三代目 J SOUL BROTHERSがこだわり抜いた展覧会『JSB3 CLASS』――すべては“MATEに喜んでもらうため”①
2025.02.14


2024.11.01
「六本木ミュージアム」で開催されている、オアシスのデビュー30周年を記念した特別展。その責任者であるソニー・ミュージックエンタテインメントの小沢暁子と、プロデューサーの武藤久美子にその裏側を聞く。後編では、オアシスのヒストリーを紐解きながらめぐる展示会の内容と、「リヴ・フォーエヴァー」に込めた思いを語る。
目次

小沢暁子
Ozawa Akiko
ソニー・ミュージックエンタテインメント

武藤久美子
Muto Kumiko
ソニー・ミュージックエンタテインメント
記事の前編はこちら:オアシスが再始動するという見積りで進めた『リヴ・フォーエヴァー:Oasis 30周年特別展』の裏側①
――『リヴ・フォーエヴァー:Oasis 30周年特別展』のメインビジュアルは「ワンダーウォール」のミュージックビデオ(以下、MV)のときの写真ですよね。
Oasis - Wonderwall (Official Video)
小沢:実はこの写真もなかなか使用許諾が下りなかったんですよ。「リヴ・フォーエヴァー」というタイトルはOKだけど、この写真は2ndアルバム『モーニング・グローリー』(1995年)のときのものだから合わないって言われて。
でも、こちらの意図としてはそういうことじゃないんだって説明したんです。彼らは、1stアルバムの30周年アニバーサリーというようなニュアンスで考えてるけど、私たちとしては、レトロスペクティブ、大回顧展みたいな感じで考えています、と。このバンドと一緒に生きてきた30年を全部振り返る象徴的な写真にしたいんだって説得して、なんとかOKをもらいました。
武藤:去年、ノエルが来日した際に少し時間をもらって、いろんな質問をさせてもらったんです。そこで本人が語った言葉を紡ぎながら出てきたコンセプトで進めました。例えば、「作った自分を天才だと思えた曲は何ですか?」とか、「一番の名曲は?」といった質問に対して、必ず「リヴ・フォーエヴァー」って答えるんです。
Oasis - Live Forever (Official HD Remastered Video)
――リアムも「オアシスの最高の曲は?」という質問に「リヴ・フォーエヴァー」と答えてますね。
小沢:リアムも好きな曲ですよね。「リヴ・フォーエヴァー」は、ふたりにとってバンド人生が見えた曲だと思うんですよ。デビューアルバム発表前に立った、1994年6月のグラストンベリー・フェスティバルのステージでも「リヴ・フォーエヴァー」を歌ってて。観客は聴いたことがない曲だから、最初はシーンとしてたけど、途中から、ざわざわしだしたというエピソードも残ってて。
バンドの駆け出しから必ず歌ってきてオアシスという存在を押し出した曲で、最初のターニングポイントになった曲だと感じてる。と同時に、楽曲の持つ意味も30年経って変化してきている。去年、ノエルの日本公演の前日にザ・ポーグスのシェイン・マガウアンが亡くなったという訃報が届いたんですが、そのステージでノエルはシェインに「リヴ・フォーエヴァー」を捧げていました。
――もともとは、カート・コバーン率いるニルヴァーナに代表されるようなグランジ音楽に対してリアクトした曲と言われてました。
小沢:当時ノエルは、破滅に向かっているようなグランジ音楽に対して、ものすごく嫌だったっていう話をしてたんですね。カート・コバーンはすべてを手に入れた末に破滅的になって、本当に亡くなってしまった。
いっぽう、ノエルたちは何も持ってなかった。地方の公団住宅に住み、生活は苦しくて、お母さんは自分たちの学校で給食を作っていて、家に帰ると父親に殴られる。そういう生活を送るなかからめちゃめちゃ勢い良く「俺たちはロックスターになるぜ!」っていう曲を書いて世に出てきた。
当時のイギリスは不況で、地方都市の多くの若者は裕福じゃなかったから、オアシスの曲を聴いて、「俺のことだ」「私のことだ」ときっと思ったんですよね。「リヴ・フォーエヴァー」ではそんな彼らと、“死にたいじゃなくて、生きてやる”っていうメッセージを共有したんです。“俺とお前は永遠だ”って、何の根拠もなく。だから、本来はこの曲って、未来に向けたポジティブな楽曲と皆が思っていた。
でも、シェインに向けて歌ったときに、“俺とお前は永遠だ”が、過去も含めて、過ごしてきた時間のすべてが永遠なんだっていうふうに響いてきた。未来の話だけではなく、自分の歩んできた過去を振り返ったときにも、ちゃんと響く楽曲だっていうことにびっくりしましたね。バンドの30年を振り返るにあたって、このタイトル以外は考えられなかったですね。
武藤:オアシスの曲って、これまでもこれからも人生と一緒に伴走していってくれるものなんだと思います。そういった意味も含めて、「リヴ・フォーエヴァー」はぴったりなタイトルですね。今回のキービジュアルはそこからイメージした写真を選んだし、その上にあるロゴも、30周年ということで、コラージュアーティストの河村康輔さんに作っていただきました。
