宮世琉弥がRyubi Miyaseを語る――自分にしか奏でられない『PLAYLIST』への想い【前編】
2024.04.18
2024.04.13
気鋭のアーティストの実像に迫る連載企画「アーティスト・プロファイル」。
2024年4月14日にデビュー20周年を迎えるフジファブリック。2月28日にニューアルバム『PORTRAIT』をリリースし、4月14日にはLINE CUBE SHIBUYA、8月4日には東京ガーデンシアターでの単独公演、そして11月10日には大阪城ホールにて、くるり、ASIAN KUNG-FU GENERATIONを招いた3マンと、3本のアニバーサリーライブを開催する。
今回は、音楽活動に対する想いと、その未来を、バンドを代表して山内総一郎(Vo.&Gt.)が語る。
後編では、アニバーサリーライブやフジファブリックが所属するソニー・ミュージックアーティスツ(以下、SMA)の50周年ライブへの意気込みを聞く。
フジファブリック Fujifabric
(写真左から)金澤ダイスケ(Key.)、山内総一郎(Vo./Gt.)、加藤慎一(Ba.)。2000年、志村正彦を中心に結成。2009年、志村が急逝し、2011年夏より3人体制で本格始動。奇想天外な曲から心を打つ曲まで幅広い音楽性が魅力の個性派ロックバンド。2月28日にニューアルバム『PORTRAIT』をリリースし、2024年4月14日にデビュー20周年を迎える。
(前編からつづく)20周年という節目に並々ならない気概をもって、自分たち自身に向き合いながら制作に臨み、そして誕生したアルバム『PORTRAIT』。リリースから1カ月強が経とうとしている今、山内総一郎にとって今作はどんな作品になったのだろうか。
「これから先に、まだまだこのアルバムの重要性というものがあるんじゃないかって、そんな予感みたいなものを今は感じています。ただ……このアルバムをつくっているときってなるべくファンの方々だったり、レーベルやマネジメントのスタッフだったり、メンバーや自分自身に対してもそうなんですけど、客観的な目線とかを考えないようにして、より自分の世界に入り込んだんですよ。
あの人にはこれがウケそうだとか、こっちのほうが喜ばれそうだとか、そういうのはとりあえず後回しにして、自分が好きだと思うもの、そこに責任を持とうと思ってつくり始めたものなので、ちょっとまだ冷静に見れないところもあるんです。
でも、とにかくこのメンバーで必死こいてつくったアルバムですし、これまでのアルバム12枚それぞれに思い入れはすごく持っているんですが、このアルバムに関しては特に大きなものをつくれた予感がしますね。何年も経たないうちに“あれは良いものが作れたんじゃない?”って自分たちで言っていそうな……手前味噌もいいところなんですけど(笑)。そういうアルバムなんじゃないかなって」
もしかすると今作以降、何かが大きく変わっていくような気がすると山内総一郎は言った。いつか振り返ったときに20周年に作った『PORTRAIT』が重要なターニングポイントであり、このアルバムをつくったからこそ今があると思えるような作品になるのかもしれない、とも。
「これまでにもそういうアルバムはありましたし、このアルバムもそうなるのかなって。でも、それは未来のことなのでわからないですよね、正直なところ。ただ、本当に頑張ってつくったんですよ。小学生みたいなことを言いますけど(笑)、本当に頑張ってつくったからなおのこと、次にアルバムをつくるときはこれを超えないとなって、それはずっと思っています。だから『PORTRAIT』をリリースする前からもう次に向けて新しく詞を書いていますしね。数打ちゃ当たるじゃないですけど(笑)、とにかくつくっていけばいつか良いものが出てくるんじゃないかと思いながら」
さて、既に発表されているが、20周年を祝して現在、3本のアニバーサリーライブが決定している。彼らのデビュー記念日である4月14日には『フジファブリック20th anniversary SPECIAL LIVE at LINE CUBE SHIBUYA 2024「NOW IS」』とタイトルされたワンマンライブが東京・LINE CUBE SHIBUYAにて開催。
さらに8月4日にも『フジファブリック20th anniversary SPECIAL LIVE at TOKYO GARDEN THEATER 2024「THE BEST MOMENT」』として東京・東京ガーデンシアターにてワンマンライブが、11月10日には大阪・大阪城ホールにて、くるり、ASIAN KUNG-FU GENERATIONを招いた3マンライブ『フジファブリック20th anniversary 3マンSPECIAL LIVE at OSAKA JO HALL 2024「ノンフィクション」』が行なわれる。
「“NOW IS”と“THE BEST MOMENT”はつなげるとひとつの文章になるんですよ、“いつでも今が最高の瞬間だ”って。今までずっとそんな時間を過ごさせてもらってきたので、ここでは20年間のベストを尽くしたいっていう気持ちですね。
なぜ、この2公演でタイトルを分けたのかと言えば、この2本のライブは地つづきだということを表現したかったから。“NOW IS”だからって今の曲だけで構成するってことではないですし、“THE BEST MOMENT”だからと言ってベスト盤みたいな内容にするわけでもなくて。この2本のライブを通して現時点での最高の瞬間を更新していきたいなっていう……これ、ライブのMCで言おうと思っていたのに、今、言っちゃいました(笑)」
セットリストなど詳しいことは取材時(3月中旬)には、まだバンド内でも決まっていないとのことだったが、2公演それぞれに違った肌触りのライブにしようといろいろアイデアを練っているところだという。
特に東京ガーデンシアターのステージに立つのは、フジファブリックにとってこれが初となることもあり、会場のスケールも鑑みてかなり派手な演出も計画中だと楽しみな予告も。何より祝ってくれる人たちの笑顔が見られるように、頑張って良いライブをつくりたいと意気込む。『PORTRAIT』の楽曲たちが生で演奏されたとき、私たちの心にどんな響き方をするのかにも期待は高まるばかりだ。
