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いきものがかりインタビュー:バラバラになった一人ひとりを繋いでゆく力

2020.09.16

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いま、私たちにできること――。

連載「Action」では、社会が急速に変わりゆくなか、ソニーミュージックグループをはじめ、エンタテインメント業界の新たな試みに注目。“必要至急”とは言えないかもしれないが、どんなときでも人々に寄り添い、心を潤すエンタテインメントの未来を追いかけていく。

連載第9回は、コロナ禍で結成20周年を迎えたいきものがかりへのインタビュー。ツアー中止を余儀なくされるなかで見つけた新たな心持ちと見つめる先は。リーダー・水野良樹、吉岡聖恵、山下穂尊の3人が語る。

  • 水野良樹

    Mizuno Yoshiki

    ギター/リーダー

    1982年12月17日生まれ。神奈川県出身。

  • 吉岡聖恵

    Yoshioka Kiyoe

    ボーカル

    1984年2月29日生まれ。神奈川県出身。

  • 山下穂尊

    Yamashita Hotaka

    ギター&ハーモニカ

    1982年8月27日生まれ。神奈川県出身。

ツアー中止で考えた、じゃあ自分たちに何ができるのか

――今年、結成20周年を迎えたいきものがかりですが、皆さんもコロナ禍でさまざまな思いを巡らせたのではないですか?

水野:2020年はいきものがかりにとって、今までとは異なる環境のなかでいくつかの大きな出来事が動く年だったんです。これまでお世話になった事務所から独立して、4月に自分たちで新しい事務所“MOAI”を立ち上げました。

当初は春から約5年ぶりの全国ツアーがスタートする予定だったので、3人が中心になって動かしていく新しい体制のなかで、良い緊張感がありました。ちょうどそのころに新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ツアーができるのかできないのかという判断をしなくてはならず、さらに緊張感のある、慌ただしい日々になっていきました。

吉岡:新しい体制に順応すべく、オンライン上で伝達や確認をし合いながらいろんなことを決めていくことができていたので、メンバーやスタッフとのコミュニケーションは頻繁に取れていましたね。

ただ、ツアーが中止になってしまったことは私たちも残念ですし、楽しみにしていてくださった皆さんに寂しい思いをさせてしまったなという思いしかないです。

山下:いよいよツアーができなくなるんじゃないかという状況になったときに考えたのは、じゃあ自分たちに何ができるのか、と。それからはまず、それぞれができることをやろうという方向に自然と向かっていましたね。

吉岡:例えば、ほっち(山下穂尊)はインスタグラムを始めたし、私はYouTubeに“吉岡聖恵の毎日はどうよう日~家族で歌おう!~”という公式チャンネルを開設しました。

――“毎日はどうよう日”では、吉岡さんが子供のころから慣れ親しんできた童謡や唱歌を紹介していますね。

吉岡:以前から温めていた内容ではあったんですけど、やるなら今しかない! と思って、新しいプロジェクトとしてスタートさせました。

山下:僕もインスタはもともとやろうとは思っていて。去年の暮れぐらいから構想はあったんですが、始めるのであれば今だろう、と。

水野:もともと決まっていたこと、やるつもりでいたことが、いきものがかりを応援してくださる方たちと今のいきものがかりを繋いでくれる、必要不可欠なものになっていきましたね。

吉岡:ステイホームで家にいる時間が長くなったので、もともと期間限定でやっていたインスタもまたやり始めました。そこには“♯きよえ軒”っていうハッシュタグをつけて、料理の写真を上げたりしています。

山下:個人的なことですけど、僕はステイホーム中に物がいっぱいになってた部屋の片づけや掃除をしまくって、断捨離をしました(笑)。そういうこともツアーをやっていたら絶対にできなかった。

水野:リモートでやりとりをしていると、山下の部屋がどんどんきれいになっていくのがわかりましたね(笑)。

吉岡:ツアーでみんなに会いに行きたいけど、今はそれができない。もどかしい気持ちはあるけれど、それでも自分たちが何かしらアクションを起こすとすぐに皆さんからリアクションが返ってくることで、今も繋がっているんだなって思えて。

ツアーがなくなったことは残念ですけど、前向きな気持ちを持ちながら、自分たちで何かやれることがあるはず! できることをやりたい! 頑張らなきゃ! っていう力が自然と湧いてきました。

新しい技術を新しいこととして見せるグループではない

――SNSで話題になった4コマ漫画『100日後に死ぬワニ』とのコラボムービーのテーマソング「生きる」が4月に配信リリースされ、8月2日にはコラボ企画のひとつとして、Volumetric Capture(以下、ボリュメトリック・キャプチャ)技術を使用したライブ“いきものがかり Volumetric Live~生きる~”が、いきものがかり公式YouTubeチャンネルとFIREBUGのTwitter公式アカウントで生配信されました。ボリュメトリック・キャプチャ技術を使用した撮影現場を体験されてみていかがでしたか?

