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エンタメビジネスのタネ

eスポーツイベント『Sony Creative Cup featuring Fortnite』で見えたゲーム空間でのイベントの可能性【前編】

2022.06.20

最初は小さなタネが、やがて大樹に育つ――。新たなエンタテインメントビジネスに挑戦する人たちにスポットを当てる連載企画「エンタメビジネスのタネ」。

今回クローズアップするのは、2022年4月9日(土)に開催されたeスポーツ大会『Sony Creative Cup featuring Fortnite』。同イベントは、バトルロイヤルゲーム『フォートナイト』のクリエイティブモードでデザインされたオリジナルマップ上で、一般参加者やインフルエンサーたちがレースを行なうオリジナルトーナメントだ。大会に合わせて、映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』と『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の世界観を再現した渋谷の街のマップが作成され、現在も『フォートナイト』クリエイティブモード内で一般公開されている。

本イベントでは、『フォートナイト』ファンとマーベル映画ファン、双方のエンゲージメントを高めるために、どのような施策を行なったのか。ゲーム空間で展開するイベントのあり方、eスポーツイベントの発展性について関係者に聞いた。

前編では、イベントを開催した経緯、ファンエンゲージメントを高めるプランなどについて語ってもらう。

  • 福田真澄

    Fukuda Masumi

    ソニーグループ

  • 川本拓三

    Kawamoto Takumi

    ソニー・ミュージックソリューションズ

  • 上東鷹介

    Kamihigashi Yosuke

    ソニー・ミュージックソリューションズ

ユーザーの熱量をどれだけ生み出せるか

──4月9日にeスポーツ大会『Sony Creative Cup featuring Fortnite』が開催されました。まずは、このイベントの概要を教えてください。

福田:世界中で人気のバトルロイヤルゲーム『フォートナイト』のクリエイティブモードを使用したレース大会です。映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』と『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の世界観を各所に取り入れた渋谷の街のマップを作成し、予選を勝ち抜いた一般参加者と招待されたゲストプレイヤーが出場して、最速の座を競い合ってもらいました。

大会の模様は『Sony Esports Project』公式YouTube公式Twitterで配信し、現在もアーカイブを公開中です。配信番組のスタジオには日向坂46の丹生明里さん、『フォートナイト』のゲーム実況を中心に活躍する人気YouTuberのれじぇくんをお招きしたほか、大会決勝にはゲストプレイヤーのポッキーさん、ネフライトさん、キャプテンしょーたさんにもご参加いただきました。渋谷マップは、大会開催2週間前から一般公開し、現在も『フォートナイト』クリエイティブモード内でプレイできます。

──そもそもどのような経緯で、この大会が開催されたのでしょう。

福田:ソニーグループを横断したeスポーツの推進プロジェクトとして『Sony Esports Project』が立ち上がり、昨年の9月から具体的な取り組みがスタートしました。私、川本さん、上東さんもこのプロジェクトに参加しています。そして昨年10月には、『Sony Esports Project』が主催する初のイベントとして、『Sony Japan Cup 2021 featuring Fortnite』という『フォートナイト』の日本一を決めるeスポーツ大会を開催しました。

その際、プロモーションの一環として、『フォートナイト』のクリエイティブモードで渋谷などのマップを作っているクリエイターのヤノスさんとコラボレーションし、マップ上で大会の告知をさせていただいたんです。

それを見たソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(以下、SPEJ)のご担当者が、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』と『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のデジタル配信、Blu-ray/DVDリリースを記念して、共同プロモーションをご提案してくださったんです。私たちも『フォートナイト』のクリエイティブモードを使ったeスポーツ大会の実施に挑戦したいと考えていたため、一緒に『Sony Creative Cup featuring Fortnite』を開催することになりました。

──今回の大会のきっかけになったという、『Sony Japan Cup 2021 featuring Fortnite』のときの反響はどのようなものでしたか?

