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スヌーピーミュージアム

「スヌーピーと日本はこれからも“ともだち”」シュルツ夫人のメッセージ【特集第4回】

2018.05.24

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『スヌーピーミュージアム』の最終展覧会「ともだちは、みんな、ここにいる。」のオープニングに合わせ、シュルツ夫人が来日。

展覧会の見どころと、日本と『ピーナッツ』の関係性。そして『ピーナッツ』を愛するファンのひとりでもある、シュルツ夫人に話をうかがった。

  • ジーン・シュルツ氏

    Jean Schultz

    シュルツ美術館理事長

    1973年、『ピーナッツ』の原作者であるチャールズ M.シュルツさんと結婚。現在は、カリフォルニア州、サンタローザにあるシュルツ美術館理事長のほかに、介助犬を支援する団体の理事を務めるなど、社会活動にも積極的に取り組んでいる。

チャーリー・ブラウンとルーシーの関係に見るシュルツさんの才能

『スヌーピーミュージアム』の最終展覧会「ともだちは、みんな、ここにいる。」のオープニングに合わせ、シュルツさんの妻で、アメリカ・カリフォルニア州、サンタローザにある『シュルツ美術館』の理事長を務める、ジーン・シュルツさん(以下、ジーニーさん)が来日。

ジーニーさんは、アメリカンポップにデコレーションされたミュージアムの展覧会場を歩きながら、チャーリー・ブラウンとスヌーピーの友情や、ふたりにしかわからない言葉で、愉快なおしゃべりを繰り広げるスヌーピーとウッドストック、ルーシーに騙されるとわかっているのに、なぜだか毎回ボールに向かって走ってしまうチャーリー・ブラウンのフットボールのエピソードなど、80点に及ぶ展示作品一つひとつを愛おしそうに見つめ、「この展覧会は、まるで迷宮の中を冒険しているかのようね」と微笑みながら語る。

来場者が「ともだちは、みんな、ここにいる。」の会場でまず目にするのは、「ピーナッツ」コミックでおなじみのブロック塀だ。肘をついて、悩ましげな表情を浮かべるチャーリー・ブラウン。その横にはスヌーピーヤライナスなど、チャーリー・ブラウンの友だちが並んでいる。フォトジェニックなこの場所で、スヌーピーと並び、笑顔を浮かべるジーニーさんは、「スパーキー(シュルツさんのニックネーム)は、このブロック塀を、チャーリー・ブラウンたちが安心して友だちと語り合ったり、悩みを打ち明けたりできる場所として描いていました」と語る。

スヌーピーミュージアム ジーン・シュルツさん

『ピーナッツ』の友情エピソードは、本特集の第1回(新しいタブで開く)でも取り上げたが、中でも外せない友情エピソードと言えば、チャーリー・ブラウンとルーシーのフットボールのエピソードだ。

主にサンデー版で登場するこのシリーズは、たいていルーシーが「チャーリー・ブラウン〜♪」と、ご機嫌な声で語りかけるところから始まる。ルーシーの「ボールを支えているから走ってきて、蹴って!」という誘いを、チャーリー・ブラウンは断ることができず、全力で駆け抜ける。でも、いつも最後には裏切られ、ルーシーはボールをひょいと持ち上げるので、勢い余ったチャーリー・ブラウンは思いっ切りすっ転んでしまうのがおきまりだ。

お人好しのチャーリー・ブラウンも、さすがに何度も騙されるうちに「今度こそ騙されないぞ!」と誓うのだが、女子の巧な話術に引っかかり、やっぱり全力で走り抜け、すっ転んで頭がクラクラしてしまうのである。

チャーリー・ブラウンとルーシーのフットボールの攻防を描いたエピソードが壁一面に展示されている

チャーリー・ブラウンとルーシーのフットボールの攻防を描いたエピソードが壁一面に展示されている

なぜチャーリー・ブラウンは、懲りずに何度もボールに向かっていくのか? 誰もが抱かずにはいられない素朴な疑問をジーニーさんに投げかけてみると、「本当にふたりの関係はよくわからないわよね(笑)」と同意する。

その一方で、「でも、ひとつはっきりと言えるのは、チャーリー・ブラウンが心の奥に抱える闇を、誰に相談しているのかと言えば、精神分析スタンドを開いているルーシーだということ。そして、毎年、毎年、同じ手で騙され続けているのに、ルーシーのことを信用している。その理由は私にもわかりませんが、スパーキーはこのふたりのフットボールの攻防を、連載初期の1951年から連載が終わる直前の1999年まで使い続けました。これは、漫画家として創意工夫があれば、おなじみのエピソードをこれほどまでに発展させることができるということを証明しています」と語った。

