ねぐせ。：「ずっと好きだから」つづくバンド原点――思い出の地から見えてくる4人の姿②

ねぐせ。　neguse.

（写真左から）しょうと（Ba.）、りょたち（Vo./Gt.）、なおと（Dr.）、なおや（Gt.）からなる名古屋で結成された笑顔がモットーの4ピースバンド。2020年8月27日に結成され、10月から活動を開始、11月に初の有観客ライブに出演した。2022年にリリースされた「グッドな音楽を」はTikTokでの総再生回数9億超え、10週連続チャートインを果たした。2024年6月には初の日本武道館単独公演を開催しチケットはソールドアウト。8月7日リリースの1st EP「愛と哀のファイト！」収録の楽曲「ずっと好きだから」は、“2024 夏の高校野球応援ソング”／『熱闘甲子園』のテーマソングに起用されている。

記事の前編はこちら：ねぐせ。：「ずっと好きだから」つづくバンド原点――思い出の地から見えてくる4人の姿①

4人でやってきたことが間違っていないと確信できた、初の日本武道館公演

――2024年は、ねぐせ。にとって、忘れられない年になったのでないでしょうか。6月に開催された初の日本武道館単独公演『ファンタジークライマックス』は、バンドにとって非常に大きなトピックだったと思います。改めて感想を聞かせてください。

photo：タカギユウスケ

しょうと：日本武道館は言葉で表わせないぐらいすごい場所だなって思いました。ねぐせ。にとっても、ひとつの集大成で、今までやってきたことを出し切れたと思います。

なおや：本当にすごかったです。始まるまではそんなに緊張していなかったんですけど、いざステージに出てお客さんを目の当たりにしたら、急に緊張が増して、1曲目、ほんとに大丈夫かな？　ってなってました。でも終わってみたら、5分くらいに感じて。

しょうと：5分は言い過ぎ、30分はあったよ！

なおと：いや、10分だったな！

一同：（笑）

りょたち：それくらい一瞬で過ぎていったライブで、皆さんの僕たちに対する愛を、すごく感じた1日でしたね。結成から3年10カ月って、すごく短く感じる人もいると思いますけど……この4人でやりつづけてきたことの意味が、僕らも武道館でしっかりわかったというか。今までねぐせ。としてやってきたことが、間違っていなかったんだと思えるライブでした。

なおと：ひたすら人の温かさを感じていましたね。ファンの方もだし、僕ら自身も、お互いに成長してきたことが明確に見えた日でした。それまで僕らもいろいろなことがあったし、ファンのみんなもいろいろな意見を目にすることもあったと思うんです。そういうことがあったからこそ、成長しなきゃ！　という意識を持って武道館に行けたと思いますね。

――8,750人ものファンが集まり、チケットもソールドアウト。すごいことです。

なおと：正直、ずっとハラハラしていました。発表があって先行予約が始まったタイミングはたくさん応募が来るんですけど、途中でいったん落ち着くんですよね（苦笑）。あれ？　武道館やって大丈夫かな？……みたいな時期もありました。でも絶対、ソールドさせたい！　と思って。

りょたち：ありとあらゆる春フェスに出演して、必死に活動した甲斐もあって、チケットが売り切れたと聞いたときは、本当にうれしかったです。

――ねぐせ。ファンは中高生の方も多いので、会場に向かう道すがら「日本武道館でライブ観るのは始めて」と話している人もたくさんいましたし、客席でも「日本武道館のなかってこんな感じなんだ」と興奮しているお客さんを見かけて、ほっこりしました。セットリストも、初日本武道館ということで集大成的な内容になっていたと思います。

りょたち：はい。みんながねぐせ。を知ってくれるきっかけになった曲はもちろんですけど、実は、1st EP「ハッピーな暮らし」の収録曲なんかは、今まであまりやってこなかったんですよ。なので武道館では最近の曲だけじゃなくて、昔の曲もセットリストに入れて、クオリティの高いものを観てもらいたかったんです。

photo：大坪侑雅

――アンコールのラストでは、本編で既に2回演奏されていた「あの娘の胸に飛びこんで！」を、もう一度届けるというサプライズも、すごく盛り上がりましたね。

りょたち：あれは本当に事前に全然決めていなかったんです。冗談みたいに、アンコールでも「あの娘の胸に飛びこんで！」をやろうか！　なんて話をしてたことはあったけど、いざ予定していた最後の曲が終わったときに“マジで最後にハチャメチャなことやったら、俺らっぽいな！”と思って、ドラムのなおとに合図を送りました（笑）。

しょうと：僕はほとんど楽器を弾かず、暴れてましたけど（苦笑）。

りょたち：その前の、アンコールを求めてくれているときのみんなの声にも、感動したなぁ。

――「アンコール」という声で始まりましたが、途中からはファンの方が自発的に「ずっと好きだから」のコーラス部分を歌っていましたね。

りょたち：あんな風にやってもらったのは、ほんとに初めてで。

しょうと：あれはヤバかった！

なおと：今まで、僕らのファンの方ってアンコールのやり方に慣れてなかったから、ツアー中に一緒に練習したりしてたんですよ（笑）。だから、あんな感動的なシーンを作ってくれたことがすごくうれしくて、泣きそうでした。最後はみんなで笑顔で終わることができて、本当に良いライブになったと思います。

