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エンタメビジネスのタネ

バーチャルタレントの“卵”たちをサポートし、個性を育てる『VEE』プロジェクト【前編】

2022.07.28

最初は小さなタネが、やがて大樹に育つ――。新たなエンタテインメントビジネスに挑戦する人たちにスポットを当てる連載企画「エンタメビジネスのタネ」。

今回は、ソニー・ミュージックエンタテインメント(以下、SME)が手掛けるVTuberプロジェクト、『VEE』をピックアップ。オーディションを経て今年5月から始動し、現在11人のバーチャルタレントが所属する『VEE』が、VTuber業界でも異色の存在である理由とは? 所属タレントの紹介とともに、そのビジネスの在り方を、広報担当のバーチャルスタッフ・華灯が解説する。

前編では、プロジェクトの成り立ちや運営体制、5月から活動をスタートした“Dev-a”のバーチャルタレント5人を紹介する。

  • 華灯

    hanavee

    自身もバーチャルタレントだった過去の経験をいかして、VTuberたちをサポートしつつ、最新情報を発信する『VEE』の広報スタッフ。

『VEE』

SMEが手掛けるVTuberプロジェクト。バーチャルタレント育成&マネジメント事業として、2021年にオーディションを開始。合格者のうち、第1弾となる5人が、通称“Dev-a”として2022年5月に発表された。7月には第2弾、通称“Dev-b”を発表。現在、総勢11人のバーチャルタレントが活動している。

少数なのでみんなが顔なじみで仲が良い

――『VEE』は、応募者数1万8,000人を超えた“VEE バーチャルタレントオーディション”を経て、今年5月より本格始動した“バーチャルタレント”の育成&マネジメントプロジェクトです。

【#はじまるぜVEE】VEE “Dev-a” デビューPV

はい。私たちは、キャラクターの姿で活動するタレントを“バーチャルタレント”と呼んでいます。いわゆる“VTuber(Virtual YouTuber/バーチャル・ユーチューバー)”ですとか、生配信での活動を主にしている“バーチャルライバー”と呼ばれる、ネット上をメインに活動するタレントの生配信や動画制作だけでなく、音楽活動、声優としての活動、そのほかの創作活動など、皆さんのやりたいこと、夢を叶えられるように、ソニーミュージックグループが持つノウハウを駆使しながら、サポート活動をしています。

――『VEE』のスタッフ構成はどうなっているのでしょうか?

大きくは、運営とマネジメントチームに分かれています。運営チームは、プロジェクト全体の運営、開発、企画や広報の担当者、マネジメントチームは、チーフマネージャー以下、各タレントについているマネージャーで構成されていますが、一部運営との兼務もあるので、約10数人がチームスタッフとして業務を行なっています。少数なのでみんなが顔なじみですし、スタッフとタレントもとても仲が良いです。今日の配信はここが良かった、悪かったというようなお仕事の話はもちろん、お仕事以外でも、お互いのプライベートの話もよくしていて。そういう意味で、すべての連携がスムーズに進んでいるのは、『VEE』ならではの特徴だと思います。

――そこで華灯さんは、『VEE』の広報を担当されているんですね。

現在は主にメディアの皆さんに向けて『VEE』の広報活動を行なっています。こうして取材を受けることもそうですが、日常的には『VEE』の存在をより身近に感じていただけるように、現在はTwitterで、所属バーチャルタレントに関する情報発信も行なっています。

――バーチャルの“V”を頭文字にしたと思いますが、『VEE』というネーミングも覚えやすいですね。

ありがとうございます。この『VEE』というネーミングは、このプロジェクトに込めた想いが表現されています。ロゴマークを見てもらうとわかるのですが、『VEE』の下に“veepigenesis”という言葉が書いてあります。これは“virtual”と“epigenesis(エピジェネシス)”という言葉を合体させた造語で、『VEE』という言葉の由来のひとつです。

――“epigenesis”とはどういう意味ですか?

