システムエンジニア:若手エンジニアが語るエンタメ業界特有のやりがいと面白さ
2025.06.25


2025.05.23
さまざまなエンタテインメントビジネスを手がけるソニーミュージックグループで、専門的な知識とスキルを持って働く技術者(エンジニア)に話を聞く連載企画。
第17回は、ソニー・ミュージックソリューションズ(以下、SMS)でECサイトやファンクラブなど、エンタテインメントにまつわる各種デジタルサービスの開発や運用を手がける朝日勇介が、ソニーミュージックグループで実現したい野望を語る。
目次

朝日勇介
Asahi Yusuke
ソニー・ミュージックソリューションズ
──朝日さんは、エンタテインメントのソリューションビジネスを手がけるSMSに在籍していますが、普段、どのような業務をしていますか?
僕はSMSのデジタルプロデュース本部という部署に所属していて、ECサイトやファンクラブ、ライブ配信、チケット販売など、エンタテインメントにまつわる各種デジタルサービスの開発や運用を担っています。各サービスごとに担当チームが編成されていますが、そのすべてのサービスの共通基盤を見ているのがインフラチームで、自分はそこのリーダーを務めています。
──中途入社とのことですが、入社前はどのような仕事をしていましたか?
大学卒業後、最初に就職したのは、主に金融系のシステムを手がけるITベンダーでした。その2年後に、独立する同僚に誘われて転職したのですが、立ち上げたばかりの会社ということもあり人手不足で、エンジニアだけでなく、営業や企画、法務までなんでも屋のようにやっていました。
そんななか、その会社では、ソニーミュージックグループからシステム開発の仕事を受託していて。その担当窓口をしていたのが僕だったんです。そして何度かやり取りするうちに、縁に恵まれてソニーミュージックグループのレーベルゲート(現、SMS)に入社することになりました。
──声をかけられたということは、ITスキルが見込まれたわけですね。
最初のITベンダー企業と転職先の会社での実務経験があったとはいえ、ITエンジニアとして見込んでもらうようなスキルはまったくなかったんですよ。だから、いまだになんで声をかけてもらったのかわからないんですよね(笑)。現在もそうですが、どの業界でもITエンジニアは求められているので、ソニーミュージックグループとしても人員を拡充したかったのかなと思います。
あと考えられるとすれば……よくしゃべるからですかね(笑)。躊躇なく質問できる性格も良かったのかもしれないです。“知らない=恥ずかしい”と捉える人も少なくないと思いますが、SMSのITエンジニアは会話を通して物ごとを深堀りしたり、知識を共有したりするのが好きな人が多いので、気質的に合っていたんだと思います。今年で社歴も10年目になるので、僕にはここが一番フィットしていると感じますね。
──ITエンジニアとしての知識はどのように養ったのでしょうか?
ぼぼ独学ですね。僕は就職が周りより遅い26歳のときでした。そのせいか最初の会社でもOJT(On-the-Job Training)などは特になく、面接の翌日には現場に行き、“あとはよろしく!”の状態で……(苦笑)。とにかく必死でついていくしかなかったんです。当時は、休日もほぼ勉強と調べ物に費やしていましたね。
──なかなかハードですね……。
大変でしたが社会人1~2年目に自分から情報をつかみに行く癖がついたのは、今となっては良かったなと思っています。IT関連の技術は、去年は最新だったものが今年は古くなっているというくらいアップデートが激しい。そういう意味では僕みたいに大学で情報系を専攻していなかった人間でも、意外と自分の意識次第で重要なことをキャッチアップできると思います。
──SMSにはIT関連のスキルアップにまつわるサポート制度はありますか?
充実していると思います。ただ制度を活用するかどうかは個人に任されているので、その人次第ですね。僕自身は新しいことを吸収したいタイプなので、1日最低1時間は何かしらの学びに費やすようにしています。オンライン学習サービスの「Udemy」も導入されているので学びやすい環境は整っていますね。
──それを毎日となると、なかなか大変ではないですか?
