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連載Cocotame Series

エンタメビジネスのタネ

クリエイターとの出会いを求めて――3社が共同で取り組むプロジェクト『カクカタチ』【後編】

2021.09.09

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最初は小さなタネが、やがて大樹に育つ――。新たなエンタテインメントビジネスに挑戦する人たちにスポットを当てる連載企画「エンタメビジネスのタネ」。

今回は、“書く”を“カタチ”にするプロジェクト『カクカタチ』をクローズアップ。次世代のクリエイターとの出会い、そしてさらなる展開を目指すこのプロジェクト。その手法と狙いとは。『カクカタチ』を共同で立ち上げ、運営する、ソニー・ミュージックエンタテインメント(以下、SME)の佐藤友佳子、noteの荒木俊雅氏、TikTokの柿澤萬純氏の3者に聞く。

後編では、投稿コンテスト「#2000字のドラマ」に求めるもの、そして『カクカタチ』の今後の展望を語る。

  • 佐藤友佳子

    Sato Yukako

    ソニー・ミュージックエンタテインメント
    RED

  • 荒木俊雅氏

    Araki Toshimasa

    note

  • 柿澤萬純氏

    Kakizawa Masumi

    TikTok

『カクカタチ』

 
次世代クリエイターの発掘を目的に、“書く”を“カタチ”にするプロジェクトとして、SME、note、TikTokの3社によって2021年7月に発足。その一環として開催中の投稿コンテスト「#2000字のドラマ」では、メインキャラクター3名で若者の日常を描くという設定で、2,000文字のストーリーを募集中(応募締切:2021年9月26日)。入賞作品は、人気クリエイターのばんちょー👨‍✈‍🖤シクダイ、三本阪奈、都鳥-totori-と、音で読む物語・ヨムオト(プロジェクト)によってマンガ化されることが決定している。入賞作品の発表は10月中旬予定。また、コンテストに先立って、ショートショート作家の田丸雅智を講師に迎えたオンライン講座「物語の発想法を学ぶ」が、8月に3回にわたって行なわれた。

2,000字は、間口を狭めない良い分量

――投稿コンテスト「#2000字のドラマ」は現在募集中ですが、現時点での感触はいかがですか?

佐藤:7月21日から募集を開始して、現在2,500件を超える投稿があります。我々としては、もともと良いクリエイターと出会いたいという気持ちがあり、あえてテーマや条件を狭く厳しく設定したので、どれぐらい投稿があるか心配だったんですが、正直、想像していた何倍もの応募があって、すごくうれしく思っています。

作品にも目を通していますが、非常にクオリティも高くて、こんなに書きたいと思っている人や書ける人が存在していたんだということに、純粋に喜ばしさを感じています。

柿澤:今回、TikTokクリエイターが応募作品のマンガ化に参加するのですが、活躍の場を広げるチャンスにもなります。このプロジェクトがいろんな形で、クリエイターの創作意欲の向上に貢献できれば、と思っています。

荒木:ちなみに、コンテストの応募条件である2,000字というのは、オンライン講座「物語の発想法を学ぶ」で講師を務めてくださった、作家の田丸雅智さんにも相談して決めた文字数です。2,000文字を長いと捉えるか短いと感じるかは人によりますが、アイデアひとつでも成立させられる文字量ではあるし、文章術が巧みでなくても、才能を見い出せそうな文字量でもあるという印象です。

佐藤:あと、そのぐらいの文字数であれば、いわゆる2時間ドラマや映画とは違うジャンルで映像化できるだろうなという目論見もあります。例えば、TikTokの動画などに落とし込んだ場合、2,000文字くらいのシナリオなら、1、2分の尺でうまく表現できそうかな、と。

荒木:今回は、まずはマンガ化する形ですが、のちにはそれがドラマだったり舞台だったり、いろんな形に発展することがあるかもしれない。いろんな形に結びつくプロジェクトになれば良いですね。

佐藤:シナリオがあれば、映像化とか朗読劇とか、いろんな道が開けそうです。ストーリーの見せ方って、出口次第でいくらでも生み出せるはずなので、今後、また別の形への落とし込みを軸としたコンテストを実施するのも良いですね。

自分の作品が違う形で世に羽ばたいていくのを体験してほしい

マンガ化を担当するばんちょー👨‍✈‍🖤シクダイ

マンガ化を担当する三本阪奈

――コンテストの応募締め切りが9月26日ですが、その後の流れはどうなりますか?

