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連載Cocotame Series

クリエイター・プロファイル

「ギターを楽しむ人を増やすためならなんでもやりたい」YouTuberギタリスト・かずきの挑戦【前編】

2021.09.14

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注目のクリエイターにスポットを当て、本人のパーソナリティや制作の裏側などを探るインタビュー「クリエイター・プロファイル」。

今回は、ギターのレッスン動画で人気のギタリストYouTuber、かずきが登場。彼にとって、ほぼ初取材である本編で、自身の音楽的バックグラウンドから、登録者数13万人を持つYouTube動画に込めた思いまでを語る。

前編では、ギターを弾くようになったきっかけや好きな音楽についてなど、ギター愛あふれるエピソードを披露する。

かずき Kazuki

2018年より、YouTubeにて『かずきのギターチャンネル』を公開しているギタリストYouTuber。“ギターをもっと楽しく”をコンセプトに、多くの人にギターを楽しんでもらうことを目的としている。初心者から上級者まで、誰にでもわかりやすい解説は、ギター演奏ですぐに実践できる内容として定評がある。2021年4月に、ギタープレイヤー同士が交流を楽しみながら、みんなで上達していけるコミュニティとして、『かずきのギターサークル』を設立。10月28日に、初の書籍となる教則本『世界一わかりやすいエレキギターの教科書』を発売する予定。

これや! と思ったものにとことんのめり込む

“10分で、ギターをもっと楽しく”をコンセプトに発信するYouTubeチャンネル『かずきのギターチャンネル』。かずきは、ソニー・ミュージックエンタテインメントが運営する、The Social Creators Label“Be”に所属する、現在22歳のギタリスト。チャンネルでは、ハイレベルなギターテクニックを持つ彼が、ギターが上達する練習法などをわかりやすくレクチャーしている。

網羅する音楽ジャンルも幅広く、1960年代から現在に至るまでの洋楽ロック、J-POP、邦楽ロック、ボカロ曲など、どんな世代にも受け入れられる内容となっている。初心者からのギター教則が主軸にあるものの、音楽好きなら誰もが楽しめるチャンネルというのはとても新鮮だ。現在はチャンネル登録者数13万人を超え、今年の4月からはオンラインサロン『かずきのギターサークル』も開設。10月には初の書籍『世界一わかりやすいエレキギターの教科書』を発売するなど、活動の幅を拡大中だ。

YouTube『かずきのギターチャンネル』(新しいタブで開く)

このSNS時代において、ギタリストの新しい道を追求、実践して見せているかずき。幼少期のエピソードにもその片鱗が伺える。

「とにかくひとつのことにのめり込んでいく子どもでしたね。例えば保育園のころだと、折り紙にめっちゃハマって、大人が折るレベルまでこだわってやってました。小学校のときはクワガタを飼って、環境を整えて繁殖させたりもして。ほんまにいろんなことに興味があって、これや! と思ったものにとことんのめり込むタイプでしたね」

現在はギターや音楽に没頭するかずきだが、何かにのめり込む素養は既に小さいころからあったようだ。そんな彼がギターを始めたのは些細なきっかけだった。

「中学1年のとき、サッカー部とテニス部に入ったんですけど、全然合わなくてすぐ辞めたんです。でも何かやりたいなって思ってたときに、仲の良い友達がギターを始めて、カッコ良さそうだし自分もやってみようって思ったんです。それまで楽器は全然やったことなかったけど、とりあえず“カッコ良い”っていうのが大事でしたね(笑)」

最初こそイメージ優先だったが、そこからどんどんギターの魅力にハマっていったと言う。

「僕は、それまでは全然音楽を聴くタイプではなかったんです。アニメやゲーム、ニコニコ動画がめちゃ好きって感じでした。でも、ギターをやることでちゃんと音楽を聴くようになって、そしたら、『音楽ってこんなに面白いものなんだ!』って気づいたんです。それでさらにのめり込んでいきました」

ギターと音楽の面白さに気付き、どんどん掘り進めることによって、彼のギタースキル、音楽知識は高まっていった。ただ、いくらギターや音楽が好きと言っても、楽器というものはそう簡単に上手くなるものではない。ギター演奏の難しさという高いハードルを、彼はどのようにクリアしていったのだろう。

