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連載Cocotame Series

エンタメに効くアプリ

L'Arc~en~Cielの30年の歴史が動き出す――ミュージアムアプリ開発ストーリー【後編】

2021.09.28

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エンタテインメントを活性化させるアプリをフィーチャーする連載企画「エンタメに効くアプリ」。

今回は、L'Arc~en~Cielの結成30周年を記念して配信されているスマートフォン向けアプリ『L'Arc~en~Ciel 30th L'Anniversary VR Museum(以下、VR Museum)』をフィーチャー。本アプリの企画、制作に携わった関係者を招き、ミュージアムアプリを開発することになった経緯や開発秘話を聞いていく。

参加者は、ソニー・ミュージックレーベルズ(以下、SML)の音楽レーベル・Ki/oon MusicでL'Arc~en~Cielを担当する川崎みるくと望月俊輔。そしてソニーグループでエンタテインメント×テクノロジーを研究開発する横断プロジェクトチームで、アプリの開発を担った「Project Lindbergh(プロジェクト・リンドバーグ)」のメンバーである今村隆と古橋奈実の4人。

後編では、L'Arc~en~Cielの膨大なアーカイブを立体的に展開する『VR Museum』の楽しみ方や、担当者それぞれがこのプロジェクトに込めた想いを聞いた。

  • 今村 隆

    Imamura Takashi

    ソニー・インタラクティブエンタテインメント

  • 川崎みるく

    Kawasaki Milk

    ソニー・ミュージックレーベルズ

  • 望月俊輔

    Mochizuki Shunsuke

    ソニー・ミュージックレーベルズ

  • 古橋奈実

    Furuhashi Nami

    ソニー・ミュージックエンタテインメント

同じ曲の違う演奏が楽しめる“6面シアター”

――(前編よりつづく)『VR Museum』はVRでありながら、スマートフォンで完結する手軽さが魅力だと思います。アプリとしては基本的に無料でダウンロードしてVR空間のミュージアムを誰でも楽しめる。プラスアルファのコンテンツとして8月25日にリリースされたシングル「ミライ」と、9月29日に発売されるシングル「FOREVER」のそれぞれの完全生産限定盤購入者だけのスペシャルなVRミュージアムエリアがあるということでしょうか?

みるく:はい。どなたでも楽しんでいただけるエリアと、「ミライ」と「FOREVER」それぞれの完全生産限定盤を購入していただいた方だけが楽しめるエリアがあります。加えてどちらにもオリジナルの「ハコスコ」(スマートフォンをセットしてVR映像を楽しめるVRスコープ)が付属しています。

――では、その全エリアのなかから、今回皆さんが携わったそれぞれの立場で見て、特にオススメしたい展示について教えてください。特に古橋さんには、このアプリを触ってみたファン目線での感想も伺えればと思います。

古橋:私は、ファンの方たちに「何回も観たい」と思っていただけるコンテンツにしたいと思いながら開発に携わってきましたが、自分自身のファン目線で見ても、それが叶っていると感じています。膨大な量の展示物を、一つひとつがいきる展示方法を模索して演出しているので、さまざまな角度からL'Arc~en~Cielの魅力を再確認していただけると思いますし、30年分の軌跡とともにご自身の思い出もフラッシュバックするような体験ができるのではないかと思います。

なかでも私が一番好きなのは、「ミライ」、「FOREVER」の完全生産限定盤を購入していただいた方たちが楽しめるエリア※の“6面シアター”ですね。6面の巨大スクリーンが目の前に広がり、深い没入感でL'Arc~en~Cielをずっと見ていられる、聴いていられるんです。

もし「ハコスコ」で見るのに疲れたら、スマートフォンを置いて指で操作するだけでも楽しめるので、VRとスマートフォンのメリットを両立できたコンテンツになっていると思います。

※「ミライ」の完全生産限定盤購入者は「虹」の6面シアターが見られるようになり、「FOREVER」の完全生産限定盤購入者は「Driver's High」の6面シアターが見られるようになる。

ライヴに行かないと得られない楽しさは絶対的にありますが、それを“再現する”というよりは“デジタルだからこそ体験できる新しい楽しさ”を追求したコンテンツだと感じています。