福田:『フォートナイト』の日本一を決める大会だったので注目度も高く、ファンの方たちからも好評をいただきました。ちなみに、今日私たちが着ているパーカーは、『Sony Japan Cup 2021 featuring Fortnite』の開催にあたってストリードブランド『9090』とコラボさせていただいたものです。

ほかにも「春を告げる」「真っ白」「麻痺」などのヒット曲で知られるyamaさんにハーフタイムショウでライブを行なっていただくなど、ソニーグループのシナジーが発揮されるイベントを開催することができました。

──川本さんと上東さんは、その大会の制作、運営にも関わっていたのでしょうか。

上東:そうですね。クリエイティブ全体を担当させていただきました。

川本:もともと福田さんとは、ソニー・インタラクティブエンタテインメントが主催している『PLAY ALIVE』というeスポーツイベントでもご一緒していたんですよね。そのころからのご縁で、現在に至ります。

──今回のイベントにおける、皆さんの役割は?

福田:私はイベントの初期企画とソニーグループのイベントプロデューサーと一緒に、イベント全体のプロデュースを行ないました。マップ制作で言うとゲーム部分とマップ制作の制作進行を主に担当しています。

川本:僕は、上東とともにクリエイティブディレクターを務めました。ユーザーが目にするもの、耳にするもの、触れるものの映像、音楽、ビジュアルのトーン&マナーやクオリティのディレクションです。

上東:自分は、コミュニケーションデザインとユーザーエンゲージメントを中心に、コンセプトやユーザーとのつながり、プロモーション施策などを担当しました。

──コミュニケーションデザインとは、具体的にどういうものを指すのでしょうか。

上東:ターゲットを設定し、対象となる方々がどのような課題や願望を持っているのかを考えた上で、エンゲージメント設計、プロモーション施策を行ないます。例えば、今回のeスポーツ大会は『フォートナイト』のコアユーザーであるミレニアル世代、Z世代がメインのターゲットでした。その上で、コアな映画ファンとゲームファンをどのようにクロスオーバーさせていくかを考えていきました。

──そもそも『フォートナイト』と『スパイダーマン』『ヴェノム』は、親和性のあるコンテンツなのでしょうか。

上東:『フォートナイト』では、以前から『スパイダーマン』や『ヴェノム』のスキン(コスチューム)が販売されていて人気を集めていました。また、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』と『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』には、マルチバース(自分たちのいる世界以外に、並行世界が無数に存在するという考え方)という概念が取り入れられています。だからこそ、作品の垣根を越えられるというメリットがありました。

川本:マルチバースは、パラレルワールドで別の世界同士がつながるという概念とも言えます。そこに紐付けて、“ゲームともつながった”というコンセプトを組み、アイキャッチとなるコピーも“渋谷マルチバース、最速は誰だ?”にしています。

──改めて『Sony Creative Cup featuring Fortnite』は、どのような大会を目指したのでしょうか。

福田:今回こだわったのは、“UGC(User Generated Contents:ユーザーによって作られるコンテンツ)をどれだけ生み出せるか”です。ユーザーから声があがる仕組み、みんなで盛りあがる施策を考える上で、上東さんのコミュニケーションデザイン、川本さんのアートディレクションが大きな役割を果たしてくれました。

上東:『フォートナイト』のユーザーの盛り上がりを、第三者が狙いすまして作るのは容易なことではありません。そこで考えたのは、自分自身がユーザー側に立ち「こんなイベントだったら参加したい、遊んでみたい」ということでした。

川本:加えて『スパイダーマン』や『ヴェノム』は、世界中で長年愛されている作品ですから、我々が付け焼刃の知識で企画したものでは、ファンエンゲージメントを高める施策を生み出すことができません。そこでSPEJの担当者の方に、マーベル作品に精通しているライターの方を紹介していただき、アドバイスやネタのアイデアをいただいて、企画のなかに盛り込んでいます。『フォートナイト』、『スパイダーマン』、『ヴェノム』、どれかひとつではなく、それぞれのコンテンツをシームレスに楽しめるクリエイティブを目指しました。

ゲーム空間に入り込んでイベントを制作

──今回の大会で使用された渋谷の街のマップは、前回の大会『Sony Japan Cup 2021 featuring Fortnite』で、クリエイターのヤノスさんが作成されたマップがベースになっているのでしょうか。

福田:そうですね。ヤノスさんが過去に制作されていた渋谷の街のマップを『Sony Japan Cup 2021 featuring Fortnite』のタイミングで拡張し、今回さらにアレンジしていただきました。

