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連載Cocotame Series

サステナビリティ ~私たちにできること~

スヌーピーが青いサンタクロースに!――ピーナッツ・ギャングと『ブルーサンタ』から学ぶ海の環境問題

2023.07.10

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ソニーミュージックグループでは、持続可能な社会の発展を目指して、環境に配慮した活動や社会貢献活動、多様な社会に向けた活動など、エンタテインメントを通じてさまざまな取り組みを行なっている。連載企画「サステナビリティ ~私たちにできること~」では、そんなサステナビリティ活動に取り組む人たちに話を聞いていく。

今回は、7月17日(月・祝)の「海の日」に開催されるビーチクリーンイベント『ブルーサンタ』と『ピーナッツ』のコラボレーションにスポットを当てる。今回のコラボイベントでは、『ブルーサンタ』の告知ポスターや関連イベントの参加記念グッズにスヌーピーと仲間たちのビジュアルが登場し、きれいな海を未来へ残すための取り組みを応援する。

多くの人から愛されるキャラクターが、環境保全活動や社会貢献活動とコラボレーションすることで生まれる可能性とは? 本イベントの開催を告知するプレス発表会の終了後に、『ブルーサンタ』を主催するNPO法人 海さくら 理事長の古澤純一郎氏と、国内で『ピーナッツ』のライセンスビジネスを展開するソニー・クリエイティブプロダクツ(以下、SCP)代表取締役執行役員社長の大竹健に話を聞いた。

  • 古澤純一郎プロフィール画像

    古澤純一郎氏

    Furusawa Junichiro

    NPO法人 海さくら
    理事長

  • 大竹健プロフィール画像

    大竹 健

    Ohtake Ken

    ソニー・クリエイティブプロダクツ
    代表取締役執行役員社長

スヌーピーと一緒に『ブルーサンタ』になってゴミ拾い

――7月17日(月・祝)の「海の日」に片瀬東浜海岸(藤沢市)で開催されるビーチクリーンイベント『ブルーサンタ』にはスヌーピーも登場(天候次第)する予定ですが、このたび『ブルーサンタ』と『ピーナッツ』とのコラボレーションが実現した経緯について教えてください。

大竹:『ピーナッツ』の国内エージェントを任されているSCPでは、毎年、日本独自のマーケティングテーマを設定してさまざまな取り組みを行なってきました。その上で、今年度は『ピーナッツ』のコミックで多く描かれている“自然を思いやることの大切さ”から、“SNOOPY Loves NATURE”というテーマを掲げて活動を行なっています。

そして、自然環境に焦点を当てた取り組みを進めるなかで、テーマを具体的なアクションにつなげる場を探していたときに、海さくらの皆さんが行なっている『ブルーサンタ』の活動に出会い、その理念に共感しました。それが発端となって、SCPのスタッフからご連絡をさせていただいた次第です。

「SNOOPY LOVES NATURE」ビジュアル画像

古澤:SCPの担当の方から「『ブルーサンタ』と『ピーナッツ』でコラボしませんか?」とご提案いただいたときは、本当にびっくりしました。誰もが知るあのスヌーピーですからね! こんなにすごい味方が応援してくれたら、より多くの方々に我々、海さくらの活動を知っていただくことにもつながるので、ありがたいお話だと思いました。

2005年に海さくらを設立して、ひとりで始めたゴミ拾いですが、徐々に仲間が増えていって、ついにはピーナッツ・ギャングまで……諦めなければきっと海はきれいになると思った瞬間でしたね。

ブルーサンタ画像1

『ブルーサンタ』開催を告知するプレス発表会後、対談取材に応える海さくらの古澤氏とSCPの大竹。

――お互いの活動や理念について、どのような印象をお持ちですか?