みるく:“6面シアター”は360度、どこを見てもL'Arc~en~Cielのメンバーのパフォーマンスが見られます。映像が貼り付けられたサイコロのなかにいるようなイメージですね。同じ曲の、年代の違う映像が6面に流れるので、「これはあのときの演奏だ」という楽しみがあるのですが、音も各年代の映像に合わせて切り替わるのが特長です。

マルチアングルで見るという体験はほかのコンテンツでもあると思うのですが、音まで年代を超えて一気に体験できるというのは新しいアイデアだと感じました。私にとっても“6面シアター”はイチオシですね。

望月:同じ曲でも、2000年代と2010年代の演奏では「こんなところが違うんだ」など、さまざまな時代のL'Arc~en~Cielを楽しんでいただけます。アーティストの歴史を振り返るという意味でも一番わかりやすいコンテンツかもしれないですね。

今村:“6面シアター”は、VRの技術としてはそれほど難しいものではないのですが、音と映像をその時代のものに切り替えるとなると、権利関係をクリアにしなくてはいけませんし、IPホルダーとの調整が必要になります。さらに、映像や音の選択では、絶対的なファン目線という目利きが必要になります。これがまさしく開発サイドだけでは、どうすることもできないことです。

しかし、このプロジェクトでは、そこをみるくさんと望月さんにお任せできた。今回、取り組んでみて改めて感じましたが、ここまでIPサイドと技術サイドがキャッチボールをしながら進められるプロジェクトだったからこそ実現できたコンテンツだと思います。

望月:目指したのは、30年の歴史を辿るというコンセプトに基づいたコンテンツづくり。ですから、年表のようにまとめられているエリア、過去のライヴ写真を展示するエリア、これまでリリースした音源が聴けるエリアなどを巡ったあとに、“6面シアター”で各年代の同じ楽曲を演奏したメンバーたちの映像が見られるというのは、ストーリー的にも一番しっくりくると感じました。

今村:展示のストーリーと言えば、これも「ミライ」の完全生産限定盤購入者限定エリアになるのですが、「Music Clipシアター」も過去を振り返るといった面でとても良いコンテンツですよね。歴代のMusic Clipのサビの部分をパッパッと選択して見ていけるようになっているのですが、YouTubeなどで見るのとはまた違った面白さがあると思います。

僕自身もL'Arc~en~CielのMusic Clipは青春時代によく見ていましたが、今回、改めてクオリティの高い映像作品ばかりだなと感動しました。

古橋:それから、9月29日に発売されるシングル「FOREVER」の完全生産限定盤購入者限定エリアの「楽器展示」もファンの方々には喜んでいただけると思います。20周年のミュージアム企画で衣装や楽器を展示していたのを参考に、今回の『VR Museum』では3D展示を行なっています。スキャナーではなく、カメラで360度から撮影したメンバーの楽器を、ソフトを使って取り込むという方法で制作していて、完成度の高い展示になっています。

みるく:リアルのミュージアムだと決められた場所からしか見られなかったりしますが、3Dなので好きなように回転させて隅々まで見ることができます。実際にメンバーがライヴで使用しているものですし、使い込まれてできた傷までじっくり見ていただきたいですね。

望月:僕としては、“動く写真”も面白いコンテンツになっているのではないかと思いますね。過去のライヴ映像から、各メンバーのソロショットを切り抜いたものが見られるエリアなのですが、写真をタップするとメンバーが動き出すんです。

皆さんが見たことのあるライヴ映像ではあるのですが、そのなかで見逃していたかもしれないシーンを切り取ってまとめることで、メンバーの新たな一面や表情が垣間見えるのではないかと。

みるく:映像で見たらさっと過ぎ去ってしまうような一瞬のシーンなのですが、切り取ってまとめると、メンバーの格好良い仕草やキュートな表情がギュッと凝縮されているので、新鮮な気持ちで楽しんでいただけると思います。

SNSでファンの声から学ぶこと

――体験させてもらって、ファン心理のツボを突くような写真ばかりが展示されていると感じましたが、やはりファンの方々が求めていることを、日ごろから広くアンテナを立てて採り入れていらっしゃるのでしょうか。