小沢:去年の『サマーソニック』のバックステージで捕まえてお願いしました。河村さんは本当にオアシスが大好きな方です。バンドのロゴは本当に大事なものだから、今まで手を加えることなどなかったんですが、去年の3月に河村さんの資料をイギリスに持っていったところ、オアシス担当のA&Rはこちらが説明する前に河村さんのことを知っていて、事務所の社長も「面白い作品を作るデザイナーだ」だと言って気に入って。その後、ノエルからもリアムからもすぐにOKが出て、記念のロゴを作ることになりました。
武藤:一回裁断したものをもう一回つないでいくっていうのは河村さんのシグネチャーワークなんですけど、今回、過去のふたつのロゴをつなぐことで、一度バラバラになったバンドがもう1回ひとつになってくれると良いなという願いを込めたとおっしゃってました。
小沢:ロゴを作ったのは再始動が発表されるより全然前の話です。今回の素材は一番有名な“デッカロゴ”とスタッフから呼ばれているもので、いくつかあるデッカロゴのなかでも最初のものと最後のものを使用しています。でき上がったロゴを発表した直後に再始動が発表されたので、そのタイミングにもびっくりしましたね。
――今回はアルバムのアートワークを再現したフォトスポットもありますね。
武藤:2014年に開催されたロンドンから回ってきた展覧会『CHASING THE SUN OASIS 1993-1996』のときにもあった、デビューアルバム『オアシス』のジャケットの部屋を再現したセットを作りました。
来場者がそのなかに入って写真が撮れるようになってます。10年前の展覧会に来た方が、もしかしたらご家族とかができて、人数が増えてるかもしれない。オアシスと人生を一緒に歩んでる感が見えたら面白いかなって思います。
小沢:前回はインスタが今ほど広まってなかったんですよ。今回はインスタにハマる展示がいっぱいあるので、撮った写真をどんどん上げてもらいたいです。あとは、今回、初登場になる、すごい椅子があります!
――すごい椅子!?
小沢:「リヴ・フォーエヴァー」のミュージックビデオに出てきた椅子です。それがやりたくて! 予算の関係でできないかも……ってなりながらも、押し通しました。いつ武藤に、「この椅子はやめましょう」って言われるかビクビクしながら(笑)。最後はもう、絶対何がなんでも押し通すつもりだったんですけど!
武藤:MVでは、リアムがイギリスの建物の壁の外側に取りつけられている補助椅子に座ってて、それがすごく高い位置にあるんですけど、さすがに高いところは危険なので、トリックアートのようにしました。実際にはフロアの位置で座れるんですけど、高いところにいるように見える感じで作ってます。
小沢:皆さんにはグラサンかけて、黒い服を着て、リアムになりきって来てほしいですね(笑)。
――ミュージアムショップで展開されている、オリジナルグッズの種類も豊富ですね。
武藤:普通の展示会に比べるとかなり量はありますよね。先ほどのロゴやオリジナルのロゴもフィーチャーしつつ、スポーツカジュアルなどのアパレルも充実してますし、雑貨もいろいろあります。
河村さんにアートディレクションをお願いしたものもあって、いわゆる展示会のお土産品じゃなく、ファンのみならず、持っててカッコ良いとか、普段から持ち歩きたくなるようなものがいっぱいあります。
小沢:ノエルがデザインしたマンチェスター・シティFCのサッカーシャツが会場の外に飾ってありますが、サッカーシャツも作りました。
武藤:背中に“OASIS 30”って入ってるのでチーム感がありますよね。あとは、歌詞が入ってるグッズとか、リアムが使い込んでゆがんだようなタンバリンやノエルのギターをあしらった洋服やバッグも。トートバッグもいろんな形があるし、男女兼用のショルダーバッグもありますね。
小沢:いかにもオアシスっぽい大きなスポーツバッグも作りました。どれも数に限りがあるので、早めに来てゲットしていただきたいです。迷ってたらなくなると思います。
――2025年には再始動したオアシスを見られるわけですが、彼らに期待していることはありますか?
小沢:活動していない間のオアシスしか知らなかったファンの皆さんに喜んでもらいたいですよね。だから、ライブをいっぱいやってほしい。みんな「すぐに喧嘩してやめるんじゃないか」ってウワサしてますが、彼ら実はそんなに毎日ケンカしないですよ。しちゃうと酷いだけで(笑)。
もちろん、年齢も重ねたので、前みたいに強行スケジュールでのライブはできないと思うんですけど、たくさんライブをして、できるだけ若い世代にも楽しんでもらいたいなと思います。
武藤:ぜひ来日してほしいです。オアシスらしいネタをちょこちょこ挟みながら、来年も兄弟で賑やかしてほしいですよね。オアシスはやっぱり面白いし、目が離せないから。
小沢:そういう賑やかしのネタはいろんなところで彼ら自身がやってくれるので(笑)、ソニーミュージックとしては、真面目に温かく、バンドを支えていきたいと思っています。
記事の前編はこちら:オアシスが再始動するという見積りで進めた『リヴ・フォーエヴァー:Oasis 30周年特別展』の裏側①
文・取材:永堀アツオ
撮影:荻原大志
『リヴ・フォーエヴァー:Oasis 30周年特別展』


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