大竹:海さくらは長年、海の環境保全活動に熱心に取り組んで実績を積まれているだけでなく、“目指せ! 日本一楽しいごみ拾い!”を合言葉に、子どもから大人まであらゆる世代を巻き込んで、地域に根付いた活動をされています。そして、ゴミ拾いというボランティア活動に、さまざまなエンタメ要素をプラスして“楽しい”という体験も生み出している。そういったところに、エンタテインメント会社の一員として親近感をおぼえましたし、『ピーナッツ』の作者であるチャールズ M.シュルツさんが描いた“思いやりの輪”を広げるグローバルなプロジェクト“TAKE CARE WITH PEANUTS”にもつながる活動だと感じました。

古澤:“ゴミ拾いは思いやり”だと私はかねてから思っていたので、シュルツさんのそのお話を聞いたときはさらに驚きました。今回のコラボレーションを通して、我々が今まで知らなかった『ピーナッツ』の優しい世界を知るきっかけになったと思います。スヌーピーはキャラクターとしてかわいいだけでなく、人を思いやるとか、地球を大切にするといったメッセージを伝えてくれる存在なんですね。コミックを買って改めて読んでみて、いろいろなことを教えられました。

TAKE CARE WITH PEANUTSとは?

TAKE CARE WITH PEANUTSビジュアル画像
~自分を大切に お互いを大切に 地球を大切に~
『ピーナッツ』の作者、チャールズ M.シュルツ氏のコミック全体から感じるテーマを色づけるように、権利元であるPeanuts Worldwideは、ファンとそのコミュニティに対して、自分自身を含めた人、そして地球を大切にしてほしいとの願いを込めて「TAKE CARE WITH PEANUTS」プロジェクトを立ち上げている。「Take Care」に賛同したライセンシーは、一定のレベルのサステナビリティを保った商品やパッケージとともにこの取り組みを促進。本プロジェクトを通して思いやりの心を大切にするという、メッセージを伝えていく取り組みを、ワールドワイドで行なっている。

――今年の『ブルーサンタ』のキービジュアルには、青いトングを持って、青いサンタ帽子をかぶったスヌーピーが海岸でゴミ拾いをしているデザインが登場しました。そのほか、関連イベントの参加者にプレゼントされるグッズもスヌーピーのデザインになっています。こうした施策は、どのように具体化していったのでしょう?

ブルーサンタ姿のスヌーピー

古澤:コラボレーションが決まってから、「こういうことがしたい」という施策を我々からご提案して、SCPの皆さんにスヌーピーたちが登場するデザインを考えていただきました。

我々は『BLUE SHIP』という、全国のゴミ拾いや環境活動を簡単に探せるポータルサイトも運営しており、現在約4,000以上の企業や団体、個人の方に利用していただいています。そのネットワークも活用して、今回、全国各地で『ブルーサンタ』のイベントを実施してくださった団体には、スヌーピーのピンバッジやステッカーをプレゼント※しています。

※イベント実施団体に、スヌーピーのピンバッジ(リーダー用に1個)とステッカー(参加者用10枚)を用意(数量限定)。

また、片瀬東浜海岸に期間限定で登場する子ども向けの船のアスレチック『ちびっこBEACH SAVERパーク』に遊びに来てくださったお子さんたちにプレゼントするのが、「おさかなマスターハンドブック」。こちらはスヌーピー率いるビーグル・スカウトのデザインになっていて、おさかなクイズをしながら、スタンプを全部集めるとオリジナルのステッカーをプレゼントします。

おさかなマスターハンドブック

コミックへの初登場から来年で50年を迎える、ビーグル・スカウトのスヌーピーとウッドストックたちのビジュアルが使用された「おさかなマスターハンドブック」とステッカー。

ゴミ拾いをしようと思ったきっかけは?

――古澤さんは2005年にNPO法人として海さくらを立ち上げ、ビーチクリーン活動をつづけてこられたわけですが、ゴミ拾いをしようと思ったきっかけは何だったのでしょう?

古澤:シンプルに“海が好き”というのが動機で、あとは実家が船具屋を営んでいて、小さいころから川や海のお世話になっていたというのもあります。恩返しとして、海をきれいにする活動をしたいと考えました。

始めた当初は「海をきれいにするぞ!」という暑苦しい想いと使命感を胸に、眉間に皺を寄せながらゴミを拾っていたので、「おまえなんか怖いよ」と言われて周りから人がいなくなりました(笑)。これではいけないなと思い、笑顔でゴミ拾いをするにはどうすれば良いんだろう? と考えた結果、ゴミ拾いに“楽しい”を加えることができれば、自然とみんなが笑顔になれるということに気付いたんです。

そうして海さくらの活動を広げていって、今年で18年。今では多くの仲間たちと一緒に、“日本一楽しいごみ拾い”を追求できるまでになりました。たくさんの出会いに感謝しています。

――大竹さんにとっても、海は身近な存在ですか?