佐藤:10月中旬に入賞作品を発表し、その後、マンガ化した作品を『カクカタチ』の各種アカウント、および手掛けたクリエイターのSNSなどで順次公開していきます。応募作品は、我々を含むスタッフがすべて読み、ある程度選考したのちに、今回マンガ化を担当するクリエイターにも審査に入ってもらいます。なので、運営スタッフとクリエイターが一緒に選んだ作品がマンガの原案となる予定です。

今回、入賞作品のプライズを、賞金ではなく“マンガ化”にしたのは、自分の作品が違う形で世に羽ばたいていくことを、すごく面白いこととして体験してほしいと思ったからです。自分が創作したものが、こうやって昇華されていくんだという経験は、クリエイティブな仕事をしていきたいと思っている人にとってはお金以上の財産になると思うので、ぜひ挑戦していただきたいです。

マンガ化を担当する都鳥-totori-。

マンガ化を担当するヨムオト(プロジェクト)。

――応募を迷っている人へのメッセージをお願いします。

佐藤:もともとは、クリエイターと一緒に何かを作りたいという気持ちから始まったプロジェクトなので、文学賞への応募でもないですし、まずは肩肘はらずに書いてみてもらいたいですね。今は家にいることも多いかと思うので、「空いている時間に創作してみようかな」という気持ちで、気軽に参加できる応募先になれたらうれしいです。

荒木:いろんな人に応募してほしいです。物語や脚本を書いたことがなくても、見たドラマの感想をSNSでつぶやいたりとかはしますよね。そんなふうに、どんな形でも表現したことがある人は、充分活躍できるチャンスはあると思います。ぜひ、この機会に書いてほしいですね。

柿澤:いきなりテキストから入るのが難しい場合は、まずは動画を撮ってから、それをベースに文字にするという手法も、一案としてあると思います。あまり難しく考えずに、いろんなやり方で参加いただければと思います。

エンタメ業界の人が作品を探しに来るプラットフォームに

――こういう作品が来たらうれしい、もしくは読んでみたいと思うものはありますか?

荒木:あくまでも個人的な好みで、審査基準ということではないですが、文章が上手だったり、秀逸なオチが用意されていなくても、“この一部分を切り取ったらものすごく素敵なワンシーンができる”みたいな、何かひとつ、ビビッとくるものがある作品に出会えたらと思いますね。そういうところを注意して読もうと、個人的には思っています。

柿澤:私も個人的な意見ですが、見たことがない世界観のものが好きなので、ありえない世界観のありえないストーリーが見てみたいなと思います。今回は実写化ではなくマンガ化なので、実在しない世界観でも、割と表現しやすいかなと思うので、良ければ挑戦していただきたいです。

佐藤:私は俳優を抱えている部署の人間なので、若手の俳優たちが演じている画が浮かぶような作品があると、グッとくるかもしれない。そういう意味では、特定の俳優を思い浮かべて当て書きするのも、ひとつのアプローチ方法だと思います。いずれにしても、自分で書いていてワクワクして、そのワクワクがほかの人にも伝わるようなものを書いてくれたらうれしいですね。

――『カクカタチ』がどのようになったら、運営側としては成功でしょうか。

柿澤:できた作品が話題になったり、今回参加していないユーザーに、次回参加してみようという意識が生まれたりすることが、成功なんじゃないかなと思います。

佐藤:ビジネスで言うと、この座組みで第2弾、第3弾とつづけていけることですが、プロジェクトで言うところの短いスパンでの成功は、やはり次なるクリエイターたちとの出会いのきっかけを、ある程度つかむことです。その結果、第2弾、第3弾にもつながって、映像化などを含む新たな展開を提供できるようになれば理想的ですね。

荒木:noteとしては、今回『カクカタチ』のアカウントを作ったので、そこがさまざまなクリエイターが集う場みたいになれば良いなと思っています。それぞれが作品を掲載して、みんなが何かしらの形にしたいという目標を持ちつつ、楽しんで利用できる場所になってほしい。

プロジェクトとしては、業界内でも、「マンガ化するなら『カクカタチ』だよね」とか、「映像化するなら『カクカタチ』だよね」ぐらいの認知を実感できたらすごいことだなと思います。

佐藤:あ、それ良いですね。エンタメ業界の人たちにも、作品を探しに来てもらえたらうれしいです。短い物語で何か作りたいな、とかいうときのプラットフォームとして、エンタメのお仕事をしている皆さんにも見に来ていただいて、もしこのコンテストから次の展開が生まれるようなことがあったら、旗振り役としては本当に大成功だなと思います。

 

文・取材:諏訪圭伊子

関連サイト

「カクカタチ」公式note
https://note.com/kakukatachi/(新しいタブで開く)
 
「カクカタチ」公式TikTok
https://www.tiktok.com/@kakukatachi?(新しいタブで開く)
 
「カクカタチ」公式Twitter
https://twitter.com/kakukatachi(新しいタブで開く)
 
「#2000字のドラマ」応募詳細
https://note.com/info/n/n686b490b08db(新しいタブで開く)

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