川本:ヤノスさんと一緒に、渋谷の街のロケハンも行なったんです。実は、ヤノスさんは非常にお若くて、渋谷に来たのはこのときが初めてということでした。逆に渋谷の街を歩いたことがなくて、あれだけのマップのクオリティをプロトタイプで実現されていたというのがすごいことなんですが、ロケハンをしてもらうことで、公開されたマップではさらにクオリティを高めてもらうことができました。

福田:『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のBlu-rayとDVDの発売をプロモーションするという視点では、渋谷の街のランドマークとも言えるSHIBUYA TSUTAYAにご協力いただけることになり、マップに組み込むことも当初から決まっていたんです。ロケハンのときは、TSUTAYAの方に店内を案内していただいて、普段は入れないビルの屋上まで見せていただくことができました。この点も、マップ内でしっかり反映されています。

川本:背景の一部ではなく、SHIBUYA TSUTAYAのビルのなかに入って動き回れるのは楽しいと、ユーザーの方にも好評をいただけました。

──マップの制作にあたり、大変だったのはどのような点でしょうか。

福田:街中を走ってもらうのがレースのルールなので、走行ルートの作成やマップ上のオブジェクトの配置、難易度調整などには気を配って制作しています。

川本:クリエイティブにおいては、マップ上でどのように『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』と『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の要素を演出するかが重要でした。『フォートナイト』のクリエイティブモードのアセットを使用して、映画のなかのシズル感を表現するのが難しかったのですが、逆にそこが楽しいところでもありましたね。

あとはマップの制作時が、ちょうどコロナ禍で出社が制限されていたので、制作メンバーがオンラインで集まり、ゲームをプレイしながら「ここにこんなオブジェクトを置こう」「ここを走ってもらおう」「ここをスパイダーマンのウェブ・スイングのように飛べたら気持ち良いんじゃないか」とボイスチャットで話し合いながらコースを作っていくのも新鮮でした。みんな離れたところにいるのに、ひとつの街で作業するような感覚。ゲームのなかで、イベント制作の造作をするという新しい体験でした。

上東:おそらく「みんなで『スパイダーマン』と『ヴェノム』の街を作ろう」とか「一緒に散策しよう」というだけのイベントでは、それほど人は集まらなかったんじゃないかと思っています。そこに、いかに『フォートナイト』内のゲーム性を持ち込み、ファンエンゲージメントを高められるか。要は、どれだけ熱中させられるかが、ゲーム空間におけるイベントで大事なことなんだと改めて感じました。その点、今回は個人的に難易度設定などがうまくいったなと思っています。だからこそ、エンゲージメントを高められるマップができたのではないかと。

──渋谷マップで、特にこだわったポイント、注目してほしいポイントを教えてください。

福田:こだわったのは難しくしすぎないこと。注目していただきたいのは、遊んでいるときの気持ち良さと、爽快感ですね。

川本:街づくりの視点で言うと、渋谷を走りながら『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』と『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の世界観を感じられる点でしょうか。『フォートナイト』のアセットに悪魔の笑い声があるのですが、それが『スパイダーマン』に出てくるあるキャラクターに似ていたり、砂や雷のエフェクトが、ある敵役を想起させたり。そういった映画を感じさせる要素をいろいろと織り交ぜ、ユーザーに「これは、もしかしてあの演出かも?」と感じてもらえるようにミックスしていきました。

──キービジュアルも相当なこだわりを持って作られたと聞きました。

川本:このビジュアルは制作チームがマップ内に入り、色味のバランスなどを考えながら一人ひとりフィッティングして、実際のゲーム画面を撮影したものなんです。みんなで一斉にスタートし、飛んだり走ったりすることを何度も繰り返して、撮影したスクリーンショットのなかからベストカットを選んでキービジュアルに使用しました。

──イベントの本質を考えれば合点がいくものの、ゲームのワンシーンからイベントのキービジュアルを作るというのは珍しい作り方ですよね。

川本:今までのグラフィックデザインでは、ゲームのイベントだとしても、メーカーから提供されるキャラクターや背景CGを使ってデザインを起こすことがほとんどで、僕らにとっても初めての作り方でした。

