アニメ『俺だけレベルアップな件』プロデューサーに聞く――アニプレックスとCrunchyrollの協力体制によって生まれたアニメ化の件①
2025.03.28


2022年に放送が開始されたTVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』。女子高生バンドをテーマにし、アニメファンのみならず音楽ファンからも大きな注目を集めている。なかでも劇中バンド・結束バンドは、ミュージシャンの演奏と、キャストによるボーカルで2023年より、リアルバンドとして活動中で、2月15日には東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナにて初のアリーナワンマン『結束バンドTOUR We will B』の開催を控える。
後編では、音楽のプロデュースを行なうアニプレックス(以下、ANX)SSチームのメンバーに、結束バンドの活躍の背景と、チームの今後のビジョンについて聞く。
目次

山内真治
Yamanouchi Masaharu
アニプレックス

安谷屋光生
Adaniya Koki
アニプレックス

西田圭稀
Nishida Keiki
アニプレックス

岡村 弦
Okamura Gen
アニプレックス

吉原杏菜
Yoshihara Anna
アニプレックス
記事の前編はこちら:アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』音楽制作チームが語る――映像と融合した“音楽”の魅力①
記事の中編はこちら:アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』音楽制作チームが語る――映像と融合した“音楽”の魅力②
アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』に登場し、下北沢にあるライブハウス「STARRY」を拠点に活動する女子高校生の4ピースバンド。2023年よりプロのミュージシャンの演奏とキャストがボーカルを担当する、リアルバンドとしての活動もスタートし、これまでにワンマンライブ、大型フェスへの出演、そして2024年は初のZeppツアーも開催。各キャラクターの声優は青山吉能(後藤ひとり/ギター)、鈴代紗弓(伊地知虹夏/ドラム)、水野 朔(山田リョウ/ベース)、長谷川育美(喜多郁代/ギター&ボーカル)が演じる。また、リアルバンドでの演奏は三井律郎(ギター)、比田井修(ドラム)、高間有一(ベース)、akkin(ギター)が担当。2月15日には、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナにて、バンド史上最大規模の追加公演を開催する。
――アニメの人気に伴って、SSチームの皆さんが総力をあげて作り込んだ結束バンドの音楽も、音楽シーンで大注目されています。2022年12月にリリースされたアルバム『結束バンド』は、フィジカル、配信ともに各種チャートで軒並みトップ10圏内の上位を獲得。今もセールスを伸ばし続けているそうですね。
山内:CDが売れなくなっている時代ですが、20数万枚を売り上げています。CD全盛期に換算するとダブルミリオンクラスの価値になるんでしょうから、うれしいですよね。それもアニメの制作チームの皆さん、キャストの皆さん、音楽制作に携わってくださったクリエイターの皆さん、そしてANXの宣伝チームをはじめとした各セクション、すべての相乗効果のたまものです。
――さらに、結束バンドのリアルな音楽活動も活発になっていきました。2023年5月には、初のワンマンライブ『結束バンドLIVE-恒星-』がZepp Haneda (TOKYO)で開催されましたが、リアルバンドでの活動は当初から予定していたのでしょうか?
山内:正直、最初はまったく考えていませんでした。ほかのバンドもの作品のなかには、キャスティングの段階からリアルライブを想定して、楽器や歌唱に秀でた人を探すキャスティングをすることもありますが、『ぼっち・ざ・ろっく!』はそうではなく、あくまで作品のなかだけのバンドという認識だったんです。
岡村:結束バンドのリアルライブは、2022年末にTVアニメの放送が終わり、翌年から本格化していきました。2023年の4月に有楽町のヒューリック東京で作品イベント『ぼっち・ざ・ろっく! です。』が決定していて、キャストさんも登壇するのでせっかくならミニライブで結束バンドの曲もお届けしよう! というのが最初でしたね。
ただ、そのころには既に私たちの想像以上に作品と結束バンドの人気が高まっていて、「次は、ワンマンライブができたらいいね」という話になり、実現したという経緯です。ただ、その段階でもZepp Haneda (TOKYO)で1回限りの開催しか決まってはいませんでした。
そうこうしているうちに、注目度はどんどん高まっていって、ここまできたらリアルバンドの活動も続けていくべきじゃないかという話になっていきました。なので、作品の盛り上がりと一緒に、こちらも火がついていった感じですね。
――その後も、アニメやアニソンとは直接関わりのない大型音楽フェスにも結束バンドとしての出演が続きました。2024年5月には『JAPAN JAM 2024』、8月には『ROCK IN JAPAN FES. 2024』に出演。まさに下北沢のギターバンドがどんどんメジャーになっていくリアルな歩みを見るようでした。あのステージに立ちたいと思っているアーティストやバンドはたくさんいますが、簡単に立てるものじゃないですからね。
山内:本当に。ただ結束バンドの場合は、あくまで作品ありき。基本的に結束バンドの稼働は作品の宣伝プランの一環でもあるので、普通のアーティストの動きはできないんですね。
そこはアニメ制作チームと話し合いながら、ライブをする際にはミュージシャンのスケジュールの調整やリハーサル、本番の立ち会いなど、音楽面のサポートをSSチームで行なっています。ただそのレベルが、今や想像を超えた範囲まで広がってきている、という状態です。
――そして昨年9月から12月までは、大阪、札幌、東京羽田、名古屋、福岡のZeppをめぐる初の全国ツアー『結束バンドZEPP TOUR 2024 “We Will”』も実現しました。
岡村:結束バンドはパーマネントバンドではないので、ボーカルを担うキャストさん4人と、バンドメンバーのスケジュール調整が難しく、結局4カ月におよぶ長期ツアーになってしまいましたが、おかげさまですべての会場がソールドアウトでした。