みるく:もちろん“ファンの皆さんが求めるものを大切に”というのは私たちも常に意識していることではあるのですが、L'Arc~en~Cielというアーティストに関しては、普段仕事をしている同業の方のなかでも、「ファンなんです」という声をいただくことがすごく多いんです。

しかも皆さん、「この表情が良いね」といった感想を伝えてくださったり、私たちでも知らないようなことを教えてくださったりと熱量が非常に高くて。そういった身近な方々も含めて、ファンの皆さんの意見をたくさん聞くように心がけています。

望月:L'Arc~en~Cielのファンの方々は、SNSで気持ちを爆発させて投稿されている方が多いので、そういった投稿を見ているだけでも勉強になることが本当に多いです。Music Clipを公開したり、ライヴ映像が配信されたりすると、何がうれしくて何が楽しいのかを明記した上で、事細かくツイートをしてくださるんです。

今村:実は僕もこのプロジェクトに参加してから、何人かファンの方をフォローさせていただくようになりました(笑)。こういうところにファンの方たちは注目しているということを勉強させていただいてます。

いかにストーリーとテクノロジーを共鳴させるか

――『VR Museum』は2カ月連続リリースとなる「ミライ」と「FOREVER」の完全生産限定盤の特典を入手することによってコンテンツのすべてを楽しめるアプリとなりますが、このようにフィジカルの商品に付随する形でデジタルテクノロジーを活用した特典、サービスというものは今後も増えていくのでしょうか?

望月:今回の『VR Museum』では、ユーザビリティを意識して、使いやすさやわかりやすさを大事にしてきました。今後もできる限り、エンタテインメントの楽しみ方としてリアルとデジタルを両立していきたい部分はあるのですが、先ほども言った通り、最新テクノロジーだからといって何でもかんでも手を出しすぎるのは危険なのかな、ということは改めて感じています。やはり、それを提供することでファンの方たちが喜んでくださるかどうか、それに尽きると思います。

みるく:私も同感です。だから、テクノロジーやデジタルがリアルに代わるという単純な発想ではなくて、共存、共鳴させていくことが大事なのかなと思います。音源を聴いてライヴに行きたくなるし、ライヴを観て音源を買いたくなるように、リアルとテクノロジーとがお互い相乗効果になるような企画を、今後も作っていきたいです。

今回は、技術スタッフの皆さんが企画力もある方たちで、私たちの話もたくさん聞いてくださって。みんなで知恵を出し合いながら制作できたので、ここまでのコンテンツに仕上げることができたのではないかと感じています。

――今村さん、古橋さんにもお伺いします。ソニーグループを横断したプロジェクトである「Project Lindbergh」は発足から4年目を迎え、今回の『VR Museum』に至るまでさまざまな映像、音響技術にアプローチしながらコンテンツ制作も行なってきました。その上で、みるくさん、望月さんの話にもあった通り、今、エンタテインメントの現場では、最新のテクノロジーを採り入れながら、アーティストファースト、コンテンツファーストで、ファンの方々に感動を届けることが重要視されています。まさしくその接点にいる「Project Lindbergh」の現在地をどのように捉えているか、そしてこの先どのように発展させていくのか、考えを聞かせてください。

今村:2018年に「Project Lindbergh」がスタートしたころは、宇多田ヒカルのVRコンテンツやSurvive Said The Prophetのライヴ体験VRが象徴的なプロジェクトになっていました。これらはアーティストのパフォーマンスをVRコンテンツとして提供するものでしたが、今年は『VRデビルマン展』や、この『VR Museum』のように仮想空間に“場”を用意する形のものにシフトしてきています。

実際、IPサイドのスタッフとも、一回限りの体験だけではなく、継続的にファンの方々が集まれる場がオンラインの仮想空間にあったら良いねという話をよくしていて、今後、プロジェクトがそういう方向に向かうこともあると思います。そして“そこにどういう技術が適用できるか”を考えるのが我々「Project Lindbergh」の役割だと捉えています。

古橋:今後の展開としては、ファン同士が集まる場を作るという観点で、ヘッドセットを装着するVRのほうではマルチプレイにも取り組んでいます。スマートフォンに関しても、例えば友だちと一緒に体験するといったところを目指していきたいですね。もちろんアーティストサイドの意見もしっかり聞きながら、ひとりで体験するだけではなく、そのなかでコミュニケーションを取るという体験価値も、生み出していけたらと考えています。

――最後に、『VR Museum』を体験される皆さんにメッセージをお願いします。

みるく:時間をかけて取り組んだアプリで、L'Arc~en~Cielの30年の歴史と、いつの時代も最高のクオリティで世の中に作品を放ってきたL'Arc~en~Cielの軌跡を楽しめるコンテンツになっていると思います。そこをぜひ、楽しんください!