水野:スタジオのなかにいる僕らを取り囲むように何十台ものカメラが設置されていたので、これまで見たことがない景色と言いますか。とても不思議な空間でしたね。

吉岡:まるで円柱のなかに入っているような感じでした。3人以外誰もいないなかで歌うのは初めてでしたし、とてもワクワクしました。

山下:スタジオにいる僕ら3人を360度全方位から撮影したものをデータ化して、高画質の3D映像にできるなんて、すさまじいほどの情報処理能力なんだなって思いましたね。ちょうど10年前に「ありがとう」の3Dミュージックビデオを作ったんですけど、10年ちょっとでここまで進化したんだなって。

水野:
本番の1週間前くらいにリハーサルをしたときは、衣装が映像のなかで欠けてしまったり、僕らの動きが速すぎるとバグが起きたりしていたんです。スタッフさんたちは本番直前まで修正されてましたね。カメラ位置をミリ単位で調整されているとのことで、当日は「カメラには絶対に触らないでください」と言われました(笑)。
 

――ボリュメトリック・キャプチャもそうですが、いきものがかりはこれまでもライブ演出などに最新技術を積極的に取り入れています。例えば、2011年に横浜スタジアムで開催した「いきものまつり2011 どなたサマーも楽しみまSHOW!!!」では、当時はまだ珍しかったプロジェクション・マッピングを使っていましたし、その後もニンジャーライトやフリフラを使った演出などをいち早く見せています。

いきものがかりと最新テクノロジーとの組み合わせを意外に感じる方も多いのではないかと思うのですが、皆さん自身はどう感じていますか?

水野:以前スタッフと、「新しい技術がどんどん出てきているけど、いきものがかりはその新しい技術を新しいこととして見せるグループではないと思う」と話したことがあって。つまりそれは、いきものがかりは新しいものを“普通”にする能力が高いグループなんじゃないかっていうことだと思うんです。 

吉岡:中和するっていうこと?

水野:中和というよりも、一般化されるというか。“新しい普通”として皆さんに届けることができるグループなんじゃないかな。ボリュメトリック・キャプチャも、尖ったバンドや若いグループが使うと、僕らが使ったときとはまったく異なる印象になると思うんですよね。

今回『100日後に死ぬワニ』という二次元のものといきものがかりが融合して見せることによって、いろんな世代の方に楽しんでもらえる“新しい普通”になったんじゃないかと思っています。

山下:今まで見たことのない新しいもの、体験したことのない世界観なのに、前衛的なものを体験しているというよりは、ナチュラルに受け止められるし、良い意味で普通に見てもらえる。

吉岡:そこがいきものがかりというグループの面白さなんでしょうね。ほっこりしてなんだか安心して見ていられるというか。

水野:自分たちが体験してみて、いきものがかりが使うとこういう世界観になるけど、ほかの方たち、違う分野の方たちが使うとどんな見せ方ができて、どんな印象になるんだろうと思いました。今後、ボリュメトリック・キャプチャはさまざまな分野に広がっていくだろうなと感じましたね。

歌詞に込めた“一人ひとりが頑張れ”というメッセージ

――8月31日には、ドラマ『未解決の女 警視庁文書捜査官』の主題歌「きらきらにひかる」が配信されました。

配信シングル「きらきらにひかる」

水野:ドラマの制作サイドからドラマのテーマをお聞きした上で、コロナ禍というこれまで体験したことがない世のなかの状況というものを意識して書き下ろしました。

山下:シングル曲では、久しぶりにマイナーな曲調です。

水野:自粛期間中、リモートでのやりとりが当たり前になってくると、一人ひとりがバラバラの状態にも慣れ始めて、本当は誰かに甘えたい、本当は助けを求めたいということが言いづらくなっていたと思うんですよね。

ただ、今は一人ひとりバラバラだけど、思いや気持ちは共有できている。それが希望になるのかなと思うので、世のなかと繋がる曲を書かなきゃなって。“一人ひとりが頑張れ”というようなメッセージを歌詞のなかに入れました。