――さらに追加公演として、2月15日、武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナにて、初のアリーナライブ『結束バンドTOUR “We will B”』が控えています。日本各地の映画館のほか、香港、台北、台中、高雄、ソウルでもライブビューイングを実施。インターネット生配信も行なわれるという人気ぶりです。ライブ数回目にしてアリーナクラスへと進出するというのも、それだけ注目が集まっているということですね。
岡村:本当にありがたいです。やはり今のキャラクターバンドは、声優さんたちが演奏もして歌ってというほうが主流なので、ボーカルはキャストが担当して演奏はプロのミュージシャンが担当し、それがバンドとして存在するという結束バンドは、むしろ異色なのだと思います。
ただ、私たちも途中から、それがトータルで結束バンドなんだということで、“弾いてみた動画”にもギタリストの三井律郎さんにしっかり顔出しをしてもらうといった展開をしていったんです。そうしたら、その動画が好評で。
TVアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」劇中曲「星座になれたら」を弾いてみた by 三井律郎
――結束バンドの音楽自体が、本当にファンに愛されている証拠ですね。
岡村:そうだと思います。逆にライブに来るお客さんも、ミュージシャンたちの素晴らしい演奏を楽しみのひとつにしてくださっている。生で皆さんの演奏が観られてうれしかったという感想をいただくくらい、バックバンドが声優さんじゃないということも肯定的に捉えてもらえ、結束バンドそのものを愛していただいている状況が、すごくありがたいです。
山内:そういう意味では、いわゆるキャラクターソングと言われる音楽とは違う愛され方をしているのかもしれないです。
岡村:実際、そこまで数は多くないですが、結束バンドはめちゃめちゃ聴いているけど、実はまだアニメを見ていないという方がいらっしゃったりするんです。YouTubeで演奏シーンだけは見ているけど、アニメ本編は通して見ていないというような。その現象自体、アニメ発のバンドとしてはレアですよね。音楽から作品に興味を持ってくださるというのは我々としてもうれしい限りですね。
――音楽軸のファンも増えているんですね。
岡村:ライブ自体もいわゆるアニメ、アニソンフェスとは雰囲気が違います。下北沢ライブハウス出身バンドという設定にのっとって、最初のワンマンのときに“ペンライトはご遠慮ください”というアナウンスをしたのですが、それ以降も皆さんがその約束をしっかり守ってくださって。結束バンドは、リアルバンドなんだという認知をしていただけているのがうれしいです。
山内:結束バンドの音楽をいろいろな側面から、楽しんでいただける機会がまた作れるように、応援していただけたらうれしいですね。
――『ぼっち・ざ・ろっく!』に限らず、SSチームでは今後もさまざまなANX作品やコンテンツの音楽を制作していくと思います。SSチームとしての今後のビジョンを教えてください。
山内:アニメ作品はいろいろありますし、ANXの場合はゲームも、それ以外のコンテンツも本当にたくさんあるので、私たちはANX内の“音楽なんでも屋さん”として、引き続き頑張っていきたいと考えています。他部署から「これはどうしたらいいですか?」と1聞かれたら、30返すくらいの音楽の専門知識と人脈に長けたチームだと自負していますので、社内のすべての作品にそれを還元できるようにしたいです。
また、アニメ作品が増えると、それこそ『ぼっち・ざ・ろっく!』のような音楽が主軸となる作品もまた出てくると思います。そのときに備えて、ただアニメに寄り添うだけではなく、なんだったらアニメそのものを引っ張っていくくらいの音楽を、いつでも作れる体制にしておかなければいけないと感じています。
――音楽主導の作品だからこその魅力も生まれますよね。
山内:はい。そのためにも、チーム全員が日々、それぞれに情報を仕入れたり、勉強をしたりしながら情報共有をしています。また、ソニーミュージックグループ全体にも言えますが、新しい技術に対してどのように我々は対応していくのか? というのは、常に考えておくべきだと思っているので、実験的なこともどんどんやっていきたいですね。
――『ぼっち・ざ・ろっく!』もそうですが、ANX作品は海外でも非常に人気があります。海外を意識した取り組みについてはどのように捉えていますか?
山内:もちろん、そこも大事にしていきたいです。確かに『ぼっち・ざ・ろっく!』は海外でも非常に人気で、結束バンドのアナログレコードやカセットテープが、海外で売れているという状況もあります。
今や日本のアニメ作品は、全世界に広がりつつある実感があります。なので、日本のものを海外向けにローカライズするという発想ではなく、海外のマーケットと海外ファンそのものに対して、どういう音楽を届ければ刺さるのか? という逆算の論理も、日々の音楽制作のなかに取り入れていくことが必要だと思っています。
アニメというのは、本当に想像力が豊かですし、さまざまな視点を実現できるものです。現実にはないものを成立させるのに、音楽はどう貢献できるか。実に無限のアイデアが必要とされますから、より良い作品になるよう、柔軟な発想での提案を、これからもSSチームで作っていきたいです。
記事の前編はこちら:アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』音楽制作チームが語る――映像と融合した“音楽”の魅力①
記事の中編はこちら:アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』音楽制作チームが語る――映像と融合した“音楽”の魅力②
文・取材:阿部美香
撮影:干川 修
©はまじあき/芳文社・アニプレックス
『ぼっち・ざ・ろっく!』公式サイト
https://bocchi.rocks/tv/
『ぼっち・ざ・ろっく!』公式X
https://x.com/BTR_anime
『ぼっち・ざ・ろっく!』公式Instagram
https://www.instagram.com/BTR_isosta/
『ぼっち・ざ・ろっく!』公式TikTok
https://www.tiktok.com/@btr_chiktok
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