A-1 Picturesの20年を振り返りながら見えてくるアニメ制作現場の未来像①
2025.07.05


『ゆるキャン△』でキャンプブームを盛り上げた、あfろ氏が描く、芳文社『まんがタイムきららキャラット』で連載中の人気4コマ漫画が原作のアニメ『mono』。
後編では、アニメーション制作を手がけるスタジオやクリエイター陣、音楽面について、アニプレックス(以下、ANX)のプロデューサーに話を聞いた。
目次

石川達也
Ishikawa Tatsuya
アニプレックス

田中 瑛
Tanaka Akira
アニプレックス
前編の記事はこちら:アニメ『mono』プロデューサーインタビュー——原作から滲み出る優しさや温もり、そして生々しさを伝えたい①
――『mono』のアニメーション制作を手がけているのは、新進気鋭のアニメ制作会社ソワネ。改めて、ソワネとはどのようなスタジオなのでしょうか。
田中:ソワネの皆さんとは、ソワネが会社として立ち上がる前から個人的に交流がありまして。「いつかアニメ制作をご一緒できたらいいですね」と話していたんです。
そして自分がアニメ『mono』の製作を担当することになったときに、石川さんにソワネのことを紹介したところ、「いいんじゃない」と賛同してくれて。そこからソワネの皆さんにも『mono』の原作を読んでもらい、アニメ化の検討をしていただいたという流れです。
石川:TVシリーズはこの『mono』が1作目という、まだ動き出したばかりのスタジオで、スタッフは若い方が多くて。エネルギッシュでありながら、きっちりと仕上げる真面目さもあって、なおかつアニメが本当に好きな方々が集まっているという印象があります。
制作の経験を積むと“これは大変だから”“これは工数がかかるから”と慎重になると思うのですが、今の彼らはそういうことを考えずに突き進む。いいものを作るんだというピュアな情熱が前面に出ているなと思います。
田中:ソワネのアニメーションプロデューサーの藤田(規聖)さんは、アニメ作品への造詣がすごく深いんですよね。古い作品から新しい作品まで見ていらっしゃいますし、知見もあって、自分の考え方をお持ちなんです。ご一緒していて、とても心強いなと思っています。
ソワネは、少数でありながらも精鋭が集ったスタジオで、非常に丁寧な仕事ぶりが作品に現われていますし、本当に頭が下がる思いです。
――愛敬(亮太)監督も本作『mono』がTVシリーズ初監督ですね。愛敬監督についても教えてください。
石川:『mono』ってすごく難しい題材だと思うんですよね。なぜなら“映像表現の映像作品”ですから。いろいろな映像表現を、アニメで描くというのはどんなクリエイターでも悩むところだと思うのですが、そこを愛敬さんが正面から取り組んでくださっている。当然生みの苦しみがあると思いますが、楽しみながら映像化してくださっているのがとても有り難いなと思っています。
田中:監督の愛敬さんは、藤田さんが今回お声がけくださったのですが、愛敬さんもカメラがお好きで。映像づくりにおいても撮影に関する表現にすごくこだわっていらっしゃる方なので、作品にマッチしているなと思います。
愛敬監督はじめ皆さんすごく多彩なアイデアをお持ちで、例えば、360度カメラが作中に登場するシーンでは、実際にタブレットで操作するという表現をアニメのなかで再現していて。アニメでそういうことができるんだ! と驚きと発見がありましたね。
――制作スタッフの皆さんの熱量が、アニメ『mono』には込められているんですね。
田中:はい。ソワネの皆さんはこの作品だけでなく、同時並行でほかの作品も手がけながら、『mono』にも全力投球をしてくださっているので本当に感謝しています。あと、キャラクターデザインの宮原拓也さんが描くイラストの解像度がすごく高く、宮原さんのお力もすごく大きいですね。
さらに今回、藤田さんが自らオープニングとエンディングの制作進行を担当されているんですが、いろいろな方にお声がけしてくれて、ものすごい熱量を込めてくださいました。
また、今回のシリーズ構成の米内山陽子さんは、ANX作品に参加してくださったのが、実は初めてなんです。以前からいつかご一緒できたらいいなと思っていて、今回オファーをしたところ快く引き受けてくださいました。米内山さんが描かれるキャラクターのセリフや、状況がわかりやすいト書きが入ったことで、全体的に情景が思い浮かぶようなシナリオになったと感じています。それが企画の動き出しに合ったので、この作品の方向性が定まったのかなと思いますね。