シュルツさんが誇りに思っていた、谷川俊太郎さん訳

ジーニーさんは、本展覧会の見どころとして、前述の『ピーナッツ』における友情の象徴とも言えるブロック塀とともに、詩人の谷川俊太郎さんによる書き下ろし作品「ともだちは」を挙げている。日本語版『ピーナッツ』と言えば、その訳のほとんどが谷川さんによるものというのは、周知の事実だが、ファンの中には、子どもの頃から谷川さんの訳に親しみ、ビーグル・スカウトで登場する“エンジェルフードケーキ”をはじめ、スヌーピーたちを通して見えてくるアメリカの文化に憧れを抱いていたというファンも少なくない。日本語版の出版を含め、日本での人気について、シュルツさんはどのように受け止めていたのだろうか。

「スパーキーは、詩人の谷川さんが翻訳してくれたことを、とても誇りに思っていましたよ。日本の人たちが、それだけ自分の作品を大切に思ってくれていることがわかってうれしかったのです。谷川さんは、アメリカまでスパーキーに会いにきてくれたこともありました。他の国と比べて、日本でのスヌーピーの人気が非常に高いこともとても喜んでいて、その理由については、『日本人はアーティスティックなデザインが好きだから、スヌーピーのクラシックなデザインと、モノクロの明快でシンプルなラインがうけるのだろう』と分析していました」。

谷川俊太郎「ともだちは」

 

コラボレーションから広がる「ピーナッツ」の輪

『ピーナッツ』と日本の関係でいうと、2018年は、『ピーナッツ』が日本に上陸してから50周年のアニバーサリーイヤーだ。もともと『ピーナッツ』は、その他のキャラクターアイテムと比べ、アメリカのヴィンテージアイテムをコレクションするような男性ファンが多いのも特徴ではあったが、近年では、小学生からティーンエイジャー、親子コーデを楽しむファミリーまで、幅広い層に受け入れられている。

「日本のマーケットでは、この数年で、さまざまなコラボレーションが生まれました。最近のものでいうと、(目がバッテンになっているデザインが特徴の)KAWSとユニクロによるコラボアイテムなど、若い世代の心に響く魅力的な商品が次から次へと生まれています。実際、20代後半の私の孫も、『あのかっこいいスヌーピーのシューズは手に入らないの? KAWSのぬいぐるみは?』などと、よく聞いてきます。私にとっての『ピーナッツ』は、コミックの中のキャラクター一人ひとりと、どのようなつながりを持つのかという個人的な経験でした。それが何よりも特別な体験であることに変わりはありませんが、若い世代に向けて、今までにない展開で『ピーナッツ』の世界が広がっていくことも、ひとつのあり方だと感じています」。

実は『ピーナッツ』の母国アメリカでも、若い世代にどのようにして作品を受け継いでいくのかというのは課題だという。日本においては、2年半の期間限定とは言え、『スヌーピーミュージアム』が、いつでも原作の世界に触れられる場所として東京のど真ん中の六本木にオープンし、果たした役割は大きいだろう。新しい展覧会が始まるたびに来日しているジーニーさんは、「『スヌーピーミュージアム』に来ている人たちを見ると、作品に敬意を払ってくれているのがわかります。それは私たちにとって、とても幸せなことなんです」。

スヌーピーミュージアム ジーン・シュルツさん

最後に、今から50年後、『ピーナッツ』の日本上陸100周年に向けてメッセージをいただいた。「スパーキーが毎日、50年間描き続けた『ピーナッツ』は、誰もが共感できる哲学と強い個性を持っている作品ですから、きっとこれから先の50年も愛され続けていくのだと思います。まだ『スヌーピーミュージアム』に来たことがない方も、過去に訪れたことがある方も、ぜひこの『ともだちは、みんな、ここにいる。』を訪れ、原作の世界を堪能していただけたらと思います。そして『スヌーピーミュージアム』が閉館した後も、私たちはサンタローザにある『シュルツ美術館』で皆さんをお待ちしています」。

スヌーピーや『ピーナッツ』の仲間たちとの友情は、この先もずっと続いていく。しかし、『スヌーピーミュージアム』でしか味わえない体験や出会いがあることは間違いない。閉館まで残すところ約4カ月。笑顔で「See You Again」と言えるように、残りの時間を楽しんでほしい。

スヌーピーミュージアム「ともだちは、みんな、ここいにる。」(新しいタブで開く)

■期間:4/21(土)~9/24(月・祝)
■時間:10:00~20:00(入館は19:30まで)会期中は無休(6/5は休館)
一般:1,800円(2,000円)
大学生:1,200円(1,400円)
中学・高校生:800円(1,000円)
4歳~小学生:400円(600円)
※()内は当日券の値段

© Peanuts Worldwide LLC

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