『東京喰種EX.』が目指したのは“五感”で作品の世界観に没入できる展示会➁
2024.11.01


人間を喰らう怪人・喰種と、喰種を憎む人間の葛藤を“体感”する――アニメ『東京喰種トーキョーグール』10周年を記念した体験型展示会『東京喰種トーキョーグールEX.』。
美しく悲しい世界を、立体物展示やインタラクティブ展示によって、臨場感のある体験ができるという本展示会について、企画、ディレクション、グッズの制作を行なうソニー・ミュージックソリューションズ(以下、SMS)のスタッフたちが集まり、『東京喰種EX.』に込めた思いを語る。
前編では、展示会を開催するに至った経緯や本展示会のコンセプトについて聞いた。
※本記事には『東京喰種EX.』館内の写真が含まれております。
目次

松山文音
Matsuyama Ayane
ソニー・ミュージックソリューションズ

田中伶奈
Tanaka Rena
ソニー・ミュージックソリューションズ

工藤優希
Kudo Yuki
ソニー・ミュージックソリューションズ
『東京喰種トーキョーグール』は石田スイによる人気漫画。物語の舞台は、人の肉を喰らう怪人・喰種(グール)が人間社会に紛れ込んでいる東京。喰種に襲われた主人公の金木研は手術の最中に、喰種の臓器を移植されてしまう。人間でありながら、喰種の力を身につけた金木は、人間と喰種の戦いに巻き込まれていく。2014年よりアニメ化が行なわれ、『東京喰種トーキョーグール』、『東京喰種トーキョーグール√A』、そして新シリーズの『東京喰種トーキョーグール:re』が制作された。
記事の中編はこちら:『東京喰種EX.』が目指したのは“五感”で作品の世界観に没入できる展示会②
記事の後編はこちら:『東京喰種EX.』の担当者たちのこだわりが詰まったオリジナルグッズ――おすすめポイントを紹介
――『東京喰種EX.』はアニメ作品『東京喰種トーキョーグール』の10周年を記念した展示会となります。皆さんのプロジェクトでの役割を教えてください。
松山:プロジェクト統括として展示会の企画制作、協賛営業、宣伝企画、運営計画など、開催に至るまでに必要な業務全体のディレクションを担当しています。東京喰種製作委員会との連絡窓口も担当させていただいています。
田中:私は、展示会全体のクリエイティブディレクションを担当しています。展示会に関するデザイン全般と展示のコンセプトや企画といったクリエイティブ全般が担当業務ですね。今回のイベントの設計施工に関しては同じくSMSの空間プロデュースチームが入っているので、社内でディスカッションを行ないながら企画を具体化しています。
工藤:私は展示会で販売されるグッズの企画、制作進行を担当しています。ラインナップの提案から、田中さんとデザインの相談、仕様を決めて制作し売り場に陳列するところまで、グッズ全般の業務に関わっています。
――今回の体験型展示会『東京喰種EX.』の企画はどのような経緯で立ち上がったのでしょうか。
田中:2年前にアニメ「NARUTO-ナルト-」の20周年を記念した『NARUTO THE GALLERY』という展示会を開催したときに、アニメ制作を行なうスタジオぴえろの皆さんとご一緒させていただいたのがきっかけです。
松山:1年以上前にスタジオぴえろの皆さんからアニメ『東京喰種トーキョーグール』の10周年をSMSのアイデアやソリューションで盛り上げてほしいとご相談をいただき、その後、SMSからさまざまな10周年企画を製作委員会の皆様へご提案して、このプロジェクトがスタートしました。
田中:「グッズは大事だよね!」という話がすぐに出たので、ある程度、展示会のコンセプトが固まったところで、工藤さんにもチームに入ってもらいました。
工藤:比較的早い段階からグッズの企画を始めることができたので、仕様やデザインにこだわれる時間が長くとれました。
――『東京喰種トーキョーグール』は石田スイ先生による原作漫画が人気を集め、アニメ、実写映画、舞台といった多彩な展開をしています。皆さんの『東京喰種トーキョーグール』との出会いと本展示会への思いを教えてください。
田中:私は過去に原作漫画を読んでいて大好きな作品のひとつです。原作とアニメ、両方のファンの方に喜んでもらえるよう、東京喰種の世界をしっかりと展示に反映しなきゃというプレッシャーは大きかったですね。
松山:私も大好きな作品のひとつで、アニメもリアルタイムで見ていました。10年の時を経てなお、根強く多くの方に愛されつづける作品に携われることを光栄に思っています。初めてこの作品に出会えたときに受けた衝撃や感情を改めて思い出しながら、ファンの皆さんとともに10年周年をお祝いし、作品の素晴らしさを共鳴しあえるような展示会にしたいなと思っています。
工藤:私も『東京喰種トーキョーグール』は大好きな作品です。本作に登場するキャラクターは、全員個性が際立っているんですよね。というのも、美しく残酷な世界のなかで、それぞれに深いバックグラウンドが用意されている。魅力的なキャラクターたちとストーリー、どちらも大切にしたグッズ制作を心がけました。
――今回の『東京喰種EX.』のロゴマークは、原作やアニメのものとも違います。これはどんなアイデアからデザインされたものだったのでしょうか。