大竹:はい、私も実家が海の近くにあるので海岸で犬の散歩をしたり、マリンスポーツをしに鎌倉の方に足を運んだりしています。多くの人にとって、海にはさまざまな思い出があると思うんですよね。良い思い出、悪い思い出、楽しかったこと、悲しかったこと……そういった海を歌った名曲もたくさんあります。

私も音楽の仕事をしていたときは、いろいろなアーティストを通して海と関わってきました。お付き合いの長いTUBEの皆さんは、この『ブルーサンタ』の活動にも賛同してくださっています。

大竹健画像1

ゴミはそのときの社会を反映する

――長年にわたってビーチクリーン活動をしてきた古澤さんから見て、ゴミの量に変化はありましたか? また、江の島の海で拾われるのはどんな種類のゴミが多いのでしょうか?

古澤:ゴミはそのときの社会を反映しているとよく言われますが、例えばコロナ禍に入ってからは不織布のマスクが浜辺にたくさん流れ着いていました。あとは、タバコのフィルターもすごく多いですね。以前、3分間で誰が一番多くタバコの吸い殻を拾えるか選手権をしたら、たったの3分間で200個ものタバコのフィルターが拾われたこともあります。ほかにもお菓子の袋など、やっぱり街のゴミが多いですね。

結局、街で捨てられたゴミが、雨風によって排水溝に流れ込み、下水道管を通って海へと運ばれ、浜辺に流れ着くというわけです。ビーチクリーンというと、海で捨てられたゴミを拾うイメージかもしれませんが、それだけではありません。街がきれいにならない限り、海もきれいにならないのです。

特に最近は海の環境保全活動が叫ばれているので、地元住民の方たちの意識は非常に高まっていて、サーファーや散歩で浜辺を訪れる方たちは、ゴミを出さないどころか、自主的にゴミを拾って帰る方が多いんですね。だから、やっぱりひとりでも多くの人に、今、手に持っているそのゴミをどうするのかを考えてもらいたいなと思います。

――近年はマイクロプラスチックの問題も取り上げられていますね。

古澤:5mm以下のプラスチックをマイクロプラスチックと呼びますが、その手前の1~2cmのプラスチックも非常に多く、これらはザルでふるいにかけて回収しています。たったひとつのプラスチック製品が、放置されると細かく分解されて、何千、何万の破片になってしまいます。そうなるともう、拾い集めるのは至難の技。その前に拾う、そして結局のところは捨てないことが非常に大切だということです。浜辺を歩いていただくとわかりますが、本当に小さなプラスチックゴミが多いという状況です。

片瀬東浜の様子
砂浜にあるマイクロプラスチックj

引いて見ればきれいな砂浜も、よく見ればプラスチックゴミが落ちている。

――ゴミの問題だけでなく、地球全体の環境問題が生態系に大きな影響をもたらしていると言われていますが、その点も実感されていますか。

古澤:そうですね。地球温暖化により水温が1℃上がると、海の生態系が大きく変わってしまうと言われています。近年はこのような温暖化に加え、黒潮の大蛇行、川から流れ込む有機物の増加など、さまざまな要因が重なり合って、海藻や海草が育たず、海底の森がなくなってしまいました。私は子どものころから海に潜るのが好きで、当時は、海藻が生い茂った海の森があちこちに見られましたが、近年は激減しています。

そういった事実を目の当たりにしているからこそ、我々はゴミを拾うだけでなく、江ノ島の西浦にアマモを植えたり、二枚貝を放ったりといった活動も行なっています。最近では、その場所にコウイカが集まるようになってきて、卵を産みつけているのも確認できています。

ゴミを“拾う”から“生まない”へ

――先ほど「環境意識の高まり」とおっしゃいましたが、ビーチクリーン活動に参加する人の数は以前より増えているのではないでしょうか。ゴミ拾いへの心理的なハードルは下がってきているように感じます。

古澤:全国の『ブルーサンタ』に参加してくださった方々の合計人数が、昨年は9,000人以上、コロナ禍に入る前の2019年は12,000人以上となっていますから、おかげさまでビーチクリーン活動としては盛り上りをみせています。

ただ、「ゴミを拾いに行こうよ」と誘われて、心の底から喜んで行く人がどれくらいいるでしょうか。本心は「それよりも遊びたいな」と思っていると思うんです。私だってゴミ拾いをするよりかは、浜辺で友だちたちと集まって、お酒を飲んだり、遊んだりしている方が楽しいですから(笑)。