生物の発生に関する仮説です。日本語では“後成説”と訳されますね。卵には幼生や胚の元になる構造が初めからあるのではなく、何もないところから次第に作り上げられるものであるというものです。その仕組みがバーチャルタレントにも似ていると考えました。バーチャルタレントとファン、ユーザーは結び付きが強いです。生配信やSNSを通じて密にコミュニケーションが取れますし、レスポンスもすぐあります。

自分が応援したぶん、バーチャルタレントがどんどん大きくなっていくさまを、リアルタイムで追いかけることができます。それがバーチャルタレントの一番の魅力ですし、何もかもを一緒に作りあげていく楽しみがある。そこが “epigenesis”という言葉の意味に、とても近いと思っています。

バーチャルタレントという存在自体、まだ発展途上

――昨年の“VEE バーチャルタレントオーディション”の募集コンセプトには、“募集するのは何者かになりたいあなた。性別も、容姿も、得意なジャンルも、配信経験も、国籍も一切不問”と書かれていました。まさに “卵”のような存在を求めてのものですね。

そうですね。バーチャルタレントという存在自体も、まだエンタテインメント業界のなかでは発展途上ですし、『VEE』の想いに賛同して集まってくれた“卵”の皆さんの可能性も、無限大だと思っています。そんな皆さんのサポートを私たちが行なうことで、タレントの個性もだんだん形になって育っていくと思いますし、『VEE』という組織自体もそうでありたい。そういう意味合いを込めて、『VEE』と名付けました。

――現在、バーチャルタレントのマネジメントを手掛ける企業は複数存在し、多くのスターを輩出しています。そういった既存のマネジメント会社とは一線を画すような、『VEE』ならでは特徴は何でしょうか?

オーディション時から私たちは“VEEの3つの約束”を応募者に対して掲げていました。ひとつめは、バーチャルタレントをソニーミュージックグループに所属するミュージシャンやタレントと同様に、プロフェッショナルな才能として扱うこと。ふたつめは、配信コンテンツの還元率やタレント活動のフィールドを広げるための支援は全力で行なうということ。でも、その方の実力に見合わない大舞台を、いきなり用意することはしません。というのは、あくまでバーチャルタレントとしての実力はファンの皆さんや仲間とともに磨いて、自分で夢を掴み取らないと、活動を長つづきさせることができないからです。そして3つめは、VTuberにとってとても重要なことだと思うのですが……バーチャルタレントとしての名前やキャラクターの権利を活動者に委ねていこうということですね。

――「権利を委ねる」とは、どういうことでしょうか?

現在は、活動者がそのマネジメント会社の所属を辞めることになったら、その名前やイラストを使ってバーチャルタレントとしての活動を継続することは、難しくなることが多い状況です。それで活動を辞めてしまう方がたくさんいらっしゃいます。また、もし活動をつづけようとするなら、違う名前で違う見た目のキャラクターを新たに作って、ゼロからリスタートするパターンが一般的です。それはずっと応援をつづけてきたファンの方にとっても、悲しいことです。

――『VEE』では少し違うと?

はい。バーチャルタレントの名前や見た目も、本人にとっては大切な資産であり、キャリアです。もちろん、一定の条件などはありますが、もし今後、バーチャルタレント活動のすべてを『VEE』がサポートできなくなっても、継続的にキャラクターを使用できる環境や体制を一緒に作っていきたいと考えています。そこは、ほかと異なる特徴だと思います。

それぞれが自分自身のスタイルで活動を展開

――『VEE』には現在、オーディションを経た11人のバーチャルタレントが在籍中です。

今年5月に、第1弾として“Dev-a”と呼ばれる5人……新たにバーチャルタレントになった音門るきさん、トゥルシー・ナイトメアさん、雛星あいるさん、既にバーチャルタレントとして活動していて今回『VEE』に加入した九条林檎さん、秋雪こはくさんがデビューしました。

第1弾デビュー組の“Dev-a”。

――では、まずはその“Dev-a”の皆さんを紹介いただきたいと思います。それぞれの公式プロフィールはオフィシャルサイトでも見られるので、今回は華灯さんから見たそれぞれの推しポイントと、活動の特徴をお話しください。まずは、音門るきさん。お人好しすぎて悪魔学校を退学になってしまった悪魔だそうですね。

はい、悪魔らしくない悪魔さんです(笑)。音門るきさんはK-POPにも詳しくて、韓国語がものすごく堪能なハイスペックガールだったりもします。翻訳などもすぐできてしまうレベルです。『VEE』のタレントさんは、どなたもトークスキルが高いのですが、そのなかでも、るきさんはおしゃべりがとてもお上手。雑談配信でもゲーム実況でもお話が止まらないです(笑)。

――『VEE』公式サイトのプロフィールには、タレントそれぞれの特技や特徴がハッシュタグワードで記載されていますが、音門るきさんには「#歌」と「#バラエティ」と付いていますね。

