乃木坂46 アジア進出を支えるスタッフが語る”台湾単独ライブ”までの道のり
2019.04.25
ソニー・ミュージックエンタテインメント
日本ではダウンロード数が600万人突破している(2019年3月時点)モバイルゲーム『乃木恋〜坂道の下で、あの日僕は恋をした〜』(以下、『乃木恋』)の繁体字版『乃木恋~那天在坂道下,我墜入了情網~』が昨年11月から台湾・香港・マカオでもリリースされ、乃木坂46のアジア進出を後押ししている。
特集第3回では、繁体字版『乃木恋』の台湾での運営を行なうSo-net Entertainment Taiwan Limited. (以下So-net台湾)のProducer/Manager/Game Business Divisionのアディ チェン氏にインタビュー。リリース後すぐさま人気を呼んだ繁体字版『乃木恋』が誕生したいきさつと今後の展望について聞いた。
目次
アディ チェン氏
Adi Chen
So-net台湾
「私立乃木坂学園 芸能科」唯一の男子生徒として、乃木坂46のメンバーと学園生活を送る恋愛シミュレーションゲーム。“推しメン”を登録して親密度を上げ、ゲーム内イベントで上位100位に入ると、“彼氏”の称号がもらえ、リアルイベントへの参加権が得られる。
『乃木恋〜坂道の下で、あの日僕は恋をした〜』日本語版公式サイトはこちら
――So-net台湾がゲーム事業を始めたのはいつ頃からなのでしょうか。
アディ:約5年前からゲーム事業に取り組み、最初は中国系のゲームクライアント(PC用オンラインゲーム)やPCゲームを展開していました。しかし、So-netが日系の会社ということもあって、日本で実績を上げているゲームをローカライズして台湾、香港、マカオでパブリッシングしていこうということになったのです。最初はゲームクライアントからのスタートでしたが、徐々にモバイルゲームへとシフトしてきています。
――台湾ではPCゲームやPlayStation®などの家庭用ゲームだけでなく、モバイルゲームも普及しつつあるということでしょうか。
アディ:PCゲームは台湾ではネットカフェがリーズナブルということもあり気軽に遊べるので、中高生に人気を呼んでいました。また、家庭用ゲームは、ゲーム機自体が高価ということもあってコアなゲームユーザーが中心の市場です。その上で、オンラインゲームは普及していましたので、モバイルへのシフトは自然な流れでもあったんです。
例えば最近ですと、韓国の人気オンラインゲーム『リネージュ』がモバイル版としてリリースされました。当時『リネージュ』にハマって遊んでいたけれど、お金がなかったので課金できなかった中高生が、今は大人になってモバイル機器で懐かしみながら、課金もしつつ遊んでいます。
――ほかの国で人気のゲームを台湾でモバイルゲームにするというのは文化的な違いも含めて、ローカライズが大変なのではないでしょうか。
アディ:そうなんです、だから文化の違いによる表現には非常に気を使っています。今回の『乃木恋』の場合ですと、彼女たちのかわいさを伝えるために単にメンバーごとに語尾に何かを付けたり、口癖を入れて翻訳するのは簡単なことですが、それだけではかわいさが伝わりません。どうやって台湾や中華圏の今風の表現に翻訳するかで頭を悩ませました。
乃木坂46のメンバーが台湾のネイティブのように話すとしたら、こういう風に話すんだろうなという想像を繰り返し、これならファンに違和感なく伝えられると自信を持って送り出せるまで、かなり試行錯誤しました。そのニュアンスを正しく伝えられないとメンバーの魅力も伝わらない。それぞれの個性をきちんと引き出すことが最重要でした。
――制作期間もかかったのではないでしょうか。
アディ:やはり翻訳に最も時間がかかりましたね。通常のローカライズだと1カ月半ぐらいで完成するのですが、繁体字版『乃木恋』は3カ月かかりました。やはりそれだけ、言葉のニュアンスが大切だったんです。
――台湾では「乃木恋」に代表されるような恋愛シミュレーションゲームはポピュラーなのでしょうか?
アディ:そんなにメジャーなジャンルではありません。まず台湾、香港、マカオで流行ったのは二次元の乙女ゲームでした。でも、遊んでいるのは一部のコアユーザーで、マーケット自体は大きくはありません。対して、『乃木恋』は疑似恋愛の対象が実際に存在するメンバーですので、すごく新鮮に感じられたようです。だから幅広いユーザー層に支持されて、これだけの盛り上がりを見せているんだと感じます。
そもそも日本のアイドルが台湾に来るということが自体がレアで、今回のように、乃木坂46が台湾でライブを行なって、本格的に活動をするというのは、日本のアイドルグループとしては初めてのことです。繁体字版『乃木恋』のリリース発表も台湾の漫画博覧会で行なわれたのですが、このときも秋元真夏さん、齋藤飛鳥さん、松村沙友理さんが来台して、ファンに対して生の声で伝えてくれました。ここ数年、台湾と日本の友好関係がより深まっているなかでの台湾進出なので、すごく良いスタートが切れたと思います。
――繁体字版『乃木恋』にはパズルゲームの要素が加わっていますね。
アディ:そうなんです。繁体字版『乃木恋』ではメンバーたちのカードを集めるだけではなく、メンバーたちと一緒にゲームをクリアするということがユーザーの一体感につながると考え、パズルゲームの要素を加えたんです。何かを成し遂げて、もっとメンバーと仲良くなるという感覚を体験してもらいたかったんです。
――ユーザーの反応はいかがでしたか?
アディ:台湾のユーザーは何かあったらすぐにSNSで反応したり、カスタマーサービスに声を届けます。繁体字版『乃木恋』がローンチしたときも、すぐさまリアクションがありましたね。いちばん多かったのは「乃木坂46が好きなんだけど、彼女たちが話している日本語が理解できなかった。でも、繁体字版が出て、こういうことを話していたんだと、自分の推しメンに少し近づけた気がした」という喜ぶ声でした。
繁体字版を出す際の苦労が一気に報われた瞬間でしたね。予想以上の手応えを得られましたので、今後はソニーミュージックと一緒に何をしていくか、何をすれば台湾のファンがさらに喜んでくるのかということにフォーカスして動いていきたいと考えています。
――今後、乃木坂46とどんなことをしてみたいですか?
アディ:できるかどうかは分かりませんが、日本で行なわれているリアルイベントをぜひ台湾だけでなく、香港、マカオでも開催していきたいですね。繁体字版『乃木恋』ユーザーのためにも実現に向けて頑張っていきたいと思います。ユーザーがいちばん望んでいることでもありますので。その先にあるアジアだけのオリジナルのイベント開催も視野に入れて、積極的に運営していきたいと思います。
日本のアーティストがアジアで活動する際に欠かせない要素とされるのが、現地の言葉を話してファンと直接コミュニケーションすること。1月に行なわれた乃木坂46の初となる台湾公演は、待ち望んでいたファンにとって最高の機会となった。そして、メンバーたちが生の声で話す繁体字版『乃木恋』は、日本にいる乃木坂46とファンの距離を縮める役割も果たしている。乃木坂46が次に台湾を訪れるまで、彼女たちとファンは『乃木恋』を通してつながっているのだ。
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