日本武道館での披露も悩んだ、新曲「ずっと好きだから」に込めた気持ち

――武道館でねぐせ。を応援してくれたファンのように、今年の夏は“2024 夏の高校野球応援ソング”／『熱闘甲子園』のテーマソングに起用された新曲「ずっと好きだから」を通じて、高校球児の皆さんを応援しています。

りょたち：もちろん「ずっと好きだから」は高校野球に打ち込む、この夏を戦う方々に向けて作ったんですけど、それだけではなくて、どんな人にも響く曲にしたかったんです。そこで、いろいろ考えた末に出てきたのが、誰でも辛いこととか苦しいことがあってもずっとやりつづけられる理由は、“好き”だからだ、っていうことだったんです。その言葉を、サビで歌いたかったし、曲名にもさせてもらいました。

ねぐせ。「ずっと好きだから」【2024 夏の高校野球応援ソング／「熱闘甲子園」テーマソング】

――曲を書いたりょたちさんも、スポーツ少年だったそうですね。

りょたち：僕はサッカーをやってました。けど、ポジションはずっと右サイドベンチだったので（苦笑）……レギュラーになれなくても、ずっとサッカーをつづけたい、好きなことをつづけたいんだと思う気持ちは、めちゃくちゃわかるんですよ。悔しさもたくさん経験してきたから。ただ背中を押して頑張れ！　って言う曲じゃなくて、何かを頑張ろうとするときの悔しさとか悲しみのマイナスな感情も、この曲では描いてみたかったんです。

――そういうマイナスの感情は、バンド活動でもありますか？

りょたち：もちろんありますね。メンバー全員あると思います。音楽で一番強いのは誰とかも決められないし、同世代や同い年で活躍してるバンドだとか、めっちゃ良いライブしてるバンドがいたら悔しいなと思うし。そういう気持ちも含めて、僕ら自身にもすごく響く曲になりました。

なおと：僕はもう、過去イチ好きです、この曲。僕もスポーツが大好きで、結構強い学校でテニスをやっていたんです。でも最後の大会で、すごく思うことがある終わり方をしたことで、ずっと嫌な思い出として残っていたんですね。

でもこの曲のデモを初めて聴いたとき、そのテニスの思い出が、嫌なものから、懐かしくて良い思い出に変わったんです。この曲が変えてくれた。それも含めて、一番好きな曲になりましたね。

しょうと：すごいよね。でも僕もレコーディング中から、めっちゃ良い曲になる自信はありました。確かに「ずっと好きだから」はリリースの前から、いろいろご迷惑をおかけした曲ですけど……いろんな意味で僕たちのための曲にもなったなと思うんです。

結局、僕たちがバンドつづけられている理由って、本当にずっと好きだからやな！　って思えたし。高校球児の皆さんへの応援ソングとして作った曲だけど、僕自身も、この曲にめちゃめちゃ支えられましたから。

なおと：だからこそ、あの武道館で何千人の人が、この曲を生で聴いてくれて、一緒に歌ってくれたことで、報われたっていうか。実は、武道館でもこの曲を歌うか歌わないか、すごく悩みました。

なおや：（深く頷きながら）うん……。

なおと：でも、あの日ファンのみんなの声援を聞いて、これからのライブでも、胸張ってこの曲を歌っていけそうだなって思いました。

photo：大坪侑雅

笑顔がモットーの4ピースバンド・ねぐせ。が描く未来像

――そんなねぐせ。も今年で4周年。8月27日には、地元・名古屋のバンド8組を招いたイベントライブ『ねぐせ。 4th Annivesary ～名古屋’s ROCKS VIBES～』も開催されますが、今後はどんな活動をしていきたいですか？

りょたち：やりたいことはたくさんありますけど、やっぱり……ロックとかバンドの音楽を流行らせたいです。そのためにも、全力全開でやっていきたい。魂の歌をたくさん書いていきたいです。みんなで仲良く。

しょうと：やることは今までと同じですね。どこかを目指すとかじゃなく、自分たちが楽しめば、結果的にバンドもデカくなって、おのずと大きいところでライブができるようになるんじゃないかなと思います。

りょたち：あとは……バラエティにも出てみたいです、『相席食堂』とか。お茶の間にも進出したいな（笑）。

一同：（笑）

――キャッチコピーも“笑顔がモットーの4ピースバンド”ですからね（笑）。

りょたち：僕ら性格も一人ひとり全然違っていて、メンバーがみんな自分たちのやっていることを愛してるところが強みだと思うんですね。だからこそ、人に上手に魅力を伝えられると思うし、ライブでも4人全員が、ちゃんと良いところを出せる。これからも、自分たちが本当にやりたいこと、“好き”だと思うことをずっとつづけていきたいなって思います。

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