はい、歌もとってもお上手で、YouTubeチャンネルには“歌ってみた”も投稿されていますので、ぜひご覧いただきたいと思います。

――九条林檎さんは、見た目から独特の雰囲気をお持ちですね。

九条林檎さんは、バーチャルタレントとしての活動歴はもう長く、4年ほど前から始められていて、今年から『VEE』所属になりました。彼女はバーチャルタレント界のエンタテイナーと言えるおしゃべりのスキルと、ほかの人がやらないことをやっていく独自のスタイルで、以前から唯一無二の存在感を発揮されています。クリエイティブ力も高くて、例えば……バーチャルタレントを撮影すると、もともとはCGなので“ピントが合わない”ということはあり得ないのですが、九条さんはあえてピントを外してリアルっぽい写真を提供したり、ツールの使い方にも長けています。“吸血鬼と人間のハイブリッドレディ”である世界観を巧みに表現されていますね。

――配信活動だけではなく、さまざまなメディアでも活躍されているとか。

そうなんです。雑誌の『小悪魔ageha』の専属モデルとして裏表紙を飾られたこともありますし、バーチャルタレント界のカリスマ的存在です。

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九条林檎:魔界から来た間口の広いVTuber

――秋雪こはくさんも、『VEE』所属以前から、ゲーム実況系の人気VTuberとして活躍されてきた方ですね。見た目が非常にかわいらしい方です。

はい。でも、そのかわいらしい見た目からは想像できないほど、飛び抜けたゲームのスキルを持っています。世界的に人気のFPSゲーム『Apex Legends』や『Rust』、『Minecraft』などをプレイされているのですが、なかでも『Apex Legends』に関しては超上級者で、ランク“プレデター”の称号をお持ちなんです。

――“プレデター”は、世界中で成績上位の750人のみに与えられるランクですね。

なので、プレイ中のおしゃべりが聞けるゲーム実況も楽しいのですが、ひたすらプレイを見せる動画もたくさん上げていらして、その腕前に魅了される海外ファンも多いですね。あと、彼女は狐なのですが、見た目はちょっと猫っぽくて。なので、実況中に猫に間違えられると「No Cat!」と叫ぶのがお約束です(笑)。

――つづいては、トゥルシー・ナイトメアさん。

彼女は、フルネームがトゥルシー・ナイトメア・マッドネス・4世という魔王様です。私は、名前のそれぞれの頭の文字をとって“トゥナマヨ”さんと呼ばせていただいています(笑)。トゥナマヨさんは、ひらめきと企画力を備えていて、ファンとのコミュニケーションがすごく得意な方ですね。

――掛け合いが面白いと。

はい。お笑い芸人さんのようなボケとツッコミの応酬があったりするのが楽しいです。あと、私から見たポイントがもうひとつありまして、実は映像制作もご自分で行なってしまう真面目な頑張り屋さん。“歌ってみた”動画も、セルフで映像に仕上げ、作品として魅せる力をお持ちです。

――そして、“Dev-a”のもうひとりは雛星あいるさん。あいるさんも、非常にキュートなルックスの方です。

あいるさんは、地球侵略のために異星からやってきたんですが、地球上のゲームにハマってしまいまして(笑)。ゲームが大好きで、『Minecraft』や『Cooking Simulator』など、たくさんゲームの実況配信をされています。しかも、普通にプレイするのではなく、何かしらの“縛り”を設けて目的達成を目指す実況なので、見ているほうもいつもハラハラドキドキさせられます。

――華灯さんが一番ハラハラしたのは?

「勝手な行動は許さない。生存縛りピクミン【ピクミン3デラックス】」というタイトルの動画ですね。

勝手な行動は許さない。生存縛りピクミン【ピクミン3デラックス】

『ピクミン3 デラックス』を完全初見でプレイしたのですが、か弱いピクミンを1匹も命を落とさせない、もしも命を落としてしまったら、最初からやり直しというルール。絶対無理だろうと思われることを、やってしまうのがすごいですね。

――今伺っただけでも、どのタレントさんも実に個性的ですね。“Dev-a”の皆さんは動画配信スタートから約2カ月が経ちました。華灯さんは“Dev-a”の5人の活躍をどうご覧になっていますか?

皆さん、本当に頑張って配信活動をつづけていらっしゃいますが、ただ頑張っているというだけでなく、個人個人がポテンシャルをいかして、自分自身のスタイルで活動されているのが素敵です。それぞれ自分のやりたいことや、強みをしっかり把握して、このまま前進していってほしいと思います。また、同じ『VEE』の同期の仲間ということもあり、5人の仲がとても良いんです。コラボ配信も積極的にやっていらっしゃいますし。私たちスタッフはタレントの皆さんと、常にDiscordというボイスチャットツールを使ってやりとりしているのですが、“Dev-a”の5人もいつもDiscordでコミュニケーションを取っているのでチームワークも良く、とても微笑ましいです。

後編へつづく

文・取材:阿部美香

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