――本作のオープニングテーマは『メニミリ・メモリーズ』。歌はシネフォト部(雨宮さつき/CV.三川華月、霧山アン/CV.古賀葵、敷島桜子/CV.遠野ひかる)名義になっており、キャストの皆さんがそれぞれのキャラクターとして歌っているキャラクターソングとなっています。キャラクターソングによるオープニングテーマも“きらら系”らしい王道ですね。
田中:今回は、ひとつ前の時代に戻したような“アニソン”を作ってみたいと考えていました。僕自身、キャストの方がキャラクターソングとして歌う、アニソンが大好きで。今でもよくきらら作品の楽曲を聴きます。とくに『あんハピ♪』とかはキャラソンも好きです(笑)。
“ザ・アニソン”と感じる楽曲や、いわゆる電波ソングと呼ばれるような楽曲をやってみたいと思っていたので、今回はオープニングをキャラソンにして、キャストの皆さんに歌っていただきました。7月には、キャラソンアルバムをリリースする予定です。こういった日常系の作品で令和にキャラソンアルバムを出すというのは、1周回って新鮮な取り組みじゃないかなと思いますので、ぜひ楽しみにしていただきたいです。
――キャラクターたちがさまざまな楽曲を歌うキャラクターソングというジャンルも、以前に比べ少なくなっているアニメカルチャーですね。音楽的なアプローチもアニメ『mono』の見どころ。さらに、エンディングテーマはhalcaが担当しています。
石川:今回、ミュージックレインのhalcaさんがエンディングテーマ「ウィークエンドロール」を担当してくれています。halcaさんは山梨県出身というわけではないのですが、山梨県でラジオ番組のレギュラーを持っていて、ご縁があってかなり前のめりに楽曲を制作していただきました。本編と合わせて楽しんでいただけるとうれしいです。
halca『ウィークエンドロール』Music Video(TVアニメ『mono』エンディングテーマ)
――6月28日にはいよいよ最終話を迎えます。アニメ『mono』が、見ている方にとって、どのよう作品になってほしいと思いますか?
石川:まずはここまで『mono』を楽しんでくださったことに御礼を言いたいです。本作は本当にさまざまな方の身近に寄り添える作品だと思っています。何気ない会話や風景、場所だったり食べ物だったり……。いろいろな部分で、見てくださる方々に共感してもらえるフィルムになっていれば幸いです。そしてこの記事で少しでも興味を持ってくださった方はぜひ、週末やお手すきの時間に“mono”を感じていただければと思います。
田中:現在は、放送や配信などいろいろな方法でアニメ作品を見られますが、僕はBlu-rayやDVDといったパッケージメディアを買うのも好きなんです。『mono』という作品はガジェットを楽しむ作品でもあるので、ぜひパッケージでも、“mono”の楽しみを味わってほしいと思っています。Blu-rayやDVDは、コレクションを楽しむ要素もあるので、手にしたときの喜びであったり、家で全巻を揃えて飾っているときの満足感であったり、“もの”としての面白さが詰まっているんです。
ただ、こういう楽しさって買った人にしかわからないものなので、なかなか伝わりにくいと思うのですが、レコードをコレクションしたりするような感覚に近いというか。ぜひ、アニメ『mono』のパッケージも手に取っていただきたいです。
それと、できれば、本編のなかに出てきたガジェットを実際に手にして、作品と一緒に楽しんでほしいですね。インスタントカメラでもなんでもいいので、自分で撮影に挑戦してみることもひとつですし、自分なりにいろいろと遊び方を広げてもらえるといいなと思っています。この作品が、あなたにとって大切な“mono”を見つけるきっかけになってくれたらうれしいです。
前編の記事はこちら:アニメ『mono』プロデューサーインタビュー——原作から滲み出る優しさや温もり、そして生々しさを伝えたい①
文・取材:志田英邦
©あfろ/芳文社・アニプレックス・ソワネ

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