田中:まず、ロゴだけで見ても『東京喰種トーキョーグール』という作品だとわかるものにしたいと思っていました。そこで『東京喰種トーキョーグール』の文字に、劇中で登場する喰種の武器・赫子(かぐね)を組み合わせるデザインにしたんです。
――企画が始動したときには、どんな展示会にしようと考えていましたか。
田中:最初は、SMS内で部署関係なく『東京喰種トーキョーグール』が好きな人たちを集めて意見を出し合うところから始めました。アイデアが出揃った段階でクリエイティブチームが受け取り、企画として成り立つように詰めていくという流れで進めていきました。
企画を詰めていく段階で、アニメの展示会だからこそ動画をより魅力的に見せることや、設定資料をしっかり出したいという方向性が生まれたんです。そして、10周年を記念したイベントなので、作品の10年間をしっかり感じられるものにしようとも考えていました。
松山:あとは作品の世界観に合わせた、ダークな雰囲気を出したいという話もしていましたよね。
田中:そうですね。加えて、作品のなかに入り込めるような演出も加えたいということで、暗転したところから展示を始めていこうと考えていました。
――体験型展示会と銘打っていますが、今回の展示全体のコンセプトについても教えてください。
田中:最初に主人公の金木研とトーカ(霧嶋董香)、リゼ(神代利世)が赤い糸に絡み合っているキービジュアルを作りました。これは、金木が喰種と人間の間でもがいている“葛藤”をテーマにビジュアル化していて。この“葛藤”というキーワードは、展示全体においても大事にしているテーマで、この展示会に来た方には、金木と同じように“葛藤”を“体験”してほしいという思いを込めています。そこから体験型展示会のコンセプトにつながりました。
――金木研のドラマを展示会のコンセプトにしたということですね。
田中:はい。リリースを出すときは“体験没入型”という言葉を使っていますが、スタッフ間で共有しているテーマは“葛藤”なんです。この“葛藤”をどうやって表現していくか、どうやって体感してもらうかをずっと考えていました。
松山:展示会を監修してくださっている製作委員会の皆さんも、どうやったら『東京喰種トーキョーグール』の世界観をより体感できて、その空間に没入できるかということを一緒に考えてくださって。議論を重ねながら企画を練り直し、より良い展示になるようにいろいろなアイデアを提案してくださいました。
――製作委員会の皆さんとは、具体的にどのような議論をされましたか?
田中:体験型展示会というコンセプトがありましたので、まずは、ファンの方々がどうやったら没入できるかということに重きをおいてご指摘を受けましたね。制作に没頭して狭くなってしまった私たちの視野を広げてもらいました。
松山:「会場に足を踏み入れた瞬間の高揚感をどう造るかが大切で、こういう展示があったら、より世界観に入り込めると思う」など、よりお客さん目線かつフラットな意見をいただくことで、そのためにはどういう表現を取り入れるのが良いかといった議論を重ね、作品のファンの方々により楽しんでいただくためにクリエイティブの解像度を上げることができたと思っています。
――最終的に組み上げた展示プランはどんなものになったのでしょうか。
松山:最初は丁寧にアニメのシーンとストーリーをなぞる構成で、場面カットやそのシーンに対応する読み物と合わせて展示するような、少し落ち着いた雰囲気をプランニングしていたんです。でも、打ち合わせを重ねていくうちに、これは本当に会場の扉が開いた瞬間から、お客さんのボルテージが一気に上がるようなものになっているか? となりまして。
“より大胆に”をモットーに、音や光の表現などを駆使して世界観を可視化しつつ、“体験”を中心に据えて資料などの読み物をあえて削っていくような方法を模索していきました。
田中:来場された方が金木と同じ気持ちになれるような展示方法として、セリフや場面がぐちゃぐちゃに展示されている空間、真っ白から真っ赤に切り替わる空間など、その時々の金木の感情に沿った演出をしました。グチャグチャになって“葛藤”している感覚や、覚醒の瞬間を、ぜひ皆さんにも味わってもらえたらと思っています。
松山:あえて場面カットの展示を減らして、照明を落とした空間を使った展示に切り替えたことで、アトラクション的な要素が増えましたよね。
田中:そうですね。来場された方があっと驚くような、音声の演出やインタラクティブの要素もどんどん増やしていきました。
中編では『東京喰種EX.』の展示物の見どころ、フォトスポット、そしてグッズのポイントについて語る。
記事の中編はこちら:『東京喰種EX.』が目指したのは“五感”で作品の世界観に没入できる展示会②
記事の後編はこちら:『東京喰種EX.』の担当者たちのこだわりが詰まったオリジナルグッズ――おすすめポイントを紹介
©石田スイ/集英社・東京喰種製作委員会 ©石田スイ・十和田シン/集英社・東京喰種製作委員会 ©石田スイ/集英社・東京喰種:re 製作委員会
文・取材:志田英邦
撮影:冨田 望
【開催概要】
東京喰種EX.公式サイト

2026.07.11
2026.06.30
2026.07.04
2026.07.03

2026.07.02
2026.07.01
ソニーミュージック公式SNSをフォローして
Cocotameの最新情報をチェック!