吸収したことをアウトプットにつなげるチャンスが今の仕事に多いので、学びがいを感じているんだと思います。SMSはエンジニアの裁量が大きくて、“新しいクラウドサービスを使ってこんなことを試してみたい”といった提案を上長も積極的に受け入れてくれるんです。あと自分は面倒くさがりで、だからこそ学ぶみたいなところもありますね。
──逆説的な発想ですね。
僕たちインフラチームはシステム全体を見ているので、管理する領域が広いんです。それを一つひとつ手作業で行なっていたら、いくら時間があっても足りない。“じゃあ、ここは自動化して作業工程を減らそう”といった改善策は最新情報をキャッチアップしていないとなかなか見えてこないんです。言い方はちょっと荒っぽいですけど、仕事を早く終わらせたいのはみんな同じだと思いますし(笑)、“面倒くさがりマインド”って実は大事なんじゃないかなと思っています。
──これまで手がけたプロジェクトで印象的なできごとを教えてください。
入社して間もないころの話なんですが、アクセスが集中した場合に、サイトに繋がるまでの待ち時間が表示される「待合室システム」を、あるECサイトへ導入したことです。
このシステムを導入したのは、その数週間前にサイトにアクセスが殺到して、エラーが頻発したことがあって。ユーザーの皆さんにとってはサイトに繋がらないという不満が募ってしまうし、会社にとってはビジネスの機会損失になる。
これは良くないということで、アクセスが集中した場合はいったん待合室に入ってもらい、順次サイトに誘導するといったシステムを新たに導入しました。このシステム導入では、自分がプロジェクトリーダーとなって手がけていたので、特に印象に残っています。
──最近は“あなたは何番目です”といった表示が出て、繋がるまで状況が把握できるサイトも増えましたね。
サーバの負担を軽減しつつ、ユーザーには“待てば繋がりますよ”という心理的安心を得てもらうのがこのシステムの目的で、最近では定番になりましたね。ただ、逆にアクセスが少ないときにはこうしたシステムも不要になります。
待合室システムはひとつの例ですが、エンタテインメントは繁忙期と閑散期を繰り返すことが多いので、システムも常に“蛇口”を開けっぱなしにしなくてもいい。それによって年間のランニングコストも見直せるんじゃないか? となり、最近はそのプロジェクトに取り組んでいます。
ちなみに、コストに対するシビアな感覚が養えたのは、僕がこの会社に来て良かったと感じていることのひとつです。ものづくりやプロジェクトを推進するうえで、常にその先の利益を意識しているというのは重要なこと。
逆に言うと今の仕事では、それが意識ができるくらいビジネスの核心に触れながら仕事ができているので、この経験はこれからのキャリア形成においてもすごく役に立つと思いますし、これまでの会社では味わえなかったことですね。
──大学は情報系の専攻ではなかったとのことですが、どのようなことを学んでいたんですか?
大学はマスコミ系の学部で、映像制作を専攻していました。興味を持っているジャンルは幅広くて、当時は海外のスポーツにハマっていました。ただ、動画やインタビューを翻訳なしで見たくて英語の勉強を始めたことが、就職が遅くなってしまった原因なんですけど(苦笑)。
──SMSは、さまざまなスポーツビジネスにも関わっています。
そうですね。リアルのスポーツだけでなく、eスポーツのブランディング、クリエイティブ、イベントの制作なども手がけています。ソニーミュージックグループで言えば、「EVO Japan」などの大きな大会にも携わっていますが、eスポーツの市場自体にまだまだ伸びしろがあると思いますし、“ソニーミュージックグループのリソースを、こんなふうに活用できないか”というアイデアもあるので、いつか自分もeスポーツに携わってみたいですね。
──SMSのエンジニアにはどんな人が向いていると思いますか?
エンジニアという職種に縛られたくない、いろいろなことに挑戦してみたいという野心がある人には、すごくいい環境だと思います。自分の周りを見わたしても、今やってることとはまったく違うことに着手しようとしていたり、そのために自主的に勉強会に参加したり、主催したりするような上昇志向が高い人も多いので、いい刺激やチャンスをたくさん得られると思います。
──朝日さんもeスポーツに携わりたいという夢がありますよね。
それにも少し関連するんですけど、僕が最終的にやりたいのがゲームを作ることなんです。それも家庭用ゲーム機やPC向けに開発されるAAAタイトルのようなゲームですね。クラウドエンジニアという職種とはぜんぜん違うことになると思うんですけど、ソニーミュージックグループにいればそれも実現できるかもしれないという野望もあって、社内でもいろいろな人とそんな会話をしています。
──そんな会話も気軽にできる環境なんですね。
最初にも言ったように、エンジニア同士の会話の粒度は、かなり高いと思います。細かいことでもどんどん報告し合いますし、情報共有も頻繁にします。そういう意味ではオープンにコミュニケーションが取れる人がこの会社には向いているかなと思いますね。
──入社前や学生時代にやっておくといいことなど、何かアドバイスがあればお願いします。
新しいものが出たら、とりあえず触ってみるという癖をつけておくといいと思います。それこそスマホアプリのダウンロードランキング上位のサービスなど、自分では使わないなと思っても、これのどんなところがユーザーに刺さってるのか? といったことを実感しておくのはエンタテインメントに携わるうえできっと役に立ちます。
あと僕がやっていたのは、ちょっとしたアイデアや、気になったことを必ずメモに残しておくこと。自分が学生だったころ以上に、現在は情報であふれていますから、次から次へと目の前を流れていってしまう。自分で意識しておかないと、そのなかにある大事なものに気づけないということも起こるので、メモは大事ですね。しかも、意外とこういうメモが後々の財産になったりもしますので、ぜひおすすめめしたいです。
文・取材:児玉澄子
撮影:干川 修
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