今村:ファンの皆さんに届けやすいように、毎日楽しんでいただけるように、スマートフォンというデバイスにL'Arc~en~Cielのいろんな思い出を詰め込んでリリースすることができました。ご自身とL'Arc~en~Cielとの関わりの歴史を振り返りながら、いろいろな思いに浸っていただければなと思います。

 

文・取材:髙橋裕美
撮影:冨田 望

最新情報

L’Arc~en~Ciel
「ミライ」
2021年8月25日(水)発売

 

 
■通常盤:880円
<CD>
1.ミライ
2.ミライ (hydeless version)
 
 

 
■初回盤A(CD+BD):2,200円
<CD>
1.ミライ
2.ミライ (hydeless version)
 
<BD>
ミライ -Music Clip-
The Making of "ミライ -Music Clip-" version A
 
 

 
■初回盤B(CD+BD):2,200円
<CD>
1.ミライ
2.ミライ (hydeless version)
 
<BD>
ミライ -Music Clip-
The Making of "ミライ -Music Clip-" version B
「BLUE PROTOCOL(ブループロトコル)」オープニングアニメーション
 
 

 
■完全生産限定盤(CD+ハコスコ+VR Museum QRコード):4,200円
<CD>
1.ミライ
2.ミライ (hydeless version)
 
<ハコスコ>
「ミライ」オリジナルハコスコ
 

<VR Museum>
L'Arc~en~Ciel 30th L'Anniversary VR Museum
スペシャルコンテンツが楽しめるQRコード
・Music Clipシアター
・6面シアターで「虹」の鑑賞が可能

 

 
L'Arc~en~Ciel
「FOREVER」
2021年9月29日(水)発売
予約はこちら(新しいタブで開く)
 

 
■通常盤(CD):990円
<CD>
1.FOREVER
2.FOREVER (hydeless version)
3.FOREVER (Anime Edit)
 

 
■完全生産限定盤(CD+ハコスコ):4,300円
<CD>
1.FOREVER
2.FOREVER (hydeless version)
3.FOREVER (Anime Edit)
 
<ハコスコ>
「FOREVER」オリジナルハコスコ
 

<VR Museum>
L'Arc~en~Ciel 30th L'Anniversary VR Museum
スペシャルコンテンツが楽しめるQRコード
・楽器展示
・6面シアターで「Driver's High」の鑑賞が可能

 

 
■LE-CIEL限定盤(CD+GOODS):3,740円
<CD>
1.FOREVER
2.FOREVER (hydeless version)
3.FOREVER (Anime Edit)
 
<GOODS>
SCHEDULE BOOK 2022
[2022年スケジュール帳]
A5サイズ変形(152mm×204mm)
全96ページ 2022年1月始まり
 
※ファンクラブ限定グッズとして毎年大好評のスケジュール帳が登場、FOREVERのジャケ写仕様のスペシャルなデザインです。
 
 
【『L'Arc~en~Ciel 30th L'Anniversary VR Museum』概要】
タイトル:L'Arc~en~Ciel 30th L'Anniversary VR Museum
プレイ人数:1人
対応ハード:iOS / Android
配信日:2021年8月25日

関連サイト

■オフィシャルファンクラブ
L’Arc~en~Ciel Official Fan Club LE-CIEL
www.LE-CIEL.com(新しいタブで開く)
 
L’Arc~en~Ciel Digital Fan Club LE-CIEL
www.DIGITAL-LECIEL.com(新しいタブで開く)
 
■オフィシャルリンク
www.LArcom.net(新しいタブで開く)
www.LArc-en-Ciel.com(新しいタブで開く)
https://youtu.be/UBEoZ-eTa-o(新しいタブで開く)

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