「もちろん最初は難しかったですし、それをクリアするにはやっぱり練習しかないんですよね。でも例えば、『これ弾けないな』と思っても、そのときの限界まで練習して、いったん諦めて寝るんです。すると、次の日起きて弾いてみるとできるようになってたりするんですよ。次の日じゃなくても、1カ月後に急にできるようになってたりすることもあって。ちょっと時間をおいてみるのも、練習する上で大事かもしれないですね」

行き詰まったときは、時間をおいてみると解決できる。仕事や勉強でもそういった場合があるが、それはギターにも当てはまるそうだ。

「その辺の脳の仕組みを研究したことがあるんです。人間の脳って、寝てる間も情報を処理してくれるから、起きてる間にちゃんとやってると、次の日にできるようになってるんだっていうのを理解したんです。それがわかってからは、ちゃんと練習をサボらずにするようになりました。“いつかできる、いつか弾ける”って信じられるようになったので」

ニコニコ動画のカッコ良いギターをコピーした

ギターへの興味をより深いものにした、かずきの音楽遍歴とはどのようなものなのだろうか。

「ギターを始めてから、ニコニコ動画でボーカロイド曲を聴くようになりましたし、当時めちゃ流行ってたRADWIMPSとかも聴くようになりました。ギターに関してだけで言うと、レッド・ホッド・チリ・ペッパーズにめちゃくちゃハマったんです。とにかく、ジョン・フルシアンテのギターがすごくカッコ良い。カッティング奏法のカッコ良さや、エレキギターらしい、叫ぶような音とかもレッチリから学びましたね。そこで一気に音楽の幅が広がりました」

ボカロ曲はバンドサウンドも多くあり、そこからギターや音楽にハマっていく人も少なくない。

「実際僕もそうでした。ニコ動に、“演奏してみた”動画って結構あるんです。ボカロ曲に合わせてギターアレンジした動画もあるし、ボカロ曲自体のギターがカッコ良いものも多くあるので、たくさんコピーしました。その辺からすごく影響を受けてますし、今でもボカロ系のフレーズは好きです。

当時だと、「Tell Your World」(livetune feat.初音ミク)や「Calc.」(初音ミク)、「天ノ弱」(164 feat.GUMI)、「セツナトリップ」(GUMI)、「カゲロウデイズ」(じん)とかが好きでした。どれも、すごくギターがカッコ良いんですよ。カッティング奏法とかめちゃ出てくるので、今でもギターを持つと、そういった演奏スタイルが出てきちゃいますね」

そして、彼の音楽の幅を広げたというレッド・ホット・チリ・ペッパーズ。

「最初、叔父からレッチリの名盤『カリフォルニケイション』をもらったんですよ。それが結構衝撃的だったんです。RADWIMPSなどは正統派ロックの印象が強いんですけど、レッチリはファンクとロックが融合した世界観があって、当時の僕からすると、『なんだこの変な音楽は?』ってなったんです。その後、改めて聴いてみたらめちゃくちゃ良いなと思って、独特の空気感にのめり込みましたね。“よく考えると、のメロディで曲が成立するのかな?”っていうものでも、レッチリが演奏するとめちゃくちゃカッコ良くなるんです。その絶妙な感じが好きですね」

ロックの持つ多様性、奥深さを教えてくれたレッチリについての話はまだまだ止まらない。

「好きな曲はいっぱいあるんですけど、今、パッと浮かんだのは、『アラウンド・ザ・ワールド』です。ギターで言うと、『スノー』のアルペジオはすごくきれいだし、有名な『ダニー・カリフォルニア』のギターソロも好きですね。あと、ライブだからこそ出てくるアドリブのフレーズもカッコ良くて、ライブ映像を見てコピーしてました。レッチリからは、音楽を演奏することの熱さとか、ギターってこういうカッコ良さがあるんだっていうのを学びましたね。ただ譜面通りに弾くものがギターじゃなくて、アドリブ要素がある楽器なんだっていうことを知りました」

好きになった音楽から吸収したものを、自分のギタープレイにつなげていく。彼の飽くなき探究心、新旧問わずフラットに音楽を楽しむ姿勢は、『かずきのギターチャンネル』の多彩なラインナップからも伝わってくる。

「僕のなかで音楽の興味が二分してるんですよ。ギターがカッコ良いという意味では、ジョン・フルシアンテが大きくあって、さらに彼のルーツであるジミ・ヘンドリックスがあって、ジミヘンの影響を受けたガンズ・アンド・ローゼズのスラッシュとかも好きなんです。あと、エリック・クラプトンらギターレジェンドたちも大好きで、クラシックロックもめっちゃ聴いたので、それが今の動画の内容にも結構表われています。