吉岡:私はそういうことをリーダーからまったく聞かずに歌ったんですけどね(笑)。

山下:だいたいいつも後から知るよね。

吉岡:「生きる」も「きらきらにひかる」も今の世のなかの雰囲気にしっかり合っていると思いました。「きらきらにひかる」の歌詞にある、“離れているからこそ“という思いが、私のなかにもスッと入ってきましたね。

――「きらきらにひかる」のMVにはドラマで主演されている女優の波瑠さんが出演されていますね。

水野:波瑠さんに出ていただけるなんて、とてもありがたいことだなって。なんでもないような表情のなかにストーリーや心情の変化が感じられて、女優さんってホントにすごいな、素晴らしいなと思いました。

山下:光と影の対比も映像の色合いも、今までのいきものがかりにはなかったような映像になりましたね。歌っている吉岡の表情もあえて照明を当てずに隠しているんですよ。

――その「きらきらにひかる」のリリースを記念して、オンラインで“♯いきもの文化祭”が開催されていますが、どんな内容なのか改めて教えてください。

水野:僕らから発信するだけではなく、皆さんにも参加してもらえるようなものってなんだろうというところから、いきものがかりの楽曲を使って楽しく遊んでもらえたらと思って、企画しました。

山下:コロナ禍で文化祭や体育祭が中止になってしまった学校が多いと聞いたので、デジタルではあるけれど、みんなが楽しく参加できる場になってくれたらいいな、と。

水野:“♯歌ってみたステージ”“♯踊ってみたステージ”“♯作ってみたステージ”など、いきものがかりの楽曲を使った、いろんな形での二次創作を募集しています。

吉岡:以前からいきものがかりの歌を歌ってくださったり、踊ってくださったりしている方にも、ぜひ参加してほしいです!

水野:さらに小説投稿サイト「monogatary.com」のコンテスト“モノコン”では「きらきらにひかる」をモチーフにした小説も募集しているので、応募作品を読むのが楽しみです。

いきものがかりの配信ライブは“テレビ的”

――新しい日常のなかで新しいアイデアをいくつも実現させているいきものがかりですが、9月19日には、デジタルフェス「いきものがかり結成20周年・BSフジ開局20周年記念 BSいきものがかり DIGITAL FES 2020 結成20周年だよ!!~リモートでモットお祝いしま SHOW!!!~」を開催します。

水野:春の全国ツアー全公演延期につづき、9月19日からスタートするはずだったアリーナツアーも全公演中止になってしまって。今は直接会いには行けないけれど、応援してくれるファンの皆さんへの感謝の気持ちをどうやったら伝えることができるだろうという思いを、デジタル配信ではありますが、フェスという形で届けられたら、と。

吉岡:アリーナツアーができない寂しさを十分に受け止めつつ、いきものがかりが結成20周年を迎えることができたことを、皆さんと一緒にお祝いできたらいいなって。寂しくはあるけれども気持ち的には良い方向に向かえているのかなって思っているので、今の自分たちの感じを歌や演奏でお届けしたいです。

水野:既に配信ライブでいろんなアーティストがいろんな取り組みをやっていらっしゃいますが、いきものがかりは非常にテレビ的と言いますか(笑)。自分たちらしい配信ライブになると思います。

吉岡:いきものがかりのライブやトーク以外にも、森山直太朗さん、緑黄色社会さん、どぶろっくさん、Mr.シャチホコさんがゲストで参加してくださるので、コラボもあるかも……。

水野:4時間という長丁場の配信は初めての体験ですけど、音楽あり、お笑いあり、トークありの盛りだくさんの内容になるので、肩肘張らずに見ていただけたらうれしいですね。

山下:お仕事や家庭の事情などで、普段はライブになかなか足を運べない方も、配信なら見ていただけるかもしれないですしね。

水野:今は一人ひとりが当事者で、仕事のやり方や生活が変わったりして、先が見えない大変な世のなかではあるけれど、こんなに皆さんと状況を共有できることってないと思うんです。自分たちも当事者として、自分たちにできることで皆さんと繋がれたらという思いがあるから、いろいろなことに前向きになれている気がします。

吉岡:こうして立ち止まらずに進んでいけているのは、本当にありがたいことだなと思いますね。

文・取材:松浦靖恵
撮影:干川 修

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