古澤純一郎画像1

――確かに、こういった活動への参加は、自分から進んで行なうというより、きっかけは学校や町内会のイベントだったりしますよね。最初はちょっと「めんどくさいな」と思っても、実際にゴミ拾いに行って、浜辺がきれいになると気持ちが良いという。

古澤:そうですよね。なので……その“はじめの一歩”を踏み出すきっかけ作りが大切だと思って海さくらの活動をつづけています。現役力士の方をお呼びして相撲体験ができるゴミ拾い「どすこいビーチクリーン」や、お笑い芸人の方とのゴミ拾い「お笑いビーチクリーン」など、イベントに来てもらうための施策をいろいろと行なってきました。ゴミを拾うだけでなく、まずは浜辺に来て、海の素晴らしさや心地良さを感じてもらえたらと思います。

――その一環として、今回の『ピーナッツ』とのコラボレーションがあるわけですね。SCPとしては、『ブルーサンタ』に参加する意義をどのように捉えていますか?

大竹:『ブルーサンタ』の活動は全国に広がっていますので、そのシンボルとしてスヌーピーを置いていただくことで、既に活動に参加されている方だけでなく、『ピーナッツ』のファンの皆さんにも知っていただく機会になったら良いなと考えています。

例えばスヌーピーが好きなお子さんが海へ行ったときに、ゴミをちょっと意識してくれるようになったり……。些細なことかもしれませんが、そういったことが古澤さんもおっしゃる“はじめの一歩”だと思いますし、その意識の変化はやがて大きな実りにつながると期待しています。

――キャラクターがアイコンになることで、環境保全活動や社会貢献活動に参加する“はじめの一歩”を後押しすることができると。

大竹:『ピーナッツ』に限らず、SCPがライセンスを手掛けるキャラクターは、どれもエバーグリーンな魅力があります。そしてエバーグリーンなキャラクターには、必ずストーリーとフィロソフィが存在します。

現在、さまざまな企業や団体がサステナビリティ活動に取り組んでいますが、そういった活動を浸透させ推進していくにあたって、キャラクターがメッセージを代弁し、“はじめの一歩”を踏み出す能動的なアクションを促してくれるのではないかと考えています。今後、サステナビリティ活動に対するキャラクターの貢献度は、ますます高くなっていくのではないでしょうか。

大竹健画像2

――ビジネス的にも伸びる分野であると?

大竹:そうですね。今回は地域の自治体を含めた皆さんと一緒にお取り組みを進めさせていただきましたが、今後もさまざまな分野で活躍されている企業や団体のお力をお借りして、一緒にサステナビリティ活動につながる商品やサービスの開発にも取り組んでいきたいと思います。

SCPは社内にクリエイティブ部門とマーケティング部門がありますので、クライアントに対しても能動的にいろいろな提案ができる組織です。その強みをしっかりいかしていきたいですね。

――最後に、今回の『ブルーサンタ』に参加する皆さんにメッセージをお願いします。

古澤:ゴミ拾いは、たった一度でも参加していただくと、ご自身の意識に大きな変化をもたらしてくれる活動です。ゴミを“拾う”からこそ“捨てない、生まない”の意識が芽生える。ですからひとりでも多くの方に来ていただきたいですし、街のゴミが海を汚している事実についても多くの人に知っていただきたいです。

今回は、スヌーピーと仲間たちという応援団にご協力いただき、これほど心強いことはありません。ぜひ、海の日の7月17日(月・祝)に『ブルーサンタ』に遊びに来て、海を“自分ゴト”に変えていただけたら!

大竹:スヌーピーにも会えますし、ゴミも減らすことができるし、海も楽しめる。とにかく思いっきりエンジョイしに、江ノ島を訪れてください!

文・取材:原 典子
撮影:冨田 望

関連サイト

ブルーサンタ2023 | 海さくら (umisakura.com)
https://umisakura.com/bluesanta/e2023/(新しいタブで開く)
 
SNOOPY Loves NATURE
https://www.snoopy.co.jp/lovesnature/#news(新しいタブで開く)
 
TAKE CARE with PEANUTS
https://www.snoopy.co.jp/takecare/(新しいタブで開く)

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