「僕らも楽しみなんですけど、結構、演奏が大変な曲ばっかりなんですよ(笑)。アルバムをリリースした日にファンクラブの方たちに向けて全曲ライブで聴いてもらうという企画をやったんですけど、これは難しいぞっていうのが3人の共通認識で。でもデビューして20年の、それなりにキャリアを積ませてもらったバンドが必死こいて演奏してる姿をお見せできるのはうれしくもあるんですよね。
余裕の演奏なんかじゃなく、客席さえ見ることができずに手元ばっかり見つめているような……そういうのもいまだに青春だなって思えるし、無我夢中でそこに魂を込めるっていう、そんなことがこの年齢でもできるんだって再認識した瞬間でもあったので。おかげさまで日々、練習する癖がつきました(笑)」
大阪城ホールでの3マンライブ“ノンフィクション”に招いた、くるり、ASIAN KUNG-FU GENERATIONとは浅からぬ縁で繋がっているフジファブリック。山内総一郎は、くるりのサポートギタリストとして、金澤ダイスケ(Key.)はASIAN KUNG-FU GENERATIONのサポートキーボーディストとして、かつてツアーやレコーディングに参加していた経緯を持つ。ともに2000年代の初期から邦楽ロックシーンの第一線で、それぞれにオンリーワンなサウンドを鳴らしつづけてきたこの3バンドが一堂に会する機会などそうあるものではないだろう。
「くるり、ASIAN KUNG-FU GENERATIONという、素晴らしい先輩方の胸をお借りして、みなさんに“祝ってください!”って言える貴重な1日ですし、この3マンもすごく特別なものになると思うんですよ。この3バンドが揃うってこと自体、まさに“ノンフィクション”だなって。くるりも、アジカンも、バンドという生き物として常に成長しつづけ、変化しつづけている方々なので、僕らもそんなバンドマンの端くれとして精いっぱいをお見せしたいと思っていますし、そんなノンフィクションの物語を目撃してもらえたらうれしいです」
ところで、フジファブリックが所属するSMAも、今年で会社設立50周年のアニバーサリーイヤーを迎えている。それを記念して、4月30日には同じくSMAに所属するUNISON SQUARE GARDENのボーカル&ギター斎藤宏介と山内総一郎のふたりが、『SMA 50th Anniversary presents 山内総一郎×斎藤宏介セッションライブ「山斎-SANSAI-」』を東京・EX THEATER ROPPONGIにて開催する。
「そうなんです。斎藤くんと“山斎”というユニットを組んで、先日J-WAVEの『ギタージャンボリー』(3月3日、東京・両国国技館にて開催)に出たんですけど、これがまた楽しくて。斎藤くんとはもちろん以前から顔見知りではあったんですけど、コロナ禍のタイミングでSMAの配信ライブをやったときにセッションして以来、グッと距離が縮まって、いろいろ話すようになったんですよ。弾き語りのイベントで一緒になったこともあるし、お互いギタリストでありボーカリストで、年齢もそんなに離れていないから共感できることが多いんですよね。
このセッションライブでは、SMAのレジェンドの方々のカバーとか、SMA縛りでいろいろ披露させていただこうかなと考えています。今、お互いにヒイヒイ言いながら、練習しているところです(笑)。斎藤くんはギターもすごく上手で刺激もたくさんもらえますし、こういうのも青春っぽくて良いなと思って」
それにしても“青春”と口にするときの山内総一郎の、なんとうれしそうなことか。この先、25周年、30周年とさらに節目を重ねてもきっと、変わらぬ笑顔で彼、そしてフジファブリックは青春を謳歌しつづけているに違いない。
「これしかないですからね、もう潰しがきかないので(笑)。こうして音楽をやらせてもらえている現状がどれだけありがたいことか、つくづく感謝しかないです。特にフジファブリックに関しては、僕自身、すごくプライドを持ってやっているバンドですし、その誇りを失わずにつづけているっていうことも僕の“原点”だなって思うんですよ。そういった意味で今回、“原点回帰”をテーマにして、しかも『PORTRAIT』っていうタイトルでアルバムを出せたことが本当に良かったなって思います」
やはりフジファブリックは誇りなんですね、と最後に改めて問うと「はい!」ときっぱり答えが返ってきた。
「だって、めちゃくちゃ良いバンドですもん。誰かと比べるとかではなく、自分たち自身が本当に面白いバンドだと思っていますしね。もっともっとすごいんだぞっていう気持ちもありつつ、これからも自分の人生全振りですべてを懸けてやっていきます」
文・取材:本間夕子
フジファブリック20th anniversary SPECIAL LIVE at LINE CUBE SHIBUYA 2024『NOW IS』
日程:4月14日(日)
会場:LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
フジファブリック20th anniversary SPECIAL LIVE at TOKYO GARDEN THEATER 2024『THE BEST MOMENT』
日程:8月4日(日)
会場:東京ガーデンシアター
アニバーサリーライブ『フジファブリック20th anniversary 3マンSPECIAL LIVE at OSAKA-JO HALL 2024 「ノンフィクション」』
日程:11月10日(日)
会場:大阪城ホール
『SMA 50th Anniversary presents 山内総一郎×斎藤宏介セッションライブ 山斎-SANSAI-』
日程:4月30日(火)
会場:EX THEATER ROPPONGI
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