ただ、YouTubeなどを見るとわかる通り、ゲーム画面を撮影して配信のサムネイルにする方は多いので、ユーザーにとっては一般的なやり方です。そういう意味でも、ユーザーコミュニティに近い作り方だったと思います。

また、今回の場合、大会を実況する配信番組が、ゲームとリアルをつなぐ役割をはたしていました。そのふたつをうまくリンクさせるために、スタジオセットの窓にグリーンバックを敷いて、窓に渋谷の街のマップを映しました。それも静止画ではなく動画にして、渋谷の街で実況しているような演出を導入したんです。実際、キャラクターがちょこちょこ飛び回っている動画が流れて、臨場感を高める仕掛けとして役立てることができました。

──すべてにおいて、コンセプチュアルなイベントだったんですね。

福田:上東さんのコミュニケーションデザインと、川本さんのクリエイティブ、そしてSMSの皆さんの力があればこそでしたね。プロジェクトチーム全員が熱量高く取り組んだ結果だと思います。

──逆に今回のイベントで課題に挙がった点はありますか?

福田:オリジナルのマップを使っての大会だったので、システム系のトラブルでユーザーの方をお待たせしたり、ご不便をおかけすることがありました。この点については、皆様にご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありませんでした。今回の反省点として、次回以降のイベント運営にいかしていきたいと考えています。

ユーザーが想像を超えた遊び方を発見

──大会の反響は、いかがでしたか?

福田:大会当日だけでなく、開催に向けてさまざまな施策を行ないました。一般公開した渋谷マップで、タイムアタックができるようにしたのですが、そのタイムをTwitterで投稿してもらったところ大いに盛り上がりましたね。

川本:タイムアタックに挑戦したくなるモチベーションとして、ゲーム内にランキングを表示するようにしたんです。昔のゲームセンターには、ほかのプレイヤーのスコアランキングが表示されるゲームが多くて、それを見て記録を追い越せるように何度もチャレンジしたという方がいらっしゃると思いますが、『Sony Creative Cup featuring Fortnite』でもランキングを表示することで、ユーザーの方々の参加意欲を高められればと考えました。

福田:結果、トップの方は56秒台を記録するんですが、これには驚きましたね。作った我々がかなりやり込んでも、ベストタイムが1分6秒くらいだったんです。1分を切る時点で「どうやったらそんなタイムでまわれるの?」というレベルでしたが、56秒台をマークする方が現われたので「これは神の領域だな」と(笑)。ユーザーの方たちの熱量に圧倒されました。

川本:「1分を切った!」とプレイ動画をネットにアップしてくださるユーザーの方もいました。先ほど、福田さんが「UGCをどれだけ生み出せるか」という話を挙げられましたが、プレイ動画がアップされるというのは、まさしく我々が狙いたかった部分です。

今、ゲームは記録に挑戦するだけでなく、素晴らしいプレイを見るのも楽しいということに多くの人が気付いていて、それがSNSを通じて拡散、共有されるのは正のスパイラルと言えます。ただ、それを生み出すためには、ユーザーの方にそれだけの熱量をかけてもらえるものを作られなければいけないんだということですね。

福田:その視点で言うと、映画の世界観を再現したマップ上で、スパイダーマンやヴェノム、ドクター・ストレンジのスキンでプレイしてスクリーンショットをアップする方もいましたよね。ほかにも、ゲーム実況をする方、TSUTAYAで店員ごっこを楽しむ方など、多くのユーザー方々が、私たちの想像を超える遊び方で楽しんでくださいました。

後編へつづく

文・取材:野本由起
撮影:干川 修

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© 2021 Columbia Pictures Industries, Inc. and Marvel Characters, Inc. All Rights Reserved. MARVEL and all related character names: © & ™ 2022 MARVEL
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リリース情報


 

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関連サイト

『Sony Creative Cup featuring Fortnite』
https://sonyesportsproject.com/event/sony-creative-cup-fortnite/
 
『Sony Esports Project』
https://sonyesportsproject.com/
 
『Sony Esports Project』公式YouTube
https://www.youtube.com/channel/UClcoxZ8SsmS1iB0qYG1y_YA
 
『Sony Esports Project』公式Twitter
https://twitter.com/SonyEsportsPJ

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