジし続けなければならないというのが、この世界の現実ですよね。
そのなかで彼らは、まずは『ダブルインパクト』で今まで蓄えたものを出し、今年は『キングオブコント』ではなく、結果が出てきつつある漫才で『M-1』に賭けようと腹をくくる気持ちがもうちゃんと整っているので、ある意味、安心はしてます。
麻婆:僕らも2015年からずっと『M-1』には出てきたんですけど、毎年、「今年はどうする?」って話をするんですよ。でも今年は『キングオブコント』は諦めて、『M-1』で行こうとすごくすんなり決まったんで、良かったです。
トシダ:うんうん。やっぱりね、賞レースってホントに消耗するので、本音を言うと、出ないで済むなら出たくない(苦笑)。
麻婆:ただ『キングオブコント』は去年まで4年連続で準々決勝まで進めていて、長く僕らのコントを見てもらってきた大会なので、ちょっと申し訳ない気持ちはありますけど……。
トシダ:麻婆と組んでから初めてなんですよ、『キングオブコント』に出ないのは。今年は見るだけなので……めっちゃイイです(笑)。
――そんな大胆な決断もありつつ、念願の賞レースファイナリストとなった『ダブルインパクト』ですが、いよいよ決勝大会です。正直なところ、決勝に残れる自信はありました?
トシダ・麻婆:……(顔をしかめて首をひねる)。
――そんな微妙な表情を(笑)。
麻婆:意外でしたよね(苦笑)。
トシダ:『ダブルインパクト』は、コントと漫才の順番を自分たちで決めてできるので、予選から僕らは先に漫才をやってからコントをやってて、ずっとコントのほうがウケてたんです。でも準決勝では、そのコントの手応えがそんなになかったので、決勝に行けるとは思わなかったんですよね。
田上:……とトシダは言いますけど、僕はその準決勝のコントが、テレビで見るネタとしては最高到達点の笑いだと思ったんですよ。久々にやるネタだったから、本人たちも新鮮にできたのかもしれないし、キャリアを積んで見せ方や技術が上がったのかもしれない。でもふたりが思ってる以上に、良かったです。
トシダ:『ダブルインパクト』も、ほかの賞レース同様裏でメイキング的なカメラが回っていて、僕はコントの出番が終わった瞬間に、「どうでした?」って聞かれて「いや、全然ダメでした」って答えてましたからね。
その当日、決勝進出者の結果発表があったんですが、待っている間、隣にいたTCクラクションの(古家)曇天さんも「めちゃくちゃ良かったよ」と言ってくれて。でも俺は「いや、(決勝は)ないっすよ」って答えてたんで、名前を呼ばれたときはめちゃめちゃリアクションがヘンな感じになりました(笑)。
麻婆:しかもその発表のとき、名前を呼ばれたのが僕ら一番最後だったんですよね。“これはもうないだろうな”と諦めていたから、僕はめちゃめちゃうれしかったですけど、トシダさんは微妙な顔で(笑)。
田上:僕は、可能性あるなと思ってましたよ。ただでさえコントも漫才もやれるコンビはそう多いわけではないから、ファイナルの発表では、これはとんでもないことをやってくれたな! と思ってました。
トシダ:そう! そこはちゃんと評価されたいですね。
田上:でもほんと、ふたりとも発表後はもぬけの殻みたいになっていて。そのあとで取材もあるし、配信の記者会見もあるしと段取りを説明するんですけど、全然聞いてなくて。
トシダ:心の準備ができてないんで、全然わかんないんですよ。もうダメだと思った段階で、家まで誰か送ってくれるかな? とか、誰と飲もうかな? ということばっか考えてたんで。自分では内容に納得いってなかったから。
ただ、僕らは、コントと漫才のどっちかが良くてどっちかがイマイチというのではなく、どっちもいい感じで、90点/90点で平均が取れてた。そういう合格の仕方なんだなと勝手に自分のなかに落とし込んだんです。なので、今はもう納得して、決勝頑張ろう! という前向きな気持ちで挑めます。
麻婆:良かったですよ、そうなってくれて。
――ファイナリスト発表から決勝大会まで約1カ月ありましたが、その間はどう過ごしましたか?
トシダ:それ、僕らも全然わからなくて。ずっと言ってたもんな、「ファイナリストって何すればいいの?」って。
麻婆:決勝のネタを決めて、調整して……なのかな? みたいな(苦笑)。ぶっちゃけ僕、決勝大会の前日が誕生日なんで、どう過ごせばいいんだろう? と。翌日のことを考えたら、パーティーやってる場合でもなさそうだし。
トシダ:起きれなかったら大変だからな!
麻婆:ホント、どうしたらいいかわかんないというのが、今ですね。
トシダ:やるネタもね、悩み中です。コントは決まってるんですけど、漫才をどれにしようかと。もう終わりましたけど『ツギクル芸人グランプリ2025』の決勝でやるネタも必要だったし、先々『M-1』でやるネタも同じとはいかない。そっちにどれを回すかもあるし、コントと漫才の順番もまだ選べる。どっちを先にやるかで戦略も変わってくるので……。
麻婆:ほかの賞レースにはない悩みがありますね。なんせ第1回大会だし、相談できる先輩もいないんですよ。
田上:その辺りは、3人でもいろいろ話しているんですけど。この悩みを共有しているのが、日本中で決勝に残ったわずか7組だけというのも、すごいことで。まさに先駆者なので、SMAとしてもぜひ頑張ってほしいですね。
トシダ:隆さんやや団の本間(キッド)さんも、「おめでとう」と言ってくれましたしね。
麻婆:ファイナリスト7組のなかで、僕らが一番後輩なんですよ。だから先輩の胸を借りるつもりで出ていけるのは、ちょっと気持ちが楽かもしれないですね。
――まずは『ダブルインパクト』での優勝が、おふたりの目標になりますね。
トシダ:そうですね。まずはそこで頑張って。それが終われば『M-1』の予選が始まるので、今までよりいい成績を残せるようにというのが、一番の目標ですかね。
もちろん『ダブルインパクト』のように、『M-1』でも決勝には行かなきゃいけないというのはありますけど、僕らは漫才で優勝しない限り未来はないというタイプでもないので、活動の仕方を大きく変えるっていうことはない。やってることは、実際、あまり変わってはいないんですよ。変わらずやってたら結果がついてきたというラッキーな面もたくさんあるので。
田上:『ダブルインパクト』の結果にも期待していますが、とにかくスタミナパンがこうしてどんどん上がっていくのが、僕はすごく楽しみで。売れっ子の条件のひとつだと思うのが、ウケようがスベろうが、周りに愛されること。その雰囲気がこのふたりにはあると思うので、これからにも期待してます。
麻婆:時代が追いついてきた! って感じですかね!(笑)
記事の前編はこちら:番外編:スタミナパン×マネージャーが語る『ダブルインパクト』決勝への道①
文・取材:阿部美香
撮影:遠藤勇司

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