それとは別に、ボカロ曲とか、今流行りの曲も全然大好きです。ギターが入ってなくても好きな曲もあって、ReolのEDMチックな曲などはよく聴いてます。なので、今聴いてる音楽としては、ギターを通して追求していくパターンと、シンプルに曲が好きでどんどん聴いていくパターンの両方がありますね」

音楽もギターも大好きなかずきだけに、ギターの入っていないエレクトロニックミュージックを、逆にギターでやってみようというチャレンジ精神も湧いてくるのではないだろうか。

「実はそれはやってます、まだ動画では話してないんですけど。EDMの音ってめちゃくちゃ気持ち良い音なんですよ。そういう音をギターで再現したらどうなるかをやってみていて、スラップしたらそれっぽくなるなとか思ってるうちに、スラップのテクニックが身に付いたりしたんですよね。このやり方って、ジミヘンがインタビューで言ってた、ギターの練習をするときにひたすらテレビから出てくる音を真似してたっていうのと同じだなと思いました。気持ち良いと思った音を、自分でギターで表現するとどうなるのか。そういうのを考えるのは結構楽しいです」

愛用ギターは、フェンダーのストラトキャスターとSugiのDS499

動画を日々更新しながら、その裏でギター演奏についての探求をつづけているかずき。そんな彼の相棒とも言える愛用ギターは、現在2本。

「今、僕がメインで使ってるギターは、フェンダーのストラトキャスターです。アメリカンスタンダードっていうレギュラーラインのモデルなんですけど、中学のころからずっと使ってて思い入れが深いですね。あとは、白いSugiのDS499というモデルです。このギター、めちゃくちゃバランスの良い音がするんですよ。僕はいろんな曲を解説するので、こういうギターをひとつ持ってると曲に合わせにいきやすいんです。いろんな場面で使えるので重宝してます」

ギタリストには、次々とギターを買ってしまうコレクタータイプもいるが、彼はそうではないと言う。

「もちろんギターは欲しいんですけどね(笑)。でも、ギターだけにこだわるより、撮影機材とかいろんなところにバランス良くこだわっていきたい派なんですよ。ギターも本体だけじゃなくて、エフェクターとかオーディオインターフェイスとか、使いどころはいろいろあるので、何が最適かを考えて、お金を使いたいなと思ってます」

さまざまな音楽を通過してきたかずきだが、今一番惹かれるギタリストを挙げるとしたら……。

「マテウス・アサトとコリー・ウォンが、今の僕のなかでホットなギタリストです。いろんなギタリストがいるなかでなんでこのふたりかと言うと、まずひとつが、ジミヘン経由のスタイルっていうのがすごく好きなんです。コードを弾いて、ばらして音楽を作っていくというスタイルに惹かれます。それプラス、最近のおしゃれ要素、ネオソウル系のギターというところです。マテウス・アサトはめちゃくちゃおしゃれなギターを弾きますし、音使いが好きですね。あとはカッティングですね。ボカロ系でもジョン・フルシアンテでも、僕のなかにカッティングの要素がずっと大きくあるんです。今の僕の求めるカッティングの到達点というか、今の時点で一番聴いてて気持ち良いのが、コリー・ウォンのカッティングなんです」

日々、ギターと音楽の研究に余念のないかずき。新しい発見の連鎖が、彼の動画制作への意欲を掻き立てていることは間違いなさそうだ。

「こうしてギター関係の活動をしていると、当然ギターや音楽に触れる時間が多くなるじゃないですか。音楽を聴いてるとき、ギターを弾いてるとき、動画を作ってる最中でも、次々新しい気付きや発見があるので、毎日楽しいです」

後編につづく

文・取材:土屋恵介
撮影:大塚秀美

最新情報

『世界一わかりやすいエレキギターの教科書』(KADOKAWA刊)

2021年10月28日発売(予定)
予約はこちら(新しいタブで開く)

関連サイト

YouTube
かずきのギターチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCbnZnyao-VPjoVrIpufKx9w(新しいタブで開く)
 
Twitter
https://twitter.com/NagomiBright(新しいタブで開く)
 
かずきのギターサークル
https://lounge.dmm.com/detail/3359/(新しいタブで開く)
 
note
https://note.com/kazuki_guitar/(新しいタブで開く)

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